総評 ■■■■■□□ 5
シナリオ ■■■■■□□ 5
主人公        ■■■□□□□ 3
ヒロイン ■■■■■■□ 6
CG      ■■■■■■■ 7
音楽 ■■■■■■□ 6
声優 ■■■■■■□ 6
演出 ■■■■■■□ 6
2019-06-09 (28)
『調和』を司る深野の魔法使いが主人公である本作ですが、この作品自体も終わってみればとても『調和』的に綺麗に纏まっている印象を受けました。由岐奈√が特に顕著で彼女の昔のしてしまった落とし物『オツキサマ』の話題を出しつつも、親友である『神掛蒔奈』の秘匿し続けてきた過去であったりとか、主人公睦季の『人知れず励む研究』の正体等を同時進行しながらも由岐奈ちゃんとのデートはしっかり存在しており、シナリオもいちゃラブもほどよいバランスで存在しているのに崩れていないのが驚きです。
2019-06-09 (14)
また妖異をはじめ並々ならぬ年月をすごしているもの達が多く登場する故もあって『名セリフ』が地味に多い。例えばゴンゲサマの『非、後悔をしたのです。後悔をしたから、後悔を知ることができたのです』、白姉ちゃんの『でも、大切な人に順番を付けられたとしても、一番目の人だけじゃなく、二番目も三番目も大切べさ!』あたりの台詞は暫く忘れることはないと思う。

【みだり√】
2019-06-09 (17)
普段『先生』として魔法使いらしい堂々とした態度をとっていた睦季が、みだりちゃんの水着を見た瞬間『ドスケベ』と思わず素の心の声が出てしまうのが見てて微笑ましかった。ヒロインが淫魔系のお話は最初は適切なお関係を続けようとするけど大体一、二回は御しきれずに煩悩に流されることが大半だけど本作もそれに漏れずに二回目のエッチから積極的におトイレや野外でばんばんぱこぱこするようになり、真面目主人公が性欲に素直に流されるのが羨ましかった…。
2019-06-09 (13)

『でも、大切な人には順番を付けられたとしても、一番目の人だけじゃなく、二番目も三番目も大切にするべさ!』

淫魔の家系として生まれてきたが主人公以外から吸精の経験はなく落伍者としての判子を押されてしまったみだりちゃん。かつ、『淫魔は恋をしてはならない』という掟を破り実家から勘当されてしまう始末。そのことで末っ子マリーちゃん絡みで問題も起きてしまいみだりちゃんは今後どのように生きていくかに幾何かの不安を抱えるようになる。その際の普段温厚な白姉ちゃんが見せたみだりちゃんの精神的な甘さを指摘する発言がこれである。
2019-06-09 (22)
昨今特定のヒロインの為に全力を注ぐあまりに自身の全てを擲つような主人公が登場する機会が増えていることも踏まえて考えさせられる発言ではあった。『調和』というのがひとつのキーワードである本作において『二番手』『三番手』の人たちのことも考えて行動しないといけないという指摘は理に適っておりまた現実的でもある。みだりちゃんにとって掟を破ってまで主人公との恋を選択したことから『一番手』が主人公であることは言うに及ばないが、決して勘当された相手である家族に対して手紙もよこさず関りを持たずに人生を歩むのは確かに違う。

そして『一度だけでも家族に連絡しようと…』と口走ったみだりちゃんに対して白ちゃんが『何で一度だけなの!』と口走ったのよくよく考えたらすごく泣けてくる。幽霊となってしまった白ちゃんにとって家族同然の存在である紅ちゃんが自分の仏壇に線香をあげる様子をただただ見てるしか無くて、話せるならそりゃ紅ちゃんと毎日お話して自分の存在も教えて上げられたらいいのに。そう思うと彼女にとっては『一度だけ』なんていう家族との機会を自分から極限まで減らすような発言は琴線に触れてしまったんでしょうね。ここの白ちゃん正直本編で一番迫力がある。

【花子√】
2019-06-09 (21)
花子ちゃんの『何があっても、一人で解決しようと思わないで』の発言があらゆるところでブーメラン刺さりまくってた印象でした。VS猫川の妖異戦で主人公が敵に深手を負わされてしまっとはいえ主人公が『だめだ…やめてくれ…』と静止を促してるのにただただ傍若無人に戦闘力開放して敵をなぎ倒し暴力で解決しようとしてたのは少し引いた。即堕ち2コマやん。しかもこのセリフわりと白√の主人公にも刺さる。どうしてもエロゲで盛り上がり場面を作るには『一人で隠し玉を用意する』展開のほうが盛り上がるから全然かまわないけど。

【由岐奈√】
2019-06-09 (15)
まずシンプルに由岐奈ちゃん可愛すぎるべよ…っ。黒髪ロングとかいう日本人大好きな王道な見た目を貫いているのがまずずるいやん。そして元々はクールで自信家だったの性格がいつの間にか完全デレデレモードになってるのもずるいやろ。そしてデート服が黒&抹茶色を上手く拵えた肩出しワンピースでそれこそ食べてるパフェの小豆抹茶みたいに調和がとれて似合いまくってるのもずるいやん。3アウトやん。ほんと可愛すぎるべさ…。お話は実際触ってみて衝撃的展開に驚かされて欲しいのでここでは触れないでいようと思いますが、『由岐奈』と『蒔奈』で名前に『奈』という漢字を共通させてるのが上手い。

【白√】
2019-06-09 (11)
『肉体を失った者に魔法で仮の肉体を与える』という死んだ者を蘇らさせるという悪魔じみた主人公の研究がオツキサマ関連の事件を解決する過程の副産物を用い遂に実行できる段階まで来てしまうが、そこでの主人公の選択が問われるお話でした。『人間は耳が遠くなれば補聴器をつけ、歩けなくなれば車いすに乗る』という身近な例で例えられたので、現実的には無理難題かつ禁忌的行為である死者蘇生が思わず『ありかも』と思わされてしまいました。
2019-06-09 (25)
そしてこの作品はそうした延命行為を否定するのではなくて『生きられるなら、生きたほうがいいに決まっているんだから』と紅&白ちゃん二人によって重ねて述べられる。しかしこの作品の印象深い点としては紅と白が同じ発言を交わしたのに関わらず最終的に取った行動が真逆であるということ。すなわち歩んできた『生』を放棄するかしないかということだ。
2019-06-09 (26)
2019-06-09 (27)
紅ちゃんがサダトウノハハの生き血を貰い『もっともっと欲しくなる!私はね、あの子たちの成長を見守ることが、見守ることが、本当に楽しいのっ』と残りの生を白姉ちゃんのぶんまで謳歌することを誓い豪語する一方で、白ちゃんは対象的に人形の妖異になることを拒否し『私がやりたいことは、今のままじゃどうやってもできないみたいだから』『確かに、まだ未練はあるよ』と後悔を残しながらも新たな世界に旅立つことを決意する。

『延命治療』の話題自体は高校生・大学生の作文等で否応なく触れたことが少なくないだろう普遍的テーマではあるがこうしたものをこういう美少女ゲーム媒体で見かけること事態は少ないので中々に斬新でした。最近では『虚空のバロック』が扱っていましたね。

まず感じたのはここまで人間とは比べ物にならない年数を生きることが可能で、その霊力を用いて様々な行動を起こせる人間の上位互換の存在であるような妖異も『一般人にはその姿を見られることはない』という欠陥があることを思い知らされる。主人公は見える立場の人間だから見落としがちだったけれども白がこれからの人生を歩むことを考えたときには大きすぎる弊害である。白も生きたいのなら生きたいけども紅の『吹奏楽部を一から作り上げ強豪にのし上がる人生』をはた目からただただ見るだけで、幽霊として事をなすことが出来ない自分に対して後ろめたい気持ちもそれは湧くだろう。それは彼女にとっての延命治療である『妖異の人形』の新たな肉体を得ても『妖異』であることに変わりはなく紅のような人間らしい人生を歩むことは叶わない。そうしたこれからの展望が見えない人生よりは『死』して旅立つことを選択する。
2019-06-09 (19)
ここまで見ると白の選択は後ろ向きでバッドエンド、悲恋のようにも思えるし実際その面は否定できない。ですが『後悔だってしてるし、やり残したことだって、たくさんある。けどそれが次へ向かう力になるのなら、きっと後悔さえも、旅立ちには必要なものだったんだ』とそうした人生の未練や後悔を肯定もして救いを残している。数々の妖異の問題を解決するうえで沢山の『後悔』を目撃して、その『後悔』があったからこそ再び出会えたもの者たちも少なくない。こうした人生経験豊富な主人公だから言えた発言だったかもしれません。
2019-06-09 (24)
ただ納得できないこともあってなんか白ちゃんのおまけで主人公もこの世から旅立ってしまうことだ。主人公の主張としては『魔法使いとしての役目を終えたのでいる意味がない』『白を失って未練を募らせた自分が正しい流れに戻れず留まり続ける可能性がある』『転生した過去があるので後の人生はおまけ』『結局は白と一緒が良かった』とか色々口走ってたましたけど。
2019-06-09 (23)
ここで主人公に反論するために思い返しときたい発言が先述した『でも、大切な人に順番を付けられたとしても、一番目の人だけじゃなく、二番目も三番目も大切にするべさ!』というみだり√での奇しくも皮肉なことに白姉ちゃんのセリフである。『結局は白と一緒が良かった』という理屈で白と一緒に旅立とうとする主人公はみだり、由岐奈ちゃん、その他もろもろの人たちをある意味で見捨てた結果になってますよね。時間が無かったとはいえ主人公が消えた後には四代目魔法使いにならざるを得ない由岐奈ちゃんに十分な事情を説明していたとは思えないしとても大切な扱いを最後に受けたとは思えない。確かに一人で勉強するための本は残してくれたけどさ…。
2019-06-09 (12)
後悪いところを言及するなら主人公の魂を欲しいままにしようとする悪魔のフェレスとの対峙がややご都合主義じみてて萎えてしまいました。そもそも『約束を約束で上書きする』という荒業からして忌避感が少しある。約束破っても新たな約束紡いであげたらOKとかありなんか?延期して約束破っても新たな発売日宣言したら許されるエロゲ界隈かよ