総評 ■■■■□□□ 4
シナリオ ■■■■□□□ 4
主人公  ■■■■■□□ 5
ヒロイン ■■■■■□□ 5
CG   ■■■■■■□ 6
音楽 ■■■□□□□ 3
声優 ■■■■■□□ 5
演出 ■■■□□□□ 3
2020-01-19 (1)
『だめな大人にわからせてあげる。でも──私たちもわかりたい。』というキャッチコピーさながら、頭の悪いタイトルとは裏腹にやや切なげなテキストが展開されていたのが印象的な作品であった。『目的なく生きるのはつらいんだよ』と呟く主人公が、自分の欲望を解放していき彼女との生活の中で『目標とは何か?』という自分の定義を見出していく様は当初予想だにしなじかったお話展開でいい意味で裏切られたと言える。なんとなくセンター試験で出題されそうと思った。傍線部「……えっと…『つらくない』とか」とあるが、どうして主人公はこの絵にこのような名前を付けたか。その説明として最も適当なものを~といった具合だろうか。

2020-01-20 (10)
エッチシーンに関しては『メスガキにわからせる』が存分に詰まったものとなっており、胸の奥から熱いものがこみ上げてくるような不思議な気分にさせられた。あぁ…これが『メスガキ』か…と思わず達観した感情に至った。また膣内に精液が流し込まれる描写劣情を誘い、事あるごとにヒロイン達は未だエッチするには十分に成熟しきっていない身体であることを強調してくるのでその背徳感は一入であった。

【考察】
2020-01-20 (9)

『あゆきはこの底抜けの前向きさをいったいどこで身につけたんだろう?もともと備わっていたのだとしたら、きっと自分が天才であることを諦めていなかったはずだ。どんな時でも楽しむ方法を知っている。きっとそうしないとつらいことが多すぎたからだ。』


このあゆきちゃんの『辛いことを回避するために前向きに生きる』という考え方が尊く思え、この作品にも大きなピースになっていたと感じた。あゆきちゃんにとって辛いこととはやはり実績持つ親から見捨てられた結果、『目的なく生きる』という道を選ばざるを得なかったことだ。学園に通う少女がこのような境地に至ってしまう環境を想い、薄っすらと主人公は感激までしている。実際問題主人公に孕まされても訴えられないような境遇の娘だし、本編上の詳しい説明はないが心情的に大きな挫折を味わったのは明らかである。

2020-01-20 (1)
そしてこの作品の魅力的な所としてこうした彼女のマイナス面を含有したポジティブさを全肯定してくれているのだ。『つらくない』という絵画によって。『つらくない』はかやりが徹夜を重ねて自分の中にあるものを全てぶちまけで作り上げられた作品なのではあるが、主人公がネーミングしたこの『つらくない』というタイトルがやはりどうしても興味をそそられるところだ。

2020-01-20 (5)
『つらくない』というのは、『たのしい』とは異なりポジティブさのみにこだわった考え方ではなくて、むしろネガティブを打ち消すことで少しでもマシにしていこうという消極的な思考が透けて見える。この考えは『才能の壁』『両親の期待に応えられなかったこと』という苦しみから逃れるため、些細なことまで楽しむ方向に持っていこうとするあゆきちゃんの思考と同列に考えられる。

そしてその『つらくない』に至る道として本作品では以下のように述べている。

2020-01-20 (8)

『そばにいたい。何かを感じて、心を動かしていたい。きっと目的や目標は“動き”なのだ。運動なのだ。心が動かない目標は、いくら正しくて立派でも僕たちを救わない。』


『つらくない』へ至る境地は『ただ心を動かせ』と端的に片付けているのが面白いところだと思った。思うに先述したあゆきちゃんの『どんな時も楽しむ』という発想も『楽しむ』という感情が大事なのでなくて、つらい現実があろうとも無理やりにでも気持ちを持つ、感情を殺してはいけないという『動作的』な部分にその価値はあるのだと思う。

2020-01-20 (13)
本当に辛いときを感情を殺してしまってはいけないのか?という疑問に関して言えば、感情を殺してしまった末路として序盤の主人公が寝て起きてその繰り返しだけの生きているか死んでいるかのよくわからない生活を見せられたことで、この『ただ心を動かす』ことだけでも生活的な重要性は終盤になってきっちりと伝わってもきました。『つらくない』為に一緒に過ごす人が欲しいという結論も単純明快ながら、だからこそその言葉には重みがあります。
2020-01-20 (11)
そうしてこの『つらくない』という絵画そのものの完成は彼女たちにも大きい意味を持つということもはっきりと示されているのが感慨深い。例えば、かやり・あゆきの二人が『つらくない』の絵画の縁を撫でている様に対して、主人公は『未来はそこで運動になる。』と言葉を残している。ここでの『運動』とはどういうことか。『運動』に関した場面をより挙げれば彼女たちは『つらくない』という絵画にして他にも『おかえりなさい』『いってきます』等の会話を行っている。この絵画の存在で単純に生活上の動作が一つ新たに付け加わえられているのだ。

つまり日常生活の動作が加わるというのは『身体の動作』から『感情の動作』へと発展することで、生きている実感を多少なりとも与えてくれるのではないでしょうか。この『つらくない』という絵画自体が彼女たちの心理的な面で『つらくない』という感情を植え付けてくれる楔となったのだ。『つらくない』という絵画は彼ら三人結びつける存在として本作品おいて大きな役割を果たしているのだと強く印象に残りました。