今回の5人はプロフィールが苦労人すぎて、あるいは年齢的にも「有望力士特集」と聞いて浮かぶイメージとは違うと感じる人も多いでしょうが、34で新入幕を果たす力士が出る時世です。20代後半〜最高でも31歳とまだまだ若い今回の5人にも、今後きっと上位での活躍が待っているものと期待しております。

今日はひとまず今場所分のラスト、北園、若乃島、肥後ノ城です。

北園(尾車部屋 28歳 183センチ 165キロ 初土俵:18年3月 出身:長崎県 12初場所:西幕下4

<プロフィール>
去る九州で千載一遇のチャンスを逃したものの、たしかな地力向上で23年に大きく躍進した学生出身力士。
東洋大から18年3月に初土俵、 前相撲からのスタートながら、さすがに地力は高く、初土俵から1年半後には幕下へ。しかし、多くの学生出身力士がそうであるように、幕下中位以上で壁に当たり、20年7月には16枚目で全敗。
21年7月には9枚目に入り、はじめて一桁枚数へ届くも3−4と負け越し、その後も上位が見える位置で、なかなか自分の相撲を取りきれぬ停滞の時期を過ごすこととなる。

しかし、23枚目で迎えた昨年は八百長騒動によるプラスの影響を受けたとは言え、技量場所、18枚目の5番で自己最高位の4枚目まで進出すると、その場所こそ3勝だったが、わずか半枚の下げに留まった続く秋には5勝、7番相撲で里山との際どい勝負に敗れ、関取の地位こそ逃したが、九州は西筆頭と関取目前の地位にまで番付を上げた。 
さすがに、やや取り口が硬く、2−4で迎えた6番相撲でまたもや里山との入れ替え戦的ニュアンスの強い一番に敗れ負け越したものの、7番相撲を落とさず、新年をまだまだ一気に関取を伺いうる西4枚目の地位で迎えられたことは大きい。
昨年は同部屋で弟弟子の直江に先を越される悔しい思いもしただけに、部屋伝統とも言える「風」のつく四股名になるかどうかはともかく(若干の例外もあるので)、初土俵から6年弱をともにした本名との決別を果たし、皇風(直江)や実は同場所初土俵の栃ノ心にも追いつく2012年としたい。

<取り口>
以前は受け身で勝ち身が遅い感もあったが、さすがに大きく番付を上げた昨年の土俵を見ていると、多少受け身の癖があるにせよ、ゴツゴツとした大きな身体を生かした積極的な取り口が目立ち、勝負どころでの思い切りの良さや、良い意味で相手を怖がらずに仕掛けていく内容が多くなった。

もう一回り立合いからの流れで迫力が出てくれば鬼に金棒だが、現状でも十分に関取昇進への挑戦権に値するだけの存在と言えるだろう。 九州はさすがに相撲内容が硬く、前に出ようとする意思はあるものの、1つ1つが後手後手の印象もあったが、あくまで精神的なものだろうし、そういう場所を経験し、圏内に残ったわけだから、それを糧に戦えば、最低5勝以上が必要とは言え、地力の近い力士がひしめく初場所の幕下上位でも、地力的には有数のものがありそうだ。

まあ、こんなことばっかり書いてると、みんな十両へ上がれちゃいそうな感じですがw 実際、そんな感じで圏内の力士が悉く上に行ったのが去年。結局出直しになった力士あり、一気に幕へ突き抜けた力士ありですが、ある意味では幕内下位から幕下上位までにそこまでの地力差はないんじゃないかなあというくらいのイメージですし、今年も幕内ー十両、十両ー幕下間の入れ替わりは、引き続き頻繁なものとなることが確実でしょう。


若乃島(放駒 27歳 180 134 初土俵:平成12年3月 出身:鹿児島県 12初場所:西幕下7

<プロフィール> 
初土俵から8年近く名乗っていた本名の「再田」という名前のほうで記憶している人もいるかも知れない。しかし、20年3月の改名から約4年、27歳を迎え、いよいよ若乃島という非常に地味な四股名(失礼!)が日の目を浴びる日が来るかもしれない。

初土俵から約5年で幕下も、その後は多くの力士が苦しむ幕下中位〜三段目上位あたりでの苦戦が続き、再田時代はそのループを抜けることが出来なかった。改名後も同様の地道な足取りをたどりつつ、21年1月、約4年ぶりに最高位を更新するなど、少しずつ前進。そして、22年後半から、漸く幕下の地位に定着する実力を蓄えると、昨年技量場所で西19枚目の最高位へ。3勝に終わるも、地位据え置きの名古屋で頭から5連勝し、秋にはいよいよ一桁枚数(8枚目)へと進出。そこでも3勝4敗、10枚目に留めた九州では4勝3敗と安定感ある取り口で善戦した。 

関取へ向け、これからが正念場となるが、地力向上著しく、前へ出る内容の良さ含め、まさに「今が旬」の27歳、部屋久々の関取誕生へ、もう一段の成長が期待され、求められる。 

<取り口>
色黒の肌に中背筋肉質な体型、精悍な顔立ちに、取り口も押し相撲をメインに、四つにも対応可能となれば、 幕内の松鳳山と似ている部分が多い。ただ、松鳳山が四つになっても右四つの型があり、強烈な投げを持っているのと比べれば、若乃島はあくまで頭から当たり、流れの中から攻めこむ延長線上で中に入って攻めこむイメージで、両差しを狙って踏み込むこともあるが、ここ数場所は取り口に迷いなく、前へ出て勝つ内容が増えている。
差し手も下手は深く、上手は浅くを実践し、差し手の側に寄っていく精度や巻き替えなどの技術も十分なレベル、だから、圧力がついてきた最近は流れの中で四つになっても、そのまま勝ち切ることができているのでしょうし、その意味では絶対的な型というものはないながら、非常にバランスの良い力士だなと思います。

この地位で来場所、すぐに絶対通用するとかいうようなインパクトや迫力めいたものはないのですが、力が強かったり、身体が大きかったりでも大雑把な相撲を取る力士が多いこの辺りで、そういう悪い癖がない取り口はさすが理事長がいる部屋の有望株だなと思いますし、 相手がどうあれ、「間違いのない相撲」を迷いなく取りきれていますから、後は本場所で、十両が近づく独特のムードの中、地力の近い力士との紙一重の勝負をどこまで制しきれるか。一朝一夕ではないでしょうが、最高位で迎える新年しょっぱなの場所をどういう成績で乗り切るか、まずは楽しみに見ていきたいなと思っています。

肥後ノ城(木瀬→北の湖部屋 27歳 178 135 初土俵:平成19年九州 出身:熊本県 12初場所:東幕下9

<プロフィール>
日体大を経て、前相撲から出発。元肥後ノ海の木瀬親方とは同郷で、木瀬部屋に入門したが、のち親方の不祥事により、北の湖部屋へ移る。

学生相撲経験者だけに、出世は早く、序ノ口と三段目では各段優勝も経験。21年9月には初土俵から2年足らず、トントン拍子で幕下11枚目まで進む。

しかし、多くの学生相撲出身力士同様にここから幕下上位の高い壁に苦しむことに。下位に落ちると力の違いを見せるが、中位では一進一退、上位では大負けも度々経験し、前記の最高位を更新するには、実に2年4ヶ月もの期間を要すこととなった。
八百長騒動による大量昇進の波に沸いた昨年も技量場所、名古屋といずれも中位で負け越し。大きなチャンスへの挑戦権も掴めていなかったが、秋に4勝で迎えた地元九州で久々に存在感を示す。持ち味の突き押しで前に攻める内容に徹した中身ある6勝で、決定戦へ。初戦で優勝した千昇の逆転に敗れるも、本割の1敗も含め、すべて相手を圧力で押し込めた内容面の充実が、漸く最高位を更新した12年早々の土俵へどう活かされるか。

叩き上げの若乃島と大卒の肥後ノ城、対照的な経歴ながら同学年の両者が、遅咲きの華を咲かせるべく挑む12年の土俵が楽しみだ。

<取り口>
「相撲」最新号によれば、体力アップのトレーニングを始め、体重が135キロ前後に安定、それが九州での圧力向上につながったとのこと。それでも、力士としては体はない部類ですから、とにかく低く踏み込んで、手数を交えながら、そのまま中に入って攻めこむのが理想、その間に喉輪やおっつけなどで相手のバランスを崩し、コンビネーションで攻略していくようなうまさも学生出身で経験も豊富ですから、さすがの域にあります。
ただ、これまではそういう良さがありつつ、それを上位で出しきれなかった。どうしても、相手の圧力が勝ったり、もう一歩で押しきれなかったりという内容が続いて、上位の壁なのかなあと思っていましたが、今度こその最高位で迎える初場所、どこまで通じるか。もちろん、大負けはしたくないでしょうが、結果同様に内容がどうだったかという部分も本人にとっての収穫や勉強材料となっていくことでしょう。


で、余談ばっかりですが、彼が本名の緒方で超神速の出世街道を歩んでいた時期に、序二段で5勝2敗と意外な苦戦をした場所があった。その時の7番相撲で彼に手痛い黒星を浴びせたのが、当時叩き上げ間もなかった渡邉、現在の千代嵐なんですよね。そんな両者ですが、いつしか嵐が追いつき、追い越し、先に十両へと入っていった。嵐が怪我で幕下3枚目まで落ちた今場所は、久々に(その時以来ではなく、幕下でやった記憶がありますが)両者の対戦が実現する可能性もあるので、密かな楽しみとしておこうかななんて思ってます(笑)



では、これで今場所分の更新はおしまい。場所中は今回取り上げた10数名の取組を中心に、別ブログでの本場所レポートを行いますので、暇があれば、ぜひ別ブログの方にも足を運んでいただけると有難いですm(_ _)m

こちらのブログでの次回相撲関連更新はおそらく予想番付となりますので、ひとまずお疲れ様でしたw