2005年08月

2005年08月24日

好きなお酒 嫌いなお酒

お酒を売っていて良くある話ですが

同じ日本酒でも
「この酒は好きなタイプだけれど、こっちのお酒は好みでない。」
そんな風に言われる事があります。

私としてはどちらのお酒もそれなりに
個性的で美味い酒だと思っているのですが
一般消費者の方々は単純に(好き・嫌い)で判断し結果を出されます。

先ほど、ある飲み屋さんから
「八十近いお客様から、『最近お燗して美味い酒に出会ったことがない。』
何かそのお客様に満足していただけるお酒はないだろうか?」
と言うお問い合わせがありました。

これは我々酒屋にとって大変難しい問題です。
今のお酒は、精米歩合が高く技術も進んでおりますので
きれいな酒質のお酒が殆どなのです。

おそらくですが、お客様の求めているお酒は、
現在ほとんど造られていないタイプのお酒ではないだろうかと
電話での話で推察できました。

「好き・嫌い」と言うより郷愁に近い感覚ではないかと思います。
齢八十の先輩に満足していただけるお酒
「末期の水」まで飲み続けていただけるお酒を探せ!
大変、難しい問題です。

お酒の好みはお酒を飲み続けているとどんどん変わっていきます。
「好き・嫌い」を言われてもたいした問題ではないのです。

お酒の好みは年齢とか経験に応じて変わっていくことが、
ごく自然だと思います。

本当に美味しいお酒とは、
飲む人の「今生きている」実感のようなことではないかと想っています。


(22:13)

2005年08月23日

もう夏も終わりだな〜と思っていると
酒蔵から「冷卸し」の案内が届き始めました。

冷卸しとは
寒造りで醸造され貯蔵した清酒を、その温度と気温差が
同じくらいになる秋に詰めて出荷することを言います。
昔は、貯蔵していた大桶から小樽に詰めて出荷する事から
「冷卸し」と呼び、その風習が現在も形を変えて残っています。
この時期になると新酒のあらさがすっかり消えて、
丸みが出て程よく熟成した飲み頃の酒とされています


つまり一昔前のお酒は生酒以外全て、
熱処理による殺菌をしていました。
お酒が出来て直ぐの貯蔵時と 
瓶詰め出荷の際の二回殺菌をすることにより
流通の段階でのお酒の劣化を防ぐことが目的でした。

最近の酒蔵は冷蔵設備が充実しています
また我々酒屋も冷蔵設備を導入しているところが多くなり
従来の二回の「火入れ殺菌」をせずに
酒蔵からお酒が届くようになりました。

我々のような地酒販売のプロの酒屋にあるお酒は
本来「生酒」以外はほとんど「冷卸しタイプ」のお酒なのです。

そのために我々地酒専門店のお酒は他の酒屋やスーパー・コンビ
ディスカウンターなどで置いているお酒と格段にお酒の味が違うのです。

本当に美味しいお酒とは
お酒を造る人や扱うひとの「思い入れとか努力」の産物なのです。


(23:21)

2005年08月22日


お酒が美味しい時とは、

楽しい時間を過ごしている時だと思います。

たとえば友達や仲間あるいは恋人とか家族と
飲んでいる時に美味しく感じられるのが 
お酒の飲み方としては一番良いのだと思います。

その瞬間がその人の人生の中で至福の時であれば
「ロマネ・コンティー」や「大吟醸斗瓶取り」「ドンペリのロゼ」
コニャックやスコッチの何十年ものとか
世界の名だたる銘酒を飲んでも良いとは思いますが

日常のささやかな幸福感に浸るためのお酒が
「発泡酒」とか「その他の雑酒」「缶チュウハイ」ではなく

それなりに造り手が一生懸命造った「心のこもったお酒」を
飲んでいただきたいと思うのであります。

そんなお酒が美味しいと感じられる感覚が
お酒の味が解ると言うことではないかと思っています。



(22:04)

2005年08月16日

本日の地震は、震度五強の凄い揺れでとても怖かったです。

たまたま大きな病院の建物の中におりまして
耐震性の強い建物なのですがそれでも凄い揺れ方で
地震が収まっても体が揺れているような気持ち悪さがありました。

すぐに店のほうに車で戻りましたが、
帰り道大きな障害もなく信号もいつもと変わりない状態でした。

当店は、特に耐震設備をしておりませんので、
かなり悲観的な状況を予測しておりましたが、

幸運にも家内にけが人もなく
酒瓶1本壊れず、まったく被害はありませんでした。

皆様にご心配おかけしましたが大丈夫です。
取り急ぎご連絡申し上げます
ありがとうございました。




(17:56)

2005年08月11日

こだわりの地酒屋の店主は、お酒に弱いほうです。
二十歳代のころは下戸でした。

三十歳を過ぎたころ諸般の事情により酒屋をすることになりました。
酒屋を始めて最初に感動したお酒は、サントリー主催の
ワインの勉強会で飲んだボルドー.ソーテルヌの代表的貴腐ワイン
Ch.ディケム(極甘口の白ワイン)でした。
その当時1本 5万円位の価格のワインです。
そのときに飲んだ同じくらいの価格のCh.ラフィット・ロートシルトは
苦くて渋くて全然美味しく感じられませんでした。

その次は、ドイツのモーゼルのカビネット(やや甘口の白ワイン)
その透き通った気品のある香り、爽やかな酸味と甘みのバランスに
感動しました。

その頃からいろいろなお酒を飲む機会が増えて、
お酒は単に酔うための液体から

味わう楽しみ、そのお酒の味に裏打ちされた価値・価格が少し解ってきたころ

あのロマネ・コンティーはかなりの衝撃でした。
この酒は、他のボーヌやエシェゾー、ラ・ターシュなどと
次元の違うワインでした。
現在数十万円するそうですが、それも仕方がないかな〜と思います。

なんか自慢話に聞こえる人もいらっしゃるでしょうが、私は酒屋ですので、
お酒を飲むことが商売のための勉強なのです。結構授業料は高くついています。





(21:14)