一時的vs構造的

仕事をやっていて電話などでよく、赤字だったら融資はうけられませんか?
と相談を受けることがあります。今日はその答えについて自分なりの考えを書こうと思います。

答えは、「一概には言えないが、融資ができるケースもある」です。
曖昧です。では融資できるケースとはどういうケースでしょうか。

まず、赤字企業の割合はどれくらいでしょうか。
国税庁の平成21年度会社標本調査結果によると、
全国2 6 1万7 0 9社のうち利益計上法人が71万5 5 2社、欠損法人が1 9 0万1 5 7社で、欠損法人の割合は72 . 8 % となっています。日本の99%は中小企業ですし、これは実感としても近いです。

次に赤字の原因を整理すると以下のようになります。
1 売上不振等、業績低迷によるもの
2 除却損、役員退職金など特別損失によるもの
3 創業赤字によるもの

1による赤字には、売上の減少があっても、それが一時的な要因によるものであれば、特に問題はありません。しかし、原因が商品自体の陳腐化、消費者の行動の変化等による構造的な要因によるものであれば、業績回復には大変な困難が伴うものであるため、このような要因によって赤字になっている場合は、融資が難しいケースが多い気がします。

2のような赤字は、企業本来の力とは関係ないものであるため、来期に再び黒字化が見込まれるのであれば、一過性のものと判断され特に問題にされません。

3については、金融検査マニュアルによると、創業赤字を適切として判断する具体的基準として、原則として黒字化する期間が5年以内であり、売上高、利益が事業計画に対して概ね7割以上確保されていることが目安とされています。ただし、画一的に適用することは適切ではなく、企業の業種、特性、事業規模、キャッシュフローによる償還能力を踏まえ、総合的に判断することが重要となってきます。

1,2,3を踏まえると、赤字は一時的なものか構造的なものかが、ポイントとなってくることがわかります。

どうやって赤字を解消するのか、なぜ一時的なのかについて具体的に説明があり、その説明に信ぴょう性がある場合は、例え赤字であっても銀行は積極的に支援するケースが多いです。

参考文献
金融機関の信用リスク・資産査定管理態勢〈平成23年度版〉 (金融検査マニュアルハンドブックシリーズ)
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金融機関の信用リスク・資産査定管理態勢〈平成23年度版〉 (金融検査マニュアルハンドブックシリーズ)



金利の期間構造

お金を貸し借りするときに発生するのが金利(interest)です。
一般的に金利は短期のものは低く、長期のものは高くなるといった傾向があります。


三菱東京UFJ銀行HPより作成(24.1.1時点)

これは一般的にイールドカーブと呼ばれています。
では、なぜ短期は低く、長期は高いのでしょうか。
金利の期間構造がどうして生ずるかは、金融に関する経済学の重要な論点の1つですが、大別して2つの考え方があります。

1 流動性プレミアム仮説
お金は使えてこそ、初めて価値があるのに、貸付、投資をしてしまうと使えなくなってしまう。つまり、長期間流動性を犠牲にすることの対価として金利が高くなるはずだという考え方。

2 期待仮説
いま、市場みんなが1年後に金利が上がると思っているとする。
この場合、1年の金利と2年の金利が同じだとすると、いまの金利で1年運用してから、改めてもう1年運用したほうが有利である。このため、現時点における2年の金利は1年の金利より高くなるはずだという考え方。

*これから金利が下がると考えているとすると、短期金利>長期金利となるはずであり、稀にそうした現象がおこることもある。(イールドカーブは逆イールドとなる。)

さらに、投融資の場合はこれらに、信用リスクを加味するため、長期のほうが短期より金利が高くなるといった傾向があります。

預金の場合なんかもこれと全く同じ考え方です。(個人からみると預金は銀行への貸付ですね)

ローンを組む時は、なるべく短い期間で組みたいものですね。

参考文献

金融と法 -- 企業ファイナンス入門
金融と法 -- 企業ファイナンス入門
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オリンパスにみるブランド失墜によるダメージ試算

2011年11月、長年に渡る損失隠しが発覚し、オリンパスのブランドイメージは大きく失墜しました。
オリンパスは、元々ブランドイメージが良かったほうだとと思うのですが、今回の事件でオリンパスのカメラの購入を避けるといった行動をとった人もいたのではないかと思います。
では、具体的にブランドイメージはどのくらい減少したのか。これは株価などを通じて、ある程度試算ができます。

そもそも、ブランドイメージは企業のバランスシートにはのっていませんが、上場会社については市場が勝手に評価してくます。ブランドイメージは、「のれん」、「営業権」、「無形資産価値」などといわれ、この中にはブランドイメージの他、企業のノウハウ、顧客関係、従業員のスキルなどが含まれています。

さて、上場企業の会社価値は以下のように表されます。

会社価値=株式時価総額=純資産+時価評価替による含み損益+無形資産価値(ブランドイメージなど)

これを元にオリンパス社のブランド失墜のダメージ試算を行いたいと思います。

事件発生前の2011年9月30日の連結純資産は459億円。株価は2,417円で時価総額は6,556億円でした。つまり、

6,556億円-459億円=6,097億円 

がブランド、販売ネットワークなどの「無形資産価値」だったと想定されます。
*単純化のため時価評価替えは行ってません。

これに対して、事件発生後の11月11日の最安値をベースに時価総額を算出すると、株価は424円で時価総額は、1,150億円。よって、無形資産価値は

1,150億円-459億円=691億円

となります。つまりオリンパスの持っていたブランド、販売ネットワークなどの「無形資産価値」は、この事件によってその90%近くが失われてしまったという計算になります。信頼を築くは一生、壊すは一瞬とはよくいったものですね。

ちなみに現在(2012年1月6日)のオリンパスの株価は、1,053円と昨年最高値の半分までも回復していません。今後、上場は維持の見通しとのことですが、どう動いていくのか注目したい銘柄の1つです。

参考文献
MBAバリュエーション (日経BP実戦MBA)
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