【色をしっかり伝えるために】
日常生活で色を相手に伝えるときには、ふつう色名を用いると思います。
「赤」とか「青」とか「黄色」とか・・・
ところがこれにはちょっと不都合があって、
たとえば、
自分のイメージしている「赤」と、相手のイメージしている「赤」が、
けっこう違う色だったりするのです。
(↓)の色はすべて赤の仲間です。(このほかには赤は沢山あります)
専門家でなければ、多少色のイメージが違っても問題ありませんが、
色のプロでなければならない職業の人達にとって、
色を相手にしっかり伝えられないのは致命的です。
【表色系なるもの】
そこで色の表示について、誰もが共通認識できるルールや体系が必要になります。
それが表色系(ひょうしきけい)です。
表色系については、いくつかの組織・団体が、
「こういう考え方で色を体系化するのがいいでしょう・・・」
という感じで発表しているものが様々存在します。一例をあげると、
(1)マンセル表色系・・・アメリアの画家・美術教師アルバート・マンセルが考案
(2)PCCS(Practical Color Co-ordinate System)・・・日本色彩研究所が発表
(3)オストワルト表色系・・・ドイツのノーベル賞化学者オストワルトが考案
(4)CIE表色系・・・国際照明委員会(CIE)が定めるもの
(5)NCS(Natural Color System)・・・スウェーデンの工業規格
(6)DIN表色系(Deutsche Industrie Normen)・・・ドイツの工業規格
(7)CCIC(The Chamber of Commerce & Industry Color Coordination Chart)
・・・日本の商工会議所が2000年に発表したカラーチャート
などがあります。
【顕色系と混色系】
さて、このようにいろいろあって難しそうな表色系ですが、
大別すると顕色系(けんしょくけい)なるものと混色系(こんしょくけい)
なるものに分かれます。
顕色系・混色系を説明するときには、心理量とか心理物理量とか、色刺激とか
難しい言葉が出てきて理解しにくくなるときがあるので
非常にざっくり説明します、
顕色系は、色の三属性である「色相・明度・彩度」など、色を3つの特徴によって
表現する表色系です。その結果、色空間という3次元空間ができます。
顕色系の表色系では主に物体の色表示に使われ、
色票(紙や板に彩色した色見本)が存在します。
上記の表色系の中では、
マンセル表色系、PCCSなどが顕色系にあたります
一方、
混色系は、「赤」、「白」、「黒」など何個かはじめにもととなる色(一次色)を決めて
それらの混ぜ具合(混色量)によって色を表現する表色系です。
混色系は「混色量」に着目して色を考えていくので、色票をもたない場合が多いです。
上記の表色系の例では、
オストワルト表色系、CIE表色系などが混色系にあたります。