2018年12月07日

NHKEテレでやっている「100分de名著」という番組が、結構好きです。
 
古今東西の著名な本の内容を100分――すなわち25分×4回の番組で紹介してくれるというものなのですが、「名前は知っていて、そのうち読みたいとは思っていたけれど、なかなか手が伸びなかった」ような本の内容を、ざっくり分かりやすく図解場面場面をアニメにしたものも交えて紹介してくれるので助かります。
 
とは言え、100分だけではさすがに「その本の全て」を網羅することまでは無理ですので、「だいたいこんな内容なんだ」というのを知ることができる、というだけのことではあるのですが…。
 
今回ご紹介するのは、そんな「100分de名著」の「テキスト」です。
   ↓


 
NHKの教育番組では割とこういう「テキスト」が存在していて、番組の最後にちらっと表紙写真が出て来たりするのですが…自分は最近になって初めてこの「100分de名著」の「テキスト」を購入しました。
 
…と言うのも、予約録画に失敗して(その上、再放送も録画し損ねて)4回あるうちの1回を見逃してしまったことがあり、その間に語られていたことをどうしても知りたくて、テキストを買ってみたのでした。
 
テキストは普通に書店(の雑誌コーナー?)に置いてありますし、最近のものは電子書籍版も出ています。
 
(電子書籍版と紙のテキストとでは一部内容の異なるものもあるようです。その辺りは電子書籍版のサンプルをダウンロードすると書いてあります。)
 
自分が現在所有しているテキストはウンベルト・エーコさんの「薔薇の名前」とルーシー・M・モンゴメリさんの「赤毛のアン」、エーリッヒ・フロムさんの「愛するということ」の3冊なのですが…
 


 
(「赤毛のアン」は特に録画失敗もせず全ての回が見られたのですが、個人的に内容が良過ぎたので「テキストも買おう!」という気になりました。)
 


 
読み比べて思ったことは「テキストと言っても、書き手によってだいぶ印象が変わるな」ということでした。
 
(番組では取り扱う“名著”が変わるたびに、解説するゲストの先生が変わり、そのゲストの先生がテキストを書いています。)
 
「番組」では解説の先生の他に、司会の伊集院光さんとNHKの女子アナウンサーさんがいて、その三者の会話のキャッチボールがありますので、ゲストの先生が一人で書いている「テキスト」と印象が違うのは当然なのですが、「だいたい番組に沿った内容で、そこに+αの知識が追加されている」と感じるものもあれば、「番組のテキストと言うより、独立した解説本と思った方が良いかも知れない」という印象のものもあります。
 
もちろん、取り扱っている“場面”はだいたい番組と同じなのですが、情報量が段違いに濃密過ぎて、番組を見て「あぁ、何となく分かった」と思ったものが「いや、全然分かってなかった。この本、こんなに難しいんだな」に変わってしまうものがあるのです。
 
…まぁ、どちらが良いかは人それぞれでしょうが…。
 
ところで、この「100分de名著」、名著の内容を“解説してもらう”という面はもちろんありますが、その他にも、名著の“魅力を再発見する”という側面もあるように思います。
 
既に読んだことがあって内容を知っているような本でも、他の方が独自の視点で読み解いた“解釈”を知ることにより「この本って、そんな深いことを語っていたんだ」「そんな読み方もあるんだ」という、新たな“本の楽しみ方”を発見できます。
 
「赤毛のアン」は脳科学者茂木健一郎さんが解説を担当していて、脳科学の観点から物語を読み解いてくれているのですが、それが今まで(自分には)なかった視点でとても面白く、ついついテキストまで買ってしまったのでした。
 
この番組、今後も気になる本の回はチェックしていこうと思っています。
 

続きを読む

2018年11月24日

今回ご紹介するのはこちらの詩集
   ↓
新編宮沢賢治詩集 (新潮文庫)
宮沢 賢治
新潮社
1991-08-01


……の中にある1つの詩(と言うより序文)です。
 
宮沢賢治さんの「心象スケッチ 春と修羅」の「序」なのですが…
 
自分はこの「序」の冒頭を読んだ時、いきなりある種の衝撃を受けました。
 
それは彼がこの「序」の中で、「自分自身」のことを「現象」と言い切っているからなのですが…
 
人間の一生というものは、確かに言ってしまえば「現象」です。
 
現にその肉体を持って生きている当人から見れば「形あるモノ」あるいは、とても大きな意味を持つ「いのち」に思えたとしても、花が咲いて散るような、蛍光灯が点る一瞬の瞬きのような、そんな生じては消えていく「現象」に過ぎないとも言えます。
 
けれど、それを自身で「現象」と言い切ってしまうのは、なかなかに勇気の要ることではないでしょうか。
 
人間の多くは、自分が消えた後のことや、100年の命さえ一瞬の刹那にしてしまえるほどの途方もなく長大な時間の流れのことなど、考えたくもないと思っているのではないでしょうか。
 
ですが、宮沢賢治さんは人生初の詩集(と言うか「心象スケッチ」)の冒頭で、いきなりサクッと自分自身を「現象」と言い切っているのです。
 
自分は「現象」で、たしかなものに見えても、明滅する青い照明のようなものなのだと。
 
そして彼は(たぶん)、これから記される「心象スケッチ」について、自分ならざる他人の目に触れたり、長い時間を経るうちに、「彼自身の感じたもの」とは違う解釈をされ得るであろうことに言及しています。
 
人間という生き物は、結局、自分の目や物差しを通してしか世界を視ることが出来ません。
 
一人一人その目にはまった“心のレンズ”は別物で、たとえ同じ景色を見ていても感じることは人それぞれです。
 
なのに現実には、「自分にはこう見えているのだから、他の人にもこう見えるはずだ」と思い込み、そこから誤解を生じさせ、要らぬ諍いを起こしている人が多いように思います。
 
宮沢賢治さんはたぶん、そのことを知っている人だったのでしょう。
 
自分が美しいと思って文章という形で切り取った風景や事象が、必ずしも他人から美しいと思われないこと、下手するとばかにされてしまうかも知れないこと、あるいは自分が“ある意図”を持って書き綴ったその言葉が、他人からは“全く別の意図”で解釈されてしまうかも知れないこと…
 
それを知って、それはそれで仕方のないこと、と受け止めつつ、それでもなお、自分の感じたもの、美しいと思った景色たちを書き残さずにはいられない…
 
そんな印象を自分は受けたのです。
 
まぁ、自分が宮沢賢治さん本人でない以上、これもまた“一つの解釈”に過ぎないわけですが…。

続きを読む

2018年11月18日

今回ご紹介するのはこの本です。
 

空の名前
高橋 健司
角川書店
1999-12-10

 
これは美しい写真と共に季節や気候、空や雲や雨や雪に関する言葉を識ることができる、“写真集と辞書が一体になった”ような本です。
 
(ちなみに本の中では「歳時記風天気図鑑」という言い方が使われています。)
 
そもそも自分は当初この本を図書館で見つけて知ったのですが、その写真の美しさと、季節を表す言葉の雅さ、雲や雨や雪や夕暮れを表す言葉の豊かなバリエーションにすっかり夢中になり、借りるだけでは満足できず、とうとう書店で購入して手元に置くことにしてしまいました。
 
ただ日本語に関する知識を増やすために読むというより、心の疲れた時にふっと眺めると癒される本です。
 
この本を読んでいると、日本人がどれだけ季節の移ろい雨雪の変化に敏感で、それらをつぶさに観察してきたかが分かるような気がしてきます。
 
ひとつとっても季節や降り方によって名前が変わったりひとつとっても「三つの花」「さわひこめ」などの美しい異称があったりします。
 
季節により表情を変える空や雨や雪のひとつひとつに心を寄せ美しい名前を付け、それを愛でながら生きてきた……今に比べれば便利とはほど遠い時代であったでしょうが、そんな昔の暮らしには、忙しさに季節の移ろいに目を留める余裕さえない現代人には持ち得ない“豊かさ”があるように思えるのです。
 
ちなみにこのシリーズ、他にこんな本も出ています。
   ↓

宙の名前 新訂版
林 完次
角川書店(角川グループパブリッシング)
2010-07-01



「宙の名前」は星や星座の名前や異称月に関する様々な言葉が、美しい夜空の写真とともに紹介されています。
 
全てが「夜」の写真ですので、「空の名前」とはまた違ったロマンティックさがあります。
 

色の名前
ネイチャープロ編集室
角川書店
2000-04-01

 
「色の名前」は日本と外国の様々な色の名前が、その元となった動植物などの写真とともに紹介されています。
 
こちらは「色の名前」だけあってとてもカラフルで、眺めていると色の持つエネルギーのようなものに心が元気づけられるような気がしてきます。
 
それと、こちら。
   ↓

水の名前
内山 りゅう
平凡社
2007-02-01


(上記3冊と出版社が違うので“シリーズ”と言うと何か違う気もするのですが…。)
 
「空の名前」と若干似ている部分はありますが、こちらは「水」にクローズ・アップして、様々な季節の言葉を水自体や水辺の写真とともに紹介しています。
 
実は管理人が自サイト(言ノ葉ノ森)で公開している和風ファンタジー小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」でも大分この本に載っている水の知識に助けられました。
 
(「花咲く…」は日本神話ベースの古代日本ファンタジーで、後半に水の女神が出て来るため、水に関する古い言葉大和言葉の知識が豊富に必要だったのです。)
 



記事検索
プロフィール

mtsugomori

管理人サイト紹介
オリジナル・ファンタジー小説サイト「言ノ葉ノ森」
banner
記事検索
オリジナル・ネット小説紹介
和風ファンタジー小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」
hanasaku-ban

魔法少女風ファンタジー小説「魔法の操獣巫女エデン」
ban-mahou-miko

異世界ファンタジー小説「ブラックホール・プリンセス」
ban-princess

児童文学風ファンタジー小説「夢の降る島」
ban-yume-a

乙女ゲーム風恋愛小説「選帝のアリス」(pixiv投稿小説)


↓こちらもどうぞ↓



アクセスカウンター
  • 累計:

  • ライブドアブログ