2018年09月

2018年09月27日

今回ご紹介するのは、この一曲です。
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恋つぼみ
奥華子
ポニーキャニオン
2006-02-15

 
 
この歌を最初に知ったのは、確か「みんなのうた」だったと思います。
 
奥華子さんは劇場版アニメの「時をかける少女」の主題歌(&挿入歌)(※)や、CMソング(お部屋さがしマスト等々)で有名な女性シンガーさんです。
 
とにかく可愛らしくピュアな歌声で、歌の中身もいつも優しく・あたたかく癒されるのですが、「みんなのうた」で流れたこの曲には、それにふさわしく、可愛らしい女の子とシロクマのアニメが絵本のような柔らかいタッチで添えられていました。
 
内容は、旅立つ女性を見送り、遠くから見守る(たぶん男性の)心情を歌ったもので、「みんなのうた」でも少女を見送るシロクマの様子が描かれていました。
 
歌声はどこまでも可愛らしく、透明感のあるものなのですが、歌われている内容が、遠く離れ離れになってしまって、今は会えない、けれど忘れずに相手を想っている――そんな心情なので、余計に切なさが募ります。
 
そして、タイトルの「恋つぼみ」。
 
今はまだ「つぼみ」のの花が、いつか咲く日を待っている――まだ恋になっていない想いが、やがて恋として実を結ぶ日を、遠く相手を想いながら待っている……そんな、何とも言えない切なくも甘いイメージが、曲全体を包み込んでいます。
 
シングル盤にはノーマル・バージョンと、ピアノ弾き語りバージョンが収録されているのですが、個人的にはピアノ弾き語り版の方が好きです。
 
曲の持つ切なさが、より一層、際立つ気がして、個人的にオススメです。
  
 

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mtsugomori at 06:30J-POP女性シンガー

2018年09月25日

今回ご紹介するのは、この一曲です。
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坂本真綾さんの「Lucy」というCDに収録されている「紅茶」という歌です。
   ↓
Lucy
坂本真綾
flying DOG
2010-03-24


 
この曲、元々は「紅茶花伝」のCMソングとして作曲された曲に、新たに詞をつけたものらしいのですが(だからタイトルが「紅茶」だったり、紅茶を飲むシーンが印象的に登場したりするんでしょうね。)、まずイントロが素晴らしいです。
 
ハープらしき楽器が時計の秒針が刻まれるように、あるいは途中でベルが鳴るようにポロロンポロロンと奏でられているところから始まるのですが、自分はここで一気にこの曲に引き込まれてしまいました。
 
そしてスローに、切なげに始まる歌い出しが、この曲が「ある恋の終わり」の物語であることを告げてきます。
 
ひとつの恋が終わり、それぞれの新しい生活へと歩み出す、その一場面を、切なく、でも暗くなり過ぎることなく絶妙に歌い上げているのです。
 
しかもここで終わる恋とは“人生最初の恋人との別れ”なのです。
 
歌の中では、ふたりがまだ恋人だった頃の情景が様々に描かれていきます。
 
ふたりで流星を眺めたり、寒い日に道端で(たぶん自販機の)紅茶を飲んだり…。
 
そして、その頃にはこの恋がずっと続くと思っていた――そんな想いが描かれています。
 
けれど、結局その恋は終わり、今の自分に残されたものはたったひとつだけ――その“たったひとつ”として描かれているものが、聴いていて何とも切なく、どこか甘い余韻となって胸をふるわせるのです。
 
 

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mtsugomori at 07:02J-POP女性シンガー

2018年09月23日

昨今の女性向けライトノベルには「公爵令嬢王子皇帝に見初められ、妃となって溺愛される」という宮廷ロマンス系の小説が多くありますが、今回は歴史上に実際に存在した、そんな「皇帝に一目惚れされて皇妃(皇后)となった公爵令嬢」の数奇な生涯を描いたドキュメント本をご紹介します。
    ↓
 
その女性の名は、エリザベート(サブタイトルの「シシィ」は彼女の愛称です)。
 
現在はドイツの一部となっているバイエルン王国のヴィッテルスバッハ公爵家に生まれ、オーストリア帝国ハプスブルク家の若き皇帝見初められ、皇后となりました。
 
しかも、本の表紙をご覧になっていただくと分かるかと思いますが、彼女はハプスブルク家650年の歴史の中で最も美しいと言われるほどの美貌の持ち主で、白百合にも白鳥にも天の幻にも例えられたその美しさは、皇帝のみならず様々な人々を魅了し、伝説となっています。
 
さらには「事実は小説より奇なり」のことわざ通り、彼女は小説の中にも滅多にいないほどの個性魅力に溢れる公女でした。
 
貴族の頂点に立つ公爵家の令嬢ともなれば、普通は箱入りのお嬢様を想像するでしょうが、エリザベートは容姿や仕草の優雅さとは対照的に、馬に乗れば競馬なみの全速力で一日に馬4頭を乗りつぶすこともあり、美容のための競歩では女官や侍従がついて行けないほどのスピードと距離を歩き続けるという、非常にパワフルな一面を持っていました。
 
そもそも彼女の父のマキシミリアン公爵という人が宮廷での儀礼や人つき合いを嫌い、社交界を離れて一家で湖のほとりの館に暮らし、狩猟や乗馬、音楽に耽って過ごすという一風変わった人物でした。
 
公爵家では使用人が差別的な扱いを受けることもなく、8人いた子どもたちは自由放任主義で育てられ、美しい自然の中でのびのびと育ったのです。
 
公爵は自分と似たエリザベートを特に可愛がり、時には一緒に変装し、流しの音楽家として村の祭りに紛れ込み、公爵が楽器を弾く傍らで、エリザベートが民族衣装のエプロンに村人が投げてくれる銅貨を受け取る、などということまでしていました。
 
そんな彼女が大帝国の若き皇帝と出会ったのは15歳の時。
 
そもそも皇帝はエリザベートの姉のヘレーナとお見合いするためにやって来たのですが、彼は19歳の礼儀正しくおしとやかな姉よりも、社交儀礼を学ぶために同席させられていた天真爛漫な妹・エリザベートの方に恋をしてしまったのです。
  
けれど、礼儀作法も満足に身につけず自由奔放に育ってきた少女にとって、長い歴史と数多くのしきたりを持つハプスブルク家の皇帝からのプロポーズは必ずしも幸せなばかりのものではありませんでした。
 
宮廷に入ると、面倒で複雑で、しかもエリザベートにとっては意味があるとは思えない儀礼やしきたりに縛られる日々、そしてそんな儀礼・しきたりを彼女に叩き込もうとする姑・ゾフィー皇太后との確執が待ち受けていました。
 
唯一の味方であるはずの愛する夫も、公務に忙殺されている上、母である皇太后に逆らいきることもできず、エリザベートは孤独に戦い続けた末、心破れ、宮廷から離れ、一年の多くを旅に過ごすようになりました。
 
それでも皇帝はエリザベートを愛し続けました。
 
エリザベートのためなら旅の出費は惜しまず、王家の宝や金銀を積んだ高価な御召列車も作り、多忙な日々の中でもほとんど毎日のように妃へのラブレターを送り、宮廷嫌いのエリザベートが少しでも長くウィーンに留まってくれるようにとウィーン郊外に別荘を贈ったりしています。
 
しかし晩年の彼女の周りには身内が次々不幸に見舞われるなど不吉な影がつきまといます。
そして彼女自身、旅の最中にテロリストに襲われて61歳の生涯を閉じるという悲劇的な最期を遂げているのです。
 
そして彼女の死の20年後にはハプスブルク帝国自体が崩壊し、20世紀の動乱が始まります。
その先の混乱と戦乱の時代を予兆させるかのようなエリザベートの死は、そうしてよりドラマチックに、伝説的に語られるようになっていくのです。
 
今回ご紹介しているこの本は、一見絵本のような作りのハードカバーの大型本です。
 
しかし中身は濃く、エリザベートの生涯が豊富な資料(絵画や写真)とともに詳細に語られています。
(文章量もそれなりに多いです。)
 
写真のほとんどがモノクロなのが惜しいのですが、今も残されている絢爛豪華なエリザベートの愛用品の数々は、美しいカラー写真で数ページに渡って掲載されていて見応えがあります。
 
旅行用に持ち歩いていたらしい食器のセットも、どれも細かな装飾が施され銀色に輝いていて、とても携帯用とは思えぬ豪華さです。

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2018年09月19日

今回紹介するのはこの絵本です。
   ↓
ほしをさがしに (講談社の創作絵本)
しもかわら ゆみ
講談社
2017-11-09


 
この絵本の特徴は、何と言っても、毛の一本一本に至るまで丁寧に描き込まれた緻密な動物の絵可愛さです。
 
動物細密画の絵本と言えば、このブログでも以前、イギリスのアン・モーティマーさんによって描かれた「こねこのみつけたクリスマス」を紹介していますが、同じ動物の細密画であっても海外の画家さんの描かれるものと日本の画家さんの描かれるものとでは、やはり雰囲気が違うなぁと感じます。
 
「こねこがみつけたクリスマス」の挿絵の猫は「とにかく細かくて綺麗で可愛い」という感じでしたが、この絵本を描かれた「しもかわらゆみ」さんの挿絵は、その「細かくて綺麗で可愛い」にさらに「優しさ」や「やわらかさ」や「ほっこりした癒し感」が加わっています。
 
そして、とにかく絵本の中の動物たちがズルいくらいに可愛過ぎます。
 
表紙を見ていただくだけでも、こちらを見つめる動物たちのキラキラしたつぶらな瞳の可愛らしさが伝わるかと思いますが、中表紙のチョコンと座って上目遣いになったネズミくんの可愛らしさだとか、木の幹を伝って下りてくる途中のリスさんの愛らしいポーズだとか、体の大きい順に並んだ森の動物たちが皆そろって小首をかしげている所だとかが、とにかく可愛過ぎて動物好きにはたまりません。
 
雪の森の色数の少なめな風景や、細かいところは細かいのに余白を多くとってある構図も、とても日本的で、海外の細密画の絵本とは違った“味”があります。
 
雪の中の“あしあと”を追っていくうちに、どんどんついてくる動物たちが増えていくところも、いかにも絵本らしく「子どもの頃、こういう感じ、好きだったなぁ」と懐かしくなります。
 
物語の内容もほんわかハート・ウォーミングですし、ほっこり癒されたい時にオススメの絵本です。
 
ちなみに、作者の「しもかわら ゆみ」さんは、講談社フェーマススクールズの通信講座でイラストを学んでいたそうです。
 
(その後、同じ系列の直営教室で動物細密画(ワイルドライフアート)を学び、さらに同スクールの主催するKFS絵本グランプリでグランプリを受賞して絵本作家デビューとなったそうです。)
 
そういうイラスト通信講座の広告は、自分も雑誌の裏表紙などで見た覚えがありますが、実際にそこから絵本作家にまでなる人がいるとは思ってもみなかったので、驚きでした。
 
しかも略歴を見るに、通信講座でイラストを学び始めたのが2001年、絵本作家デビューが決まった(絵本グランプリを受賞した)のが2013年ですから、単純計算して13年の努力の果ての成功です。
 
その長い研鑽の日々に頭が下がりますし、何だか「自分も頑張ろう」という気持ちになります。
 


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2018年09月11日

今回紹介する本はこれです。
   ↓
木をかこう (至光社国際版絵本)
ブルーノ・ムナーリ
至光社
1982-01-01


 
タイトルから「木の描き方を教えてくれる本なんだろうな」というのは分かるかと思いますが、この絵本には、ただそれだけに留まらない不思議な“深さ”があります。
 
この絵本は、木の描き方を教えながらも、「絵の描き方」だけには留まらず、読者の目を、木の持つ法則性――ひいては自然の“理”にまで向けさせてくれます
 
最初の方のページに、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた木のスケッチが小さく出て来るのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチが人間を描くために筋肉のつき方や解剖図などを描いて人体の構造を把握しようとしたように、この絵本も木を描くために木の持つ法則性に目を向けています。
 
まずは種から芽が出て、伸びて、枝が生えていく様子から始まり、木の幹からどんな風に枝が分かれていくのかを、この本はシンプルな木の絵とともに、子ども向けの科学の本のようなタッチで語り始めます。
 
それはきっちりとした法則性があるようでいて、あるものは曲がりくねったり、あるものは枝が折れてしまったり、好き勝手に枝を伸ばしたり……規則だけに縛られず、自然環境の中で形を変え、一本一本姿の違う、個性ある木の様子を、この本は丁寧に描いていきます。
 
そして、そんな自然な木の営みに、時に人間社会を重ねて語っていたりもするのです。
 
「木をかこう」という、いかにも絵の描き方の本のようなタイトルでありながら、やさしい自然科学の本のようでもあり、時に哲学的でもある……人によって様々なとらえ方のできる不思議に深い本です。
 
ただ、それだけに読み手を選ぶ本かも知れません。
 
絵本でありながら、絵はとてもシンプルな木の絵ばかりですし、内容もある意味、ひたすら様々な木の形をじっと観察していくだけの内容ですので、興味を持てない人にとっては退屈かも知れません。
 
ただ、自分が生きるこの世界や自然に好奇心を持っていて、今まで見えていたものを別角度から見直してみたいという方には、この本がそんな新しい物の見方、新鮮な驚きを与えてくれるかも知れません。
 
この本を読み終わった後には、今まで何とも思わず見過ごしてきた身近な木々に、改めて注目して、じっと観察してみたくなるかも知れません。

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