2021年04月

2021年04月14日

読書離れ活字離れと言われる今の時代、明治~戦前の近代文学などは、読書慣れしていない読者にとって、さらに「手を出しづらい」ものなのではないでしょうか。

そんな 近代文学に触れてもらうため、各社様々な試みをしています。

最近では角川文庫さんの「文豪ストレイドッグス」とのコラボ表紙などがありましたが…
 



それとは別に、とても興味深い「試み」がありましたので、手に取ってみました。
 
立東舎さんの「乙女の本棚」シリーズです。
 
葉桜と魔笛 (立東舎 乙女の本棚)
太宰 治/紗久楽 さわ
立東舎
2016-12-19




(「乙女の」とは付いていますが、乙女以外の人間が手に取っても全く問題ないシリーズかと思います。)

近代の短篇小説を、新鋭の絵師さんとコラボさせ、まるで「大人の絵本」のような形にしたシリーズです。

挿絵は、文庫本によくあるような「ちょっと挿絵がついている」というレベルでは全くありません
 
本当に「絵本」のような感じで、たっぷりとページ数が割かれ、しかも全てカラーです(一部、演出的にわざと色数を少なく抑えているページもありますが)。

文字も大きく、字体も凝っているので、文庫で小説を読むのとは“ちょっと違う味わい”で物語を読み進めることができます。

また、絵の数が多い分、ただ文字を追うよりもイメージが掴みやすいのではないかと思います。
 
絵師さんのイラストも素晴らしく美しく、それを眺めるだけでも価値があると思いますので、これまで近代文学を読んだことが無かった方々が、最初にそれに触れるきっかけとしては、とても良く、おもしろいのではないかと思います。

「乙女の本棚」というシリーズになっていますが、1作ごとに作者も絵師さんも違うので、1冊ごとに違った「味」があります。

カラーイラストが多く、ハードカバーなため、どうしても値段がお高めになってしまい、数を揃えづらいのが難点ではあるのですが(自分も、少しずつ集めている段階です。現時点では7冊所有しています)、とても面白く、興味深い試みだと思っています。

あえて注意点を挙げるなら、「既読の物語で、既に頭の中に“イメージ”を持っている場合、挿絵との“イメージのズレ”に“違和感”を抱くかも知れない」という点(物語から思い浮かべるイメージ(画像)は、人それぞれですので)。
 
それと、逆に「初めての物語を読む場合、その物語のイメージが、絵師さんの描いた挿絵で“固定”されてしまう恐れがある」という点かと思われます。
 
各作品の感想については、機会があればそのうち(←いつのことになるかは分かりませんが…)このブログで語っていきたいと思います。
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