ファンタジー小説

2018年07月20日

今回ご紹介するのは、管理人が小学生の頃に大好きだったファンタジー児童文学です。
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初版が1975年と古い物語ではあるのですが、実はこの話、一度ジブリ・アニメの新作映画候補として名前が挙がったこともあるそうです。
 
結局この物語がそのままジブリ映画になることはありませんでしたが、その時代わりに作られたのが、ベルリン国際映画祭で金熊賞(グランプリ)を獲り、今なお破られぬアニメ映画の興行収入記録を打ち立てた「千と千尋の神隠し」でした。
 
(その辺りの詳細はジブリの教科書「千と千尋の神隠し」に書いてあります。)
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この2つの物語、比べてみると、いろいろと“似ている”部分があります。
 
小学生の女の子が不思議な町に入り込むところ、カラフルで変わった町並みと、彼女を待ち構えている意地悪なおばあさん、そして、一人では何もできなさそうだった少女が、町で働き自分の頭で考えて様々なことをこなしていくうちに“成長”していくストーリー……。
 
(もちろん「千と千尋の神隠し」には宮崎駿監督の独特の世界観や、ハクとの淡い恋(?)、カオナシとの攻防など、「霧のむこうのふしぎな町」には無い要素もいくつもありますので、全くの別物になってはいるのですが。)
 
この「霧のむこうのふしぎな町」には派手なアクション・シーンがあるわけでもなければ、胸キュンのラブ・ロマンスがあるわけでもありません。
 
ただ主人公の女の子が町のお店で夏休みの間“お手伝い”をしていくという、いわばそれだけの話です。
 
(ただ、そのお店が魔法関連のお店だったり、不思議な人物が訪ねて来たりと、いろいろ変わっているのですが。)
 
ただ、小学生の頃の自分はむしろ「そこが良い」と思っていた記憶があります。
 
この物語は現実ではあり得ないようなファンタジー要素をふんだんに含みながらも、どこか現実との“地続き感”があるのです。
 
物語冒頭の町(霧の谷)への辿り着き方にしてもそうです。
 
最初に駅がどうの、夜行列車がどうのとリアルな交通手段の話が出て来たり、東京・仙台・静岡など現実の地名がぽんぽん出て来たり、途中までは、実在する土地へ現実的な方法で向かっていく、というような体で話が進んでいきます。
 
ひょっとすると自分でも、ひょっこり霧の谷へ辿り着けるのではないか――そんなリアリティー親近感が持てる構成になっているのです。
 
それと、夏休みという“特別な期間”に、親の庇護の下を離れ自分だけの力で一日一日を過ごしていくという“未知へのチャレンジ”、“ちょっとした背伸び体験”が、子どもの冒険心自立心を絶妙にくすぐってくるのです。
 
けれど、それより何より小学生当時の自分がうらやましかったのは、それだけ濃厚な体験をしながら、霧の谷の外では時間がまだ数時間ほどしか経っていないという時間の流れの差です。
 
夏休みがいつもの年より1、2日長いというだけでも嬉しく思うのに、もっと多くの日数を“余分”に過ごせるなんて、最高ではありませんか。
 
そんなわけで、この物語、小学生当時は「いいなー、うらやましいなー、自分もここへ行きたいなー」という気持ちで読んでいました。
 
でも、実際に霧の谷へ行くことはできなくても、物語を通して主人公の少女・リナの体験したことを自分も“疑似体験”することで、自分もリナと同じように、ちょっとだけ成長できていたのではないか――そんな気もします。
 
子どもの頃の読書体験というものは、自我や人間性を育てる上でとても大切なものだと元々思っていますが、とりわけ夏休みに読んだ本というのは、また格別に心の中に強く残っていたりするものです。
 
現実世界で霧の谷を見つけることはできませんでしたが、あの小学生の夏休みに、この本を見つけることができただけでも、自分の子ども時代は幸せでした。
 
この物語に限らず、本の中には現実世界では味わうことのできない“特別な夏休み”が数多くあります。
 
「読書離れ・本離れ」が叫ばれる今の時代ですが、できれば一人でも多くの人に、そんな“特別な夏休み”を過ごせるような――そしてそれが自分の人生の糧となるような“大切な一冊”と出会って欲しいな……などと思う、今日この頃です。

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mtsugomori at 07:02

2017年08月13日

今回ご紹介するのは荻原規子さん作の日本古代のような世界を舞台にしたファンタジー小説

「空色勾玉」「白鳥異伝」「薄紅天女」の3作からなる、いわゆる「勾玉三部作」です。


空色勾玉
荻原 規子
徳間書店
1996-07-01


白鳥異伝
荻原 規子
徳間書店
1996-07-01


薄紅天女
荻原 規子
徳間書店
1996-08-01






世の中に「ファンタジー小説」というものは数多くありますが、その中で「和風ファンタジー」の割合は、そう多くはありません。

さらにその「和風ファンタジー」も時代で見れば平安時代(以降)が主で、古代を扱ったファンタジーというものは意外と少ないのです。

(古代になると「和風ファンタジー」というより「倭風ファンタジー」の方がしっくり来る気もしますが、そんなジャンルはたぶん存在しないので「和風ファンタジー」で通します。)

個人的には日本の古代な魅力的な八百万の神々アリ、まだ謎が多く残された時代であるがゆえのロマンがたくさんアリで、かなり魅力的な時代だと思うのですが……。

まぁ、ともかくそんな日本の古代を舞台にした和風ファンタジー小説の中でも群を抜いて面白いのが、この「勾玉三部作」なのです。

この作品は初めは現ベネッセである福武書店から児童文学として出版されたもので、ボリューム(文章量)はかなりのものですが、児童文学であるがゆえにとても読みやすい物語になっています。

しかしながら読んでいてドキドキ・ハラハラするサスペンス性、予想を裏切る意外なストーリー展開は大人、それもミステリー好きな大人でも充分楽しめるものです。

さらにそこに日本神話ベースのファンタジー要素が加わることで、物語に神秘的な深淵さをプラスしているのです。 三部作は世界観や勾玉というキー・アイテムは共通しているものの、時代が異なる独立した3つの物語になっていますので、それぞれ単独でお読みいただいても充分楽しめます。

(三部作通して読んでいただくと、さらに“深く”楽しめますが。)

神名などはオリジナルのものになっていますが、日本神話ベースですので、古事記・日本書紀がお好きな方なら思わずニヤリとしてしまうような神様・キャラクターも出て来ます。

また、そうでない方でも、日本の古代に思いを馳せられる貴重なファンタジー作品ですので、興味をお持ちの方はぜひ読んでみてください。

夏休みの読書にも最適です!

ちなみに管理人が始めてネット上に発表した小説(「花咲く夜に君の名を呼ぶ」)も日本の古代と日本神話(風土記含む。←と言うより常陸国風土記がベース)をモチーフにした和風ファンタジーですが、気づけば勾玉三部作とは全く違う出来になっています。

(悪い意味ではありませんが…。)


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mtsugomori at 14:55
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