歴史・民俗

2023年02月04日

日本では昔から「猫が顔を洗うと雨が降る」などの俗信がありますが…
 
この本はそんな動物関係の「俗信」をまとめた辞典です!
 




 
(これは「動物編」のため、動物関係の俗信だけをまとめていますが、他に「植物編」「衣裳編」もあります。)
 

 

  
ポップな表紙から「ライトな雑学本」と思ってしまう方もいらっしゃるかも知れませんが…
 
この本は、だいぶガッツリした「辞典」です。
 
改行も少なく、文字は多く、挿絵もないので「暇つぶしに良さそう」と軽い気持ちで手に取ると、後悔するかも知れません。
 
(なにせ、柳田国男さんに師事した著者がまとめた本ですので…。)
 
その代わり、各俗信については、地方ごとの差異バリエーションまで事細かく載っていますので、「資料」としては、かなり読み応えがあります。
  
各動物ごとに項目が分かれいるため、自分は、時間のある時に、興味のある動物の所から少しずつ読んでいく…というスタイルをとっているのですが…
 
「猫」や「犬」、「牛」や「馬」など、人間に身近な動物は、かなりの数の「俗信」が載っていてビックリします。
 
しかも、地方によってまるで逆の言い伝えもあるのが、とても興味深いです。
 
たとえば記事タイトルにも載せた「猫の洗顔」ですが…
 
「雨が降る」ではなく「晴れる」と言われている土地も、(少数派ではありますが)津軽から鹿児島まで、広範囲にわたって分布しています。
 
宮城県では「天気になる」の他「客が来る」とされているそうです。
 
ちなみにこの「客が来る」は、中国の唐代でも言われていたことで、岡山県でも同様の俗信がある(猫が顔を洗うと、その背中の方角から客が来ると言われている)そうです。
 
(著者は、この辺りがいわゆる「招き猫」の原型なのではないかと書いています。)
 
自分は猫好きなため、猫の項目は特に重点的に読んでいるのですが…
 
以前ご紹介した「世界の猫の民話」と同じく、「猫と人との、古くから続く関係性」が垣間見えて楽しくなります。


 
特に「いなくなった猫を家に戻すまじない」や「猫が病気になった時のまじない」が各地にある辺り…
 
昔から人は猫を愛し、いなくなったり、病気になったりするたびに、必死に「おまじない」をしていたのだな…と、その関係性に想いを馳せ、愛おしい気持ちになります。
 
Amazonさんの商品詳細ページでは「試し読み」で「もくじ」が読めますので、自分の知りたい動物について記述があるかどうかは、そこで確認できます(中には、載っていても数行だけという項目もあるのですが…)。
 
動物の俗信だけでなく、各地方ごとの「異称」なども知ることができますので、興味のある方はチェックしてみてください。


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mtsugomori at 23:05

2022年12月16日

いつもこのブログやサイトの参考文献コーナーをご利用いただいている皆さま、どうもありがとうございます!

アフィリエイト(Amazonアソシエイト)の金額が「Amazonギフト券の最低支払金額」である500円を超えましたので、559円分のギフト券が(メールで)届きました!
 
今回、そのギフト券で購入させていただいたのが、コチラです(ギフト券の金額だけでは足りないので、自腹分もあります)。
  ↓
魔女の薬草箱
西村 佑子
山と溪谷社
2016-02-19


(紙の書籍とKindle版とありますので、購入される際にはお気をつけください。)

以前このブログで「魔女の12ヶ月」という本を紹介していますが…
 
魔女の12ヵ月
飯島 都陽子
山と溪谷社
2016-11-04

 
それよりも魔女の使う「薬草」「」に焦点を当てた、「魔女の薬のレシピ」まで載った本です。
 
(もっとも、レシピ通りに薬を調合したところで、魔法の効果が得られるとは思えませんし、材料自体がだいぶ「ヤバい」ものばかりだったりしますが…。)
 
魔女と言えば、ドイツのみでなく、イギリスなど様々な国に伝説が残っているわけですが…
 
この本では特に、ドイツ魔女文化をクローズアップしています。
 
魔女の宴「ヴァルプルギスの夜」が行われた、ドイツのブロッケン山の話…
 
ドイツの「魔除け」のお守りの話…
 
さらには現代の「ヴァルプルギスの夜」のイベントについても、人々のコスプレ写真とともに紹介されています。
 
白黒ではありますが、イラストや写真も多く、「魔女の薬」「ドイツの薬草文化」を知るには良い、読みごたえのある1冊です。
 
文庫本サイズの薄めの本で、持ち運びにも便利です。
 
実を言うと、この本の購入時、ブラックフライデーの「本のまとめ買いキャンペーンと併用したので、他にも買った本があるのですが…
 
そちらはまた、次の機会に詳しく紹介させていただきたいと思います(残業続きで、まだ読めていない本がたくさんあるので…)。
 
ちなみに、本の書影だけ並べていくと、以下のような感じです(これでもまだ一部)。
 

 

 

 
のせのせ せーの!
うきまる
ブロンズ新社
2022-04-15





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mtsugomori at 21:55

2021年12月08日

西洋ファンタジーと言えば「魔法」、そして魔法と言えば「魔女」や「魔法使い」ですが…

日本人にとって「魔女」や「魔法」は、イマイチ馴染みが無く、物語の中に描かれたものにより「なんとなくフワッとしたイメージを知る」のがやっとなのではないでしょうか?
 
この本は、そんな「魔女」の暮らしを1年12ヶ月のスケジュールに沿って教えてくれます。 


 
ファンタジー好きな一部の方々は既にご存知であろう「ヴァルプルギスの夜ワルプルギスの夜)」など、「魔女の行事」についてはもちろんですが…
 
その他にも、ヨーロッパで古くから霊薬・信仰の対象として親しまれてきた「ハーブ薬草)」についてや、西洋の神話伝説言い伝え等々も、易しい言葉で簡潔に説明されています。
 
さらには「魔女のレシピ」なるスィーツのレシピや、「魔女の手仕事」なる小物や雑貨の作り方も、イラスト入りで載っていて楽しめます。
 
普通の紀行本やガイドブックには載っていない「ヨーロッパの素朴な民俗文化」「西洋の『田舎』の暮らし」を知ることのできる、ほんわかした雑学本です。
 
一気に読み進めても良いですし、季節や月ごとに、その季節や月の項目を読んでみても楽しいのではないかと思います。



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mtsugomori at 21:30

2021年11月04日

中学生の頃、友人のクラスの学級文庫に、愛蔵版の「ベルサイユのばら」がありました。
 
ベルサイユのばら 愛蔵版(第1巻) (Chuko★comics)
池田 理代子
中央公論新社
1987-03-28

 

そのせいか、当時そのクラスの女子には熱狂的なベルばらファンが数人いて、ベルばらの話で盛り上がっていたのですが…
 
その時は、特に興味も無く、勝手に耳に入って来る彼女たちの話を、聞くともなしに聞きながら「昔のマンガなのに、そんなに面白いのかな…?」などと思っていました。
 
ところが社会人になってから、偶然、ベルサイユのばら(文庫版)を全巻まとめて入手する機会があり…
 
読んでみて、衝撃を受けました。
 
そして、中学時代の彼女たちが「何故そこまでベルばらにハマっていたか」、その理由を理解したのでした。
 
絵柄は、さすがに数十年前の漫画だけあり、現在の漫画と比べると違和感があります。
 
しかし不思議と「違和感はあるけど、嫌いじゃない」のです。
 
むしろ、読み進めて慣れてくると、それが逆に良くなってくるのです。
 
しかも、まだデジタルはおろか、スクリーントーンですらロクに無さそうな時代であるがゆえに「こんな細かな模様を手作業で!どれだけ時間がかかったんだろう!? しかも、美しい!」と、画面を彩る技術に圧倒されます。
 
ヴェルサイユ宮の豪華絢爛ぶりはもちろん、マリー・アントワネットをはじめとする女性陣のまとうドレスも、フリルのひとつひとつが華麗で可憐で、見ているだけで楽しくなります。
 
魅力は絵だけではありません。
 
ストーリーの虚実入り交じり具合――特に、史実の取り込み方が抜群に巧みで、歴史好きでも唸ってしまうのです。
 
たとえば、ストーリー全体を通して重要な役割を担う登場人物「ロザリー」。
 
実は、実際の歴史で、マリー・アントワネットの最期の日々に寄り添っていた女性の名も「ロザリー」なのです。
 
その他、マリー・アントワネットの名を騙った「首飾り事件」、結婚式での不吉な予兆、異国の貴族青年フェルゼン、マリー・アントワネット最後の手紙etc…細部まで史実が取り入れられており、フランス史への興味が掻き立てられます。
 
その一方で、男装の麗人オスカルという「フィクション」を、物語の主軸に据え、しかもそれをノンフィクションな部分に見事に絡め、ほとんど違和感を感じさせることなく、ひとつのダイナミックなストーリーに仕上げています。
 
そして、史実が元であるがゆえに、余計にいろいろ考えさせられる、歴史の悲劇人間ドラマ…。
 
「『パンが無ければお菓子を食べればいい』は、実際はマリー・アントワネットの言葉ではなかった」というのは、既に結構知られていることですが…
 
彼女は存命中から、様々なネガティブキャンペーンで負のイメージを背負わされてきた人物です。
 
しかし、この作品の中での彼女は、「軽率で無知ではあったものの、ただひたすら懸命に、幸せになろうと生きてきただけの女性」として描かれています。
 
勉強が嫌いだったこと、退屈を恐れ、自分の心の安らぎのために散財をしまくったという彼女の負の側面も、この作品ではきっちり描いています。
 
しかし、その裏にあった彼女の寂しさや苦しみ、周囲との軋轢、そして様々な人々を惹きつけてやまない無邪気な愛らしさや高貴さを描くことで、マイナス面をも上回る、彼女の「魅力」を描き出しているのです。
 
むしろ、そんなマイナスな面が描かれていることにより「人間くささ」が出て、親しみが増します。
 
(しかし、結局はそんな負の側面が、彼女を追いつめていくわけですが…。)
 
そして、そんな失敗や欠点があるからこそ際立つ、彼女が時折見せる凛とした立ち居振る舞いと、革命後の苦難にあっての劇的な人間的成長…。
 
しかし、そんな「成長」を遂げた時にはもう、全てが遅いという、運命の非情さ…。
 
そして、オスカルとアンドレの切ない恋愛模様…。
 
(特にアンドレは、報われるまでが長く、報われてからは「あっと言う間」なのが…。)
 
時代の流れにより、登場人物たちがそれぞれ道を違えていく様も、切なくてなりません。
 
ストーリー自体がドラマチックですし、西洋史を学ぶ上でも役立つので、「昔の漫画だから」と食わず嫌い(ならぬ読まず嫌い)せず、是非多くの方に読んでもらいたい作品です。
 


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mtsugomori at 20:09

2021年06月02日

元々「世界遺産文化遺産)」やヨーロッパの歴史が好きで、その手の本を数多く読んできたのですが…

中でもお気に入りなのが、このシリーズです。
 


文庫本サイズで、持ち運びに非常に便利なのですが、オールカラーで、写真もたっぷり載っています。
 
しかも、各世界遺産の「ガイド」だけではなく、その土地に秘められた歴史過去の偉人伝統工芸お祭りなどの情報が「コラム」という形で合間合間に挟まれています。
 
これが、テレビの世界遺産番組などではあまり紹介されないような「ちょっとマニアック」な知識が多く、知識欲、雑学欲をくすぐりまくるのです。
 
自分は自作サイトと投稿サイト「エブリスタ」さんで「恋愛群像ヒストリカ」という、ヨーロッパの歴史を元にした短編オムニバス小説を書いているのですが…
 
その中には、この本で知った史実を元にした物語もあります。
 
(ちなみに3作目「狂恋の王と骸の王妃」です。ポルトガルの王子(←後に王になります。)と、その妃の侍女だった女性との悲恋を元にしています。)
 
ヨーロッパの文化・歴史の雑学を学ぶために読むのも良いですし、美しい写真で目の保養をするのにも良いです。
 
小説のネタをぼんやり集めるのにも向いていると思います。
 
(ただ、載っている知識がマニアックなだけに、さらに詳細な知識を求めようとすると苦労します…。上記のポルトガル史も、他の国の歴史に比べて文献が少な過ぎて、かなり苦戦しました…。)
 
最初は何の気なしに手に取ったこの本…
 
あまりにお気に入りになり過ぎて、今ではシリーズ全冊コンプリートしてしまっています。

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mtsugomori at 10:26
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