2022年08月06日

トラウマになるが、それゆえに人生観さえ変える戦争絵本

自分がこの本を最初に手に取ったのは、小学1年生の時…
 
ひろしまのピカ (記録のえほん 1)
丸木 俊
小峰書店
1980-06-01

 
初めて学校の図書室に入った時でした。
 
この本の内容を知る方は「よりにもよって、これが最初の1冊…」と思うことでしょう。
 
この絵本、まず表紙からして壮絶です。
 
保育園まで「ほのぼの」した優しいタッチの絵本しか知らなかった自分にとって、あまりに強烈で、それゆえに、思わず手に取ってしまったのです。
 
そして、内容がまた壮絶でした。
 
タイトルからしてお分かりでしょうが…この絵本は、広島の原爆を扱った絵本です。
 
原爆投下後の広島で起きた悲劇――その地獄絵図が、あまりにも恐ろしく、生々しいタッチで描かれています。
 
それまで、戦争のことも原爆のことも知らずにいた自分には、あまりにも衝撃的でした。
 
正直、トラウマになりました。
 
しかし同時に「この恐ろしい出来事について、もっと知らなければならない」という思いに取り憑かれました。
 
「この本に描かれたような恐ろしい出来事は、絶対に経験したくない」「戦争には遭いたくない」…それゆえに、戦争についてもっと知らなければならないと思ったのです。
 
以来、小学生の時の自分の読書テーマは「戦争児童文学」になりました。
 
学校の図書室、地元の図書館にある戦争関連の児童書は、ほぼ全て読み尽くしました。
 
そしてそのことが、自分の人生観に大きな影響を及ぼしました。
 
特に、命というものに対する考えは、同世代の児童とは全く違っていたのではないかと思います。
 
「命は儚く、いつ理不尽に奪われてしまうか分からない」――それが、自分の生命観の根底に、常にありました。
 
自分の命を自分で諦めてしまわない――「自死という選択肢を、小3か小4の時点で完全に放棄した」のも、その人生観・生命観が影響していたからなのではないかと思います(他にも様々な要因はある気がしますが)。
 
 
世の中には「戦争」という、とてつもなく恐ろしく、悲惨なことが存在している…
 
その事実は、人生の中で、何度も自分を助けてくれました。
 
辛いことがいろいろあっても「戦争よりはマシだ」と思えたからです。
 
今の世の中、子どもの精神に配慮して「悲劇的な結末を改変する」絵本も多いと聞きます。
 
けれど「恐ろしい内容の方が心に残る」「その後の人生に影響する」というのは、少なくとも自分の場合は「事実」です。
 
世の中の悲劇・悲惨・残酷さから完全に遠ざけられた子どもが「どう育つ」のかは、きっと、その子が大人になってみないと分からないでしょう。
 
せめて、子どもが自ら「世界の残酷さを、ちゃんと知っておきたい」と思った時、それをちゃんと学べる環境は整えておいて欲しいと思います。
 
ちなみに、幼少期に戦争児童文学を読み漁った自分が、戦争文学について思っていることが1つあります。
 
それは「戦争の悲惨さ、残酷さばかりを伝えるのでなく、その戦争を『回避する術』も教えてもらいたい」ということです。
 
それはまだ解明されていない「人類の課題」でもあるので、なかなか難しいのは分かるのですが…
 
「戦争は恐い」「戦争は人を不幸にする」ということだけを知っていても、「実際に戦争が起こりかねない時代に、何をどうしたら良いのか」全く見えませんので…。




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