2018年05月25日

ビックリするほど新しい、死との向き合い方

今回ご紹介するのは、この絵本です。
   ↓
このあと どうしちゃおう
ヨシタケ シンスケ
ブロンズ新社
2016-04-22


この絵本のタイトルと表紙を初めて見た時、まさかこれが“身近な人の死”を扱った絵本だとは想像できませんでした。
 
もっとも、中表紙をめくって一番最初のページでポンと“おじいちゃん”が亡くなったという事実が明かされますので、すぐにそのことは判明するのですが……
 
その後も、カラフルでコミカルな絵柄で、まるでお笑い芸人さんの「こんな〇〇はイヤだ」「もしも〇〇がこんなだったら…」という系統のネタのように、“おじいちゃん”が作った死後の予定や、天国や地獄やお墓に関する“想像”がくり広げられ、死をテーマにしているとは信じられないくらいに面白く楽しく読み進めることができます。
 
ただし、面白く楽しいだけではありません。
 
途中、身近な誰かを(急死以外で)亡くされた方なら、思わず胸にクるようなページもあります。
 
(実際自分も、書店でこの本を立ち読みしていた時、このページで泣きそうになって「このままここでは読み続けられない」と思い、そのままレジへ直行しました。)
 
とは言え、悲しいまま終わるというわけでも、死への恐怖を植えつけるわけでもなく、むしろ「これからこの限られた人生をどう生きようか?」ということを、決して重くならず、フワッと軽いノリで考えさせてくれます。
 
自分もこれまで過去の名作からラノベに至るまで相当数の本を読み漁ってきた人間ですが(←そしてその読書経験のみで塾にも通わずに国語の偏差値MAX80まで行った人間ですが)、この本を読み終わった後は、思わず「この発想は無かった!」「何という名作なんだ!」「何で今までこの人の本を読まなかったんだ!」と思ってしまいました。
 
しかもこの本、細部にまで遊び心心にくい演出が盛り込まれていて、何度でも読み返したくなります。
 
内容を知るまでは“ただのほのぼの”としか感じなかった表紙の1コマ1コマが、生前の“おじいちゃん”と主人公の“ぼく”との思い出の一場面一場面であることに気づいてホロリときたり、表紙と中表紙の間のページにも“このあとどうしちゃおうノートを書くおじいちゃん”の様子が描かれていてほっこりしたり、“おとうさん”と“ぼく”の会話の場面に“りんご”が、“そらをとぶれんしゅう”をする“ぼく”の場面に“かぜでクルクルまわるビニールブクロ”がさりげなく描かれていて「あっ」となったり(←本文を読んだ人だけ分かります)…。
 
しかも“りんご”というのがまた、同じ作者の別作品「りんごかもしれない」とちょっぴりリンクしていて、両方読んだ読者にはうれしい演出なのです。
 
しかもこの本、「“こどもの本”総選挙」で(現在話題の「君たちはどう生きるか」や「君の名は。」小説版をおさえて)第7位になるなど、子どもの心にもしっかり届いているのがまた凄いのです。
 
大人からの「この本を読め」という圧力でなく、子ども自身が自ら進んで読みたいと思える本を作るというのは、子ども心を忘れた大人たちにはそもそもとても難しいことですし、活字離れ読書離れの叫ばれるこの時代では、ますます難しくなっていることだと思います。
 
それなのに、こんなに深くて考えさせられる人生のためになるような内容を、楽しく親しみやすくエンターテイメント性に満ちて、少しも重くない“絵本”として描くなんて、正直とてつもないセンスだと思います。
 
ヨシタケシンスケさんの本は、この他の本も、今までになかった発想や視点を与えてくれて、世界や人生を明るく・楽しく・豊かにしてくれるようなものばかりですので、どれもオススメです。
 
(“こどもの本”総選挙にも、ベスト10中4冊(ベスト20まで広げるともっと)選ばれています。)
 
ハードカバーでカラーの絵本ですので、ちょっと値段はお高めなのですが、個人的には下手なベストセラー小説よりもコスパが良いと思います。
 
自分も今、時間をかけて一冊一冊ゆっくり買い集めているところなのですが、どれも良い本ですので、そのうち他の本についてもそれぞれ語っていきたいと思っています。
 
 
 


<ヨシタケシンスケさん・その他の本の刊行情報>
 
りんごかもしれない
ヨシタケシンスケ
ブロンズ新社
2013-04-17

    ↑
(“こどもの本”総選挙・第3位)
 
あるかしら書店
ヨシタケ シンスケ
ポプラ社
2017-06-06

    ↑
(“こどもの本”総選挙・第2位)
 
りゆうがあります (PHPわたしのえほん)
ヨシタケ シンスケ
PHP研究所
2015-03-07

    ↑
(“こどもの本”総選挙・第10位)
 
ふまんがあります (PHPわたしのえほん)
ヨシタケシンスケ
PHP研究所
2015-09-19

    ↑
(“こどもの本”総選挙・第13位) 
 
ぼくのニセモノをつくるには
ヨシタケ シンスケ
ブロンズ新社
2014-09-20

    ↑
(“こどもの本”総選挙・第15位)
  
もう ぬげない
ヨシタケ シンスケ
ブロンズ新社
2015-10-08

    ↑
(“こどもの本”総選挙・第16位) 
 
なつみはなんにでもなれる
ヨシタケ シンスケ
PHP研究所
2016-12-02

 
つまんない つまんない (MOEのえほん)
ヨシタケ シンスケ
白泉社
2017-05-17

 
 
こねてのばして
ヨシタケ シンスケ
ブロンズ新社
2017-10-19

 
おしっこちょっぴりもれたろう
ヨシタケ シンスケ
PHP研究所
2018-06-07

 
([よ]4-1)あるかしら文庫手帳 (ポプラ文庫)
ヨシタケ シンスケ
ポプラ社
2018-04-06

 
ヨチヨチ父 とまどう日々
ヨシタケシンスケ
赤ちゃんとママ社
2017-04-22

 
結局できずじまい
ヨシタケ シンスケ
講談社
2013-01-17

 
そのうちプラン
ヨシタケシンスケ
遊タイム出版
2011-08-04

 

 
せまいぞドキドキ
ヨシタケ シンスケ
講談社
2013-01-17

 
 
(以上のリストの中には管理人がまだ持っていないものも含まれます。)
 

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