2018年09月23日

実在した「皇帝に溺愛され皇妃となった公爵令嬢」の波乱の生涯

昨今の女性向けライトノベルには「公爵令嬢王子皇帝に見初められ、妃となって溺愛される」という宮廷ロマンス系の小説が多くありますが、今回は歴史上に実際に存在した、そんな「皇帝に一目惚れされて皇妃(皇后)となった公爵令嬢」の数奇な生涯を描いたドキュメント本をご紹介します。
    ↓
 
その女性の名は、エリザベート(サブタイトルの「シシィ」は彼女の愛称です)。
 
現在はドイツの一部となっているバイエルン王国のヴィッテルスバッハ公爵家に生まれ、オーストリア帝国ハプスブルク家の若き皇帝見初められ、皇后となりました。
 
しかも、本の表紙をご覧になっていただくと分かるかと思いますが、彼女はハプスブルク家650年の歴史の中で最も美しいと言われるほどの美貌の持ち主で、白百合にも白鳥にも天の幻にも例えられたその美しさは、皇帝のみならず様々な人々を魅了し、伝説となっています。
 
さらには「事実は小説より奇なり」のことわざ通り、彼女は小説の中にも滅多にいないほどの個性魅力に溢れる公女でした。
 
貴族の頂点に立つ公爵家の令嬢ともなれば、普通は箱入りのお嬢様を想像するでしょうが、エリザベートは容姿や仕草の優雅さとは対照的に、馬に乗れば競馬なみの全速力で一日に馬4頭を乗りつぶすこともあり、美容のための競歩では女官や侍従がついて行けないほどのスピードと距離を歩き続けるという、非常にパワフルな一面を持っていました。
 
そもそも彼女の父のマキシミリアン公爵という人が宮廷での儀礼や人つき合いを嫌い、社交界を離れて一家で湖のほとりの館に暮らし、狩猟や乗馬、音楽に耽って過ごすという一風変わった人物でした。
 
公爵家では使用人が差別的な扱いを受けることもなく、8人いた子どもたちは自由放任主義で育てられ、美しい自然の中でのびのびと育ったのです。
 
公爵は自分と似たエリザベートを特に可愛がり、時には一緒に変装し、流しの音楽家として村の祭りに紛れ込み、公爵が楽器を弾く傍らで、エリザベートが民族衣装のエプロンに村人が投げてくれる銅貨を受け取る、などということまでしていました。
 
そんな彼女が大帝国の若き皇帝と出会ったのは15歳の時。
 
そもそも皇帝はエリザベートの姉のヘレーナとお見合いするためにやって来たのですが、彼は19歳の礼儀正しくおしとやかな姉よりも、社交儀礼を学ぶために同席させられていた天真爛漫な妹・エリザベートの方に恋をしてしまったのです。
  
けれど、礼儀作法も満足に身につけず自由奔放に育ってきた少女にとって、長い歴史と数多くのしきたりを持つハプスブルク家の皇帝からのプロポーズは必ずしも幸せなばかりのものではありませんでした。
 
宮廷に入ると、面倒で複雑で、しかもエリザベートにとっては意味があるとは思えない儀礼やしきたりに縛られる日々、そしてそんな儀礼・しきたりを彼女に叩き込もうとする姑・ゾフィー皇太后との確執が待ち受けていました。
 
唯一の味方であるはずの愛する夫も、公務に忙殺されている上、母である皇太后に逆らいきることもできず、エリザベートは孤独に戦い続けた末、心破れ、宮廷から離れ、一年の多くを旅に過ごすようになりました。
 
それでも皇帝はエリザベートを愛し続けました。
 
エリザベートのためなら旅の出費は惜しまず、王家の宝や金銀を積んだ高価な御召列車も作り、多忙な日々の中でもほとんど毎日のように妃へのラブレターを送り、宮廷嫌いのエリザベートが少しでも長くウィーンに留まってくれるようにとウィーン郊外に別荘を贈ったりしています。
 
しかし晩年の彼女の周りには身内が次々不幸に見舞われるなど不吉な影がつきまといます。
そして彼女自身、旅の最中にテロリストに襲われて61歳の生涯を閉じるという悲劇的な最期を遂げているのです。
 
そして彼女の死の20年後にはハプスブルク帝国自体が崩壊し、20世紀の動乱が始まります。
その先の混乱と戦乱の時代を予兆させるかのようなエリザベートの死は、そうしてよりドラマチックに、伝説的に語られるようになっていくのです。
 
今回ご紹介しているこの本は、一見絵本のような作りのハードカバーの大型本です。
 
しかし中身は濃く、エリザベートの生涯が豊富な資料(絵画や写真)とともに詳細に語られています。
(文章量もそれなりに多いです。)
 
写真のほとんどがモノクロなのが惜しいのですが、今も残されている絢爛豪華なエリザベートの愛用品の数々は、美しいカラー写真で数ページに渡って掲載されていて見応えがあります。
 
旅行用に持ち歩いていたらしい食器のセットも、どれも細かな装飾が施され銀色に輝いていて、とても携帯用とは思えぬ豪華さです。




 

 
<皇妃エリザベート関連のその他の書籍>
 
文章を読むのが苦でない方はこちらもオススメです。
エリザベートの伝記のような本なので、より詳しくその生涯が分かります。
(エリザベート暗殺犯のその後も描かれています。)
    ↓

皇妃エリザベートの生涯 (集英社文庫)
マルタ・シャート
集英社
2000-05-19



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