2020年02月08日

孤独を知る人に刺さる、リアルな存在感のある猫の絵本

この絵本、新聞広告に載っていた時から、妙に気になっていました。
 

なまえのないねこ
竹下文子
小峰書店
2019-04-25


その後、たまたま本屋で見つけ、手に取ってパラパラとページをめくり…
 
我慢できずに買ってしまいました。
 
まず目に飛び込んでくるのが、妙に存在感のあるの絵です。
 
この絵、「ネコヅメのよる」の作者と同じ町田尚子さんが描いているのですが…
 
「ネコヅメのよる」が猫の(良い意味での)不気味さ(←ミステリアスさとも言う)・野性味を表しているのに対し、この絵本の主人公の猫には、ノラの猫の“かなしさ”が漂っている気がします。
 
よく見ると鼻のあたりに他の猫に引っ掻かれたような傷があるところや、どこか怯えているようにも見える上目づかいの大きな瞳…
 
思わず抱き上げて「よしよし」と頭を撫でてあげたくなるような存在感があります。
 
何よりこの絵本、ストーリー胸に刺さるのです。
 
文章はひらがなばかりで、描写もほとんどなく、一文一文はごくごく短く書かれています。
 
けれど、それでも主人公の猫の心情がひしひしと伝わってきます。
 
最初のうちは、町で暮らす他の猫たちの様子が丁寧に描かれ“ほのぼの”した雰囲気なのですが…
 
ページが進むうちにだんだんと、町の猫たちと主人公の猫との“違い”、そしてその“かなしさ”が描かれてきます。
 
短いひらがなの文章では、その哀しささえも、特に感情を籠めずに淡々と描いているのですが、それが余計に、読み手を哀しくさせます。
 
なので、最後のシーンでその哀しさが救われた時、思わずホロリとしてしまいます。
 
さらには、この絵本、細かいところに遊び心があります。
 
本屋さんのシーンで描かれた本の中に「ネコヅメのよる」の絵本があったり…
 
表紙の裏と裏表紙の裏に、それぞれ同じ猫たち(と犬)の絵が使われているのですが、表紙の裏には無かった「猫の名前」が裏表紙の裏には描かれています。
 
(絵本本編に出て来る猫たちも載っているので、探すと楽しいです。)
 
さらには奥付の作者と画家の紹介文に、それぞれの方が飼っている猫の名前が載っています。
 
この絵本の主題が「ねこのなまえ」なので、そういう演出がまた心憎くて素晴らしいです。



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