新井素子

2019年03月10日

高校生の頃、習っていたピアノの先生に「本が好きならこれをあげる」と言われ、中古の文庫本を50冊以上譲られたことがあります。
 
そのうちの約半分は赤川次郎さんのミステリ小説だったのですが、次(か、次の次くらいに)に大きな割合を占めていたのが新井素子さんの本でした。 


 
当時、かなりの活字中毒だった自分は、それが自分の好みに合いそうかどうかなど考えず、とにかく貪るようにもらった本を読みまくりました。
 
(後で考えれば、そうやって「本来の自分なら手を伸ばさなかったであろう本」にも手を出してきた結果、自分の世界がより広がったように思います。)
 
正直、新井素子さんの作品に対して最初に感じたものは、「生々しさ」や「グロテスクさ」といったものでした。
 
設定的には「世界が終る前に、ひとめ恋人に会いに行く」ものだったり、恋愛が絡んだものも多くロマンティックなのですが、何だかそこに時々グロテスクさが漂うのです。
 
しかもそれが「いかにも創られたグロさ・恐さ」と言うより、人間が本来的に持つ“闇”を暴かれているような、生々しいグロテスクさであり、恐さなのです。
 
しかも、そんな風に途中途中でグロテスクさを見せておきながらも、やっぱり結末はどこかロマンティックというか、切なさ儚さが漂っていたりするのです。
 
さらには多くの作品がSF的な要素を持っていたり、哲学的な「問い」のようなものを孕んでいたりして、多感な思春期の頃の自分は、結構な影響を受けたように思います。
 
自分が特に好きだったのは「グリーン・レクイエム」と「今はもういないあたしへ…」という本の中に収録された「ネプチューン」という短編(中編?)小説です。 


 
それと、女性小説家と男性編集者の結婚→新婚生活を描いた、自伝的要素を含んだ(?)ドタバタ小説も、その他の一連の作品とは全く雰囲気が違って面白かったです。
 
自分が高校生の頃にもらった中古の本ですので、出版年月はだいぶ古いことになっているかも知れませんが、SF的要素や現代社会に対する様々な示唆を含んだ本が多いので、今読んでも面白いと思います。
 
特に、星新一さんのショートショートのような、ちょっと皮肉を含んだ感じの小説が好きな方なら(そしてグロテスクな描写が大丈夫な方なら)楽しんでいただけるのではないかと思います。
 
(そう言えば、星新一さんの本も、このピアノの先生からもらったような…。)

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