無門日記

ことばで/一羽の鴎を/撃ち落すことができるか    寺山修司

金曜日 曇り

昨日ご紹介した道立文学館での「細谷源二と齊藤玄」展について、少し情報を追加します。

1)マスコミ報道
マスコミではこれまで北海道新聞や朝日新聞等で記事を書いていただきました。
道新では2月4日夕刊に下のように大きく出ました。

20230204北海道新聞夕刊2_(1)


2)現代俳句協会ホームページ
現代俳句協会のホームページでもニュースとして掲載中です。
図録についても触れていただいています。

3)期間中のイベント
これは3回あって1回目の講演(五十嵐)は1月22日に終了しましたが、2回目3回目は下記のとおりです。
どちらも少ない定員なので、聴講希望の方は受付開始日に電話されることをお勧めします。

○鼎談「細谷源二と齊藤玄が私たちに遺したもの」
 講師:鈴木牛後、瀬戸優理子、五十嵐秀彦
 2月26日(日)14:00〜15:30
 文学館講堂
 聴講無料、定員35名、要申込
 2月14日(火)9:00より電話で受付け(011−511−7655)

○講演会「細谷源二著『俳句事件』〜『俳句弾圧不忘の碑』からフランス語訳の出版まで」
 講師:マブソン青眼
 3月12日(日)14:00〜15:00
 文学館講堂
 聴講無料、定員35名、要申込
 2月28日(火)9:00より電話で受付け(011−511−7655)
 
4)図録の購入に関して
図録は会場で販売されていますが、遠隔地の方には電話での注文を受け付けています。
道立文学館(011―511−7655)に注文下さい。
価格は1200円(送料別)。
細谷源二と齊藤玄に興味がある方だけではなく、新興俳句や俳句弾圧事件に関心のある方にも有益な資料となるかと思います。


特別展フライヤー(表)
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特別展フライヤー(裏)
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木曜日 雪

寒い。今日はすこし吹雪きました。
これでは道立文学館の来館者も伸びそうもないなぁ。

と思ったので、以下宣伝です。


1月21日から3月19日まで、札幌市中島公園の北海道立文学館にて特別展「細谷源二と齋藤玄 北方詩としての俳句」が開催されています。
これは北海道の戦後昭和俳句に大きな足跡を残したふたりの俳人に焦点を当てると同時にこのふたりに共通していた新興俳句運動にも注目し、北方詩としての北海道俳句の独自性がどのように生まれ、そして発展したのかを考察するのが目的の展示となっています。

細谷源二は「氷原帯」の、齋藤玄は今もある「壺」の創刊主宰でした。
源二は働くものの視線からのリアリズムと前衛俳句の両面をあわせ持ったモダニズム俳句が特徴でした。一方、玄は師である石田波郷から強い影響を受けた内省的な境涯俳句が特徴でした。
そのように対照的な作風でありながら、戦前に東京で工員をしていた源二は「広場」、早稲田大学の学生だった玄は「京大俳句」という新興俳句を代表する俳誌から俳句の道に入ったという共通点を持っていました。

昭和6年から15年までの10年間に俳句界で大きな潮流を作った新興俳句と呼ばれる文芸運動とは何だったのか。そして昭和15年をもってあっけなく終了した(終了させられた)のはなぜか。
昭和15年16年に起きた新興俳句弾圧事件とは何か。

この特別展では、新興俳句とその弾圧事件について当時の俳誌のオリジナルを詳細な解説とともに多数展示。スペースとして会場の半分近くを費やしています。

入場料500円ですが、65歳以上は無料。
会場で販売されている図録は1200円です。
ぼくとしてはこの図録が特に強くオススメ。
貴重な当時の俳誌のカラー図版や新興俳句、弾圧事件の解説。細谷源二と齋藤玄の生涯とその代表句、ふたりの年譜(これ貴重!)などが収載されており、昭和俳句の資料として重宝なものになっています。
65歳の方は入場無料になった分、図録が求めやすくなるのではw
(以上、同展の企画・監修者として精一杯の営業でした)

というわけで、寒くて外に出たくないかもしれませんが、美しい中島公園の雪景色など楽しみつつ道立文学館に足を運んでみてはどうかな?
きっと何か発見できるはず。

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日曜日  弱雪


元日。
新年おめでとうございます。

2023年ですね。令和5年。さすがにまだ今日のところはしっくりこない。




所属結社誌の1月号について。
まず「藍生」1月号。
   主宰詠
 北風や龍太先生竹箒       黒田杏子
 一月の川一月の三代目      杏子
 (飯田武治氏に関する句が多かった)

   「藍生集」拙句4句
 泣かぬ機械笑はぬ機械つづれさせ   秀彦
 生きたりずなほ霧時雨霧の声
 マルメロを煮る抜かりなく夜を鎮め
 筐底に鏡を沈め十六夜


「雪華」1月号。
橋本喜夫主宰が、「何のために俳句をやっているのか」という新年巻頭言を発表している。
「雪華会員は自分のために、俳句を詠んで、俳句を読み続けてください。詠み続けていればあなたの一句が百年後に残るかもしれないのです。雪華誌は自分のために俳句を頑張りたいひとの期待に応える俳誌でありたいと思います。」(橋本喜夫)
全くそのとおりだ。誰のためでもない、自分のために俳句を作る。ほかにないよね。

   主宰詠
 雪うさぎ子の晩年に吾はなし    橋本喜夫
 妻の忌を時効と思へるか真冬    喜夫

本号にぼくが書いた散文は次の2篇。
現代俳句時評「〈みづ〉絶え間なく変容するもの〜鈴木総史「微熱」を読んで〜」。
現代俳人列伝第7回「齋藤玄 明滅する命の光を追って」。

   「雪月花」拙句5句
 履歴を書けば数行のとろろ汁       秀彦
 口笛が安田南に似て枯葉
 雪虫の雪来ると言ふ生きゐると
 未亡人五人一列寒林へ
 きんきんと泣きをり冬菊を束ね

   「雪華集」拙句6句
 月蝕の梟赫赫と鳴けり          秀彦
 冬立てり書屋に積みし獄中記
 横たはる冬の地蔵の幻肢痛
 冬の月潰えて薄き肩を抱く
 たたり神櫻紅葉を揺らしけり
 残菊の硬き素数を手折りけり


こんな具合に、また一年が始まるのです。


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土曜日

大晦日。

ブログから離れていますが、年末ぐらいは1年のまとめ記事をアップしておくことにします。


2022年の主な活動記録は以下のとおり(きわめてザックリ)

1月9日、松山市での「あしらの俳句甲子園」に審査員として参加。
「俳句四季」2月号、「句会拝見」欄に俳句集団【itak】について記述。
2月、「札幌演劇シーズン2022冬」の劇評「ゲキカン!」執筆。
4月、同人誌「アジール」創刊号発行。
4月、現代俳句協会地区会長インタビューyoutube配信。(動画)
6月18日、俳句甲子園北海道大会審査委員長。
「雪華」7月号より「現代俳人列伝」連載開始。
7月14日、文学館出前講座(函館市)「俳句入門講座」講演。
7月27,28日に長野県上田市に「俳句弾圧不忘の碑」取材、マブソン青眼氏と会う。
8月、「札幌演劇シーズン2022夏」の劇評「ゲキカン!」執筆。
「俳句界」10月号に大道寺将司論「暮れることなき一日を生き続け」執筆。
8月、「アジール」2号刊行。
10月、「住宅フェア2022小学生住宅俳句コンテスト」審査委員長務める。(動画)
「藍生」12月号に論考「細谷源二と斎藤玄〜もうひとつの昭和俳句史〜」発表。
「ウエップ俳句通信131号」(12月)に俳句「雪の雷」7句発表。
「俳句界」1月号特集「思わずうなる!上五下五」に小論寄稿。


このほかにも、もちろん「俳句集団itak」イベントを隔月開催で強行しております。


「雪華」には毎月「現代俳句時評」を書かせてもらっています。
今年1月号から12月号までのラインナップは以下の通り。
1月号 「昭和俳句の示唆するもの〜前衛俳句芸術派にいま思うこと〜」
2月号 「林住期を生きるということ〜細谷喨々句集『父の夜食』を読む〜」
3月号 「俳活という自由な終活〜北見弟花句集『馬鹿一の石』を読む〜」
4月号 「鳩として放たれる言葉たち〜夏井いつき句集「伊月集 鶴」を読む〜」
5月号 「よるべなくせつないものたち〜佐藤智子「ぜんぶ残して海へ」を読む〜」
6月号 「あとに残ったことばたちの旋律〜津睥け併辧崟K…召掘廚鯑匹燹繊
7月号 「遠く源義の声が聞こえる〜堀本裕樹句集『一粟』を読む〜」
8月号 「冷たい水の上を歩く言葉たち〜森賀まり句集『しみづあたたかをふくむ』を読む〜」
9月号 「とほくとはわたくし〜小川楓子句集『ことり』を読む〜」
10月号 「いくばくかの親しみ〜岸本尚毅句集『雲は友』を読む〜」
11月号 「戻られぬ地の片陰に〜蘇る大道寺将司の俳句〜」
12月号 「裏切りそうなことばたち〜越智友亮 句集『ふつうの未来』を読んで〜」


「雪華」7月号から「現代俳人列伝」を毎月連載中。
これは俳人紹介の本文と20句抄と略年譜で構成しており、アンソロジーとして執筆継続中。
7月号から12月号までは以下の通り。
7月号 「日野草城 都市生活者の詩」
8月号 「西東三鬼 生き難き世のエピキュリアン」
9月号 「三橋鷹女  前衛俳句の先駆作家として」
10月号 「石田波郷  張り詰めた韻文精神」
11月号 「橋本多佳子  さびしくも激しく揺れる抒情」
12月号 「細谷源二 生の希望と虚無の間に」


「雪華」誌の注文は雪華サイトの「お問い合わせ」にお願いします。

また「雪華」サイトの「散文置き場」には1年前の「現代俳句時評」の全文が随時アップされております。そちらもよろしく。


同人誌「アジール (Asyl)」は4月の創刊号から発行を継続し現在3号(秋号)が絶賛遅刊発行中です。

これね ↓
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同人誌「アジール」(500円)の注文、問合せは下記メールに。
創刊号、2号もまだ在庫あります。

haishi.asyl@gmail.com



ともかく今年も多くの人たちに助けられて1年なんとかやってまいりました。
来年も全力で前進します。

それではみなさま、よいお年を!

 

土曜日 

元旦。

皆さま、新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。


年末に所属結社誌の新年号がそれぞれ届いた。

「藍生」の1月号は、先に亡くなった瀬戸内寂聴特集。
黒田杏子主宰と寂聴師との特別な関係があっての特集である。いつもより100ページほど厚くなった読み応えのある内容になっている。

   黒田杏子 主宰詠より
顔施願施小春出離者小六月      黒田杏子
ひとり発つほほゑみて発つ小春日を

※瀬戸内寂聴師追悼作品「小春出離者微笑佛」より


   「藍生集」掲載拙句
秋風を聴いて帆布のごとく寝る    五十嵐秀彦
母国喪失南西の風やや秋暑
たましひのふたつに割れる花野かな
十三夜最上階から出航す


「雪華」1月号。
橋本喜夫主宰 新年巻頭言「超一流がわかる二流でありたい」
五十嵐秀彦 現代俳句時評「昭和俳句の示唆するもの〜前衛俳句芸術派にいま思うこと〜」
鈴木牛後 「「おくのほそ道」の文学空間に分け入る〜高野公一「芭蕉の天地」を読む」

   橋本喜夫 主宰詠より
アクリル板にあらたまの貌さらす   橋本喜夫
くだら野を妻とはぐれて歩きけり

   「雪月花」 掲載拙句
檸檬転がる笑はねばならぬやうに    五十嵐秀彦
夜を寒み第三ひばり荘啾(な)けり
ソビエトのソネット二篇冬隣
ボサノバの軒を落ちくる秋の前
十月の薔薇を挿す日のすずろごと

   「雪華集」 掲載拙句
まほろばはほろびの秋の海に屠る    五十嵐秀彦
書きかけの花野褪せゆく祝婚歌
少年の馳せゆく和音初時雨
声帯は父性の記憶冬初め
机より顔を剥がせば神無月


「雪華」公式サイトに「散文置き場」というコーナーがあり、「雪華」誌上に過去掲載された俳句以外の評論等がアップされている。
ぼくの書いた「現代俳句時評」は現在2018年10月号から2020年12月号まで、ここで読める。
鈴木牛後さんの「牛後の気になる句集/書籍を読む」も、2018年2月号から2020年12月号まで掲載中。
関心のある方はぜひ開いてみてください。


先月の現代俳句協会青年部勉強会「黒田杏子に聴く『証言・昭和の俳句』と平成令和の俳句」の様子が、youtubeで観ることができる。
これがすごい内容で、『証言・昭和の俳句』のウラ話やら、選句の姿勢やら、生き方などを黒田杏子さんが、なんと3時間も縦横に語る。
この動画は1月末までの期限付き公開なので、この正月のひとときにぜひご視聴を。

現代俳句協会青年部勉強会

金曜日 晴れ

大晦日。一年はあっという間だ。
ブログをさぼっているけれど、今年一年のことを一応書いて記録にしておこうかな。

今年は思えば節目のときだったのかもしれない。
長年勤めた職場を退職した。ようやく細々とだが文筆一本でいくことになる。
幸いやらせていただいている新聞や雑誌の仕事はまだ続いているし、不定期ながらなにかしらの原稿依頼もけっこうある状態なので、それなりに忙しい。

黒田杏子編の『証言・昭和の俳句 新装増補版』(コールサック社)では追加執筆者に加えていただくという幸運なこともあった。
同人誌「アジール Asyl」創刊準備号も出して来年に向けての種まきをした。
遅まきながら第2句集の準備にも着手している。
道立文学館の出前講座講師として様似町で講演するというのも自分にとっては新しい取り組みだった。これも来年に向けての一歩だったと思う。
さらに、来年度には北海道立文学館で特別展「細谷源二と斎藤玄」開催(2023年1月〜2月)も内定し、その準備も年明けから本格的に進めていくことになる。

そうそう、少し(かなり)畑違いだけれど、札幌演劇シーズンの劇評を書く機会にも恵まれた。これはしばらく続きそう。演劇はとても強い刺激を与えてくれるので大歓迎だ。

NHK文化センター札幌教室で続けている俳句講座ではすでに50人ほどの俳人についての講義を続けてきたが、それも来年には「雪華」誌に俳人アンソロジー形式の連載という形で活字化ができそうで、いずれ出版につなげることができたらいいなぁ。

例によって実力以上に仕事を抱えたがるのはぼくの病気のようなものなので、出来るかどうか考えるより先に動き出しているのはしようがない。

コロナの影響は確かにあった一年。俳句集団【itak】は通常年6回のところ半分の3回しかできなかった。イベントができなかった分、発信力が弱まったのは残念だったが来年は取り戻したいものだ。

以上、2021年をざっくりと振り返ってみた。

来年は、さて、どうなることやら。
皆さまどうぞよいお年をお迎えください。

Bjork “Who is it”
(ラーゼルとThe Bishops' Handbell Ringersとの共演)


金曜日 曇り

今月の3日に「文学フリマ札幌」が開催された。
俳句集団【itak】も出店。
フリマで売りやすい小冊子を作ろうということを前から考えていて、どうせやるなら次に繋がっていくような冊子にしたくなり新たに俳句同人誌を発行することにした。
なんやかや準備する時間は無かったので、今回は創刊準備号としてごく薄い冊子を「とりあえず」バージョンで作成することとなった。

同人誌の名前は「アジール(Asyl)」。
ドイツ語で、「避難所」「無縁所」を意味する。
「権力の及ばない地域、聖域」という意味を背景として持っている。
この名を付けたのは特に深い意味があるわけでもない。
同人それぞれが持つ属性から離れて、この俳誌の中では独立した自由な作家として作品発表をしてゆく、その基本的な思いを「アジール」という言葉に託してみたのである。

創刊準備号発行同人は、青山酔鳴、安藤由起、五十嵐秀彦、Fよしと、彼方ひらく、近藤由香子、村上海斗(五十音順)の7名。

準備号としては各自の作品10句と、五十嵐、彼方、酔鳴の散文というシンプルそのものの構成。
内容のシンプルさを象徴するように表紙絵や挿画は田島ハル氏の協力で線画のイラストを採用。
1冊200円の定価を付けてフリマで頒布した。

さて、準備号というからにはいつ本当の創刊号が出るのか。
一応、来年春に正式に創刊したいと思っている。
4月ごろかなぁ。そのあとは季刊発行を予定している。

なぜ同人誌? とも思われるかもしれない。
それは選を受けて作品を発表するのではなく、なんの権威も当てにせず、また集団で派を成すこともせず、あえて紙媒体という古いメディアを使い、そのメディアで届く規模の範囲で己の作品を自分の責任でただひたすら発表し続けるということをやりたくなったからだ。
これは結社誌ではない。句会報でもない。
ほそぼそと発行される同人誌という存在は、ほとんど無視され評価されることがない。
孤独そのものである。
それがわかっていてなぜやるのか。
孤独ということを身にしみて感じたいからだ。
俳人はなにかというと群れて互いに評価し合っている。
それはそれでいいのだが、その中でほとんどの俳人が文芸としての俳句の孤独というものを考えることなく過ごしている。

表現するということは根底に深い孤独があるはずじゃないのか。
ぼくは今回の同人誌で、仲間の同人たちにも孤独というものを考えてもらいたい。
「宴」だけでない「孤心」の存在を感じ取りたい。
そこにこそ同人誌発行の意味があるんじゃないだろうか。

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同人誌「アジール」創刊準備号は残部僅少ですが、在庫がある範囲で販売いたします。
注文は下記アドレスまでメールでお願いいたします。
haishi.asyl@gmail.com





金曜日 快晴

昨日、版元コールサック社から出来立てホヤホヤの『証言・昭和の俳句 増補新装版』が送られてきた。

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(増補新装版)

この本は、平成14年に角川書店から『証言・昭和の俳句』(上下巻2冊)で刊行されたもの。

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(平成14年角川版)


当時、現役だった大物俳人たちに黒田杏子が1対1で取材し、聞き取りにもとづき編集した。

大物俳人とは
桂信子
鈴木六林男
草間時彦
金子兜太
成田千空
古館曹人
津田清子
古沢太穂
沢木欣一
佐藤鬼房
中村苑子
深見けん二
三橋敏雄

13名だった。

黒田杏子はあくまで聞き手の役割に徹し俳人の発言を引き出し、それを自然なひとり語りのように編集している。
そして自選50句。さらに年譜も付いている。(今回、その年譜は前回刊行時のものがさらに補記されていた。)
それぞれの俳人は自分の生い立ちから俳句との出会い、昭和当時のさまざまなエピソードを自由に語っている。その中で、もちろん自分のことだけではなく、俳人生活の中で出会った多くの作家たちのことも語られており、この一冊を読めば戦前戦中戦後の激動の俳句史が手に取るようにわかるという実に得難い内容。
しかし平成14年の角川の版は古書市場でしか探せなくなり入手も簡単ではなくなっていた。

それが今年、当初上下巻の2冊組だったものを全1冊として復活したのは意義ある出版と思う。
この時代の資料が実はとても少ない。
つまり、戦前の新興俳句から戦時中の弾圧、戦後の解放と前衛俳句の勃興から、一転して保守化に向かった昭和の俳句史のことである。

この時代があって、そのあとの「平成無風」と呼ばれる30年の停滞期があり、また最近の若手を中心とした変革の時代を迎えつつあることを思えば、絶妙なタイミングの再販だろう。

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(金子兜太のページから)


さらに今回は、増補ということで、あらたに20名の執筆者がこの本についての論稿を寄せており、それが第2部として収載されている。

実はぼくもその中の一人として書かせてもらった。
この本のもうひとりの登場人物が西東三鬼であると書き内心ヒヤヒヤしていたけれど、関悦史さんもそのことを書いていて少しホッとしている。

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(20名の執筆者)

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(ぼくの稿のページから)

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(関悦史さんのページから)

最初の出版時に税抜きで1冊1700円で2冊だったことを思えば、今回の3300円(税込)というのは高くない。
昭和俳句史の資料として常備しておきたい1冊だ。

アマゾンのページ。

木曜日 曇り

今日、久しぶりに曇りがちの一日で、ときどきミストのような雨が降った。
まだまだ暑いが、これも8月になると一転して秋風が吹き始めるのが北海道。
夏は短い。
ぼくは暑い夏が好きなので、今年はいい夏だと思っている。

今日、「藍生」8月号が届く。

「小熊座」の武良竜彦さんの「句集『木の椅子』増補新装版〜巡礼・魂の道行きへのオリジンの輝き」が掲載されていた。
30頁に及ぶ力作。
ぼくのことや、ぼくが前に「藍生」に書いた黒田杏子論「灰燼に帰したる安堵」に言及してくれていて、恥ずかしいがうれしかった。



    「藍生」2021年8月号 主宰詠より
 ある年の母庭中に罌粟咲かせ     黒田杏子
 ほほづきの初花樺美智子さん
 昇る日に大山蓮華雲厳寺

    「藍生」2021年8月号「藍生集」拙句より
 灯を消して蝶の気配の仏生会     秀彦
 送る日のおぼろの鍵を受け取りぬ
 荷風忌のキネマに急ぐ帽子かな
 約束は桜の下の車椅子


誌上で、『証言・昭和の俳句 増補新装版』(コールサック社)が8月15日刊行されること。そしてその広告が掲載された。
これは平成14年に角川出版から上下巻で発売されていたものを、今回一冊にまとめ更に20人の俳人のこの書に関する論稿を増補したもの。
出版当時まだ存命だった13人の俳人たちに黒田杏子先生が聞き取り、それをあたかもひとり語りのように編集したもので、まるで目の前で語っているかのような臨場感がある。
13人の俳人というのは、桂信子、鈴木六林男、草間時彦、金子兜太、成田千空、古館曹人、津田清子、古沢太穂、沢木欣一、佐藤鬼房、中村苑子、深見けん二、三橋敏雄。
語りのほかに、それぞれ自選50句と略年譜がついているのも資料的に大変貴重だ。
最初の出版時に比べて今これが出ることの意義はさらに重い。
この13人が経験した激動の戦後俳句の熱気が、平成30年の長い眠りにあった俳句界を目覚めさせることにもなるだろう。
 
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ところで、最近「札幌演劇シーズン2021・夏」の劇評に参加することになった。
このイベントは2012年から始まった取り組みで、一年に夏と冬の2回、複数の劇団の演目を集中的に上演するという内容。
今回の「夏」では、7月17日から8月21日までシアターZOOやコンカリーニョ、Block、かでる27を会場として開催されている。
劇評は公式ホームページ「ゲキカン!」で読むことができるので、ぜひ読んで興味があれば劇場に足を運んでください!



日曜日 曇り、ときどき雨 寒い

コロナ禍とやらで不自由な日々が一年以上続き、そしてまだ出口が見えていない。
大人数のイベントが実にやりにくく、俳句集団【itak】にとっては大いに打撃となっているが、それでも工夫を重ねてなんとか忘れられない程度には継続している。
ただ北海道も再び感染者が急増していることもあって5月のイベントは中止することにした。
みんなが楽しみにしていた橋本喜夫さんの「ブソニスト」の講演は7月に延期。

もし7月にitakが開催できないようなことになっていれば、オリンピックも中止にしてほしいものだ。


「藍生」と「雪華」の5月号が届いている。
句会などが思うにまかせない状況のなかでは、こうして定期的に刊行される結社誌が俳人活動の基盤として重要になっているようだ。

「藍生」5月号、なんだかいつもより厚い。
井口時男『金子兜太 俳句を生きた表現者』の特集号になっている。
主宰の黒田杏子先生がなにか思い付くと、原稿がいっぱい集まるところに藍生らしさがある。

     「藍生」5月号 主宰詠より
 余花一片あかときの天蒼ければ   黒田杏子
 遠くに行きたい永さんと余花の佐渡

     「藍生」5月号「藍生集」掲載拙句より
 雪の上に一歩カンタービレで二歩    五十嵐秀彦
 持て余す言葉の嵩や六つの花
 雪後の天永き書翰の終るとき
 丈高き白樺となる雪野かな

「雪華」5月号の現代俳句時評連載では「私と書けば書くほど非私となる」というタイトルで鴇田智哉さんの句集『エレメンツ』(素粒社)を取り上げさせてもらった。

     「雪華」5月号 主宰詠より
 斑雪山仮葬のごとく聳えたり    橋本喜夫
 空へ空へ無数の階段へ雲雀

     「雪華」5月号「雪月花」掲載拙句より
 叫(おら)びては此の世出てゆく雪朧   五十嵐秀彦
 端座して冬の鴎が弁明す
 厨房のをんなに告げる春一番
 鼓草人をあやめし夢ののち
 かりたてることばの春や職を辞す

      同誌「雪華集」掲載拙句より
 水温むイエスの髭を誰(た)が剃りし   五十嵐秀彦
 楡立てり述語のごとき春の雪
 前世紀今世紀すみれ踏みゆく
 鳥曇鳩尾深きぬかるみへ
 人麻呂忌左耳から始まる夜
 倦みて帰る雪解朧の夜になりけり

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