無門日記

ことばで/一羽の鴎を/撃ち落すことができるか    寺山修司

ブログを1年休んでいる間にいろいろなことが起きた。
角川の「令和俳壇」選者もそのひとつ。

昨年の角川「俳句」6月号から、「平成俳壇」が「令和俳壇」に模様替えした際にぼくが新選者として加わった。
どうしてそうなったのか、理由はよくわからない。なにかのはずみのようなものだろう。
選はこれまでもいろいろやっているので、特に抵抗はなかったが、角川についてはその投句量に腰を抜かした。
約2千枚のハガキ。1枚3句なので毎月6000句に目を通すことになってしまった。
これはもう肉体労働。しかし、これほどの数の新作俳句を読むことは実に勉強になる。
やってみてつくづくそう感じている。

俳句はうまいだけでは光らない。
あるいは、個性的表現と作者が思っている措辞がかえって陳腐にもなりがちだったり、俳句文芸の難しさを今さらのように思い知らされている。
「令和俳壇」の選者は10名。ぼくはその中のひとりなので、誰に言われたわけではないが自分の役割というものを自覚してもいる。
巧みで風格のある句は他の選者が見逃さないだろう。そのかわりぼくは、破綻を恐れず挑戦している句、たとえ多少キズがあっても気にせずに積極的に、冒険の句こそ選んでいきたい。それが自分の役割だ。

思えばぼくが俳句を始めるきっかけとなったのが、この「俳句」誌の「平成俳壇」だった。
初めての投句を草間時彦先生が推薦句として取ってくれた。
あれがなければ俳句を続ける気にはならなかった。
そして当時やはり選者だった黒田杏子先生がしばしば取ってくれたのが、先生との出会いとなり、藍生の門をぼくに叩かせたのである。

当時のぼくの句は前衛現代詩の切れ端のようなものばかりだったので、なぜ黒田先生がそんな句を選ぶのかわからなかったが、俳句という詩の懐の深さ、黒田杏子という俳人の大きさを知らされた。それが角川の「俳壇」欄だった。
いま、ぼくが選者の立場になり、この「令和俳壇」で何ができるか。

それは、自分にしか詠めない俳句を追い求める挑戦者に勇気を与えることだろう。
かつてぼくが勇気をもらったように。

今月も角川「俳句」4月号がすでに書店に並んでいる。

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おそろしいほど長期間ブログを放置してしまいました。
1年以上もだんまりをしてしまいごめんなさい。

さて、前回から今日まで、山ほどいろいろなことがありましたが、それはおいおい書くことにして、当面の新しい情報をupしておこうと思います。

昨年10月から、辻脇系一先生のピンチヒッターとしてNHK文化センター札幌校で次の2つの講座を担当しております。

1、火曜教室「楽しい俳句 実作指導と秀句鑑賞」
 第1、第3火曜日 10:00〜12:00

2、土曜教室「俳句入門 現代の俳句の鑑賞と実作」
 第3土曜日 13:30〜15:30

どちらも句会形式の授業に、有名俳人の人物・作品鑑賞の講義を加えたものです。
現在まだ残席あります。

さらに4月から新規に、次の講座を開講します。

3、夜間教室「ゼロから始める俳句入門」
 第1、第3火曜日 18:30〜20:30

俳句に興味があるのだけれど、昼は仕事で忙しい。週末は貴重な休日なので大切にしたいという人に最適な平日の夜間講座です。
内容は1と2の講座と同様に、句会+秀句鑑賞となりますが、参加者のレベルを見てわかりやすい講座にするつもりです。

札幌・近郊にお住まいで、俳句やってみたいなぁと思っている人にぜひ検討していただきたいと願っております。

どの講座も途中からの参加可能です。また見学も随時受け付けています。
詳しくは文化センターのホームページでご確認するか、センターに電話(011−222−5011)で問い合わせください。
教室は大通西4丁目道銀ビル12Fにあり、地下鉄大通駅直結と便利な場所にあります。

なお、新型コロナウィルスの影響で、同校も他のカルチャーセンター同様3月末まで全て休講となっておりますが、日中は職員のかたが出ておりますので、電話問合せや申込み可能です。
またネットでの申し込みもできます。

あらたな出会いを楽しみにしています。
一緒に俳句を学びましょう。


2020-03-17

月曜日 曇り

2月2日から北海道立文学館で特別展「北海道の俳句〜どこから来て、どこへ行くのか〜」が開催されています。


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この特別展の企画に参加して、展示名を「どこから来て、どこへ行くのか」というゴーギャン風のものにしたのにはそれなりの意味がありました。

「北海道の俳句」、と言ってしまうとそれは「長野の俳句」でも「愛媛の俳句」でも地名を入れればもちろん成立するものと同じに見られてしまうでしょうが、しかし北海道には他の地域にはない特色があります。この展示はそこに焦点を当てたものです。

俳句は日本中どの地域にもある文芸です。そしてそれは江戸時代から長い文化の堆積の中で今に至っています。
たとえ現代俳句と呼んでも、その土地には数百年の俳句文化が土壌としてあるはずです。

しかし北海道は違っていました。
北海道の俳句というものは、全て外から持ち込まれたところから始まっているのです。
明治の初めの混乱期に、入植者だけではなくさまざまな人たちがこの地に流れてきました。

たとえば秩父困民党事件で獄につながれながら脱走し石狩に来てそこで身分を隠して俳人として活動した井上伝蔵などはその典型でしょう。

入植者たちは国元で開拓団をつくりこの地に夢を抱き渡ってきました。彼らを待っていたのは生存さえ困難な酷寒の気候でした。その中で俳句は生きるよりどころとなっていたはずです。

農業だけではなく、漁業も同じ事情でした。また屯田兵として国の防衛戦略のためにこの地に生きた人たちも多くいます。彼らの中にも俳句は息づいていました。

戦前戦中に、俳句弾圧があったことは知られていますが、その弾圧の影響を受けて移り住んで来た人たちもいます。
代表的な人物として、細谷源二がいました。彼は新興俳句弾圧の犠牲者でしたが、その後十勝の地に入植。結社「氷原帯」を創りました。


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(細谷源二直筆「地の涯に倖せありと来しが雪」)



樺太で結社「氷下魚」を創った伊藤凍魚は戦後、引き揚げてきて道内で「氷下魚」を復刊しました。

国のエネルギー政策で特に戦後巨大化した炭鉱は多くの人々を道外から集めました。そこでは労働組合を中心とした俳句活動が活発になされていました。

こうした歴史を振り返って見たとき、明治以降の日本の、激動の歴史に翻弄されてきた民衆の姿が見えてきます。
厳しい生活の中で灯し続けた言霊としての俳句の存在が浮き上がってきます。

北海道は歴史が浅いと同時に、多くの試みが成功であれ失敗であれ歴史上の使命を終えたときにその記憶も薄れていってしまう地です。
弾圧からの逃亡、入植、屯田兵、樺太、炭鉱…。
すべて記憶の彼方に消えていこうとしています。

それと同時に俳句も消えてしまうのでしょうか。
しかしこの地で今も続いている俳句文芸はこうした民衆の歴史の上にあるはずです。

地味ではあるけれど、そのことを今、語り継ぐ展示をしなければ資料は散逸してしまうし、保管されている資料もその歴史背景を忘れられてしまうでしょう。
北海道の俳句はどこから来たのか。
北海道の俳句の現在はどのようなものなのか。
そしてぼくたちはこれからどこへ行こうとしているのか。

地味ながら壮大なテーマになってしまいましたが、文学館の職員の皆さんの努力でなんとか民衆文芸としての北海道の俳句の歴史を展示できたと思っています。

この展示会は、北海道にこんなすばらしい俳人がいた、こんなすばらしい作品があった、という類のものではありません。
時代に翻弄されながら俳句を呟き続けてきた無名の俳人たちと俳句の歴史を振り返る展示です。
民衆の歴史を通して俳句を知る。俳句を通して民衆の歴史を知る。
それが目的と言っていいのだと思います。

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また多くの現役俳人の皆さんのご協力で、「現在」の展示もかなり充実したものになったと思います。さらに北大大学院で研究が進められているAI俳句のデモシステムが設置されたのも特色です。

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もちろん当初思ったようにはいかないことも多数ありました。
なにより既に過去の資料が散逸し、記憶も消えているものが多かった!
そのことは、逆に言えば今これをやって良かったということでもあります。
あと5年後にはこうした展示はもう出来なかったでしょう。



今回の展示で取り上げなければ月日の流れの中に完全に消えてしまっていただろうことのひとつに、アイヌ民族の俳人・平野力蔵さんのことがあります。
アイヌ文芸というくくりをしてしまうことには問題があるのかもしれません。それを考えると難しいものも感じましたが、しかし、忘れてはいけない事実として取り上げる意味はあるはずだと考えました。

自分がアイヌ人であることを隠すことなく、誇りを持って生きたひとりの俳人がいる。
平野力蔵という人。そんな話しを聞きました。
彼のことを今語ることのできる唯一の人が新ひだか町在住の俳人鈴木築峰さんです。
ぼくは築峰さんの自宅を訪問しました。
そのことから展示の一画に、小さいながらコーナーを作ることができました。
ささやかな展示ではありますが、北海道俳句史の中にほとんど無名だった彼の名を、初めて刻むことができたのです。

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この特別展の特徴には展示期間中に開かれるイベントの多彩さもあります。
展示というものはあくまで物が並べられているだけです。「どこから来て、どこへ行くのか」の「どこへ行くのか」については展示のしようがないのです。それを併行して開催されるイベントを通して考えるという構成になっています。




まずその第1弾として今週日曜日の24日に開催される「大学生の公開歌会句会」です。
その内容は下記のとおり。

俳句展記念「大学生による公開歌会・句会」
〜俳句vs短歌 異種格闘技戦〜

日時:2月24日(日) 14:00〜15:30
場所:北海道立文学館 地下講堂

コメンテーター 山田航(歌人)、五十嵐秀彦(俳人)
短歌実作者   岐阜亮司・宮川漣・山口在果(北大短歌会)
俳句実作者   音無早矢(道教大札幌)、村上海斗(北海学園大)、角田萌(道教大旭川)

聴講無料 定員60名(先着順)

俳人も歌人もそれぞれ俳句・短歌を作り、2チームに分かれて「俳句甲子園」形式で対戦。
かつてなかったハイブリッドで刺激的な企画。
勝敗はあなたが決めます!観客参加型イベント。




その後も次のイベントが企画されています。
全て入場無料ですが、「大学生の公開歌会句会」以外は予約が必要ですのでご注意ください。

々嶌臓孱腺匹俳句を作るまで」(仮題)
 3月9日(土)13:30〜16:30
 聴講無料 定員80名 要予約(2月23日より)

∈唾眠顱嵋務て擦稜亢隋舛匹海惺圓のか〜」
 3月16日(土)14:00〜15:30
 出演:五十嵐秀彦・安田豆作・瀬戸優理子・松王かをり・鈴木牛後
 聴講無料 定員80名 要予約(3月2日より)

K務て司験愆枅亢臂浹念講演会
 3月17日(日)14:00〜15:30
 講師 佐藤文香
 聴講無料 定員80名 要予約(2月2日より)




11日の北海道新聞朝刊に特別展が紹介され、ぼくのインタビュー記事も掲載されました。
ひとりでも多くの来館者をお待ちしております。

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木曜日 雪 真冬日が続いている…

さて、また1ヶ月以上ブログ更新を怠けていました。
この間、たくさんのことがありました。

1月11日、北海道文学館俳句賞選考会。
13日、愛媛の松山市で開催されたまる裏俳句甲子園に今年も審査員として、北海道チームの仲間たちと参加。夏井いつきさんと再会。
16日、17日、北海道新聞紙上に、文学館俳句賞大賞、各賞受賞者公表。
19日、俳句集団【itak】第41回イベント開催。
 若き中津箒作家の吉田慎司さんの講演「アートクラフトから見た俳句」。
21日、東京で開催(東京會舘)で、鈴木牛後さんの角川俳句賞贈呈式に出席。
 昨年の7月以来久しぶりに黒田杏子先生と再会。たくさんの俳人たちと会う。
25日、角川「俳句」2月号で、ぼくが同誌6月号からあらたに「平成俳壇」(改元にあわせ名称変更予定)の選者となることが発表される。

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そして、2月2日、北海道立文学館で特別展「北海道の俳句〜どこから来て、どこへ行くのか〜」が始まりました。
この日はオープニングセレモニーと内覧会。
文学館俳句賞授賞式と、辻脇系一さんの基調講演もありました。

この特別展は3月24日まで開催されます。
幕末から現代までの北海道俳句史の全貌が把握できる貴重な資料が展示されており、この規模の俳句展は今後しばらくないことでしょう。
会場には北大で開発されたデモシステム「AI 一茶くん」も入館者をお待ちしております。

また、期間中、講堂にて以下のイベントが予定されており、こうしたイベントを通して北海道俳句の未来を展望しようという立体的な企画となっています。


今後開催予定のイベントについて
’亢臈元念「大学生による公開歌会・句会」
 2月24日(日)14:00〜15:30
 聴講無料 定員60名(当日先着)

講座「AIが俳句を作るまで」(仮題)
 3月9日(土)13:30〜16:30
 聴講無料 定員80名 要予約(2月23日より)

座談会「北海道の俳句〜どこへ行くのか〜」
 3月16日(土)14:00〜15:30
 出演:五十嵐秀彦・安田豆作・瀬戸優理子・松王かをり・鈴木牛後
 聴講無料 定員80名 要予約(3月2日より)

に務て司験愆枅亢臂浹念講演会
 3月17日(日)14:00〜15:30
 講師 佐藤文香
 聴講無料 定員80名 要予約(2月2日より)

とりあえず概要だけ取り急ぎ書きました。
俳句賞と特別展についてはまた日を改めて詳報をアップいたします。

まずは札幌市中島公園の北海道立文学館に足を運んで、自分の目で展示をご覧いただきたく、お願いいたします。

俳句集団【itak】の公式ブログにも特別展について書きましたので、そちらにもお立ち寄り下さい。

http://itakhaiku.blogspot.com/2019/02/blog-post_13.html


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日曜日 雪

今月は俳句集団【itak】第41回イベントがあります。

9月のイベントが地震で中止になり実施できなかった講演「アート・クラフトから見た俳句」をやりますよ!


講師は中津箒作家の吉田慎司さん。
34才の若き芸術家です。

例によって参加費は500円ぽっきり。
講演の後に句会がありますが、講演だけの参加もできます。

日時 1月19日 13:00〜
場所 北海道立文学館講堂

興味のある方、どうぞ気楽にぶらりとやって来て下さい。
どなたでも参加できます。


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詳しくは俳句集団【itak】公式ブログを参照!

金曜日 曇り


早四日となりました。

新年おめでとうございます。

今年もぼちぼちとブログ更新していくつもりです。

facebook twitter もよろしくお願いいたします。



 ふりむくなふりむくな うしろには夢がない   寺山修司

また一年のはじめにこの言葉を噛みしめております。



大晦日から正月二日にかけて、俳句の仕事で家を離れておりました。
なんだか奇妙な3日間。
いきなり非日常から始まった今年です。なにかまた大きな変化を経験できそうな気もしています。



どうぞ変わらぬ御交誼をよろしくお願いいたします。


古里に穴あり白き御慶あり     秀彦



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土曜日 雨、のち晴れ

午前中、バケツをひっくり返したような豪雨(古臭い表現だなぁw)。
スマホがしきりに警報を鳴らすのには驚かされた。
「避難準備」の警報。
最初はまた地震?と思い、次に洪水?と思ったら、「土砂崩れ」という。
どうもちかごろ極端なことが多いようだ。


Amazonに注文してあった待望の角川「俳句」11月号が届いた。
盟友・鈴木牛後さんの角川賞受賞作品の掲載号である。
あらためて受賞を実感して、ジワーと感動。(まるで自分のことみたい)
彼とは2012年にともにitakを立ち上げた仲間であり、結社も同じ「藍生」「雪華」である。
2010年にぼくのやっているメール句会「迅雷」に彼が飛び込んできたときからの付き合いで、最初は「牛鈴」という俳号だった。
8年間、ともに歩んできて、itak旗揚げという冒険も一緒にやってのけた。
少し山師っぽいところがあるぼく(自覚してるんよ)と違って、いつも落ち着いている牛後さんは、いるだけでその場の重石になってくれている。

ついにやったなぁ、と思っているのはぼくの方で、牛後さん自身はきっとこれも途中経過のひとつに過ぎないと思っているかもしれない。
それぐらい彼には他にない個性がある。
その個性をどう表現するか、これが意外と難しい。

 仔牛待つ二百十日の外陰部
 ちやりぢやりとタイヤチェーンの鳴る初荷
 雪解風蝶の欠片を翅と呼び
               鈴木牛後「牛の朱夏」より

酪農家である彼は受賞作でも徹底して酪農の現場をモチーフとした句で通した。
それを「働く者の俳句」と捉える人もいるかもしれないが、そういう見方は当たらないと思っている。
ではどこに個性があるのか。それはどんな個性なのか。
都会的で軽々とした作品を発表する人が多いのが最近の傾向のようだが、彼はまったく違う場所に立っているような句を書く。
酪農というモチーフがそうさせているのか?
いや、そうではない、という直観だけはあるのだが…。
ぼくは受賞作「牛の朱夏」50句を、じっと見つめている。

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明日、中島公園の北海道立文学館で下記イベントがある。

「北海道文学館 公開歌会・句会」
10月28日(日) 14:00〜15:30
場所 北海道立文学館 地階講堂

実作者として次のメンバーが揃う。
<短歌> 岡美紗緒、千葉優作
<俳句> 辰巳奈優美、音無早矢
<川柳> 落合魯忠、鈴木厚子

パネリスト
<短歌> 大塚亜希
<俳句> 五十嵐秀彦
<川柳> 浪越靖政

コーディネーターはいつものように内田弘さん(北海道歌人会代表)。

実作者が発表する作品を、ジャンルを超えて語り合うというハイブリッドな歌会句会。
それを観客を入れて公開でやる企画である。

入場無料なので、ご都合のよい方はぜひ見に来てください!

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月曜日 晴れ

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ぼくの所属する雪華俳句会の俳誌「雪華」で昨年1月号から毎月「現代俳句時評」を書かせてもらっている。
欠かさず連載し、もう22回になった。
そのバックナンバーをちょっとまとめてみる。


「雪華」誌 「現代俳句時評」

2017年
1月号 現代俳句時評〜佐藤文香の指向性〜

2月号 「天使の涎」〜饒舌な現代〜

3月号 「然るべく」「ただならぬぽ」〜逃げる言葉を追う〜

4月号  高野ムツオ「片翅」〜まつろわぬもの〜

5月号 北海道新聞「新・北のうた暦」連載〜北方俳句に光を〜

6月号 「虎の夜食」「フラワーズ・カンフー」〜自由で多様な試み〜

7月号  金子敦「音符」〜変容する存在の輪郭〜

8月号 第二十回俳句甲子園北海道地区予選〜鋭い感受性〜

9月号 故郷喪失の詩〜櫂未知子「カムイ」を読む〜

10月号 瀬戸優理子を読む〜日常から生まれる非日常〜

11月号 松王かをり「未来へのまなざし」を読む

12月号 50歳未満の作家たち〜「天の川銀河発電所」〜


2018年
1月号 やわらかな急所〜福田若之「自生地」を読む〜

2月号 盒彊ゝ彦「石の記憶」を読む〜死への恐怖と存在からの逃避〜

3月号 岩淵喜代子の第6句集「穀象」を読む〜吾ではなく他者でもなく〜

4月号 金子兜太の遺してくれたもの〜「現代」とは何か、「前衛」とは何か〜

5月号 依田明倫に花鳥諷詠を読む〜夏至原野男の最後どうだつた〜

6月号 三品吏紀と福井たんぽぽの世界〜第5回芝不器男賞応募作品を読む〜

7月号 トリビアルな俳句ということ〜上田信治句集「リボン」を読む〜

8月号 森田佳代子「雲の図鑑」、斎藤信義「雪晴風」を読む

9月号 人工知能は電気俳句の夢を見るか?〜AIと俳句の試みについて〜

10月号 放棄からの詩〜山田耕司 句集「不純」を読む〜



もし読んでみたいという号があれば、ぜひ雪華俳句会の公式サイトのメールで問い合わせを。




今夜の音楽。
あがた森魚さんの「星のふる郷」。
吉田拓郎や井上陽水が脚光を浴びていた70年代前半にあって、よくこれほどの孤高の世界を作り上げたものだと感心してしまう。

あがた森魚 - 星のふる郷

金曜日 晴れ、寒い

上原ひろみ "ALIVE"


youtubeでジャズピアニストの上原ひろみの演奏を聴く。
聴きながら、なにやら考えた。

彼女の音は、ぼくが高校から大学時代にかけて夢中になったジャズの音だと感じた。
あの時代から彼女のデビューまで、およそ30年のギャップがそこにはある。
70年代前半。マッコイ・タイナーなどを代表的なアーティストとした、ポスト・コルトレーン時代。
当時は新主流派とか呼ばれていたものがそれだった。

いまジャズというとどんな音楽を連想するだろう。
どこか落ち着いた保守的なジャズが、大人の音楽として捉えられてるように思う。
70年代後半からロックやポップと合流したジャズが、一時は新しい音楽として脚光を浴び、それに飽きると次は保守化したカクテルジャズのようなものがいわゆる「大人の音楽」と呼ばれて蔓延る状況になり、すっかり腑抜けになった印象がある。

上原ひろみの音は、ぼくには帰るべきジャズの音のように思えた。
70年代の中ほどまで、ロックが商業ベースのバイアスで変質するのを横目に見ながら音楽表現の最前線にいたのはジャズだった。
そこには、生き生きと、自由に、未踏の地平を切り拓く力があった。
これからジャズが再びその道にもどるのかどうか、ぼくは知らない。
ただ、ぼくがこの音の時代を呼吸した人種であるということを、なんとなく感じたのである。

単に音楽のことを言っているのではない。
文化のことを言っている。
この匂い、この姿、この気迫が、体に染みついている文化だと思う。

つまり、俳句も同じ、と思いは飛躍する。

ぼくにとっては、俳句も上原ひろみの音楽も同類のものなのだ。
それは保守的で成熟した文化ではなく、形而上学的な前衛でもなく、伝統芸能化したエセ前衛でも、また最近広がりつつある都会的で洗練されたタダゴト俳句でもない。
燃えるような魂で、存在に肉迫する表現者の姿が、原郷のように思える。

たぶんそんな文化は、今の若い世代にはめんどくさいほど田舎くさいものに違いない。
でも田舎くさいこととは、辺境ということではないだろうか。
新しい時代は辺境からしか生まれないのではないか。
洗練は心地良いかもしれないが、きっとなんにも生み出さない。

ぼくは彼女の音楽を聴いて、そのことを考えていた。
つまり、俳句のことを考えていたのである。

保守化と商業化の底に沈んでいたジャズの世界から、不死鳥のように彼女が現れた。
そうであれば同じように、保守化のどん底にある俳句の世界から不死鳥のように「現代」の俳句が現れる可能性もあるだろう。
少なくとも、この「音」があらわしている文化が身にしみているぼくらの世代が、保守化した俳句(これは伝統俳句だけを言っているのではなく前衛俳句も含めて言っている)を否定しなければならない状況にいるのかもしれない。

リラックスするためにだけジャズがあるのではなく、リラックスするためだけに俳句があるのではない。
存在に迫ろうとする者がいて、文化はより高みへ、さらなる深みへと向かう。

がんばろう、そう思った。

木曜日 晴れたり曇ったり雨ふったり

峠は雪、でしょうか?

土曜深夜(実際は日曜未明)26時30分からのHBCラジオの「サブカルキック」という番組に先日出演させてもらいました。
先週の13日のこと。
「第2回サブカル句会」。
第2回ということから分かるように前にもやっちゃってる。6月だったかな?
前回も投句がいっぱいで1回では済まず2週やりましたが、今回も20日に後編が放送されます。
20日の26:30。21日の2:30ってことね。(あ〜まぎらわしい…)
前編はradikoのタイムフリーで聴けますよ〜!
その際は13日のプログラムの26:30のところで再生して下さい!


前編は「サブカル句」と「ネット世代句」を中心に選句しました。
次回後編は、お待ちかね「エロ句」と「マジ句」で行く予定。
深夜放送ならではの「エロ句」にご期待下さい。

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昨日の北海道新聞朝刊の「新・北のうた暦」で、鈴木牛後さんの句を紹介しました。

祈る手に骨のかたさよ蔦紅葉   鈴木牛後

「古い建物の壁を蔦紅葉が染め上げる季節になった。労働を終えた人が祈りの手を合わせている。教会の景だろうか。骨ばった頑丈な両のてのひらをひとつに合わせたときに、生きることへの感謝の思いがこみ上げてくる。作者は下川町の酪農家。夫婦で牛飼いの毎日をおくっている。今年の角川俳句賞の受賞を決めた気鋭の俳人である。  五十嵐秀彦」

「新・北のうた暦」は道新朝刊に毎日連載されている短詩型コラムです。
執筆は、ぼく・石川青狼・久保田哲子・安田豆作・高橋千草の5人の俳人と、田中綾・月岡道晴・山田航の3人の歌人で交代で執筆してます。ぼくは水曜日担当。
よろしくお願いします〜!


秋の夜長に、大好きなニーナ・シモンを。
名曲 "Black is the color"
いろんな人が歌ってるけど、ニーナが一番!


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