コロナによる度重なる延期、開講されてからも途中中断など散々振り回されながら船出したこちらの講座ですが、なんとか公演まで漕ぎ着けることができそうです。

 「私鉄沿線・B」。このクラスの劇団名ですが、みんなで考えていただきました。一人1〜2個名前の候補を持ってきてもらい、誰が考えたか分からないままシャッフルします。クジ引きで引いた名前を「自分が考えてきた名前」としてプレゼンしていただきました。人が考えたものに勝手に意味付けして、あたかも自分が考えてきたことのようにお話しする。いいと思ってもその反対でも熱を持ってみんなにお薦めする。そこには一つ演劇的フィルターがかかっていてそれ自体演技の稽古になるのですが、何より自分が考えたものって気恥ずかしくて推せないことも多いけれど、他人の考えたものであれば堂々と推せる。しかも本人が考えつかなかった意味・理由が付随していく。反対に本人の意図が汲み取られない可能性もありますが、とにかくこのやり方で最後まで貫き通しました。票の入らなかったものを取り下げて少しずつ数を減らしていき、最後はグループディスカッション。これも本心で語るよりは「役割」に基づいて演じていく。こうして最後まで残ったのがこの「私鉄沿線・B」でした。
 どなたが考えた名前なのか、未だ考案したご本人しか知りません。それが明らかになるのは7月の第一回公演が終わった後です。色んな街から色んな電車に乗って高槻に集まってくる皆さん。それぞれの人生があって、それぞれの動機があって、それぞれの個性があって、でもお互いにそれらを共有していなくって、コロナの影響で共有しにくくって、それでも稽古を重ねていくことで少しずつ言葉じゃない部分で感じあって、それが一つの作品に結実しようとする胎動をまさにブルブルと感じているところなのです。
 本番まで1ヶ月を切りました。稽古はあと6回。まさに正念場、時間との戦いです。まだまだやるべきことは多いけど、セリフもパフォーマンスもギュウギュウだけど、自信を持ってお客さんを迎えられるよう頑張ります!

 総勢17名による、現在と過去、あなたと私が入り乱れる規律と混沌のパフォーマンスをお楽しみください。


劇研アクターズラボ + サファリ・P
私鉄沿線・B『怪人二十面相』

ラボ『怪人二十面相』チラシ表

ラボ『怪人二十面相』チラシ裏


原作:江戸川乱歩『怪人二十面相』
脚本・演出:高杉征司
出演:青木荘吾、あるふ、河内千春、竹内香織、田村容子、長沢一馬、夏小屋丸Chiering、久生悦子、松岡美樹、水谷匠、薬師寺希佳、やすみん、柳田恵子、山口亜矢子
〈サファリ・P〉芦谷康介、達矢、佐々木ヤス子



ゆめもうつつもこの世界

1936年に発表された江戸川乱歩による児童文学の金字塔『怪人二十面相』は、美術品をこよなく愛する変装の名人「怪人二十面相」と日本一の名探偵「明智小五郎」との大闘争の物語。

発表から86年を経て、すっかり色褪せたそのトリックの数々。しかし、二十面相と明智(時々小林)の繰り広げる変装合戦は、時代を超えてなお、いや、今という時代だからこそ余計に我々の感覚を、その存在を揺さぶってくる。

ネットの世界で「誰だ、お前は」と日々うそぶく私。しかしその言葉は、「私」を絶対的な基準としていることに気付き、愕然とする。……「誰だ、私は」。

怪人二十面相の正体を暴かんとする者、行方不明の弟(犬)を追う者。そんな彼らが出逢うとき、個の感情の発露であった叙情詩は、 共同の意識を代弁する叙事詩となる。しかし、その叙事詩に英雄はいない。



京都公演


2022年723日(土) 〜 24日(日)

7月23日(土) 15:00 / 19:00
   24日(日) 14:00

・開場は開演の30分前
・上演時間は約60分


会場

THEATRE E9 KYOTO
京都市南区東九条南河原町9-1
TEL:075-661-2515(10:00〜18:00) ※毎週火曜日休館
Email:info@askyoto.or.jp


チケット

【料金】全席自由席

予約 2,000円
当日 2,500円


【取扱】THEATRE E9 KYOTO

◉ご予約はこちらから


スタッフ


舞台監督:下野優希
照明プラン:池辺茜
音響:森永恭代
照明オペ:茂木紀恵
衣装:佐々木ヤス子
フライヤー製作:いのまちあーみ
來來尸來
背景グラフィック:山口亜矢子

主催:NPO劇研
提携:THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)


問い合わせ

NPO劇研
090-8456-5211(制作)