『巴御前の道行』という作品に出演するのだけれど、お話をいただいたとき「多分、出るな、俺」と思った。私の胸三寸にかかっているというよりは、もっと直感的な部分で反応したように思う。企画の規模も概要も、ソフトの精査も条件も、何も聞く前から感じたヴァイブス。これは何かと考えてみる。そうして何やら思い出す。遠いのかそれほどでもないのかも分からない、ただ直近ではないという確信だけに支えられた怪しげな記憶。
古めかしい巻物をパタパタと広げ、何やら呑気に説明してくる父の姿。隣で微笑む母の相好。救急車のサイレンに触発され遠吠える名犬阿修羅のフロー。スチールのように止まった映像にも関わらず、音だけは今耳元で囁かれているように鮮明に響く。「というわけで、お前は巴御前の子孫だ」「……はぁ」。正確に言うと「巴御前の子孫」ではなく「巴御前の兄弟(兄だか妹だか忘れたが)の子孫」だったように記憶している。「というわけ」が何を指すのかは分からないが、恐らく眼前に広がる、この信憑性に乏しいトーナメント表みたいなもののことを言っているようだ。いつ、誰が作ったのか分からないが、いつでも、誰でも作れる夢のアイテム[家系図]。
学校の授業で「巴御前は架空の人物で、本当に存在したかどうかは分からない」と教わった時、なんだか自分の身体が、存在がその実態(実体)を失い、浮遊していくように感じた。地に足のつかない感覚、半透明の身体。
それ以来、何をしていても背後に巴の影を見るようになる。一騎当千の女武者。楽しい時も苦しい時も、悩める時も迷える時も、いつも私の背後で薙刀を振るっている。飲食店でお金が足りない時は貸してくれる。エレベーターに乗ろうとすると階段を使えとなじってくる。執拗に馬の乗り方を教えてくるが、無論私は馬など飼っていない。家系図など信じてもいないのに、やはり言葉には呪(しゅ)があるのだ。一度耳にしたが最後、人を縛り付けてしまうものなのだ。
私がご先祖さまと出会う旅。『巴御前の道行』にご期待ください!
生きる場プロジェクト × 朗読劇
作:英衿子 演出:田中遙


「最後の戰して見せ奉らん」
琵琶湖へ小旅行に来た旅人。
大津から湖西線に揺られ北に進む。
いにしえの琵琶湖に想いを馳せるうち、
彼は何故か初恋の人を思い出していた。
そして道中、旅人の前を覚えのある顔の
女性が通り過ぎる……
日没と同時に開始(16:30前後開始予定)
開場:13:00 受付開始:15:00
近江舞子 白汀苑
琵琶湖岸にて
滋賀県大津市南小松1095-20(宿泊施設「白汀苑」敷地内)
●電車でお越しの方
JR西日本湖西線「近江舞子駅」より徒歩15分
●車でお越しの方
湖西道路「比良インターチェンジ」より車で3分
◉ご予約はこちら
会場協力:白汀苑
提携:生きる場プロジェクト
企画・主催:『巴御前の道行』制作部
Special thanks !
クラウドファンディングコレクターの皆さま
古めかしい巻物をパタパタと広げ、何やら呑気に説明してくる父の姿。隣で微笑む母の相好。救急車のサイレンに触発され遠吠える名犬阿修羅のフロー。スチールのように止まった映像にも関わらず、音だけは今耳元で囁かれているように鮮明に響く。「というわけで、お前は巴御前の子孫だ」「……はぁ」。正確に言うと「巴御前の子孫」ではなく「巴御前の兄弟(兄だか妹だか忘れたが)の子孫」だったように記憶している。「というわけ」が何を指すのかは分からないが、恐らく眼前に広がる、この信憑性に乏しいトーナメント表みたいなもののことを言っているようだ。いつ、誰が作ったのか分からないが、いつでも、誰でも作れる夢のアイテム[家系図]。
学校の授業で「巴御前は架空の人物で、本当に存在したかどうかは分からない」と教わった時、なんだか自分の身体が、存在がその実態(実体)を失い、浮遊していくように感じた。地に足のつかない感覚、半透明の身体。
それ以来、何をしていても背後に巴の影を見るようになる。一騎当千の女武者。楽しい時も苦しい時も、悩める時も迷える時も、いつも私の背後で薙刀を振るっている。飲食店でお金が足りない時は貸してくれる。エレベーターに乗ろうとすると階段を使えとなじってくる。執拗に馬の乗り方を教えてくるが、無論私は馬など飼っていない。家系図など信じてもいないのに、やはり言葉には呪(しゅ)があるのだ。一度耳にしたが最後、人を縛り付けてしまうものなのだ。
私がご先祖さまと出会う旅。『巴御前の道行』にご期待ください!
生きる場プロジェクト × 朗読劇
『巴御前の道行』
作:英衿子 演出:田中遙

「最後の戰して見せ奉らん」
琵琶湖へ小旅行に来た旅人。
大津から湖西線に揺られ北に進む。
いにしえの琵琶湖に想いを馳せるうち、
彼は何故か初恋の人を思い出していた。
そして道中、旅人の前を覚えのある顔の
女性が通り過ぎる……
出演
江藤豊子、大国桜、金乃梨子、熊谷弥香、高杉征司、冨田春菜、春歌まりん、藤本隆志、松田裕一郎日時・会場
2022年 11月 6日(日)日没と同時に開始(16:30前後開始予定)
開場:13:00 受付開始:15:00
近江舞子 白汀苑
琵琶湖岸にて
滋賀県大津市南小松1095-20(宿泊施設「白汀苑」敷地内)
●電車でお越しの方
JR西日本湖西線「近江舞子駅」より徒歩15分
●車でお越しの方
湖西道路「比良インターチェンジ」より車で3分
チケット
前売・当日とも 3,000円[当日精算]◉ご予約はこちら
スタッフ・クレジット
照明:田中稔彦、音響:秋吉大地、フライヤーデザイン:前原茉莉子、宣伝イラスト:岡田明日香、宣伝写真:田中遙、演出助手:前原茉莉子会場協力:白汀苑
提携:生きる場プロジェクト
企画・主催:『巴御前の道行』制作部
Special thanks !
クラウドファンディングコレクターの皆さま
コメント
コメント一覧 (2)
いつもブログ興味深く拝見しています。
お誕生日おめでとうございます。実りの多い1年となりますよう。
Cさま
コメントありがとうございます!
気にかけていただき嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。
そしてCさまも素敵な1年を!