こんばんは、無二です。

かなり厚い本で原稿で1000pくらいあったようです。
読むのに6日かかったのかな。
1000ページというのは読むのにかなり時間がかかるわけですが
かかった時間以上に長く読んでいた読後感があります。
単純に物理的な意味で本が持ちにくくて疲れたというのもありますが
一番の理由は主人公の考え方というか感覚が感情移入しずらく物語に入り込みにくかったからです。
ですが随所に西尾維新さん独特の表現がちりばめられておりファンなら出会うと思わずニヤケテしまいますね。
ストーリーはまっすぐ進むはずもなく何度かそれまでの展開からは考えていないような方向に進行方向を変えます。
ただ、ストーリーを変化させる前にはきちんと前フリがあって次の予測を与えてくれるのでそれまでからすると思いがけない展開でも無理なくついていけると思います。
読み終えた一番の感想としては正直あまり他人に勧めたくなる作品ではなかったです。
理由は先にも触れたように主人公への感情移入が難しく、主人公の行動に疑問を持つことが多いからです。
前後の行動が食い違うようなむちゃくちゃな行動をするわけではありません。
確かに主人公の感性からすると取った行動は理屈に合うのかもしれませんが感情がその行動に納得できないのです。
そのため盛り上がるはずのシーンでも共感できずあまり胸にこなかったのです。
とはいえファンではない人には勧めにくくとも西尾さんの独特の言い回しや表現が好きな方が読む分には十分に楽しめるのではないかと思います。


以下ネタバレ。

あらすじを読むとどうやら剣藤犬かがヒロインのようだ、そう思って読み始めてみると幼馴染(花屋)が出てきてこれもまたキャラクターの造詣を読む限りではヒロイン的な扱いを受けている様子。
英雄譚というキャッチコピーだし複数のヒロインにモテモテになるタイプなのかな、そのように判断。
物語の大前提となる主人公の人となりが解説され、メインヒロインと思しきけんかとのファーストコンタクト。
そしていきなりけんか他によるジェノサイド展開。
サブヒロインかと思っていた花屋までも殺される。
父親や弟など名前すら出てくるまでもなく会ったら死体という有様でモブ扱い。
ま、まあ、まどかマギカでも3話だか4話で主要キャラのマミさんがあっさりと死んでしまったし、この死が今後の主人公に大きく影響を与えるような展開…なのかと思いきや全く動じない。
主人公の異常な感性を際立たせるためにヒロインっぽく作りこんだ花屋すらジェノサイドしてしまうとは…。
いささかもったいない気もしたが確かにこれ以上なく主人公を印象付けられた。

とにもかくにも装備をもらってヒーロー開始。
2・3話に渡って最初の怪人退治までが描かれるわけですが、これがなんとも地味なんですね。
後で何かしら必殺技的なものが追加されていくのだろうか…。

4話で新たな登場人物左在存。
このキャラの設定は個人的にはすごくいいなと思いました。
なぜ主人公にだけ見えるのかという点に関して必然的な何かがあればよかったと最初は思いましたが後から振り返れば明確な理由を推察・検証できるような状況ではなかったので必然だとわからないのが必然といいますか、あの状況としては極々自然なものだったんですね。

しかし5話にはいると早々に在存退場。
バトルにすらなってないって…。
主人公の感性からして味方の死亡シーンをどれほど盛り上げても主人公にとってはどうでもよかったで切り捨てられて終わってしまうので盛り上げるのがおかしいことになるのはわかるのですが。
主人公に感情移入するのが難しい以上はその他の魅力的なキャラクターに感情移入しながら読むことになるわけです。そんなお気に入りになったキャラクターが何の活躍もなく死亡し主人公に一顧だにされないというのは非常にストレスを感じました。

6話では死んだと思われていた花屋が実は蒟蒻だった、というありがちだけど一応は驚きの展開。
ヒロイン二人とともにヒーロー路線に戻ったはずが…地球の言葉と残りページ数から終わり方を察する。
細かいことなのですが主人公を気遣うけんかの言葉に対してここで主人公はありがとうございますと答えているんですね。
ここまで家族を殺したけんかに対して普通に接しつつも家族を殺した・殺された人間関係の線引きとしてありがとうというお礼だけは言わないと書かれていたのですがここでデレたのでしょうか?その割には主人公の感情の変化の描写がなかった気がしましたが。

7・8話で幼馴染とバトルして締めとなります。
最後の最後でヒロインのけんかを殺す時にありがとうございますとお礼をいうのですがここではじめてお礼が言えた、と表現されているんですね。
これは6話のありがとうございました、はなんだったのだろう。
単純なミス…はさすがにないですよね。
口にはしたけど要は心が伴っていないのでお礼ではない、という趣旨なのかとも思いましたが6話でそれらしき描写は見当たらない。
全体を何度も読み返せばわかるのかもしれませんが感情移入が難しい小説1000ページを読み込む気力がでなかったので解釈を諦めました。

最後に。
友人と最後の終わり方について少し話しましたが、友人はけんかを殺さないで続編を書くこともできたよね、とあとがきで西尾さんが主人公の続きが気になる、続きが書きたいと述べていることを根拠に言っていました。
ですが私はそうは思いませんでしたね。
最後の殺し方の表現は「抱き締めていた」です。
この表現は5話で主人公の無事を確認したけんかが抱きしめてきた時、在存が死んで魘されていたけんかが眠れるように抱きしめられた時、これらのときは抱き返せなかった主人公の気持ちの変化を首を絞めるとかけて涙というありふれた表現ではなく西尾さんらしい言い回しで表現したものだと思います。
抱き絞めるではなく抱き締めるなので物語として終わらせる意図をもって締めるという表記にしたと解釈するのが妥当ではないでしょうか。
つまり結論としてけんかは死ぬことが必然だったのです。
他の作家さんならけんかを殺さず続けれる終わり方をすることもできたと思いますが、西尾さんらしい終わらせ方をするために必須なのではないかというのが私の見解です。

それではまた。