村上総合法律事務所blog

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「業務妨害罪」(刑法第33条)とは、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて人の信用を毀損し、又はその業務を妨害すること」 です。
森友学園事件で問題になるのは、佐川宣寿元国税庁長官が財務局理財局長として平成29年2月24日から4月28日にかけて国会で「面会記録は破棄している」「政治家からの働きかけの記録は保存されていない」「地下ゴミの場内処分を財務局が指示したとの業者作成の会議録を事実無根と否定」「財務省室長と森友学園理事長との音声データの実在性を否定」 など虚偽の答弁を繰り返し、国の最高機関の一つである国会の審議を1年以上にわたり妨害したことです。
事実を隠蔽して虚偽の答弁をすることは、事実に基づき審議すべき国会の審議を著しく妨害する行為であり、偽計業務妨害罪が成立します。
本年6月19日会計検査院は、森友学園との国有地取引を巡り改ざんした決裁文書を提出した財務省の行為は違法なので再調査を行うと発表しました。会計検査院も財務省職員の行為が会計検査院の業務を妨害した違法行為だと認識していることを表明したと受け止められます。従って佐川らは会計検査院に対しても偽計業務妨害罪を犯したことになります。
そのことを見過ごしていた告発者は、偽計業務妨害罪でも佐川らを告発すべきであると思います。(弁護士 村上重俊)

「近ごろ話題の『家族信託』 ~相続・事業承継への活用」

「家族信託」、皆様も少しは耳にしたことがあるのではないでしょうか。「信託法」という大正年間にできた法律が、平成18年に改正になって19年から施行されました。個人の色々な財産の管理、財産の承継について信託という制度が活用できるように、大幅に制度が変わったのですが,正直な話、全然その後は流行りませんでした。平成27年から相続税が増税になり、基礎控除の切り下げ課税ベースが広がるという現象があり、そこで色々な相続がらみの対策に、これを使えないだろうかという話が出てきました。司法書士、税理士等が先行して研究していましたが、実際の活用例が増えてくるにしたがって、問題が出てきました。相続に関する事とか、裁判、家庭裁判所の調停とかで関わってくる弁護士こそがやらなくてはと思い、色々やっている次第です。世の中の皆さんにも、この「家族信託」のメリット、デメリットも知っていただけたらと思っております。
 本日のテーマは、老後の財産管理、相続問題、事業承継についての新たな手法である「家族信託」を紹介します。その背景として、成年後見制度というのがあります。自分で自分の財産を管理できなくなった人が、成年後見人という人を付けて管理する。その成年後見人を家庭裁判所が監督するというような仕組みです。これが最近は色々な問題が多い。私も後見人をやっております。後見制度も重要な法制度で使い易く更に変えていかなければいけないのですが、現状の運用ではどうしても限界があってできないこともある。若しくは家庭裁判所があまりにも消極的になり、家庭を救えない部分があり、その部分を埋め合わせるのに、この「家族信託」が非常に有効に使えることが注目されています。
 日本では家族で家庭の財産を管理するような歴史がずっと続いてきました。例えば、家族がお爺さんの通帳・印鑑を持って、引き出せた。それで滅多に不祥事も起こらなかった。ところが段々と世の中変わってきまして、家族であっても信用していいのだろうか。そもそも法制度自体は、自分の事は自分でやりなさいよとなっています。じゃあ、自分でできない人についてはどうするのかというと、成年後見制度を使いなさいということになっています。平成12年に成年後見制度も新たに変わり介護保険制度が始まりました。介護のサービスを受けるのに契約しなければいけない。自分で契約できない人については、成年後見人が契約するという仕組みを使ったわけです。法律制度の建て前は、自分の財産は自分しかタッチできません。できない人については成年後見人ですよ、ということが前提になっている訳です。自分や連れ合いも財産を適切に管理することができない時に、後見制度があてになるかというと、この後見制度に様々な問題が出てきています。一つは家庭裁判所が管理する非常に硬直的な制度になっている。二つは家庭裁判所の実際の運用です。運用自体が消極的で、柔軟な財産の活用ができない仕組みになっている。何にも備えないで認知症になった場合、現状では、預金の引き出しもできません。キャッシュカードで、暗証番号を家族が知っていれば事実上引出せますが、大金を動かしたいというのはできないことになる。それは年金が入る口座であっても同じです。
 後見制度は、当初は家族の親族後見人が主でしたが、最近はそうではなくなっています。身内の場合、自分の金と一緒になってしまう。それは家庭裁判所から見ると大問題で、後見人が勝手に使っているという発想で見られてしまうわけです。ただこれに関して言うと、本当に悪質な事例は、そう多くはないのではと私は感じています。しかし、家庭裁判所の目からみると、後見人が自分、若しくは家族のために使ってしまうということは、やはりまかりならんということになる。それについて家庭裁判所は、まず身内の人を後見人に選ぶのをあまりやらないようにしようと。財産があるという様なケースに関しては、司法書士や弁護士という専門家後見人を選任するという形で、家庭裁判所が自己防衛に回るようになってしまった。そうすると、本人の事も分からない赤の他人がいきなり財産の管理を始める。状況が分からない、これまでのことも分からない、ご本人の意向も分からない、そうすると最低限のどこからも文句を言われない、特に、家庭裁判所から文句を言われないように安全管理しかできないことになってしまう訳です。また、専門家後見人には家庭裁判所が決めた報酬を払わなければならない。本人の財産から頂くことになります。現在、東京家庭裁判所ですと、ある程度以上の資産規模がある方は、月額報酬5万円、年額60万円です。これでは長期間になると資産が尽きる可能性が出てきます。
 専門家後見人を付けないケースも今はあり、家庭裁判所は工夫しています。信託銀行に全部預け替をしてしまう。そこから定期的に必要なお金を普通口座に送金する。大金の引き出しが必要な時は、家庭裁判所に「指示書」をもらう、後見制度支援信託と言います。そう悪い制度ではないのですが、地方だと信託銀行の支店数が少ない。最近は地方銀行、信用金庫が預金で同様のシステムを始めています。このような形でお金をとにかく勝手に取られないようにするというような仕組みを守ることにしているのが現在の成年後見の制度です。
 また、成年後見制度には、相続税対策ができないなどの問題があります。「相続税対策」は本人のためのものではなく、相続人の利害のためのものだと。成年後見は本人のためのことしか許さないという訳です。そこで、成年後見では禁止される相続税対策も視野に入れた財産管理ができる方法として、「家族信託」という方法が、今たいへんに注目を浴びているのです。
 「家族信託」制度は、契約をして財産を受託者:信託を引き受ける人に移します。それは信託会社とか、信託銀行みたいなプロでもいいですし、家族であっても構わない。若しくは知り合いの誰か、お友達でも構わない、そういった人に財産を託す。それで管理をしてもらう。これは契約なので、中味を色々な決め方にできます。本当に手放しで任せることもできますが、その場合には受託者が悪い事をしたら、後見より酷いことになってしまうので、注意が必要です。しかし任せ方を自分で決められれば、任せる範囲も選べるというのが「家族信託」の大きな特徴ということになります。
 信託法の基は、英国の制度。中世のイギリスの十字軍、騎士(ナイト)が、聖地エルサレムを異教徒の手から取り戻すと戦争に行く訳です。ナイトは一家の主人です。主人が不在になりますので、領地の管理、その他に関して問題が生じた。そこで財産の名義人を友人に移し、管理を頼むが、実質的に利益はもとの名義人やその身内に残す仕組みが作られました。信託というものは三者当事者がいます。委託者:もとの財産の持ち主。受託者:その財産の名義人になって管理する人。受益者:財産からの利益を受ける人。この三者関係というのが信託の仕組みになります。

信託の基本イメージ

 相続への備えについては「遺言」の活用が提唱されています。しかし「遺言の限界は何か」というと、自分から自分の財産を誰に移すかという事は決められますが、その先で長男に、長男の次はまたその長男にというような次の段階まで決める事はできない、それがひとつの限界です。また、遺言は書換えができるので日付が後のものが有効です。
そうすると、親族がよってたかって遺言を書き換えさせようとする。果ては、お年寄りを連れ去って隠したり、先手を打とうとしていちはやく後見人になろうとしたりという、醜い争いごとが起こります。

「後継ぎ遺贈」の必要性と家族信託での対処(その1)

続き

 信託の場合は受託者と委託者であるAが契約をします。受託者に財産が移ります。しかし、受益権の最初はAです。Aが亡くなったら、誰に受益権を与えるかというのは、Aが契約で書けばいい、次は妻のBですよと。ではBが亡くなったらどうするか。それも、もともとAが受託者と契約をして、受益権というものとして決めているので、契約の中に書き込むことができる。Bが死んだら、それを甥へと。信託終わった時の財産の帰属先も、信託契約できます。受益権がA→B、B→甥という相続の指定ができたことになるというのが、後継ぎ遺贈と言われる信託です。家の財産を家系で相続していくという方法に使えるので、子が無い夫婦の第二次相続の対策に使えます。その他の例として「親亡き後」への対処等に使えます。また、この契約を簡単には書き換えられないように作っておけば、遺言書の書き換えさせ合戦も防げます。
 家族信託はまだ活用され始めて日が浅い制度です。信託はバラ色のマジックではありません。しかし、成年後見制度の機能不全・限界などから、家族信託などのが有用なケースが拡大しています。ですから、まずご自分で判断できる内に行動する事が重要です。信託が合わないなら「任意後見」や「遺言」など他の対策もあります。相談は慎重に、うまい話にはウラがあるのは信託も同じです。詳しい専門家が少ないので、しっかりした所に面倒がらず相談してください。

「背任罪」(刑法第247条)とは、「他人のために事務を処理する者が、自己または他人の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を損害を加えること」です。
森友事件の場合は、国有財産の売却を担当する財務省の役人が、時価9億5600万円の国有財産を8億2000万円も値引きして1億3600万円で森友学園に売却した行為が、背任罪に該当するか否かが問われています。
大阪地検特捜部は、廃棄物の処理費用が過大に算定されていたとは認められないし、国に損害を加える目的があったことも認められないと説明しました。
しかし会計検査院も8億円の値引きの根拠は不十分であると指摘しています。
このように時価についての見解が分かれる場合、民事裁判では不動産鑑定士による鑑定が行われ、いずれが妥当であるか判定します。
現に私が原告代理人として東京電力に土地の損害賠償請求をした訴訟でも、不動産鑑定士の鑑定に基づき、東電の主張を覆して大幅な勝訴判決を獲得しました。
本件不起訴処分の前に大阪地検特捜部は、不動産鑑定士に鑑定を依頼したのでしょうか、もし鑑定を行ったのであれば不動産鑑定士の評価額を引用して不起訴の根拠として示すはずですが、特捜部は評価額を示していません。建物を施工した業者も8億円の値引き要求はでたらめであり、地下4メートル位深の埋設物の調査はしたことがないと自白しているのに、特捜部は、公正な第三者の判断を仰ぐことなく独断で値引き額が妥当だと認定したと推測されます。
財務省職員は、取引事例に基づき決定された時価を知りながら森友学園と事前に価格交渉をしたことも判明しており、財務省職員が、故意に国有財産を異常な低価格で売却し、国に莫大な損害を与えたことは明らかであり背任罪の成立は疑う余地はありません。
本件不起訴処分は、明らかな法律違反であり、一検察官の判断で出来ることではありません。検察庁は組織ぐるみで財務省の不法行為を容認し、法の番人としての良心を放棄したと評価されても仕方がないでしょう。
(弁護士 村上重俊)

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