ドイツ・フライブルク市から地球環境を考える 村上 敦

環境先進都市ドイツ・フライブルク市在住のジャーナリスト村上敦(むらかみ あつし)が環境政策、エネルギー政策、都市計画、交通政策、など様々なジャンルの環境にまつわる話をお届けします。

太陽光発電入札で記念すべきポイントを通過

ドイツの太陽光発電のAWFIP制度のプレミアム算定のための指標価格)の20176月の入札結果が出てきました。

2017年からは屋根乗せも含めた750kWを超えるすべての太陽光発電(ただし10MW以上は適用外)の入札になってから2回目の入札です。

200MWの入札容量に対して、応札したのは646MWと入札が始まった初回を除く、過去最高の混雑ぶりです。


落札した32件のプロジェクトの平均落札価格は、なんと

5.66セント/kWh(約7円)!

とこれまでで最も低い金額となりました。
明らかに一般的な火力、原子力、そして風力発電よりも中型、大型の太陽光発電(巨大規模を除く)が安価になったという記念すべきポイントです。

ちなみに20175月に行われた第一回目の陸上風力の入札では平均落札価格が5.71セント/kWhと太陽光とデッドヒートを繰り広げています。変動性再エネ(VRE)の価格優位性にはもはや敵なしの状態です(もちろん、電力システムの柔軟性の向上が大前提ですが)。


PV
入札の落札後は発電開始最終期限が2年後まで、落札から発電開始が1.5年を超えると罰則があります。


ということで、村上インデックス(これまでのFIT/FIPでの買取価格と削減率をもし継続していたら、入札から1.5年後の発電開始までにいくらになったのか?)と比較して、入札制度の導入後、2年を経過して、はじめてそれを下回る価格が実現されました。

201707 PV入札

これによって一方では入札制度には一定の価格低下の促進効果があることが証明されましたが、

他方では、ここまで入札容量を絞っての実現ですから、なかなか厳しいものがあるなという印象です。

(政府目標の年間PV設置量2.5GWには過去3年間の設置量は1.5GW前後と全く到達していない…入札容量を倍増しないことには話が始まりません)


また、落札者はいつものように大手資本、大企業が多数派であり、再エネ推進のステークホルダーの多様性(とりわけ市民エネ組合の没落…)という観点では、相変わらず貧しい状態が続けられています。

https://www.bundesnetzagentur.de/DE/Sachgebiete/ElektrizitaetundGas/Unternehmen_Institutionen/ErneuerbareEnergien/Ausschreibungen/Solaranlagen/Gebotstermin_01_06_2017/gebotstermin_01_06_2017_node.html

「電力需給の見える化」によってどんな議論が始められるのか?

皆さん、一昨日に公開しました電力需給の見える化について、たくさんの方がご覧になられているようで、ありがとうございます。


電力需給の見える化サイト:

https://wellnesthome.jp/energy/


意図、背景説明のブログ:
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/52006449.html



すでに数千人の方が、全国それぞれの電力会社で、春夏秋冬で、どんな電力供給の姿になっているのか、確認されているようで、嬉しく思います。こうした方々が、数万人、数十万人になってゆき、多様な議論ができてくると、日本の将来の電源MIXに関する議論がより高い次元で進むのではないかと思っています。


さて、こうしたサイトをオープンして、見える化がはじまると、どんな考え方が生まれてくるのでしょうか?
ドイツをはじめとする欧州では一般的になっている新しい考え方について説明しましょう。


1.まずは変動性再エネ(太陽光と風力)の破壊力に驚くことになります。日本では2016年末までに、累積でドイツを追い越す43GWの太陽光発電を設置しましたが、とりわけ九州、四国に偏っているので、該当する電力会社の需給調整は、まだまだ変動性再エネの1年間を通じた発電「量」自体は大したことがないのに、なかなか大変な状況になってきています。

2.ただし、この太陽光と風力の優れているところは、(日本ではいまだに割高ですが)世界的にもっとも安価な電源になりつつあり、最大の利点は、分散型で、燃料を必要としないところです。

3.また、太陽光と風力は、多くのケースで、お互いに補完し合う関係にあることに気が付きます(晴天→風なし、荒天で風あり→太陽なし)。

4.そのため、ドイツなどの一般的な再エネ先進国では、電力システムにおける基幹電源を、この太陽光と風力に据えることにしています(両者の原則優先給電のルールなど)。

5.え、この両者はお天気任せなんで、基幹電源に向かないって?

でも、電力需要のほうも見てください。これだって、常に安定しているわけではなく、時間帯ごとに刻々と必要量が変化し、とりわけ同じ平日でも、温かい日と寒い日では、需要量が全く異なっていることにも気がつきますよね。

そう、皆さんが今、お部屋で電気をつけるのも消すのも、テレビをつけるのも、テレビを消すのも、お天気任せと同じぐらい、個々人の気分と行動任せなんです。

それにもかかわらず、例えば、皆さんが100人の友人と示し合わせて(電力会社には何も言わないで)、一斉にテレビを消しても電力システムはブラックアウトすることはないですよね?


電力システムは多くの一般の皆さんが思い込んでいるほど、度量の狭い敏感なシステムではありませんし(であれば、すでに1890年頃から欧州に広く出現していないでしょう)、そのために同期運転で周波数を整えるなどの予備力によって保険をかけ、そしてお天気予報の確度を高めて、電力需要を(過去の経験を生かして)常に予測しながら、水力・火力発電所の運転計画を立て、随時、出力を変動させたりしているわけです。


6.ということで、再エネ推進の第二段階になると、この不確定要素の高い事柄の2つである「電力需要」と「変動性再エネ」を組み合わせることを行います。

つまり、予測される電力需要から、予測される変動性再エネを差し引いたものを「残余需要」という概念にして、この残余需要を、残りの手段(×バックアップ、〇柔軟化対策=後述)で、どのように調整してゆくのか、考えることになります。
https://www.next-kraftwerke.de/wissen/strommarkt/residuallast


7.例えば、この見える化のサイトで、四国電力の201671日から1週間のデータを見てください。

系統連系をガンガン使って(関西電力に電気を送り)、需給バランスを調整している(電気が不足しがちな関電を助けている)努力がうかがえますよね。

四国電力 2016年7月 実績

この時点では、四国電力管内における太陽光発電の設置量が、1.5GW出力以下でした(年末までに1.9GW設置)。ただし、2017年現在、FITの申請で認定が出ている太陽光発電の量は、すでに2.9GW出力もあります。

もしも、この2.9GW出力が実際に作られてしまったら(累積で4.7GW)、夏場の多くの日中の時間帯で、太陽光発電だけで、四国電力の電力需要のほとんどを瞬間的には賄ってしまいます。

ですから、系統連系容量、揚水発電の容量をすべて使いきってしまっても、需給調整はかなり大変になることが予想されます。

それでは、太陽光発電はもう必要ないのでしょうか?


8.はい、一方では、電力システムが後述するような柔軟化されていない段階では、さすがにここまで太陽光発電だけを推進するのは効率が悪いでしょう。

電力システムのバランスを考慮して、より一層「風力発電」の推進をすることのほうが得策でしょうね。


しかし、他方では例えばすでに四国電力が新規では取りやめをしているように「安価な深夜電力」という料金制度を廃止する必要があります。

http://www.yonden.co.jp/kouri/menu/kojin/code_57.html

すでに日本中で普及している電気式給湯器(電気温水器とエコキュート)を深夜にお湯を沸かすのではなく、太陽光発電や風力発電で大量の電力が作られているタイミングを狙って動かすことは、非常に有効な「柔軟化対策」になります。


9.そして、こうした「残余需要」を調整するための「柔軟化対策」とは、エコキュートの運用方法を変えるだけではありません。

・大型のロジスティック倉庫などで利用される大型冷凍・冷蔵設備のDSMなど電力消費の大量な産業と連携しても良いでしょう(ドイツのインダストリー4.0にはこの視点が大きく含まれます)


・水力・火力・揚水などの既存発電源をより柔軟に扱えるようにしてもよいでしょう


・天気予報の精度を高め、電力システムに統合することも重要です


・電力市場の取引をもっと活性化してゆくと、需給調整の厳しくなる時に電力価格は高騰したり、急減したりといったスパイクを示すようになります。ですから、そこで利益を得られるのを目的に需要を作ったり、供給を抱えたりといったプレイヤーの進出を促すのも一手です(ドイツでは、こうしたアグリゲーター、パワートレーダーが仮想発電所VPPを運営するようになっています)


・電力系統の強化とより柔軟的な活用も非常に大切です

などなど。


もし、こうした考え方で電力システムを、変動性再エネと統合してゆくなら、「硬直的な運用しかできない、いわゆるベースロード電源」というのは、障害にしかなりません。

そうです、太陽光発電が尖って飛び出しているように見えるのは、柔軟性のない電源がまだシステムに存在していることの証明で、柔軟性を上げてゆくと、以下のドイツのようなシステムに徐々になってゆきます。
https://www.agora-energiewende.de/de/themen/-agothem-/Produkt/produkt/76/Agorameter/


10.例えば、すでに一定の太陽光発電が過去5年間で普及してしまった四国電力においては、原発を再稼働することで、得られる電力システムにおける社会的な便益はかなり小さそうだ、とことに気がつきます(電力事業者としての短期的な金銭的な利益はあるのでしょうが、電力システムを取り囲む社会的な有用性はすでに小さいだろう)。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170721/k10011067721000.html


同時に、FITを利用して年中同じ出力で発電を続ける稼働を前提とした大型木質バイオマス発電も単なる障害にしかならないでしょう。


三浦さまの7/14の投稿:

https://www.facebook.com/shuichi.miura.5


11.ということで、長くなりました。


この見える化のサイトは、201746月のデータが公表されたら、アップデートを行うのですが、その時に、表示されるグラフを「これまでの考え方→発電所の運用で設備利用率の高いものからの積み上げ式」と「新しい考え方→残余需要方式」を選択できたりするように配慮したいと思います。


お楽しみに。


追伸です。

12.太陽光発電にしても、風力発電にしても、1か所であまり巨大なものを設置したり、一つの場所に集中させてしまうと、電力システムは硬くなります。

せっかくの分散型(=発電量もすべてが一斉に偏るわけではない)の特性が台無しになるからです(柔軟化対策の規模だけではなく、その対応のスピードも必要以上の速度が必要になってしまいます)。


ですから、日本で散見されるように10MW出力を大きく超えるような大規模な太陽光発電は、柔軟な電力システムを目指すなら、推進するべきではないでしょうね。


とくに電力消費者の負担(賦課金)で運営されているFIT(再エネ電力の固定価格買取制度)では推進する意義がないと、欧州の知見は教えてくれます(例:ドイツのFITでは当初5MW出力を買取価格の上限に設定していました。途中、各種の発電源によって上限を取り除いたり、強化したりしていますが、太陽光発電では10MW出力のものは適用外に落ち着いています)。

電力需給実績の見える化について

皆さんは、「電力会社」「情報公開」と聞いて、どんな印象をお持ちでしょうか? 情報隠蔽? 資料請求に対する黒塗りの資料?

 

私の住むドイツの発電所を運営してる事業者は、電力取引市場の公正を担保するために、前日までには自身の発電所の発電計画を市場参加者に透明性高く報告しなければなりません。また、取引市場では、翌日の太陽光発電、風力発電の予測状況を公開することで、市場取引参加者に共通の透明性高い情報公開を担保し、インサイダー取引など公正取引を阻害する事柄を取り除く努力がなされています。

 

同時に、計画に対して、実質の発電状況もリアルタイムで公開されています。そんな各種の情報から、例えばソーラーエネルギーシステム研究では欧州最大規模のフラウンホーファー研究所ISE(ソーラーエネルギーシステム研究所)、あるいはドイツで最大規模のエネルギーシフトに関するシンクタンク、アゴラエネルギーヴェンデなどが、一般市民に向けて、広く、見やすい情報提供をすることで、電力事業にかかわる情報の公開の一翼を担っています。

 

エネジーチャート:

https://www.energy-charts.de/power.htm?source=all-sources&week=28&year=2017

アゴラメーター:

https://www.agora-energiewende.de/en/topics/-agothem-/Produkt/produkt/76/Agorameter/

 

 

皆さんは、そんなドイツの情報を耳にすると、それに引き換え日本ではまったく電力の情報公開が行われていない、「けしからん!」と思ってはいないでしょうか?

 

はい、もちろん、ドイツのように日本ではリアルタイムの情報や各種の発電所一つ一つの情報については、まだ情報公開されていません。したがって、その批判は一方では当たっています。

 

しかし、他方では、すでに201641日から、すべての一般電気事業者(大手電力10社)においては、四半期ごとに(公表は数か月遅れですが…)、1時間ごとの各種の発電源の発電状況、揚水水力の使用状況、あるいは系統連携の使用状況などを情報公開する義務が課され、そのデータについてはネット上に公開されるようになっているんです。つまり、皆さんの手に届く範囲で、これまで歴史上入手不可能だった情報が、すでに十分に手に入るようになっているんですね。

 

ただし、残念ながら、この情報は単なる数字の羅列として公表されており、なかなか普通の人では理解できない状況が続けられていました。私個人としては、20173月に至るまで、そのうち再エネのステークホルダーや経産省、あるいは環境省などが見える化をするようになるに違いない、と考えていました。しかし、この春になっても、すでに201641日から2017331日までの1年分の情報が公開されるようになっても、「見える化」は行われることがありませんでした。

 

したがって、私たちは、建物の燃費性能の「見える化」では、すでに実績がある「一社日本エネルギーパス協会」と提携し、同時に、この事業のスポンサーとして、建物のエネルギー性能を見える化することでうまく他社と自身の建築の省エネ性能の差別化をしている「螢ΕД襯優好肇曄璽燹廚飽様蠅鬚垢觀舛如日本ではじめてと自負している電力の見える化を実現することが可能となりました。

https://wellnesthome.jp/energy/

 

本当にこの見える化ツール、優れものなので、皆さん、是非、このリンクをシェア、転送、コピーして世の中に広めてあげてください!

 

例えば、日本では20164月から20173月までの1年間においては、電力需要に対して、系統に流れ込んだ再エネ(自家消費分と揚水水力は含まない、水力、地熱、バイオマス、太陽光、風力の合計)は、13.8%になっています。多いと思いますか? それとも少ない?

 20160504 九州電力需給実績

数年前までは日本の発電では、水力9%とその他の再エネ2%程度の合計でおよそ11%だったのですが、20177月の今の時点では再エネの割合は16%程度まで成長しています(2017年の予測値、自家消費分なども含む)。過去5年間で5%も上昇しているわけですから、政府が2030年に目標としている2224%(あと68%の上昇)という目標は、低いような気がしませんか?

 

しかし、上記の見える化のツールを使って、201654日の九州電力の電力需給状況を確認してみてください。この日は、GWによって会社はお休み。電力の需要が低いタイミングで快晴だったので、午前11時には太陽光発電だけで61%以上の電力を発電するようになっていますし、その他の再エネを合計すると77%程度にまで発電するようになっています。九州電力では20164月から20173月までの1年間における太陽光発電の発電量割合は8.2%に過ぎませんが、瞬間的には61%を、もし20175月のデータが公表されてきたなら、それ以上の出力を発電するようなタイミングもできてしまうわけです。

 

九州電力はこうした状況に対して、太陽光発電の出力抑制をかけると公表しています。

http://www.kyuden.co.jp/press_h160721-1.html

 

そういった状況であれば、変動性再エネといわれる太陽光発電、風力発電はこれ以上必要ないのでしょうか? それとも、再エネを入れにくくしている一定出力で発電を続けるのみの柔軟性のない原子力発電や、最近申請や建設がラッシュの木質バイオマス発電が必要ないのでしょうか?

 

これらについては、回答をここで急いで出すつもりはありません。このテーマについては、国民的な議論が必要になるのです。

 

そんなきっかけになるべく、情報の見える化を整備しましたので、それぞれの電力事業者において、それぞれの時間帯、日時において、発電状況がどうなのか、電池といわれる揚水水力発電の使用状況はどうなのか、他社との系統連携がどうなのか、つぶさに観察してみてください。そして皆さんの周りの方と議論してみてください。

 

その先には、きっと、将来のエネルギーMIX、電源MIXについて、これまでよりも、より一段高いところからの「意見」が待っているはずです。

 

ドイツの新築における新しいエネルギー源とセクターカップリング

中期的にはもともと予想されていなかった人口増加(南欧州からの大量の移住)、そして都市集中化、および経済活動の偏在化(南強・学園都市強)、出生率の上昇などの理由によって、2012〜14年ごろから急速に需要が増大し、2015年には大きな社会問題にまで表面化したドイツの新築需要の増大ですが、

各自治体の精力的な都市計画上の努力と市場によって、2016年の新築申請は32.9万戸までに上昇しました。


新築戸数が10年前の1.5〜2倍近くに大きくなったことで、省エネ改修のスピードが低下し続けているのは(建築市場がこちらに労力を割けず)、別の大きな問題としてあるのですが…


ただし、住宅総数の4150万戸からみると、新築はまだまだ小さな割合でしかありませんし、今後もこの新築30万戸レベルが持続的に続けられるとはあまり考えられていません。

その最大の理由は、現在のドイツの人口増加の一番の理由となっている南欧州からの優秀な若者の移民という玉も、少子化が急速に進むギリシャやスペイン、ポルトガルなどではそもそも尽きようとしていますので、持ってあと10年というところ。


基本は、ストックの改修と価値を持ったままの中古住宅の流通が、今後も建築、不動産市場の中心です。

さて、今回は、これらの住宅におけるエネルギー源(主に給湯&暖房)について。

ドイツのストックにおいては、
・49.4%が天然ガス(その多くが潜熱回収型)
・26.3%がオイルボイラー(ドイツは灯油ではなく軽油)
・13.7%が地域熱供給
・6.1%がバイオマスなどその他(一部、ブリケットなど)
・2.7%が電気生炊き(別荘など年中使わないところ、他のエネルギー源確保が困難なところのみ残されている)
・1.8%がヒートポンプ(多くが地熱利用で電気式)

という形で熱源が使用されています(ここまで正確に統計が取られているのは素晴らしい!)。


ただし、2016年の新築においては、
・44.4%が天然ガス(すべて潜熱回収)
・23.8%が地域熱供給(凄いですね!)
・23.4%がヒートポンプ(地熱主体)
・5.3%がバイオマス(木質)
・0.9%が電気生炊き(別荘など)
・0.7%がオイルボイラー(軽油・潜熱改修)
・1.5%がその他

という形に変化しています。(ほぼ例外措置であるバイオマス、電気生炊きを除いて)、オイルボイラーは市場からほぼ消滅したことが分かります。

https://www.bdew.de/internet.nsf/id/DE_Heizkostenvergleich

基本的には、ドイツで2010年に策定されたエネルギーシフトのシナリオでは、熱セクターでは、熱消費の総量を迅速に減らし、再エネ由来の総量を上昇させることで、再エネ割合の持続的な上昇を目論んでいました。


ただし、すでに数年後には再エネ由来の要であるバイオマス資源量がこれ以上増大させられないことが露見し、(人口増加などの予定外もあって)熱消費量の総量についても、削減され続けてはいるものの、思うような削減スピードにはなっていません。

というところで2015年ごろから出てきたセクターカップリングのコンセプト(電力・熱・交通の3つのセクター)。

これは、

1)予想以上のスピードで上昇している電力セクターの再エネ由来電力を、高効率なヒートポンプで熱セクターで活用すること、そして、

2)地域熱供給をさらに強化し、ヒートセンターにおいて、パワートゥーヒート(余剰電力を熱として巨大な蓄熱タンクに溜める)や各種の大型再エネ熱源、あるいは天然ガスコジェネなどを電力と熱と一体で供給運用し、それをIoT、VPPなどでつなぐことで電力系統の運用を柔軟化して、上記の電力セクターにおける変動性再エネ割合増加による影響を受け止める

という形の取り組みが進められています。

※ただし、ドイツの全戸がヒートポンプになることはありえません。そうすると、そもそも厳寒期の電力需要がフランスや日本などの「オール電化」された社会のようにいびつなピークを表し、年間で平均的な需要を作り出せないことから、その分、設備利用率の低い多大な容量の電力系統やネットワーク、柔軟度を準備することになりますので。
 

ですから、まだまだ安価で、手軽な天然ガスボイラーを追い落とす勢いで、1)のヒートポンプと2)の地域熱供給が実際に急増しているのを確認できてよかったです。

ただし、民生家庭用はボリュームゾーンではないですから、これが大勢であるわけではないこともご理解ください(日本の方はこれを誤解されているケースが多いので)。あくまで民生業務、産業などの大規模設備・消費場所が主戦場です。

40歳前後でピークになるドイツの上級管理職の給与

ドイツの上級管理職層の平均年収について。

40歳前後からの男女差が大きく離れてゆくのにも驚きますが(男のほうが無能なのに…)、

男性の40歳で平均11万ユーロ(約1300万円)というのは良い線ですね。
http://www.faz.net/aktuell/beruf-chance/recht-und-gehalt/studium-vs-ausbildung-ab-wann-gleicht-sich-das-gehalt-an-14919170/infografik-14916665.html

とはいえ、再分配を強く取る社会のドイツでは、40%は所得税と社会福祉負担費で普通は持っていかれますので、手取りは800万円以下が通常でしょう。


日本式と大きく異なるのは、45歳を境にして給与の上昇が止まることではないでしょうか。


専門職の平均所得でも45歳がピークになるようです。
http://www.faz.net/aktuell/beruf-chance/recht-und-gehalt/studium-vs-ausbildung-ab-wann-gleicht-sich-das-gehalt-an-14919170/infografik-14916629.html


例外はなんでもあるでしょうが、平均して、客観的な能力(=報酬)から見ると、そのほうがまともな社会だと個人的に思います。
 

老害が若者を食いものにしている社会に未来はありませんから。

ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか

ブログでお伝えすることが遅れましたが、エネルギーと同じようなコンセプトで(kWh=¥)、都市計画、交通を違う方向に整備するために舵を切り、地域経済を活性化させることはできないか模索した本(km=¥)を記しました。
WP_20170314_07_59_51_11 Pro

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3%E3%81%AF%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E8%BF%91%E8%B7%9D%E9%9B%A2%E7%A7%BB%E5%8B%95%E3%81%8C%E5%9C%B0%E6%96%B9%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%82%92%E6%B4%BB%E6%80%A7%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B-%E6%9D%91%E4%B8%8A-%E6%95%A6/dp/4761526394/ref=pd_sim_14_1?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=BKTV0S7842TAVW4SQJ4Q
 

ドイツの都市計画の基礎の基礎「ショートウェイシティ」について説明し、そして交通対策でまちを活性化する方策について論じています。

まちを活かすには、日本でのコンパクトシティ、立地適正化計画のような面=線引きでの取り組みではなく(もちろん大型商業施設の再開発でもなく)、ドイツのように面を意識した上で個々の建物ごとのミクロでの取り組みを積み上げて行く必要があります。


この本で試みたことは、都市計画の方針と交通政策について、これまでのまちづくり本にはない切り口で、とりわけ小規模都市、人口少数の農村も念頭においたことです。また、ウーバーX的なるもの、完全自動運転車など新しいテーマについての論考も含めています。


最終的なタイトルは出版社が会議で決めたわけですが、私個人的に内容的に即したタイトルをつけるなら、

『ドイツにはコンパクトシティという言葉すらないのに、なぜまちがコンパクトにまとまり、活気があるのか? 〜交通から考えるドイツのショートウェイシティ、移動距離の短いまち 〜交通手段を変更して、地域において経済的な付加価値の創造を行う、すなわちkm=¥のコンセプトとは!』

というものです。

もしよろしければ、お読みいただけると幸いです!
 

ドイツ『建物エネルギー法』の2017年中の成立断念

さて、すごく残念なんですが、メルケル率いるCDU/CSU党は、基本的に、これ以上の気候保護に邁進するつもりがないことを、決定的に、明確にしました。
http://www.tagesspiegel.de/wirtschaft/energiepolitik-koalition-laesst-gebaeudeenergiegesetz-scheitern/19594854.html


ゴリゴリ保守の立場からエネルギー政策を語るDena(ドイツエネルギー機関)まで残念がっている…
https://www.dena.de/newsroom/meldungen/2017/gescheitertes-gebaeudeenergiegesetz/


本来は、2017年の秋の総選挙前に、つまり夏休みが始まる前までに、これまでのドイツにおける建物の省エネ性能&再エネ性能を決める『省エネ法』『省エネ政令』『再エネ熱法』の3つの法律を取りまとめ、新しい法律として『建物エネルギー法』を決議し、施行する必要がありました。


これはEU指令(EPBD)による国内法を整備するもので、策定が急がれる背景には、2019年1月1日から公共建物については『ゼロエネルギー建物(超低エネルギー建物)』の新築が義務化されるからです(法律施行後に、はじめて2019年以降の公共建物の新築の構想をはじめられるわけなので、時間的な猶予が必要です)。ちなみに公共以外のすべての建物は2021年1月1日からゼロエネルギー建物が義務化されます。
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/legis/pdf/02460002.pdf


国内法の整備では、そもそもの『ゼロエネルギー建物(超低エネルギー建物)』とは何ぞやという定義をする必要があります。

EU令では「建物に必要なゼロに近い、またはきわめて僅かな量のエネルギーは、その大部分を、オンサイト、または近隣で生産される再生可能エネルギーにより賄われるものとする」と記してあるだけなので、

★何をもって「きわめて僅かなエネルギー消費量」として、
★何をもって「それを可能とする建物の性能」とするのか、
各国ごとの気象条件や建物の仕様に置き換えて、それを定義する必要があるわけです。


そこで、このドイツにおいては、この新法『建物エネルギー法』を策定し、これまでによる政治的な議論と専門家・ステークホルダーの意見を含めた環境・建設・原子力安全省による草案では、現行の省エネ政令で示す最低限のミニマムスタンダードから45%省エネを厳格化した建物(KfW55)を『ゼロエネルギー建物』と定義づけることに取りまとめられており、

この内容については、各種のエネルギー関連、建築、不動産関連のステークホルダーも、驚くべきことに産業団体であるBDIですら一定の理解を示しており、素早くこれを法制化することで、投資行動や経済的な枠組みが確定されることが市場から望まれていました。
※フランクフルト、フライブルク、ハイデルベルクなどの省エネ建築の盛んな自治体ではすでに数年前からこの水準を自治体内の建築基準としていますから、それほど驚くべき技術水準ではありません。
 

しかし、連立パートナーの社会民主党、および環境・建設大臣のヘンドリクスによる交渉もむなしく、CDU/CSU党は「この基準では厳しすぎて経済性が担保できない」として、連立政権委員会でこれ以上の審議を続けることを拒否、この法案は一旦廃案となって、夏休み前に国会に提出される可能性は潰されました。


これによって秋の総選挙の後にこのテーマは再び議論されることになりますが(すぐにはこの法案に取り掛かることは困難であり、おそらく来年の夏休み前に再度、法案の提出が間に合うかどうか分からないタイミングとなりそう)、そもそも2019年1月1日からのEU令をドイツが順守することもほぼ絶望的になりました。


なにやってんだか…


先ほどのブログ記事では、2020年のドイツの温室効果ガスの排出量の削減目標の達成は絶望的と書きましたが、こうしたCDU/CSU党のサポタージュのため、その後の気候保護やエネルギーシフトの目標自体にも悲観的にならざるを得ません。


日本ではメルケルや政権党であるCDU/CSU党自体がエネルギーシフトを牽引しているという誤った(?)評価をする方もいるようなので、私個人の意見では「彼らが妨害しまくっているにも関わらず、市民と市場がそれをけん引している」ことを改めて強調したいと思います。
 

この辺の背景は、以下の私と同僚で行った訳書がお勧めです。メルケル自身、エネルギーシフトに関心はほどんとないのがよくわかります。
http://amzn.to/2nEm4Dw

2016年のドイツの温室効果ガス排出量

ドイツの2016年の温室効果ガスの排出量が、ひっそりと連邦環境庁のHPにアップされました。
https://www.umweltbundesamt.de/themen/klima-energie/treibhausgas-emissionen
(下のほうの経年変化のグラフです)

緑の党の委託によるarepoコンサルトのレポートも興味深いかと。
http://www.baerbel-hoehn.de/fileadmin/media/MdB/baerbelhoehn_de/www_baerbelhoehn_de/THG-Kurzstudie_2016.pdf

そして、AGBEのエネルギー統計でも2016年の詳細なものが上がってきています。
http://www.ag-energiebilanzen.de/22-0-Pressedienst.html

ということで、2016年のデータがぞろぞろと上がってきているので、少し総括してみましょう。

2010年にドイツ政府が打ち出した「エネルギーシフト」という試みは、

『現在、ここ5年間、統計上は停滞している(エネルギーセクター部門、業界の変化は、革命といえるほど劇的に進んでいるにもかかわらず…)』

と表現するのがぴったりなように思います。


2010年の時点で9.42億トンだったCO2排出量を2020年までに7.51億トンまでに削減するという意欲高い目標は、例外なしで、毎年2%ずつの削減を継続的に続けてゆかなくては達成できません。

しかし、2012年からドイツでは、
〃从儚萋阿一大活性化(産業でも、製造でも、輸出でも、EUで1人勝ち)、
交通(とりわけ貨物輸送)総量も増加、
人口の増加(とりわけ南欧州から若者、高学歴層が大量流入)、
という社会背景によって、CO2排出量は削減の足踏み状態であり、2016年には9.06億トンと3年連続で前年並みにとどまりました。

これで2020年目標の達成がほぼ不可能であることが確定してしまいました(経済の崩壊でもない限り、人口が増加を続けているのに、今後4年間、毎年4%以上の削減というのは実現不可能です)。

もちろん、1990年の12.51億トンを持ちだせば、すでに2016年までに28%の削減を達成しているとも言えますが、これを可能にしたのは、旧東ドイツの非効率な経済体制を西ドイツの投資によって大改造したこと、加えて、日本と同じようにグローバル化によって低付加価値の工業製品の生産地が他国に流出したことによる恩恵の割合も大きいです。

しかし、エネルギー源の内訳を見ると、方向性としては、石炭・褐炭の消費量が減少し続け、天然ガスや再生可能エネルギーに置き換わってきているのも事実です。全然、悪くない方向の発展があります。


ただし、全体のパイがなかなか小さくならない。


日本のように人口が縮小し、毎年輸出を減らし、名目GDPもすり減らしているような国ならともかく、毎年記録的な好景気を続け、輸出も記録更新、財政も黒字になるなど、ありえない経済状況の現在のドイツでは、「総量」を表す統計だけを見ていると見落としてしまうものがあるのかもしれません。

しかし、新興国も同じように人口増、経済発展をしている上で、パリ協定では徐々に縛りをかけてゆこうとしているわけであり、ドイツだけが例外とするわけにもゆきません。


エネルギーセクターの中の世界は、毎年のように破壊的なイノヴェーションが生まれ、業界は激しく変化しています。

それらの成果が数年後に「総量」のほうにも、大きく影響してくるのでしょうか? その結論を出すのはまだ時期が早いのかも知れませんが、楽しみな未来ではあります。


そして同時に、メルケル率いるドイツ政府にはこの時点で、もう一度謙虚になっていただき(無理かなあ…)、

〆謄┘揚電の推進にブレーキをかけ続ける政策を直ちに取り止め(とりわけ市民発電に対するブレーキがひどい…)、

△海譴泙任曚箸鵑豹覆泙覆った電気自動車の大々的な普及促進と、HVさえ搭載していない通常のガソリン・ディーゼル車、とりわけ大型車に対するいよいよの阻害・罰則措置などの対策をして、アウトバーンにも面状に時速制限を設け、

新築ばかりに労力が奪われている建築市場において、もう一度省エネ改修事業を2005〜2010年の頃のように一大推進を支援する、

というエネルギーシフトの基本のキホンである3本柱を地道にサポートする政策を打ち出していただくことを期待したいと思います。

エネルギー政策については、世界の新興国のお手本でありえる工業国、大国は、ドイツしかないと思うので。

上記について理解を深めたい方は、以下のレポートをどうぞ:
https://www.club-vauban.net/2015/10/06/2050%E5%B9%B4-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E6%B6%88%E8%B2%BB%E9%87%8F%E3%82%9244-%E5%89%8A%E6%B8%9B%E3%81%B8-%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%82%92%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E6%8E%A1%E7%94%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E5%90%8C%E6%A7%98%E3%81%AE%E5%8A%B9%E6%9E%9C/

電力・熱・交通のセクターカップリング

中期的にはもともと予想されていなかった人口増加(南欧州からの大量の移住)、そして都市集中化、および経済活動の偏在化(南強)、出生率の上昇などの理由によって、2012〜14年ごろから急速に需要が増大し、2015年には大きな社会問題にまで表面化したドイツの新築需要の増大ですが、

各自治体の精力的な都市計画上の努力と市場によって、2016年の新築申請は32.9万戸までに上昇しました。

新築戸数が10年前の1.5〜2倍近くに大きくなったことで、省エネ改修のスピードが低下し続けているのは(建築市場がこちらに労力を割けず)、別の問題としてあるのですが…

ただし、住宅総数の4150万戸からみると、新築はまだまだ小さな割合でしかありませんし、今後もこの新築30万戸レベルが持続的に続けられるとはあまり考えられていません。 南欧州からの優秀な若者の移住という玉も、少子化が急速に進むギリシャやスペイン、ポルトガルなどではそもそも尽きようとしていますので、持ってあと10年というところ。

基本は、建物ストックの改修と価値を持ったままの中古住宅の流通が、今後も建築、不動産市場の中心です。

さて、今回は、まずはこれらの住宅におけるエネルギー源(主に給湯&暖房)について。

ドイツのストックにおいては、
・49.4%が天然ガス(その多くが潜熱回収型)
・26.3%がオイルボイラー(ドイツは灯油ではなく軽油)
・13.7%が地域熱供給
・6.1%がバイオマスなどその他(一部、ブリケットなど)
・2.7%が電気生炊き(別荘など年中使わないところ、他のエネルギー源確保が困難なところのみ残されている)
・1.8%がヒートポンプ(多くが地熱利用で電気式)

という形で熱源が使用されています(ここまで正確に統計が取られているのは素晴らしい!)。

ただし、2016年の新築においては、
・44.4%が天然ガス(すべて潜熱回収)
・23.8%が地域熱供給(凄いですね!)
・23.4%がヒートポンプ(地熱主体)
・5.3%がバイオマス(木質)
・0.9%が電気生炊き(別荘など)
・0.7%がオイルボイラー(軽油・潜熱回収)
・1.5%がその他

という形に変化しています。
https://www.bdew.de/internet.nsf/id/DE_Heizkostenvergleich

(今ではほぼ例外となったバイオマス、電気生炊きを除いて)、オイルボイラーは市場からほぼ消滅したことが分かります。

エネルギーシフトとセクターカップリングの話です。

基本的には、ドイツで2010年に策定されたエネルギーシフトのシナリオでは、熱セクターでは、熱消費の総量を迅速に減らし、再エネ由来の総量を上昇させることで、再エネ割合の持続的な上昇を目論んでいました。

ただし、すでに数年後には再エネ由来の要であるバイオマス資源量がこれ以上増大させられないことが露見し、(人口増加などの予定外もあって)熱消費量の総量についても、削減され続けてはいるものの、思うような削減スピードにはなっていません。

というところで2015年ごろから出てきたのがセクターカップリングのコンセプトです(電力・熱・交通の3つのセクターをカップリングすること)。


これは、

1)予想以上のスピードで上昇している電力セクターの再エネ由来電力を、高効率なヒートポンプで熱セクターで活用すること、そして、

2)地域熱供給をさらに強化し、そのヒートセンターにおいて、パワートゥーヒート(余剰電力を熱として巨大な蓄熱タンクに溜める)や各種の大型再エネ熱源、あるいは天然ガスコジェネなどを電力と熱と一体で供給運用し、それをIoT、VPPなどでつなぐことで電力系統の運用を柔軟化して、上記の電力セクターにおける変動性再エネ割合増加による影響を受け止める という形の取り組みが進められています。

ですから、まだまだ安価で、手軽な天然ガスボイラーを追い落とす勢いで、1)のヒートポンプと2)の地域熱供給が実際に急増しているのを確認できてよかったです。

ただ、まあ、民生家庭用はボリュームゾーンではないですから、これが大勢であるわけではないこともご理解ください(日本の方はこれを誤解されているケースが多いので)。 あくまで民生業務、産業などの大規模設備・消費場所が主戦場です。


ということで、VPPとは何ぞやの話もしたほうが良いのですが、

自分で書くよりも、電力の需給バランス、VPP、系統の柔軟化系のコンテンツについては、最近の環境ビジネスさんに掲載されている記事群が、ひと頃と比べると急成長して、有意義な記事が満載です。


稲垣さんナイス!
https://www.kankyo-business.jp/column/014483.php


西村さんもイイね!
https://www.kankyo-business.jp/column/014486.php


村谷氏のコラムは、村上が言い続けていることと重なりました(敬服)
https://www.kankyo-business.jp/column/014487.php


でも、以下のようなレベルの記事だった時代であると、情報格差が大きいので、村上の講演でも「スゲー!深ーい!」感を演出することは容易だったんですが、記事などでこうしたことが上がってくると、村上的にはちとやりにくい…
https://www.kankyo-business.jp/column/013208.php


でも、そんなことはどうでもよいとして、インバランスやVPPなどに対する正しい理解の情報が増えることは世の中のためにも素晴らしいことですよね。

ということで、VPPってスマートホームとか、スマグリとか、蓄電池万歳などを単に焼き直した流行の言葉だけっていう日本の状況とドイツの状況は違うんです… 


そして、もう一つのセクターカップリング、電気と交通をつなぐのは当然こいつらEVで、ドイツでも、欧州でも、すでに(イスラエル、ノルウェー、中国などに比べて)遅すぎた感はあるけれども、これから快進撃が期待されています。

http://www.sonnenseite.com/de/mobilitaet/deutschlands-autobauer-wechseln-in-den-oeko-modus-54-prozent-mehr-elektroantriebe.html

日本で持続的に利用可能な木質バイオマスの量は?

日本ではFITにおけるメガソーラーブームがそろそろひと段落という感じになってきましたが、木質バイオマス発電については、なかなか目を見張るものがあります。いや、ネガティブな意味で…
http://www.mori-energy.jp/hatsuden1.html

こんなに大量に、木で発電するという馬鹿なことをやっていると、いよいよ治山という意味で恐ろしい時代がやってくるなと危惧していますが、やっている関係者は良いことをやっていると思い込んでいるところに、日本の木質バイオマス発電のゆがんだところが凝縮されているんだと思います。

その「良いことをやっている」という思い込み(妄想)の根拠はおおよそ次の2点になります:

1.地域産材(とりわけ未利用材)を主体として利用することにしているプロジェクトでは、木質バイオマス発電をすることで、燃料を供給するチェーンを展開することで、|楼茲諒置されている森に手を入れ、間伐などの作業を進め、地域に雇用場所を作り、2畫造了蛎蕊瑤粒萓化をもたらす、環境にも良いし、みたいな感じの妄想です。

それぞれ、
1m3=6000〜9000円のB級材を産出するためにすら、1m3=4000〜6000円の低質材を産出するためにすら手が入れられなかった森に、なぜ、1m3=3000円前後であるべきのカスケード利用の最下端であるはずの木質チップを生産することで、森に手が入るのか? そんなゴミを拾いに行くために日本の道なき、急峻な山に入っていって、森に必要とされている気の利いた形で手が入り、整備されることなんて妄想でしかありません。木質バイオマス発電によって、間伐などの手が入るようになるわけでは100%なく、単に助成措置が別でついているから(木質バイオマス発電などなくとも)、間伐されているだけです。結局は、コストとの兼ね合いで、皆伐される山も大量に出てくるでしょうし、その費用対効果は、時間経過とともに(最初は有利なところからチップを集めてくるので)悪化し、時間経過とともに、山がより荒らされることになります。

◆↓こうした現状を無視した妄想で実施した木質バイオマス発電は、需給バランスが崩れ、チップの価格が高騰したときに、事業者として即刻破たんさせるべきなんですが、往々にして、地域に利益があるという口車で、追加で助成措置などが入ったり(それをやるなら、FITなど適用させるべきではないでしょう)、あるいは自治体や県の税金からの資本を投入して三セクなどの形態で行うため、ある程度の高額でも発電を続けてゆくことになります。すると、木材のカスケード利用の川上(合板、製紙、製材など)における需要とが被ることになり、材は高騰し、健全に経営していたはずのそうした雇用効果の高い木材チェーン産業の雇用が失われる可能性を飛躍的に高めます。そもそもバイオマス発電単体では、発電所などでほとんど雇用を生み出しませんし、とりわけ、その施設が地域資本ではなく、地域外から(東京など)資本を持ち込んだものであると(設備・プランとも輸入とか、別地域で作られたものであると)、域内GDPは逆に減少することにもなりかねません。ということで、上記のサイトで示されたような無数のプロジェクトが、その半分でも実現してしまうと、地域から雇用を減らし、地域の活性度を奪ってしまう結果になります。

2.外材(とりわけチップ輸入、やしがら輸入など)を主体として利用することにしているプロジェクトでは、ず得顕椎愁┘優襯ーを推進しているのだから、地球温暖化の対策にもなり、地球環境に貢献する、というような感じの妄想を持っています。

ただし、
そもそもFITの賦課金負担によって、国民がお金を出すことが正当かの判断を問われることになりますし(FITを適用しないのなら、勝手にやれば良いのですが)、い砲弔い討蓮∈謄┘佑琉譴弔任△詭攫繊丙燃)バイオマス発電をすることでも、その輸入する材料を出荷する国での環境保護、自然保護のスタンダードは、日本のそれよりも格段に低いケースがほとんどで、現地での乱伐、汚染の排出などを伴います。同時に、EUで行われた多くのバイオマス燃料に関するLCA調査でも明らかなように、そうした輸入バイオマスは、(とりわけ森林などの土地消費と汚染排出によって)化石燃料よりもLCAバランスが悪いということが往々にして起こりますし、日本には、EUにあるようなそれが本当に意味のあるバイオマスなのかどうかを認証するシステムも義務化されていません。

ということで、最悪の木質バイオマス発電ですが、上記のことをお話した上でも、それでも、自分の地域だけは、入念に地域における需要量と供給量を計算しているから大丈夫だとうそぶく方々が沢山います。というか、大多数はそう。

で、ここでの大きな問題点なのですが、,發掘近隣の自治体や県で同じような真似をするプロジェクトが後で出てくるなら、マスタープランなどで調整しているわけではないので、その目論みは完全に破たんすること、△修Δ靴進々は、地域で供給できる木質バイオマス(チップ)の量を、地域にある森林面積やその蓄積から推計して計算していることがほとんどであることです。

いや、そういうポテンシャルからの計算(とらぬ狸の皮算用)は、材料をわざわざ運び出す必要のない太陽光発電や風力発電の場合は有効ですが、木質バイオマスの場合は意味がありません!

これでやったことで、ドイツでも、オーストリア(ウィーンやギュッシングなんか本当に死んでいます)でも手痛い失敗を過去にしたわけです。

例えば、食品廃棄物を原料にバイオガス発電を計画する場合、あるエリアの人口と可処分所得から、食品購入や外食に使える総額を割り出し、それを食材量に変換し、そのうちのロス率を推計することでポテンシャルを導き、施設を建設する人なんかいるはずもないことは自明です。

基本的には、地域で「すでに処分」されている食品廃棄物の量から、それをどれだけ自身の発電に回せるのか営業し、あたりを付けたうえでプロジェクトを開始するのが普通です。でも、この普通が、木質バイオマスになると(太陽光や風力のポテンシャルの意味とごっちゃにして)いきなり消滅するのが怖いところです。

木質バイオマス発電を計画できるのは、地域において、「すでに存在する」木材チェーン産業から、「すでに現状で」どれだけの廃棄物(カスケード利用の最下端なんだから当たり前ですよね)が無駄に処分されているのか調査し、実際に営業してあたりをつけて、計画するべきなんですが、こうした形で計画されているところは皆無です(でなければ、上記で紹介したリンク先のように大量の発電所が計画されるわけがない!)。

ということで、日本で今のところ、持続可能に産業として利用できる木質バイオマスの総量について、ざっと検討してみましょう。

基本的には、発電用の燃料として理性的に利用できる量は、最大でも国産材の製材量の10〜20%程度が良いところでしょう。

統計を見ると木材の年間の日本国内の総需要量は7500万m3、国内生産量は2500万m3、輸入量は5000万m3という感じです。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/150929.html
http://www.maff.go.jp/.../kouhyou/mokuzai_zyukyu/index.html

その国内の2500万m3のうち、製材としては1500万m3程度です。これが製材された際に、歩留まりではじかれた分のカスケードの最下端と仮定すると、使えてもせいぜい10〜20%が良いところでしょう。とするなら、年間150〜300万m3程度が(そして建築取り壊しなどで出てくる廃棄物としての廃材を加えたものが)、持続可能な産業としての木質バイオマスの利用可能になります(これでも多すぎかもしれませんが)。

ただし、廃棄物の廃材については、すでに日本ではセメントや製鉄などの分野で、石炭に混燃させる取り組みが90年代から行われ、需要のほうが供給を上回る感じだったわけですから、純粋にFITで進めて良いのは、全国で例えば5MW出力(年間チップ消費量10万m3)の木質バイオマスの発電所であれば、最大でも15基程度で終了です。

ということで、発電出力であれば、「現状!」の日本の川上の森林産業の力量であると、最大でも75MW発電出力分、つまり8760時間×設備利用率80%≒5億kWh程度でしょう。これは、国内の総発電量10,000億kWhの0.05%に該当するのみです。

これ以上の発電量を期待するならば、

1.禿山が増加する(そして、その植林コストは税金ですし、災害が発生したら税金で補償するわけです)

2.合板や製紙など、他の低級材を取り扱う産業構造が目茶目茶になる(材料の取り合いでチップが高騰し)、雇用が失われる、地域がより貧しくなる

3.外材に頼るなら日本よりも自然保護関連の法整備が緩い国々で悪影響(乱伐・汚染)を出しながら、大部分は原油を輸入するよりも悪いLCAで、チップやヤシガラを輸入する

4.本来は製材用として使われる予定だったB級材(日本の短寿命の家でも30年間使用され、炭素を固定)までが、瞬時に燃やされて終了のチップとなってしまう

という事柄が発生することは、子どもでも容易に想像できます。

で、今の日本では、これら4つすべてがすでに同時進行で進んでいるところなので、それでもやる方々を、私は放火魔と呼んでいます。


もちろん、今後の話をすれば、

1.日本の山々に20〜30年間投資をし続け、森林路網が整備され、

2.最終林形を定めた後(できる限りの大径材、高級材という付加価値を山で作りだす!)、皆伐に頼らない複層林、恒続林という形で、

3.高い職業訓練と厳しい安全教育を専門の学校でしっかりと受け、最新の防護設備、機械設備など適材適所で駆使して、多くの山々がプロの手によって整備され、

4.製材所や森林組合は、安易なエネルギー供給で将来を潰すような真似をせず、地道な営業努力と商品開発、市場開拓を続け、木材チェーンを盛り上げ、

5.それぞれの川上の木材チェーンの生産性が高まることで、品質、価格ともに外材を上回るようになり、

6.国内の木材需要である7500万m3をほとんどすべて国内で処理するばかりか、場合によっては相当量を輸出にも回せるようになるなら、

7.国内で産業として消費しても良い木質バイオマスの総量は上記の10倍の1500〜3000万m3、5MW発電出力の木質バイオマス発電所が150基程度(国内の発電量の0.5%程度)にまでは上昇させることも、30〜40年かけると、持続的に可能になるはずです。

ただし、上記の順序ではなく、いきなりカスケード利用の最下端の燃料利用として、森の木を燃やし始めている日本では、(せっかく戦後の拡大植林したものが育って、いよいよ何かの手を打てるようになったばかりの状況なのに)これらが叶えられるわけはないことも、子どもに対してであっても説明すると理解してくれます。

まあ、頭の中がカネばかりの人たちには、また、給料分の仕事をしていないのに、給料を得ている老害たちが沢山の日本の山間部の多くでは、こんなこと書いてみてもほとんど意味がないのでしょうが…

最新記事
Twitter プロフィール
ドイツ在住の環境分野のジャーナリスト、村上敦です。2012年秋に本を出しました。『キロワットアワー・イズ・マネー』。よろしくお願いします。http://t.co/0ojypWDT
  • ライブドアブログ