最後に、私なりの主観を加えた観察を添えたいと思います。まずは、今でも、ドイツ社会や再生可能エネルギー、FITに関わる人びとの間では、FITは失敗した、と考えている人はほとんどいないという事実です。基本的に、多くの専門家は、FITは合理的な法制度であり、再生可能エネルギーを安価に、急速に普及させるためには、最も有効な法律の1つだと考えているはずです。現に、ドイツでは現在、PVシステムの設置価格は、通常、工事費混みで2,500ユーロ/kWpを下回るなど(30万円を大幅に下回る)、数年前では考えられなかったレベルに推移しています。日本の価格は世界の価格とリンクしていないガラパゴス状態が続いていますが、欧州をはじめとする世界のPV市場は、ドイツのFITにより牽引され、ここまでの産業に成長してきたわけです。もちろんこれはPVに限った話ではなく、世界における各種の再生可能エネルギー施設の低価格化にドイツのFITが果たした役割は非常に大きく、これを失敗と結論付けることはできないでしょう。

 

ただし、FITの価格を設定する際、政治的な取り組みのまずさを指摘する人が多いのも事実です。ドイツのマスメディアや消費者団体は、FIT買取り価格のおよそ40%を占めるPV電力が、再生可能エネルギー全体のうち10%以下しか発電していないことを指摘し、高すぎるPV電力に対する国民負担について批判を繰り広げています。

 

ただし、それはFITという制度が問題を持っていたのではなく、想定以上に迅速な市場の展開に、とりわけ2009年下半期、そして2010年初頭に、買取り価格をうまく制御することができなかったことによる政治的な問題です。日本でも議論が進むFITですが、この事実を取り違えることがなく、政治的な目標を達成するツールとして(民主党のマニフェストでは、CO2排出量202025%削減、一次エネルギー供給における再生可能エネルギーの導入量は2020年までに10%であったはずです・・・確か・・・)、うまくFIT導入が推進されることを期待しています。こうした政策の数字を具体化するためには、ドイツの『成功例』をみても、FITは欠かせない政策でありましょう。