それでは、日本のお話はさておき、ドイツをはじめとする欧州では、『木質バイオマス発電』はどうなのでしょうか?

今回のブログのテーマは、このお話が核となります。

3つの結論から述べてゆくと、

1.欧州でも木質バイオマス発電は、事業として、多くの場合、成功していない。とりわけ生木由来(森から)の木質バイオマス発電はほぼすべてNG。

2.ただし、木廃材をベースにした大型施設であれば、成功している事例も多々あるが、通常、廃棄物の焼却炉では、同時に発電・発熱を行なっているケースが多くあるため(あるいは、木廃材はセメント・鉄鋼業において石炭などの代替燃料としてすでに部分的に導入されているので)、とりわけ木廃材だけを抜き出して、マテリアル・リサイクルをするならまだしも、木質バイオマスだ!として発電施設に投入する意味がそれほどあるのかは不明(私の個人的な感想では、全く意味が無い)。

3.増えすぎた木質バイオマス発電施設の影響で、欧州では低質材の市場が破壊され、価格は異常なまでに高騰し、その圧力によって、一部では森は荒れ、森林法などの法整備が遅れている地域(とりわけ東欧)から輸入材を求める動きが加速している。

ということで、まあ、薪ストーブ、ペレット/薪/チップボイラー程度(1MW出力以下であれば地域暖房もOK・・・)であれば、ドンドンと森林整備を進めながら地域内で活用してゆくべきでしょうが、10MWを超えるような巨大発電施設は森や市場に悪影響を与え、10MWを下回るような中途半端な発電施設は、木材という均質ではない燃料マテリアルに対して技術的に成熟していないため、故障や稼働率の低減などの事態が絶えない、といったところが一口で取りまとめた際の欧州の木質バイオマス発電の姿でしょう。

と、言いたい放題なわけですが、一応、上述したことについて補足してゆかなければなりませんね。

まずは、とりわけ5〜10MW出力などの木質バイオマス発電の事業については、技術的に成功せず(稼働率が低い、予定よりもたくさんの人員が必要、故障・修理が多発、メーカーの倒産などなど理由は様々)、あるいはチップ価格が当初の見積りからかけ離れた価格で取り引きされるようになったので、『破綻』が相次いでいます。

これはここで紹介するには件数が多すぎるので、ドイツ語のGoogleなんかで、「Pleite(破産)」「Insolvenz(破産)」「Holz(木材)」「Biomasskraftwerk(バイオマス発電施設)」などのキーワードで検索してみてください。20万件ほどヒットし、数限りない失敗事例が見られることでしょう。

そして、木質バイオマスのエネルギー利用によって、低級木材、廃材が足りなくなったことを表すのは、連邦国会での議論の議事録やZeit誌の記事などが参考になるでしょう。
http://dipbt.bundestag.de/dip21/btd/17/080/1708037.pdf
http://www.zeit.de/2010/40/Gruener-Leben-Biomasse

連邦政府が国会において緑の党などの質問に答えた記述によると(2011.11.30)、ドイツ国内の木材原料の消費量は急増傾向にあり、2010年度の統計では、国内の消費量の合計は13,000万m3、うち木材を素材としての消費が7,700万m3、エネルギー利用が5,300万m3あると記されています(3m3≒1トンの概算の換算値で計算すると、エネルギー利用の木材は年間1,770万トンになります。ちなみに、1フェストメートル(木材原料体積)から、木質チップはおよそ2.8m3製造できます)。

ドイツの森からの木材の切り出し量はおおよそ8,000万m3ですから、これまで製紙などを除くと、ほぼ自給自足に近い数字を確保していましたが、2005年頃からそのバランスは、まさに木質バイオマス発電のエネルギー利用によって崩れ、製紙、パーティクルボード、および燃料用として、低質材由来の商品や低質材そのものを大量に輸入する国となってしまっています。

なお、この国会での質問の趣旨は、大型火力発電所に木質バイオマスを混入、導入することについて(多様な理由により政治的な目標となってしまいました・・・)、大掛かりな規模で行うとき、すでに国内需要を国内供給では満たせていないことから、木材のエネルギー目的での輸入について、その姿はどうなのか、政府の方針を問いただしたものです。

そう、ドイツでは2005〜2008年ぐらいまでが、木質バイオマス発電バンザイの栄光の時期がありましたが、2010年にはすでに大きな社会問題化しています。

続く