ツイッターでカーシェアの話題があり、いろいろ記しました。そこで、書きたらないことがあったので、ここに記してみます。
テーマは、マイカーを所有した場合としなかった場合のコストについて。
私はマイカーを所有していません。とはいえ、個人で独立して事業を行なっていますので、マイカーを所有し、利用した場合、やり方にもよりますが、ここで生じる多くのコストは経費として計上することが可能です。もちろん個人利用の場合は、一々記録し、キロメーターあたり30セントの料金を個人の懐から個人事業の会計へと振り込まなければならないわけですが、それでも非常に安価に個人としてはマイカーを利用できます。
さて、取材や視察、各種の調整・段取りなどで移動の多い私ですが、車を購入することはしませんでした。理由は以下のコスト計算をしているからです。
1.車を購入した場合。
イ)例えば新車で250万円の普通車、もちろんローンで金利がかかります。3年の使用で評価額が事故によるリスクなどを勘考して100万円+αで下取りできたとして、3年間で150万円の減価償却が発生します。これを月あたりに計算すると、150万円÷36ヶ月=4.2万円。
ロ)駐車場は0.8万円/月。
ハ)保険料と維持管理費(修理費込み)、税金、車検、燃料費で2万円/月
そのほかにもパラパラと出費はありそうですが、とりあえず合計で7万円/月と考えます。そのうちの2〜3割が個人利用で、残りが経費となるでしょう。駐車場料金により大きく異なりますが、ドイツでは中型車を所有する場合、このぐらい(600ユーロ前後)で考えるのが普通です。
2.車を購入しない今の状態。
イ)地域定期券(バス、路面電車、近郊電車が乗り放題)=0.5万円/月。
ロ)カーシェアリングの利用平均(会費、使用料)=1.5万円/月(月に3〜5回程度、距離にして200〜300キロ程度)。2割ぐらいが個人利用、8割が経費。
ハ)自転車の減価償却と維持管理費(新車で30万円の高性能自転車を購入し、修理や点検はすべて自分ではなく、マイスターに定期的にやってもらっています)=0.5万円/月、ただしこれは経費として落とせません(涙)でも、よく整備されたよい自転車のお陰で5キロ以内の移動であれば軽快で、時速30キロぐらいは楽に出ます。
二)中距離の鉄道=0.5万円(車を持っていたとしても距離200キロ以上のドライブはしたくないし、新幹線のほうが便利なので、両者とも必要ですから、そうした長距離の鉄道料金は入っていません)。
ホ)靴=歩く距離はかなり長くなっています。ただし健康のためには経費削減していますから、普通よりは買い替えの頻度は多くなりますが、プラマイゼロで、ここでは0円/月を計上。自転車の場合も健康によりコスト削減していますが、まあ、ここで一律に扱うことにします。冬の上着はより機能の高いものが必要であったり、MP3のイヤホンをより良いものにしてますから。
ヘ)タクシー。車と比較してここまで、まだ4万円の予算に余裕があります。飲んだら面倒なのでトラムには乗らずすぐタクシー、荷物があればすぐタクシー、雨ならすぐタクシーと、できるだけ利用するように努めていますが、貧乏性なのか、それでもなかなか4万円は使いきりません。平均すればせいぜい1万円/月というところでしょうか。
ということで、手元には3万円が残りました。その分、歩く距離が多いですから、冬が寒いこともあり、まあ快適性は損なわれているともいう人もいるかと思います。事故のリスクは公共交通の利用によって軽減しているはずです。
ただし! ここで重要視したいのは、私が支払った車のケースの7万円と、車なしのケース4万円では、支払い先が大きく異なることです。
まずは、車の場合、資源(鉄や化石燃料、多くは海外)に多くの割合が占められますが、車なしの場合は、人の給料に払われる割合が多くなります。日本やドイツなどの先進工業国は、すでに第3次産業でなりたつ国家であり、失業や格差など社会問題も広がっていますから、私の行動は社会を安定化させるために有益だったと考えています。もちろん、ドイツや日本の自動車メーカーやサプライヤーが縮小する事を望んでいるわけではないのですが、そうした規格品を大量生産するモノ作りに頼る国家ではすでに両国ともないので、基幹のサービス業の充実を目指す方が私は得策だと考えています。
そして、車の場合、多くがフライブルク市外の特定都市、あるいは国外に私のお金の多くが流れるのに対して、車なしの場合、フライブルク市内の人に直接お金が流れ、地域内で循環します。フライブルク市でお金が循環すると、これは結局、私の生活環境が上昇したり、活気が特別にあることで日本からの注目を集め、仕事もしやすくなります。ダイムラーが潰れても私のビジネスには支障ありませんが、フライブルク市の特別な活気がなくなると、ビジネスに支障をきたします。
ということで、皆さんもこのような計算をしてみるとよいのでは? もちろん公共交通サービスが基本的レベルにない地域の場合は、そもそも計算することもできません。そうした地域の先行きは、今後の人口動態を考えると暗いことをまずはリスクとしてお考えになるとよいかと思いますし、その原因は、その地域の方々一人一人にあることを考えておくことが必要でしょう。囚人のジレンマですね。
また、ドイツでタクシーを多用するといろいろな情報が得られます。ドイツにおいてタクシーの運転手の大半は、イスラム圏の移民背景の方の場合が多く、言い方は悪いですが、社会層的にも下の方にいる方が多いのも事実です。で、その人たちの本音を聞ける。これはすごく貴重な機会です。とくに私自身が日本人であることはすごく有効で、多くのそうしたイスラム圏の方々は日本人を好んでくれ、短い時間でも本音を語ってくれます。ドイツ人では聞けないようなことを、日本人であるが故に、ドイツで聞ける訳ですね。そして彼らは、日本はアジアの希望でありながら、アメリカに追従していることを深く嘆いています。
タクシーに乗るたびに、日本がそうした政策を取るリスクを深く感じることになり、嘆きが怒りに変わらないよう祈っています。余談ですが、サルコジも、普通にタクシーを利用していれば、今のような苦しい立場に立たされなかったのになあと下らないことを考える次第です。
http://www.asahi.com/international/update/0209/TKY201102090429.html
テーマは、マイカーを所有した場合としなかった場合のコストについて。
私はマイカーを所有していません。とはいえ、個人で独立して事業を行なっていますので、マイカーを所有し、利用した場合、やり方にもよりますが、ここで生じる多くのコストは経費として計上することが可能です。もちろん個人利用の場合は、一々記録し、キロメーターあたり30セントの料金を個人の懐から個人事業の会計へと振り込まなければならないわけですが、それでも非常に安価に個人としてはマイカーを利用できます。
さて、取材や視察、各種の調整・段取りなどで移動の多い私ですが、車を購入することはしませんでした。理由は以下のコスト計算をしているからです。
1.車を購入した場合。
イ)例えば新車で250万円の普通車、もちろんローンで金利がかかります。3年の使用で評価額が事故によるリスクなどを勘考して100万円+αで下取りできたとして、3年間で150万円の減価償却が発生します。これを月あたりに計算すると、150万円÷36ヶ月=4.2万円。
ロ)駐車場は0.8万円/月。
ハ)保険料と維持管理費(修理費込み)、税金、車検、燃料費で2万円/月
そのほかにもパラパラと出費はありそうですが、とりあえず合計で7万円/月と考えます。そのうちの2〜3割が個人利用で、残りが経費となるでしょう。駐車場料金により大きく異なりますが、ドイツでは中型車を所有する場合、このぐらい(600ユーロ前後)で考えるのが普通です。
2.車を購入しない今の状態。
イ)地域定期券(バス、路面電車、近郊電車が乗り放題)=0.5万円/月。
ロ)カーシェアリングの利用平均(会費、使用料)=1.5万円/月(月に3〜5回程度、距離にして200〜300キロ程度)。2割ぐらいが個人利用、8割が経費。
ハ)自転車の減価償却と維持管理費(新車で30万円の高性能自転車を購入し、修理や点検はすべて自分ではなく、マイスターに定期的にやってもらっています)=0.5万円/月、ただしこれは経費として落とせません(涙)でも、よく整備されたよい自転車のお陰で5キロ以内の移動であれば軽快で、時速30キロぐらいは楽に出ます。
二)中距離の鉄道=0.5万円(車を持っていたとしても距離200キロ以上のドライブはしたくないし、新幹線のほうが便利なので、両者とも必要ですから、そうした長距離の鉄道料金は入っていません)。
ホ)靴=歩く距離はかなり長くなっています。ただし健康のためには経費削減していますから、普通よりは買い替えの頻度は多くなりますが、プラマイゼロで、ここでは0円/月を計上。自転車の場合も健康によりコスト削減していますが、まあ、ここで一律に扱うことにします。冬の上着はより機能の高いものが必要であったり、MP3のイヤホンをより良いものにしてますから。
ヘ)タクシー。車と比較してここまで、まだ4万円の予算に余裕があります。飲んだら面倒なのでトラムには乗らずすぐタクシー、荷物があればすぐタクシー、雨ならすぐタクシーと、できるだけ利用するように努めていますが、貧乏性なのか、それでもなかなか4万円は使いきりません。平均すればせいぜい1万円/月というところでしょうか。
ということで、手元には3万円が残りました。その分、歩く距離が多いですから、冬が寒いこともあり、まあ快適性は損なわれているともいう人もいるかと思います。事故のリスクは公共交通の利用によって軽減しているはずです。
ただし! ここで重要視したいのは、私が支払った車のケースの7万円と、車なしのケース4万円では、支払い先が大きく異なることです。
まずは、車の場合、資源(鉄や化石燃料、多くは海外)に多くの割合が占められますが、車なしの場合は、人の給料に払われる割合が多くなります。日本やドイツなどの先進工業国は、すでに第3次産業でなりたつ国家であり、失業や格差など社会問題も広がっていますから、私の行動は社会を安定化させるために有益だったと考えています。もちろん、ドイツや日本の自動車メーカーやサプライヤーが縮小する事を望んでいるわけではないのですが、そうした規格品を大量生産するモノ作りに頼る国家ではすでに両国ともないので、基幹のサービス業の充実を目指す方が私は得策だと考えています。
そして、車の場合、多くがフライブルク市外の特定都市、あるいは国外に私のお金の多くが流れるのに対して、車なしの場合、フライブルク市内の人に直接お金が流れ、地域内で循環します。フライブルク市でお金が循環すると、これは結局、私の生活環境が上昇したり、活気が特別にあることで日本からの注目を集め、仕事もしやすくなります。ダイムラーが潰れても私のビジネスには支障ありませんが、フライブルク市の特別な活気がなくなると、ビジネスに支障をきたします。
ということで、皆さんもこのような計算をしてみるとよいのでは? もちろん公共交通サービスが基本的レベルにない地域の場合は、そもそも計算することもできません。そうした地域の先行きは、今後の人口動態を考えると暗いことをまずはリスクとしてお考えになるとよいかと思いますし、その原因は、その地域の方々一人一人にあることを考えておくことが必要でしょう。囚人のジレンマですね。
また、ドイツでタクシーを多用するといろいろな情報が得られます。ドイツにおいてタクシーの運転手の大半は、イスラム圏の移民背景の方の場合が多く、言い方は悪いですが、社会層的にも下の方にいる方が多いのも事実です。で、その人たちの本音を聞ける。これはすごく貴重な機会です。とくに私自身が日本人であることはすごく有効で、多くのそうしたイスラム圏の方々は日本人を好んでくれ、短い時間でも本音を語ってくれます。ドイツ人では聞けないようなことを、日本人であるが故に、ドイツで聞ける訳ですね。そして彼らは、日本はアジアの希望でありながら、アメリカに追従していることを深く嘆いています。
タクシーに乗るたびに、日本がそうした政策を取るリスクを深く感じることになり、嘆きが怒りに変わらないよう祈っています。余談ですが、サルコジも、普通にタクシーを利用していれば、今のような苦しい立場に立たされなかったのになあと下らないことを考える次第です。
http://www.asahi.com/international/update/0209/TKY201102090429.html