ドイツ・フライブルク市から地球環境を考える 村上 敦

環境先進都市ドイツ・フライブルク市在住のジャーナリスト村上敦(むらかみ あつし)が環境政策、エネルギー政策、都市計画、交通政策、など様々なジャンルの環境にまつわる話をお届けします。

お知らせ

ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか

ブログでお伝えすることが遅れましたが、エネルギーと同じようなコンセプトで(kWh=¥)、都市計画、交通を違う方向に整備するために舵を切り、地域経済を活性化させることはできないか模索した本(km=¥)を記しました。
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https://www.amazon.co.jp/%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3%E3%81%AF%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E8%BF%91%E8%B7%9D%E9%9B%A2%E7%A7%BB%E5%8B%95%E3%81%8C%E5%9C%B0%E6%96%B9%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%82%92%E6%B4%BB%E6%80%A7%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B-%E6%9D%91%E4%B8%8A-%E6%95%A6/dp/4761526394/ref=pd_sim_14_1?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=BKTV0S7842TAVW4SQJ4Q
 

ドイツの都市計画の基礎の基礎「ショートウェイシティ」について説明し、そして交通対策でまちを活性化する方策について論じています。

まちを活かすには、日本でのコンパクトシティ、立地適正化計画のような面=線引きでの取り組みではなく(もちろん大型商業施設の再開発でもなく)、ドイツのように面を意識した上で個々の建物ごとのミクロでの取り組みを積み上げて行く必要があります。


この本で試みたことは、都市計画の方針と交通政策について、これまでのまちづくり本にはない切り口で、とりわけ小規模都市、人口少数の農村も念頭においたことです。また、ウーバーX的なるもの、完全自動運転車など新しいテーマについての論考も含めています。


最終的なタイトルは出版社が会議で決めたわけですが、私個人的に内容的に即したタイトルをつけるなら、

『ドイツにはコンパクトシティという言葉すらないのに、なぜまちがコンパクトにまとまり、活気があるのか? 〜交通から考えるドイツのショートウェイシティ、移動距離の短いまち 〜交通手段を変更して、地域において経済的な付加価値の創造を行う、すなわちkm=¥のコンセプトとは!』

というものです。

もしよろしければ、お読みいただけると幸いです!
 

2014年3〜4月 日本での講演会のお知らせ

直前になってしまいましたが、日本を訪れ、各地で講演を行います。

今回も、一般参加が可能なものはそれほど数がありませんが、ご興味のある方は、ご検討いただけますと幸いです。

3月28日(金) 18時〜 旭川市(まちづくりとエネルギーについて)
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/eventdata/225572.php

3月30日(日) 10時〜 北海道下川町(まちづくりとエネルギーについて)
http://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/section/kankyoumirai/Atsushi_murakami_seminar.html

4月3日(木) 18時〜 東京都渋谷区(エネルギーと地域活性化について)
http://rees.doyu.jp/2014-0227-114530.html

4月6日(日) 10時〜 松山市(フライブルク市との姉妹都市交流事業の一環、環境フォーラム)
http://www.city.matsuyama.ehime.jp/bosyu/H26kankyou-foramu.html

それでは、会場で皆さまにお会いできることを楽しみにしています。

年末のご挨拶と2014年1月末〜2月頭の講演会のお知らせ(その2)

さらに、私個人の16年半のドイツ滞在における体験も少し書かせてください。

2013年の2月は欧州を大寒波が襲い、3月の気温は観測史 上130年ぶり(1883年以来)の寒さで、毎日マイナスの日が続きました。そして4月中盤には一気に気温が上がり30度を越え、フライブルクでは4月最 後の週末にはプール開きをすることに。5月に入ると寒さがぶり戻され、6月の初頭でも雪やみぞれが舞いました。ここまで春、というか初夏の到来が遅かった のは、もちろん私の記憶にはありませんし、観測史上も稀なことであったようです。もちろん、農家は大打撃を受けています。そして10月初旬にはすでに山の ほうで初雪が舞い、10月末〜11月には本格的な寒さに(マイナス10度など)、で、クリスマス前には急に暖かくなりフライブルクではプラス17度の生暖 かい気温の中、教会に行きました。

2012年のクリスマスも+20度でした。教会に何を着てゆけばよいのか、誰も分かりませんでした。私 たちが子供だった頃、70年代頃まではドイツ南部の黒い森では10年に1度、ホワイトクリスマスでない年がありましたが、今では10年に1度程度しかホワ イトクリスマスを迎えることができません。その一方で、3月〜4月のイースターを十分に過ぎても、30度近くの暑い日が来たかと思えば、5月にみぞれが降 ることが、山間部だけでなく、ドイツで最も温暖なライン平野においても日常となっています。

私がドイツに滞在している16年半の間に、100年に一度と言われる大洪水が3度ありました。100年に一度と言われる大型のハリケーンが4度、観測史上初、あるいは数百年に一度と言われる酷暑が2度ありました。

フライブルク市内中心部では、6月末から7月の間、気温が35度を超えることは当たり前になり、40度と聞いても誰も驚かなくなりました(フライブルク市の観測史上の最高気温は2003年の猛暑の時の42度)。


ということで、私の生物としての本能は、それほど敏感であるほうとは思いませんが、「このまま続けることは人類の子孫繁栄のためには危険だ」というシグナルを発信し続けています。


それゆえ、私は以下の様な方針で、欧州の情報を日本にお届けしています。

例えば、私がエネルギーシフトの情報を伝えるとき、ドイツにおけるその推進側も、懐疑・批判側も、どちらの意見、資料にも私は一応は目を通しています。当 然、日本のマスコミでも言われているような再生可能エネルギーの推進により、エネルギー料金が高騰しているとされる様々なキャンペーンや学術的な資料にも 目を通しています。

しかし、そうした意見に私の心が動かされないのは、懐疑・批判側がほとんどのケースで(例外もないわけではありませんが)、問題に対する解決策を提案していないからで、基本的には今の現状を維持することをベースにその論調があるからです。

これは私にとって報じる価値がない。

現 状維持であれば(既得権益の保護とも言い換えられますが)、何もしなくとも続く強烈な力がすでにあるからです。現状維持が、現在、目の前にある山積みの危 機的な問題を解決する方向に向かっているなら、私はこのような仕事を選択しなかったでしょう。あるいは別の視点や切り口で情報をお伝えしてることでしょ う。

もちろん、以前と比べれば世界は良くなっているという事実もあります。世界の人口は増え続けていますが、人権を保証されている人の数 も増えています。飢餓や医療の欠如で苦しみ、脅かされている人も絶対数としては以前と同じように多いままですが、そうでない人の数も飛躍的に増加していま す。ただし、このままの方向で世界が進み続けるなら、どこかの段階で、大きな破局的な状況が(すでに垣間見えていますが)、生じることは間違いないことを 私は確信しています。

ということで、一見すれば私の仕事は偏った情報提供に見られるかもしれませんが、そうした批判を知りつつも、このスタンスで仕事を続けてゆこうと思っています。


年末に、ドイツのエネルギーヴェンデについて、ここまでの状況とこれからの見通しをごく簡単に取りまとめましたので、それをブログに掲載して、新年を迎えることにしたいと思います。


そうそう、2014年1月末から2月頭までは、日本に滞在し講演活動を行います。一般参加できる機会は限られていますが、以下の会場で皆さまとお会いできることがあれば、嬉しく思います。それでは、良いお年をお迎えください。

※2014年1/29(水)東京渋谷
詳しくはさくら事務所代表のブログでの告知をお待ちください。もしかしたら、一般参加は難しいかもです。

※2014年1/30(木)米子市
チラシダウンロード

※2014年1/31(金)鳥取県北栄町
対象者と席の関係で、一般参加を募集しているわけではないので、町内の方でどうしてもという理由のある方のみ、直接北栄町役場にお問い合わせください。

※2014年2/1(土)八戸市
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※2014年2/4(火)静岡市
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年末のご挨拶と2014年1月末〜2月頭の講演会のお知らせ(その1)

2013年も今日明日でいよいよ終わりになります。クリスマスに+17℃という生暖かい気温の中散歩して、いろいろなことを考えたので、それを記して、年末の締め、そして新年からの抱負にしたいと思います。

私は丁度京都議定書の年、1997年夏からドイツのフライブルクに滞在していますので、現在、ドイツ在住が16年半になります。思えば長い期間いるものです。

二十代後半で何の知識も、能力もなかった私が、最初の5年間、それこそ死に物狂いでドイツ語と環境に関わる様々な事柄を学び、特別なプログラムを採用していただいた恩恵で群役場にも勤務することができ、家族も持ち、そののち、2002年から独立して日本に情報をお届けする仕事を生業にしています。

もともとは都市計画、とりわけ交通計画の分野をメインに仕事をしていましたが、リーマン・ショックで自動車産業関連のクライアントが全滅すると(いわゆる未来科学部のような部署との提携で欧州のオルタナティブな交通の最新事例を調査するような仕事)、時代背景では日本では省エネ建築やまちづくりというテーマが盛り上がるようになり、その分野の仕事をメインに情報提供していました。


そうこうしている間にドイツではエネルギーヴェンデ(大転換)が進展し、それに関する調査も気候温暖化対策の一環として行っていると、311がやってきました。そこから現在までは、とりわけエネルギー分野の仕事に追い立てられる毎日を送っています。

朝から夜中まで拘束される視察のコーディネート、日本に招待されての講演活動、その合間を縫っての専門家会議などの取材と寄稿、調査報告書の作成、そして本の執筆と、311以降は、私のワークライフバランスは崩壊した状態が続きました。しかし、おかげさまで以下のような成果も世に送り出すことができています。

※エネルギーヴェンデの文脈で、中欧ヨーロッパのパイオニア自治体の事例を5人のジャーナリストが取りまとめた共著の出版。
・2012年3月『100%再生可能へ! 欧州のエネルギー自立地域(学芸出版社)』

※ドイツのエネルギーヴェンデが、地域経済に与えるポジティブな影響と、少子高齢化&人口減少&成長があるレベルに到達した国、日本やドイツにおいては、「何もしないことはコストである(現状維持はジリ貧にしかならない)」、という私の信念のもと、その全体像を取りまとめた本の出版。
・2012年8月『キロワットアワー・イズ・マネー(いしずえ出版)』

※ドイツのエネルギーヴェンデがどのように進んできたのか、今現在どの位置にあるのか、そして将来のヴィジョンは何で、いつ、どんな方法で到達できるのかを取りまとめた好著で、ドイツでベストセラーになった本の共訳書の出版。
・2014年1月『メルケル首相への手紙〜ドイツのエネルギー大転換を成功させよ!(いしずえ出版)』

※そして、前著『100%再生可能へ! 欧州のエネルギー自立地域』の第二弾となる共著を現在執筆中で、この12月に多大な時間を投入して、もうすぐ初校が完成します。
この本では、前著のような自治体や地域における先進事例のレポートという視点ではなく、どのような形態でドイツのエネルギーヴェンデが行われているのかを視点としています。
とりわけ市民出資の株式会社、NPO、市民エネルギー組合、そして自治体の公社にスポットをあてて、先進事例をレポートしています(面白い本になります!)。
・2014年4月頃出版予定『(仮題)ドイツ市民がつくったエネルギー会社と組合 100%再生可能へ!vol.2(学芸出版社)』

ということで、本来であれば311が起きる前に自分のできることとしてやっておくべきだった、と私なりに悔やんでいる仕事については、ようやく2年半をかけて一区切りをつけることができそうです。

ワークライフバランスが崩れたままでは長続きしませんので、2014年には、朝も夜も、日曜日も祝日もなく・・・、といった大量の視察者を連続で引き受けたり、日本に2週間滞在の間に毎日長距離移動で10箇所以上の講演を引き受けたり、といった無理は行わないことがまずは新年に向けての抱負になります。

そして、エネルギーという分野においては、私の役割としては一区切り出来た感がありますので、本来の専門である交通と都市計画の分野に仕事の軸足も戻してゆきたいと考えています。

この分野については、情報収集はしているもののアウトプットする機会と時間を持たない日々がここ5年間ぐらい続きましたが、その間にも、欧州ではいろいろな興味深い事柄が実行され、計画され、構想されています。

(その2に続く)

メルケル首相への手紙(その3)

訳書『メルケル首相への手紙〜ドイツのエネルギー大転換を成功させよ!(マティアス・ヴィレンバッハー)』の本書から抜粋の続編です(AMAZON)。


風力とソーラーによる国民経済的にベストなエネルギー供給の本質

 私たちはジレンマを抱え(化石エネルギーは有限で、様々な袋小路に繋がっている)、一つの解決策を持っています(風力とソーラー)。

 さて、そこで重要になるのが、この解決策を最良かつ国民経済的にもっとも有意義に具体化する方法です。私たちの経済の首を絞めるのではなく活性化して、その際に国家や人びとの負担も減らすには、どのように風力とソーラーを上手く組み合わせるのが一番良いのでしょうか?

 魔法の方程式は次の通りです。――蓄電と送配電の必要性やバイオマスエネルギー利用を回避するために、私たちは可能な限り風力とソーラーにより、消費地においてエネルギーを生産し、それをダイレクトに消費する供給構造を築かなければなりません。

 モットーは次の通り。――電力消費者にできるだけ近い場所へ生産設備を。それは、風力と太陽光発電設備を、ドイツ全土にできる限り均一に分散させることにより達成できます。――厳密には、自然保護法などが許す限り、地域的に風が最も強く、最良の立地に配置します。

 このマスタープランを正しく実施するならば、私たちは現在ドイツに存在する二万五千基以上の風車は必要としません。これに加えて、私たちに必要なのは、できる限り恒常的に、つまり均一に電力を供給するような風力や太陽光発電設備です。

 恒常性のためには、最大負荷時間数を高めることが必要です。風力設備の最大負荷時間数は、現在は平均二〇〇〇時間程度です。それを将来的には、最低でも四〇〇〇時間に、風の強い立地や海岸ではそれ以上に高めることが必要です。太陽光発電設備については最大負荷時間数を、今日の一〇〇〇時間から、将来的には一五〇〇〜二〇〇〇時間に高めることが必要となります。
 
 これを達成することは可能です。


※注:最大負荷時間数とは、ある発電設備の一年の発電量(キロワット時)を、その最大出力(キロワット)で割った時間数。


 この最大負荷時間数、つまり設備稼働率を高めることについては、本書の中で詳しく、わかりやすく解説しています。お楽しみに!

メルケル首相への手紙(その2)

訳書『メルケル首相への手紙〜ドイツのエネルギー大転換を成功させよ!(マティアス・ヴィレンバッハー)』の本書から抜粋です(AMAZON)。

エネルギーヴェンデか、あるいはチコリーか。

 私は昨年、私がすでに一五年も前に経験したことと、根本的にはあまり違いがないと感じた経験をしました。――特定の政治家とは、エネルギー事情の大きな変化について議論することは非常に困難だ、という経験です。

 二〇一三年の初頭、私は再生可能エネルギー分野の代表として、アンゲラ・メルケル首相のチリ訪問に同行しました。チリからドイツへの帰りのフライトの中で、メルケル首相は私たち経済界の代表六名にワインを一杯飲もうと誘いました。彼女はその会話の中で、アルゼンチンのキルチネル大統領について、キューバのラウル・カストロについて、あるいはボリビアのエボ・モラレス大統領について語りました。私たちはそのとき離陸してから二時間ほど経過したところで、あと一三時間ぐらいのフライト時間が残っていました。

 時間は十分にあることから、私は首相とエネルギーヴェンデについて議論するために、このチャンスを利用することを思い立ちました。彼女はチリ訪問の前に、北ドイツでの風力発電推進に賛同する演説をしており、それについて私は彼女と議論したかったのです。

 私はメルケル首相に次のように話しはじめました。――「数分で構いませんから、エネルギーヴェンデについてお話する時間をくださいませんか? 私はいくつかの質問と、それからいくつかのアイデアも持っているものですから」。

 彼女は私を見て、単に次のように言い会話が終わりました。
「それなら私に手紙を書いて下さい」。

 私たちが自身の座席に戻った時に、私は少し混乱して、少なからず失望したと言わなかったら嘘になります。私の隣には『ズートツッカー社(南ドイツ製糖社)』の代表が座っていました。他の代表に対してと同じように、メルケル首相は彼にもチリで何をしているのか訪ねました。彼は、自社がチリでチコリーの栽培をしていて、そこから果糖を生産していると答えていました。

 突然、メルケル首相は立ち上がって私のほうにやってきました。私の目の前で彼女は立ち止まったのです。私は、彼女はやはり思い直しをしてくれて、私とエネルギーヴェンデについて話したくなったのだ、素晴らしいなあと思いました。しかし彼女は私に覆いかぶさるようにしてズートツッカー社の彼に、チコリーを近々料理したいと思っているんだけど、それについて何か良いレシピはないかと尋ねました。

 私はそのとき、「オッケー、彼女には別の優先順位があるんだ」と思いました。首相は私に覆いかぶさるようにしてチコリーのレシピについて議論を続けていましたが、――私の頭の中では、彼女の私に言った一言、『それなら私に手紙を書いてください』が回り続けていました。

 そして、その瞬間、私は決心をしました。「うん、それなら手紙を書こうと」。しかし、私はそれを本にして書いています。

 私は、首相専用機の中でのこのエピソードを公に書くことが、良いことなのか、それとも悪いことなのか、よく分かりません。もしかしたら、二度と私は彼女の招待を受けることはないのかもしれません。もしかしたら、私の企業に何か悪い影響が与えられるのかもしれません。しかし私にとっては、(注:この本を書きはじめた)きっかけとなった、私の経験を伝えることが重要なのです。

 なぜなら、エネルギーヴェンデは絶対に失敗させてはならないから。

 それも政治家によって、とりわけいくつかの巨大企業の石油に関連した利益への関心によって、失敗させられることは許されません。私たちは本当の岐路に立たされています。私たちは、環境を危機にさらし、価格高騰という道を歩むこともできます。あるいは私たちは、安全で、他者に依存しない、持続可能で、支払い可能な道を歩むこともできるのです。

 エネルギーの生産は、公に開かれた事柄になるべきですし、それは数少ない私企業によって独占されるべきではありません。緑の党の政治家の中でさえ、私たちはその両方を必要としているのだ、と述べる人もいます。――大企業と市民の両方を。もちろん調和を考えてのことでしょうが、現実的ではありません。将来的には、石炭・褐炭の大企業による古いシステムと新しい市民によるシステムが共存することはありえないのです。そのどちらかを選ぶしか、将来はありません。

 私たちは市民参画と民主主義による新しい時代を必要としています。

 私たちは市民によるエネルギーヴェンデを必要としています。

 それも今すぐに。



注:エネルギーヴェンデとは、技術的には化石・原子力燃料への依存を廃止し、再生可能エネルギーによる社会に転換することだが(≒エネ ルギーシフト)、経済的にも分散型の投資によって、また社会的にも市民参加型で、といった広義の意味合いがある。まさに社会のヴェンデ(Wende:革命 的大転換、維新)であり、単なる電源がシフトするだけの脱原発とは異なる。

メルケル首相への手紙 ドイツのエネルギー大転換を成功させよ

皆さま、連続でのお知らせとなりました。

ツイッター、FBなどでは何度か告知してきましたが、ようやく世界最大の再生可能エネ施設のデベロッパーJUWI社の創業者マティアス・ヴィレンバッハー氏のベストセラー『メルケル首相への手紙〜ドイツのエネルギー大転換を成功させよ』の出版日が確定いたしました。

クリスマス・プレゼントということで、12/24の発売です(Amazon)。
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本書では、ヴィレンバッハーがメルケル首相にアンモラル(?)な提案を行います。もし、これまでのように彼女が既存エネルギー大手の言いなりで既得権益確保のためにエネルギーシフトを阻害し続けるのではなく、適性な枠組みを政治として形作り、エネルギーシフトを推進するなら、彼の所有するJUWI社の全株式を提供するというディールです。

私はとくにドイツ・バンザイ主義ではありませんし、ドイツでもエネルギーシフトに対しては、当然、推進派と懐疑派がいることは承知しています。またエネルギーシフトに対する抵抗勢力も大きなものがあります。しかし、手工業組合、農業関係者、さらに市民の大多数は、エネルギーシフト推進側であることも現実として知っています。

現在未だに、秋の総選挙後の新政権の連立協議が終わっていませんが、秋までの第二次メルケル政権(CDU/CSU+FDP)のエネルギー政策では、明らかに大企業へ利益を還元し、市民により大きな負担を強い、同時にエネルギーシフトをなんとか押しとどめようとしていました。このへんのドイツの事情が、そのままに描かれている本書は、日本での議論に有益だと思い、本書の和訳・出版をしようと決断しました。

本書の内容はおおまかに分けて以下の3つになります。

1.ヴィレンバッハーは大学生のころ100万マルクをなんとか仲間と工面して最初の風車を建設します。そしてJUWI社の設立、その後の波瀾万丈の人生が続きます。彼の人生を通じて、再生可能エネルギーのパイオニアがどのように最先端で考え、動き、対応しているのか、そしてその先に何が見えるのか、それをヴィレンバッハーが語ります。

2.ドイツのエネルギーシフトを取り巻く過去の経緯と現在の状況の分析について。

3.ドイツがエネルギーシフトできたとしたら、どのような形となっているのか、そのビジョンの提示とマスタープランの提案。

上記のどの部分についても、経営者で現実主義者である彼の論調は、学者やジャーナリストの視点とは異なり、なかなかこれまでにない、再生可能エネルギー関連の著書だと思います。また、最先端の実践主義者の彼だからこそ提案する「洋上風力とスーパーグリッド、蓄電不要論」、同時に、既存の太陽光、陸上風力での設備稼働率を倍増させる計画などについては、日本のこれまでの議論にはない新鮮なものです。



次に本書からいくつかの抜粋をします(続く)

日本での活動報告(10月末〜11月初頭)

皆さま、ブログの更新が全く行われていなくて・・・すみません。

今回は、ご報告、およびお礼です。

10月末〜11月初頭にかけて日本に帰国、各地で講演活動などを行ってきました。今回の渡航の目玉は、ドイツ国交省、持続可能な建築部部長で事務次官のハンス=ディーター・ヘグナー氏をお迎えして東京と高松で開催した『日独サスティナブル建築フォーラム』の開催(村上はパネルディスカッションの司会を務めました)、そして滋賀県での嘉田知事と村上でのコラボ『再生可能エネルギー県民シンポジウム』の開催でした。

日独サスティナブル建築フォーラム』について(パネルディスカッション導入の村上プレゼン資料のDLもあり)

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再生可能エネルギー県民シンポジウム』について(嘉田知事のプレゼン資料のDL

嘉田知事のFacebookでのレポート

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そして、久留米大学など他会場でも数多くの講演を行いました。

主催者、関係者の皆さま、そしてご来場頂きました皆さま、ありがとうございました。

各地へのお礼

皆さま、ブログの更新が全くできてなくて・・・すみません。なんとも時間に追われて、精神的にちょっと余裕のない毎日を送っています。

今年は、日本における講演会、シンポジウムの参加、セミナーなどが頻繁にあり、その期間中、その他の仕事がストップしてしまうので、帰国後は溜まった情報のインプットに追われ、こちらで視察の受け入れもあり・・・という悪循環です。来年からはちょっと年間スケジュールの見直しをしないといけないですね。

さてさて、そんなことはさておき、まずはお礼を申し上げます。

2013年7月、および9月には、日本各地において数多くの講演をさせていただきました。

すべての主催者の方々、お手伝いいただいたスタッフの方々、そしてご来場いただいた方々に心から御礼を申し上げます。各地では沢山の意見交換もできて、自分自身も楽しむことができました。

今後ともよろしくお願いいたします。








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2013年7月、日本での講演会について

皆さま、こんにちは。

これまでに私自身が体験したことのない長い、長い冬が続いたドイツの気候も、初夏には100年に1度の大洪水、その後は気温が40度近くになるアフリカからの熱波など追い打ちでの異常が続いていましたが、先週からは落ち着きを取り戻し、気温25〜30度、湿度の低い気持ちの良い夏日が続いています。

日本は今現在、猛暑ということで、あの湿度を連想するだけで、帰国を前にして、すでにビビってしまっていますが、7月後半には、日本を訪れ、各地で講演をさせて頂きます。

最近は、閉じられた会での講演の機会が多くなってしまって恐縮ですが、今回、一般参加いただけるものは、以下のようになります。

2013年7月27日(土) 久留米市・久留米大学御井学舎・学生会館3F
・10〜12時 講演:ドイツの森林政策について(講演のみの参加費は500円)
・13〜17時 座談会:ドイツの環境・エネルギー政策に関する大質問会(全日参加費は3000円、学生1000円)

2013年7月29日(月) 岐阜市・岐阜駅じゅうろくプラザ
・13:30〜17時 シンポジウム:人口減少時代の都市政策(参加費無料)

2013年7月31日(水) 八戸市・八戸工業高等専門学校・講義楝3F
・17:20〜19:30 エネルギーフォーラム:地域エネルギーの住まいと暮らしで地域を活性化するために(参加費無料)

各所のチラシにつきましては、私のHPからダウンロードいただけます。


皆さまと日本の会場でお会いできることを心から楽しみにしております。

2013年3月の講演会のお知らせ

更新が大変、遅れましてすみません。

2013年3月の各地での講演会は、無事、すべて好評のうちに終了しました。

ご来場いただいた方、および、講演会の開催者、ならびに、お手伝いいただいたすべての方に深くお礼申し上げます。

ありがとうございました。

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皆さま、こんにちは。

3月初旬〜中旬にかけて日本に帰国し、各地でシンポジウムへの出席、講演を行います。

いつものように一般の方の参加が自由でないものも多いのですが、いくつかはご自由に参加いただけます。

アクチュアルな事例や内容を準備していますので、ご興味のある方は、是非ご参加下さい。皆さまとどこかでお会いできる機会があれば大変嬉しく思います。

3月3日(日) 杉並区 あんさんぶる荻窪 14時〜16時 参加費無料
(注:区内在住、在勤、在学者に限定。ただし、定員に満たない場合は区外からも参加の可能性あり)
すぎなみ環境情報館 講演会&質疑応答 『地域を豊かにするドイツのエネルギー自立』
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・いくつかのエネルギー自立事例を紹介
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/

3月4日(月) 栃木県佐野市 佐野市文化会館小ホール 18時半〜21時 参加費無料
佐野市、佐野市環境ネットワーク会議、エコロジーオンライン主催
シンポジウム『再生可能エネルギーが地域を救う』
講演『EUで活発化する再生可能エネルギーによるまちづくり
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・いくつかのエネルギー自立事例を紹介
http://www.saco-net.com/

3月5日(火) 千代田区 毎日ホール 13時20分〜17時半 参加費:3000円
ソーラーシティジャパン主催 シンポジウム『地域エネルギーが地域経済を救う!』
講演『ドイツに学ぶエネルギー自立地域』
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・いくつかのエネルギー自立事例を紹介
http://www.eco-online.org/

3月7日(木) 札幌市中央区 かでる2・7 13時半〜17時 参加費:無料
北海道造園緑化建設業主催 植生技術講習会
講演『フライブルク市のまちづくり〜緑の市民による緑の街』
内容:
・ドイツの自然保護法と建設法典による緑のまちづくりについて
・フライブルク市の緑の施設政策と現状
・社会的、法的な背景などを事例を用いながら紹介
http://www.hokuzoukyou.or.jp/

3月8日(金) 鎌倉市 鎌倉商工会議所ホール 18時半〜20時40分 参加費:2500円
ちきゅうのこ22プロジェクト主催 シンポジウム『実践・鎌倉2050年へのまちづくり!』
講演『ドイツのエネルギー自立地域』
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・いくつかのエネルギー自立事例を紹介
http://chikyu22.jimdo.com/

3月12日 大阪市北区 大阪市中央公会堂 14時〜16時 参加費無料
北区役所市民協働課 北区環境講座
講演『都市型地域における環境、エネルギー政策』
内容:
・エネルギー自立とエネルギーシフトの意義、意味、本質について
・ドイツのエネルギーシフトにかかわる政策、現状について
・社会的、法的、経済的な背景を事例を用いながら紹介
・ドイツ、スイスでの都市商業地区におけるエネルギー自立事例を紹介
http://www.city.osaka.lg.jp/kita/

10月、11月講演会のお知らせ

10月下旬から11月中旬にかけて日本に帰国し、各地でシンポジウムへの出席、講演、ワークショップを行います。


一般参加がかなわないものが多いのですが、いくつかはご自由に参加いただけます(リストはこれで完成しました)。


ご興味のある方は、是非ご参加下さい。


10月26日(金) 岐阜市 じゅうろくプラザ 14時半~16時半 参加費無料

テーマ:シンポジウム「人と自然のつながりって何だったっけ?」

http://www.city.gifu.lg.jp/c/40120655/40120655.html


10月27日(土) 久留米市 久留米大学御井学舎 13時~17時半 参加費無料

テーマ:シンポジウム「これからの都市デザイン コンパクトシティの実現をめざして」

http://www.kurume-u.ac.jp/announce/kouhou/info2012/20120047.htm


10月28日(日) 久留米市 久留米市役所2F「くるみホール」 全日(9時~17時)参加費、一般3000円、学生1500円

テーマ:ワークショップ「久留米の未来の交通」(『未来工房』の手法を用いる)

ワークショップの詳細については、以下の私のHPにおける講演会の案内の部分に、詳細なチラシ、参加者への呼びかけ文がDLできるようになっています。

http://www.murakamiatsushi.net/


11月02日(金) 岐阜県高山市 市役所地下多目的ホール 19時~21時 参加費無料

テーマ:講演「飛騨高山でエネルギー自給自足を実現するために」


11月09日(金) 岐阜県恵那市 恵那文化センター集会室 13時半~16時半

テーマ:シンポジウム「ドイツフォレスターが語る 森づくりシンポジウム」

(村上は通訳のみです)


11月10日(土) 岐阜県恵那市 東濃地域木材流通センター 14時半~17時 参加費有料

テーマ:講演「日本のエネルギー自立を考える 建築関係者ができることは?」

(建築関係者向けの講演です)

http://wood-ac.or.tv/index.htm


11月11日(日) 岐阜県大垣市 大垣市情報工房 13時〜15時 参加費有料:1000円

テーマ:講演「地域経済を豊かにする〜ドイツのエネルギー自立の事例から」


11月14日(水) 福島県福島市 福島大学L1教室 13時〜15時 参加費無料

テーマ:講演「ドイツ自然エネルギー政策とまちづくり」



キロワットアワー・イズ・マネー

さてさて、2012年の上半期を使って、時間をひねり出して、本を執筆しました。

 『キロワットアワー・イズ・マネー』というタイトルで、いしずえ出版から9月上旬に出版されます。

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本書は、

第一章:日本の中・長期的な社会の将来予測(とりわけ人口減と地域格差について) 

第二章:上記の視点から、それぞれの地域にお住まいの方々が、何を選択すると、自身にも、地域経済にも利益があるのかを提案。

第三章:同じく、地域の企業、政治、行政は、何を選択すると、自身にも、地域経済にも利益があるのかを提案

第四章:とりまとめ

 という構成で、コラムとして「市民の幸せとは何か」について、ドイツの知見も紹介しています。エネルギー、地域経済、地域住民の幸せがテーマになっています。

 

  2050年までにエネルギーシフトを行うことを政策で定め、すでに取り組みを開始しているドイツですが、それが地域の経済にどんなインパクトを与えるの か、人びとの暮らしにはどのような変化があるのか、すでにドイツで得られている知見を紹介しながら、日本での活用を模索します。

 地域への経済のインプットの増加が見込めない人口減少地域においては、まずはGDPを分析して、地域外へのアウトプットとなるお金の流出を最小限に抑えることが肝要です。

 エネルギーの流れは、驚くほど大きな額のそのお金の流れそのものでもあるので、上記のタイトル(タイム・イズ・マネーからのパクリですが)になりました。

 「kWh=¥」の公式をどれほど深く理解して、大きな流れの中で、自身の地域に¥を循環させるのか、それを今から行う自治体と、そうしない自治体とでは、10年後、20年後の姿は当然異なります。

 それがひいては、自治体間競争の勝敗の要因へとつながり、それによってどのように、他地域からの流入人口で、自地域のGDPや人口規模を確保する戦略を描くことができるのか、ここが本書のテーマとなります。

 

 ということで、本書は、日本という国を救おうというお話ではありません。

 急激な人口減少がプログラムされている今の日本の人口動態では、100%確実な話ですが、全土を均一に今のレベルに保ってゆくことはできません。2050年には、半数近くの自治体が消滅しているはずです。

 全部を救いたかったのだったら80年代にやっておくべきだったでしょう。つまり、今は、もはや手遅れ、遅すぎた状況が現実です。

 つまり、本書は、やる気や思いのある自治体や地域の方々が、他の地域はさておき、前進しようとするときに、参考になれば良いかなという思いで執筆しています。まあ、首都圏と名古屋圏の人には、あまり関係ない話ですね。

 ただし、これは政治的な本ではありません。

 個人、個人で、あるいは地域の中小企業が、実際にどのような行動をすることで、自身が今の瞬間も不利益を得ないで、中期的に地域社会に富を流通させることができるのかという方法論に、紙面を大きく割いています。


 通常であればアマゾンのアドレスからの告知となるのが普通ですが、本書ではそもそもそれをおすすめしていません(首都圏、名古屋圏の方には、後日、アマゾンのアドレスをお知らせします)。

 地域経済のGDPためにということで、まずは手はじめに一つの実践をおこなってみようじゃないかということで、出版社とも協議した結果、ご興味のある方には、以下のような手続きでご注文頂きたく思います。

 

1.以下の出版社の本のページをクリックして下さい。

http://www.ishizue-books.co.jp/

2.本のページから、『キロワットアワー・イズ・マネー』の注文書のPDFがダウンロードできます。お手数ですが、DLしていただいて、印刷して下さい。

3.それをお近くの最寄りの本屋さん、できればチェーン店ではない、地元資本の経営の本屋さんにお持ちいただき、ご注文の希望冊数を言い、ご注文ください。どんな本屋さんでも、その注文書があれば、直接出版社に本を注文できます。

4.ただし、そうした出版社への直接発注をあまりした経験のない、つまり、取次店の言いなりの本屋さんでは、もたつくこともあるでしょう。ただし、今回は 実験です。申し訳ありませんが、粘り強くお待ち下さい。これまで、私たちの仲間が全国各地で試みたところ、注文すらできなかった本屋さんはありませんでし たから。

5.これで、出版社からその本屋さんへ本が送られ、本屋さんでは売上が立ち、取次店にあまり多くの金額を搾取されることなく、皆さんがお支払いした本代 は、本屋さん、配送屋さん、出版社に分配されることになりました。細かな話ですが、地域の自治体の税収も見込めるはずです。アマゾンでの注文とは、少しお 金の流れが変わったことに気が付かれることでしょう。

6.もちろん、本屋さんに出向く手間は必要です。戸惑う本屋さんの相手もしてあげなくてはなりません。それでも、もしあなたがお住まいの住民すべての方が、本の注文をそうしたと仮定したら、どれぐらいの経済効果がでるのか、ご想像下さい。

7.こうした積み重ねについて、エネルギー、住まい、移動、交通、買い物、事業など、様々な分野で提案しているのが、本書だと言うわけです。

 

欧州のエネルギー自立地域

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発行している季刊誌「政策・経営研究」に「欧州のエネルギー自立地域」についての論文を寄稿しました。

「ドイツは再生可能エネルギーの発電でガンガン」というニュースがマスメディアではよく取り上げられていますが、それは数多くある取り組みの中の一幕だけに過ぎませんし、優先順位では必ずしも最も高いものではありません。

いわゆる「再生可能エネルギー100%」を目指す先進地域の取り組みは、省エネ、エネルギーの高効率化がともに優先して考慮され、地に足のついたコンセプトが検討されています。

ご興味のある方は、以下のアドレスから全文をPDFでダウンロードできますので、ご覧いただけると幸いです。

http://www.murc.jp/report/quarterly/201203/index.html

講演のお礼

先月、7月には日本各地で、数多くの講演、セミナーを開催させていただきました。

ご来場いただきました皆さま、並びに、ご協力いただきました関係者の皆さまに、ここにお礼を申し上げます。ありがとうございました。

次回の企画ももうすでにはじまっています。10月後半から11月中旬まで、再び、各地で講演をさせていただきます。ほとんど日程は埋まりつつありますが、また、プログラムが確定したら、ここで、お知らせさせて頂きますね。

さて、共著『欧州のエネルギー自立地域』で取り扱った、ドイツの事例については、ドイツではテレビ番組、ビデオなど映像でも取り上げられています。こうした動画のリンク先を以下のブログに取りまとめましたので、文章だけではイメージが湧かない方、どうかご参照にしていただければ幸いです。とはいえ、英語、ドイツ語のみなんですが・・・
http://blog.livedoor.jp/eunetwork/archives/13660205.html

それでは、日本では暑い日々が続いていると思いますが、皆さま、どうかお体にはご自愛下さいね。

と、涼しい涼しいドイツ、フライブルクから・・・

7月の講演会のお知らせ

ブログをご覧になっている皆さん、いつも、ありがとうございます。

 

7月中旬から日本に2週間ほど滞在するのですが、講演の機会がありますので、ここで告知させて下さい。

 

7月14日(土)14〜17時、東京・渋谷区神宮前(建築家会館)参加費1000円

JIA環境セミナー テーマ:欧州のエネルギー自立地域

お申込みなど詳しくは以下のWEBサイトからチラシをダウンロードして下さい。

http://www.jia.or.jp/index.html


7月15日(日)15〜17時、東京・渋谷(大学生協渋谷会議室)参加費無料(ただし、学生さん優先での申し込み受付です)

大学生協テーマのある旅セミナー テーマ:欧州のエネルギー自立地域

お申込みなど詳しくは以下のWEBサイトからチラシをダウンロードして下さい。

http://www.withnavi.org/ryugaku/seminar.html

 

7月18日(水)18〜21時、京都(ハートピア京都)参加費800円

環境市民20周年記念セミナー テーマ:地域から持続可能な社会をつくる

お申込みなど詳しくは以下のWEBサイトからチラシをダウンロードして下さい。

http://www.kankyoshimin.org/modules/join/index.php?content_id=98

  

皆さまとお会いできる機会があれば、嬉しく思います。

 

100%再生可能エネルギー!

再生可能エネルギーによってエネルギー自立、地域経済の強化を目指している欧州各地の先行事例を取り扱った本を書きました。

2012年3月10日に発売のこの著書は、学芸出版社から

「100%再生可能へ! 欧州のエネルギー自立地域

というタイトルで出版されます。
Amazonでご注文いただけます



著書陣は、

・滝川 薫(スイス)
http://blog.goo.ne.jp/swisseco

・田代かおる(イタリア)

・近江 まどか(ドイツ)
http://blog.goo.ne.jp/madokuccia

・池田 憲昭(ドイツ)
http://www.arch-joint-vision.de/

・村上 敦(ドイツ)
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/

となっています。

また、紙面には収まりきれなかった内容や事例のアップデイト、著者からの日本での講演のお知らせなどをお伝えするブログを作りました。

こちらもぜひ、ご参考に!
http://blog.livedoor.jp/eunetwork/




2010年8月の帰国について

2010年8月中旬から1週間、日本に帰国することになりました。

その他もろもろの仕事が多くて、一般参加が可能な講演は数がすくないのですが、以下に私がコーディネートしている社団法人クラブ・ヴォーバンでのセミナーがありますので、ご興味があればご参加ください。

住宅関係、都市計画関係のになりますので、この業界に関連されていない方、全く予備知識のない方には少し難しいかもしれませんが、質問していただければ、できるだけ丁寧にお答えすることはお約束します。

詳しくは以下のサイトで:

http://www.club-vauban.net/20100725101112010_1.html

 

それから最近はツイッターばかりで、情報提供や議論をしています。もし、よかったらフォローしてくださいね。近況の模様は以下でお調べになれます。

http://hodade.adam.ne.jp/tweetabout/?murakamiatsushi

 

 

J-WAVEをチェック!

なんだか、お知らせブログが続いてしまいましたが、明日、2月7日にFMラジオ局J-WAVEに出演しますので、もし良かったら聴いてみてください。

「フライブルク市とはどんな街? どんなエコ?」という感じで皆さまに話しかけます。

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組:「MITSUBISHI JISHO CLASSY CAFE」
ナビゲーター:宮本笑里、村治佳織
放送日時:毎週日曜日19:00〜19:54
番組HP:http://www.j-wave.co.jp/original/classycafe/
出演コーナー:「La Promenade〜街と音楽と〜」

出演は19時半前後と聞いていますが、楽しい番組なので、もしよかったら最初からどうぞ。

Twitterはじめました

現在、日本で講演中ですが、日本の環境、エコロジーシーンでは、結構Twitterが使われています。ドイツはまだまだそれほどでも、そんな差を知ることができるのも日本でのお仕事があるからです。感謝。

もしよかったら、フォローしてみてくださいね。
http://twitter.com/murakamiatsushi

それでは、今から長野に移動して、講演を行なってきます。

2010年1月末〜2月、日本での講演会について

1月末から2月の頭にかけて、またまた日本で講演会を行なうことになりました。

今回は、ほとんどが企業、大学、自治体職員向けで閉じられた会が多いのですが、いくつかの各種の調整が進み、一般向けのものもありますので、とりあえずは以下の4回について、皆さまに紹介いたします。詳しくは、私のHPでチラシや告知アドレスをご覧ください。
http://murakamiatsushi.de/article_022.html


・1月25日(月)、17〜19時半、浦安市文化会館 大会議室

テーマは、『日本版のグリーンニューディールを探る』というものです。エネルギー政策から、省エネリフォーム、ソーラーの助成措置まで、ドイツでの事例を分析し、日本向けの提言を行ないます。

・1月26日(火)、17〜20時、東京都渋谷区 東京環境工科専門学校

テーマは、『日本でも住宅のエネルギーパス導入を探ろう!』という勉強会です。自立循環型住宅研究会でご活躍の吉田登志幸さんをファシリテーターに、私やパッシブハウス建築家で有名な森みわさんなどで日本の住宅のエネルギー性能について議論します。

・1月30日(土)、13〜17時、岐阜県多治見市文化会館 小ホール

テーマは、『都市計画と公共交通』。多治見市では先導的都市環境形成計画の策定が行なわれています。これに市民の関心をもっていただくためのシンポジウムで、私はフライブルク市の交通や都市計画について講演をします。パネルディスカッションでは、元ギャル社長の藤田志保さんなどを交えて、市民の目線で環境と都市計画、交通について話し合いたいと思っています。

・2月9日(火)、午後、名古屋、または大阪(詳細は未定)

ドイツのエネルギー政策と省エネ住宅政策について話します。


以上ですが、皆さまとお会いできる機会があれば、幸いに思います。

クラブ・ヴォーバンの勉強会

10月27日と昨日の11月10日、仲間と一緒に立ち上げた社団法人クラブ・ヴォーバンの連続勉強会の第1回と2回を東京でこなしてきました。

http://www.club-vauban.net/

2020年に温室効果ガス25%マイナス(90年比)を実現するためにはなにができるのか、どんな政策がなければならないのか、様々な分野の方にお集まりいただき、ドイツの先進事例を紹介するとともに、参加者の方から意見をいただき、ディスカッションしました。

驚いたことは、参加者の方の想像力です。〈未来工房〉というワークショップの手法のごく一部を用いて、ディスカッションに望んだわけですが、本当に短い時間でしたが、多様な意見を聴くことができ、私自身も参考になりました。

この連続勉強会は、PJ25と名付けられて限定25名で、全5回を行なう予定にしています。次回の予定と内容は:

11月30日 18時〜 「ドイツの住宅に学べ! 日本の普通は世界で普通か?」

12月11日 18時〜 「断熱改修の定義と日本におけるインセンティブなどの制度設計」

1月26日 13時半〜 「低炭素住宅の新基準をつくろう!」

この5回を踏まえた後に、住宅建物づくりのクラブ・ヴォーバンの基準を策定し、日本に広く広めてゆきたいと思っています。ご関心のある方は、会員限定となりますが、入会にも余裕がまだありますので、上記のホームページにお問い合わせください。

また、大阪で、11月18日、18時半〜 「ドイツに学ぶ新エネ普及政策と固定買取制度」というシンポジウムも行ないます。

今月から太陽光発電の余剰電力の買取が2倍になりましたが、今後の政策はどうなるか、占ってゆきたいと思っていますので、ご興味のある方は以下のページをご覧ください:
http://www.club-vauban.net/200911061094do.html

Twitter プロフィール
ドイツ在住の環境分野のジャーナリスト、村上敦です。2012年秋に本を出しました。『キロワットアワー・イズ・マネー』。よろしくお願いします。http://t.co/0ojypWDT
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