セミナーや研修で、「あなたの会社は何屋さん(何業)ですか?」とよく問いかけます。「何屋」「何業」と問われて返ってくる答えは、「パン屋」「スーパー」「製造業」と、いわゆる業種、業態が大半です。これはこれで正しいのでしょうが、他社との違いや、その会社の存在価値、存在理由などが伝わってきません。そこで、「事業分野規定」「事業領域(ドメイン)」を決めて、自社の存在理由や提供価値などを落とし込みながら、「わが社は何屋(何業)なのか」を明文化するお手伝いをしています。この事業ドメインを、幹部研修や合宿などを通じて作りこむと、自社が何者なのかが明らかになり、何をなすべきなのかも明白になり、行動が変わってきます。

スティーブジョブズの生涯を記した著書「スティーブ・ジョブズ」の中で、アップルが経営危機に陥った際に、ジョブズが社員さんの前で語ったスピーチが紹介されています。

「アップルは、世界のトップブランドの一つだ。しかし、このところ世の中から無視されている。我々はアップルを再び偉大なブランドにしなければならない。そのために大事なことは、こまごまとした機能やCPUの速度ではない。いかにウィンドウズより優れているかでもない・・・。(中略)
 それに比べて我々は、多額の広告を使っているが、アップルが何者であるのかを誰も知らない・・・。我々の顧客は、アップルというブランドが、何のために存在するのかを知りたがっている。
 我々は、人々が仕事のために使う(コンピューターという)箱を作るだけの会社ではない・・・。我々の価値はそのことを超えている。
 我々のコア・バリューは“情熱を持つ人こそが、世界をより良くすることができる”と信じることだ。“自分が世界を変えられると本気で信じるクレイジーな人たちこそが、本当に世界を変えている”。そのことを信じることだ・・・。」

このように、わが社は何のために存在し、顧客に対してどのような価値を提供する会社であるのか、ということを問いかけ、それを求めていく必要性を訴えかけているのです。

ものが溢れ、製品の寿命がますます短くなる中で、自社のあり方、存在価値を示すことは、改めて重要になってきています。ぜひ、自社は「何屋」「何業」を言葉にまとめてみてください。