純粋とは矛盾色

―Necronomicon rule book―

幸せとは何かを探していた。
最高の幸せを追求し、自らの幸せを探求し続けた。 
人と同じことをすれば腹が立ち、人と違うことをすれば角が立つ。
特別になろうと私欲に働けば、抑止を以って常人の行動なのだと気づかされる。
故に、自らを幸せにすることに意味はなく、他人を幸せにすることに意義を見つけ出す。

他人に乗り移る呪い事は自らの存在を薄め、描いた作品を腐らせる。
幾千にして腐敗。誰かに恨まれる人生でも構わない。
キャラを殺し、自分を殺し、最悪の結末で物語が終わろうと、
己の私欲をかけた場所を守り続ける。


私には、正義としての素質があったのだ。


『純粋とは矛盾色 村崎色の手記より抜粋 Necronomicon rule book』 

 『ナノ・スライム』によって、城戸香里、早織姉妹の二人と昼食を共にする増沢豊に、周りが見る視線はたまらなかった。
 嫉妬や憤慨。城戸姉妹と一緒に昼食出来ることに対する男子生徒の羨ましさがヒシヒシと感じることができたのだ。

「むふぅ。中身はともかく、外観だけは香里さんは綺麗だからね。それに比べると早織さんは完璧だぁね」
「なにを独り言つぶやいてるのよ、気持ち悪い」
「はい、増沢さん。一口どうぞ。あーん」
「むあーん!」

 早織からもらうたこさんウインナーを頬張る豊に男性たちの怒りゲージがあがっていく。今日も暑い日が続いていた。

「(さすが、『ナノ・スライム』なんだなぁ。こうしていることがまるで普通のように見えてしまうから面白いんだな)」

 男性たちが嫉妬するように、豊はイケメンではない。キモヲタであり、外観は肉の塊そのものだ。醜悪が滲みでて、匂いさえ腐っているほどの憎悪に誰も近寄らなかった。しかし、『ナノ・スライム』を手に入れてからは女性に気にすることなく近づき、好き放題できるよう洗脳するので、まさに土足で玄関をあがるくらい朝飯前になっていた。
 自分が変わるのではなく、他人を変えさせる不定形の魔道具。豊かの発するオーラは邪悪そのものになっていた。

「どお、早織さん。僕と食事するの楽しい?」

 そう問いかけると、

「はい、楽しいです。増沢さんは作ったお弁当全部たべてくれるから見ていて気持ちいいです」

 汚物の豊が弁当箱を綺麗にするというジョーク。空っぽになった弁当箱は綺麗に舐めとられており、豊の唾液塗れになっていた。
 それを見ながら香里の表情はどこか固まっているように見えた。

「どうしたの、お姉ちゃん?」
「・・・ううん。なにか、違和感があって。なんで私、増沢くんなんかと食事しているのかなって・・・」

 香里が抱く小さな疑問は確かな形として見え始めていた。お弁当まで用意していた香里がいつの間にか弁当をやめてパンのみを買うだけになった。それは明らかに豊に対する拒絶である。本人ですら気づいていない小さな抵抗でありながら、香里が作っていたお弁当を食べたかった豊にとって、それは大きな打撃を意味していた。

「ぷぷぅ?僕と食事することになにか疑問があるのかなかな?」
「だって、普段喋らなかったクラスメイトといきなり昼食なんて・・・それに、なにか、忘れている気がするのよ・・・なにか、大切なこと・・・」
「お姉ちゃん?」

 なるほど、『ナノ・スライム』の浸食は早織の方が早いと見える。遅くしている要因は香里が過ごしてきた日常生活による記憶。普段、豊に抱いていた気持ち悪さや憎悪が、簡単には拭えない。豊が作り出した偽りの昼食時間を拒み始めようとしている香里に、更なる対策を施さなければ後々支障をきたすのは必然だ。

「(ナノ・スライムで人格を変えることも出来るんだけど・・・うぷぷ。でも、せっかくなら一時的に元に戻してこの状況を見てもらった方がより面白くなりそうだぁね)」

 『ナノ・スライム』による拘束を解放し、香里を一時的に元に戻す。「あっ」と小さな驚きを見せた香里が、次の瞬間、大きな悲鳴をあげたのだった。

「増沢・・・あんた、なんでここに居るのよ!?」
「んふぅ?二人が僕を呼んだんじゃない?」
「ウソよ!あんたと一緒に食事するわけないじゃない!」
「ううん、お姉ちゃん。 私が呼んだじゃない。豊さんにお弁当食べさせたいって、意気込んで作っちゃったお弁当、こんなに綺麗に食べてくれたじゃない」
「ひいぃぃぃ!!!?す、捨てて、そんなお弁当箱!もうどこにも使えないじゃない!」
「ひどい、お姉ちゃん・・・なんでいきなりそんなこと言い出すのよ・・・」

 香里の記憶と早織の記憶が混雑して姉妹喧嘩に発展しそうな勢いである。 その張本人である豊はニヤニヤ笑っているだけでその様子を傍観していることに心地よさを覚えていた。

「あんたのせいでしょ・・・早織に何をしたのよ!」

 香里もなんとなく原因が分かっている。たとえ喧嘩しようと、妹の変化にいち早く気づくことが出来た香里は、早織を守るために豊を目の敵にした。当然だ。居てはおかしい人物が同じビニールシートの上で居座っているのだから、豊が早織をそそのかしたと考えて間違いないのだ。

「ぷぷぷ・・・妹ちゃんには僕好みの理想の彼女に洗脳させてもらったよ。だから、妹ちゃんは僕が死ねって言ったら死ぬかもしれないね」
「は・・・・・はぁ!!?」

 洗脳だの、死だの・・・。香里にとって非日常的な言葉が飛び交い反感を買う。なにも関係のない早織に洗脳を施す、そんな道徳も常識もないクラスメイトが身近にいたというだけで恐怖した。

「ふざけないで!早織を元に戻しなさいよ!さもないと、あんたを絶対に許さない!」
「威勢だけはいいね。妹を守りたい姉御肌なんて美しきかな?」
「バカにしてるの?こんなことを言われてタダで済むと思わないで。あんたを学校にこれなくしてやるんだから」
「どうやるのかな?」

 妹に元に戻したいと、正義感ぶる香里に対してニンマリ笑いながら挑発する。香里は豊に殴る覚悟で襲い掛かった。



 
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 城戸香里―きどかおり―は神保市立向陽陣大高校の生徒であり、昼休みになると付属中学校に通う妹の早織―さおり―がやってきて二人で昼食を食べるのが日課である。飲み物を買った香里が中庭に向かうと、既に早織はビニールシートに座ってお弁当を広げていたのだった。

「お姉ちゃんも飲む?」
「なにを?」
「水素水」

 水道水でも十分美味しい地区に住んでいる香里がコンビニで水を買ったことはない。巷で噂になっている水素水の話も耳には入っているが、自分で買おうという気はしない。

「・・・効果あるの?」
「普通の水より美味しく感じるよ?芸能人が薦めるだけあると思うよ」
「それ、洗脳されてるだけだから」
「そうかな?・・・グビ・・クピ」

 妹が意識他界系だったとは知らずに疲れが出る。でも、中学生の妹にとっては今が一番意識高いのかもしれない。なんでもやりたい年頃だし、中学時代なんて怖いもの知らずだ。
 美味しく飲めるのなら水素水も一度くらい手を出したってかまわないのではないだろうか。

「ん・・・?」

 そんなことを考えながら団欒を過ごしていると、一人の男性が二人の元にやってきた。香里と同じクラスの増沢豊―ますざわゆたか―だった。

「うわっ、なんで来るの?」

 香里は豊の顔を見て怪訝な表情を浮かべた。見ての通りのキモヲタであり、クラスで一番浮いている存在だったのだ。そんな豊が城戸姉妹に近づくのだから何の用事とばかりに、ビニールシートに座りながら態度で豊をけん制していた。

「ぼ、ぼくも一緒にご飯食べたいんだな、ふひぃ」

 ふひぃってなんだ?そんな緊張していたのか、呼吸を荒くいう豊に対して香里は――

「却下。別の場所でご飯食べて。息はいただけで口臭がたまらないわ」
「いいじゃない、お姉ちゃん。お姉ちゃんのクラスの人でしょう?可哀想だよ」
「なにも知らない早織は黙ってて」
「見た目はともかく、いい人そうじゃない。はい、あーん」

      あ~ん(恍惚

  卵焼きを差し出してくる早織に今にも喰らいつきそうになっている豊を見てすぐさま香里は箸を下げてしまった。

「変なことしないで。その箸買い直さないといけなくなるでしょう?」
「そんなに嫌わなくても・・・泣きそうになってるよ?」

 豊のブサイクな顔がさらにくしゃくしゃになってしまっている。そんなに悲しいことだったのだろうか。
 しかし、豊も表情を一変させて、二人にある物を差し入れした。

「水素水」
「わあ」
「あんたも意識たかっ」
「あげる。特別。むふぅん」

 むふぅんってなんだろう。しかし、ただに弱い姉妹は遠慮なくそれを貰う。水素水に初めて挑戦する香里は二本目となる早織と一緒に口をつける。

 クピン・・・
 美味しい。
 でも、名前は変わっても、水素水とはアルカリイオン水。
 別段、特別の飲み物とは到底思えなかった。

「はい、御馳走さま・・・・・・ん、なに?」

 一口つけただけの香里にその良さは分からなかった。しかし、突如、その気配は訪れた。
 喉から粘りつく気持ち悪さと、体内に浸食されていく悪寒。
 水分が奪われて身体の中から干からびて声も出ず、身体も動かなくなっていく感じがした。

「お・・ねえ、ちゃ・・・くるしい・・・」
「さおり・・・増沢ぁ!私たちに何をしたぁ!」
「デュフフ・・。もう君たちはぼくの操り人形なんだな、ぬぅん。『ナノ・スライム』がきみたちの脳に到達するまでの辛抱なんだなぁ!」
「『ナノ・スライム』・・・?こわい、おねえちゃん」
「ゴホッ!ゴホッ!だめ、意識がだんだん遠のく・・・」 

      虚ろ

 楽しみの昼食から一転、苦悶の表情を浮かべていた姉妹が、ぷつりと糸が切れたように食事を中断して表情を虚ろにした。意識をなくした二人に豊は満面の笑みを浮かべていた。

「・・・城戸早織の脳を掌握しました。これより命令入力モードに入ります。なんなりとお申し付けください」
「・・・城戸香里の脳を掌握しました。これより命令入力モードに入ります。なんなりとお申し付けください」

 虚ろな二人が抑揚のない機械音声のような発音で機械的な動作を指示していた。『ナノ・スライム』によって一時的に脳を洗脳された二人はマスターである増沢豊の声によってのみ書き換えられることが可能である。

「むっはぁ!二人はぼくの言うことに従うこと。一切疑問をもたない」
「僕の匂い、体臭、 脇汗、精液に興奮してしまう。そして、僕の身体から排出されたものすべてが美味しいと感じてしまう」
「僕とセックスして精液を体内に挿入されると、僕なしには生きていけなくなってしまうほどに狂おしく愛してしまう」
 
『了解しました』 

 二人の声が重なり、命令入力モードが終わる。豊はどこからか、ファンファーレが聞こえたように気分がハイになってしまっていた。


 
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 俺、朝比奈直は姉の雛子のことが好きだ。シスコンと言われてしまうのも仕方ないけれど、こ の 世 界  で誰よりも、姉さんには幸せになってほしい。
 この世界・・・つまり、俺の視える世界の中でだ。
 俺のいない世界で姉さんが幸せになっても意味はない。姉さんの視えない世界で噂で幸せになったと聞いても価値はない。
 姉弟として、家族として、
 恋人として、男女として、
 井戸の蛙として、狭い世界で小さな幸せを共有したかった・・・。


「姉さんとお風呂に入るなんて久しぶりだな」

 子供の時に家族で銭湯にいったときの記憶を思い出してキャッキャッと笑う。もう大人の身体に成長した俺と雛子は、恋人のように家の浴室に仲良く入る。お湯を沸かしながらその時間に雛子は俺をプラスチックのイスに座るように誘った。

「洗ってあげるわ。そうして欲しいんでしょう?」
「う、うん」

 身体を誰かに洗われることに戸惑いはあるが、それは心を許す人にだけに許された特権だ。俺は椅子に座って姉さんのボディーソープに濡れた両手の動きを見つめていた。
 スポンジで泡立てることもなく、しなやかな細い雛子の手のひらが固い胸板に触れ、撫でていく。手で直接洗い始めたのだ。

「これも、ある意味いいな・・・」

 『スライム』の脳で覚える知識では所詮まねごとだ。しかし、雛子は自分の手で一生懸命に俺の身体を洗おうとしているのだ。両手で首元や胸を滑り降りていきながら全身を泡立てていく。スポンジよりも柔らかく、傷のつかないしなやかな腕の肉で汚れを落としていくのだ。

「くくく・・・」
「くすぐったい?」
「ううん、続けて」

 目の前に広がる雛子の豊満な乳房。水気が溜まる股下と陰毛。お風呂は全てを曝け出す場所。姉の普段見えないところが全部丸裸になって見える場所。まるでプラスチック椅子が王室御用達の貴族椅子に思えてしまうくらい心地が良かった。

「(って、姉さんにソープ嬢みたいなことをやらしている俺も俺だけどね)」

 ムクムクと欲求と供に盛り上がる逸物。膨らんだ逸物が身体を綺麗にしている雛子に感化されて勃起してしまったのだ。

「あっ」

 雛子も存在に気付いたみたいだ。まるでムスコも洗ってほしいと言わんばかりのはきちれんようだった。

「洗ってくれる?」

 そう雛子に尋ねる。

「わかった。弄るわね・・・」

 ボディソープに塗れた手で硬い逸物に触れる。熱い逸物が水に濡れた雛子の手に触れた瞬間に反応し、ゾクゾクとした快感を生み出していく。硬くなった竿の部分から亀頭の先まで何度も扱き続け、ボディソープでヌルヌルしている手の甲がツルッと滑り亀頭に指が触れる度に下半身が熱くなっていった。

「はぁ・・はぁ・・」
「ヘンな声出さないの・・・もぅ」

 そう言いながらも、雛子の指先が逸物を撫でて、泡まみれにした皮を剥いでいく。
 ジリジリとさらに滾ってくる。
 カリ首や裏筋も姉さんの手で洗われながらも刺激され、パンパンに張った逸物は綺麗になる一方で硬さをさらに増していった。

「綺麗に洗ってあげるわよ」
「手コキ、なんだよな・・・」

      プラスチック(スケベ)イス

 姉の手で扱いてもらっているという背徳感が俺を興奮させる。姉の洗濯していく意識を弱めて少しずつ自分の意識を強めていく。
 そうすると、うっとりとした目付きで俺の逸物を見ながら手コキをする姉。男女のスキンシップの意味を同じに認識していく。

「うふふ・・・おしっこの穴、開いてヒクヒクしてる・・・」

 俺の反応を見ながら、勃起した逸物を擦りたてる。先程よりも指の締め付けを強くしたり、緩急をつけてストロークしてみたりしていた。やっぱり洗っている時とはまた違った責め方をしている。偶然齎す刺激ではなく、狙った箇所に届く刺激を与える動きは、俺の逸物をさらに膨張させる。

「うあ・・・これ、やばい」
「いっちゃうの?いきそうなの?・・・イっていいわよ?私の前で、精液ビュッて出しちゃいなさい」

  姉の手の動きにあわせて腰が痺れて勝手に膝が震える。姉の手の動きが早くなり、俺をイかせようとしているみたいだった。
 しなやかな指使いに扱かれる気持ちよさ。射精寸前の玉袋を軽く引っ張られる感覚に、頭の奥で何度もフラッシュバックが起こっていた。

「うう・・・出したいけど・・・でも・・・」
「でも・・・?」
「だすのなら、姉さんのなかに・・・」
 
  甘えたように言う俺に、雛子は恥ずかしがるように赤面顔を見せた。しかし、拒絶するのではなく、歓迎するように喜びの笑みを俺に向けて――

「わかったわよ。じゃあ、せっかく綺麗にしたおち〇ち〇、いただいちゃうわね」

 プラスチック椅子に座った俺に抱き付きながら、雛子はおま〇こと逸物を合わせるように跨ってきた。

 
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 小倉さまが帰った後にひどい後悔の念が押し寄せてくる。

「わたしはいったい・・・なんてことをしてしまったの・・・」

 お得意様であるとはいえ、身体の関係を結んでしまうことが正しい選択とは思わない。身体を犠牲にして殿方を喜ばすやり方を誰が褒めるというのだろう。
 私はすぐに社長室に戻っては、痕を残さないように念入りに掃除を行った。換気には時間がかかるが、社長が帰ってくる時刻までにはまだ時間はあるので、においに関しては問題なさそうだ。しかし、 いくら部屋を掃除しても、いくら部屋を喚起しても、自分の身体の中に入った痕だけは落ちるものではない。

「う・・・」

 私は吐き気が込み上げ、トイレに行こうとした。穿き直したショーツ、ストッキングの隙間から、その痕が既に零れだしている――。

「え・・・?」

 ちがう。
 私が痕だと思っていたものは、別の生き物だった。もっと柔らかく、もっと軟らかい、ゼリーのような透明で、滑らかな動きで私の身体から零れ落ちてはまた昇ってくる。そして――

「あああっ!!!?」

  ――私の中へと滑りこんで、浸透していく。
 私と同化するように。

「あっ・・あっ・・」

 変な声をあげた私がしばらくすると、社長室から電話をかけ、総務の風間さんへ連絡を入れた。

『はい、風間です』
「風間さん。申し訳ないけど私、本日帰宅するので社長の帰りまであなたがいてくださりません?」
『どういうことですか?自らの仕事を投げ出すつもりですか?ちゃんと説明して下さらないと分かりません。もしもし?もしもし?』 

 一方的に電話を切り、私は帰宅する。
 帰ること、それだけが私のする、ただ一つの行動――。 


 
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 お得意先でもある子会社の小倉さまは社長室に入った時から、普段温厚の表情とは一変しており、激情して感情を爆発させていた。泣くに泣けず、怒る矢先をうちに向けるしかなかったという、なんとも悲しい表情だった。「金を返してくれ!」「契約は破棄だ!」「家計は火の車なんだ!」そんな呪いの言葉を言い続ける始末だ。

      お金かえして~(AA略

「ですから、そのようなことを当社に申されましても困ります・・・」
「そういうわけにはいかないんだよ。もうあんたのいう金額でやるとうちがマイナスになっていくだけなんだよ」

 社長がどれだけ無謀な契約を取り付けたのか定かではないが、その表情はよっぽど深刻で、馬鹿なことでも始めようとしているかのように見えた。

「これ以上、無茶な金額を言う限り、金輪際うちとの契約はなしにしてもらう」
「困るのはお互いだと思いますが」
「背に腹は代えられん。俺には会社に勤める者たちを守る義務がある」

 強気に責めれば平行線をたどる一方。どちらかが妥協する案はない。社長が入らなければ私では決められない話になってきていた。

「(どうしたらいいのでしょうか・・・?)」

 表情は固まったまま、内面は慌てていた。無言がしばらく続く。しかし、突然私の口から、信じられない言葉が紡ぎ出した。

「そうだ、小倉さま。それでしたら、私とセックスしてくれません?」
「・・・は?い、いまなんと?」
「セックス。私のおま〇こに、おち〇ち〇入れたくなりません?」

      流れ変わったな(アカン

 なにを言っているのか、私にも理解できない。自分自身の言葉の意味が理解できない。
 言葉の説得ではなく、肉体で交渉しようとするなんて自分の行動としてありえない。
 しかし、私の意識は身体の奥に押し込められ、身動きできなくなっていくのを感じていた。


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 俺、朝比奈直―あさひななお―の姉、雛子―ひなこ―はバリバリのキャリアウーマンだ。
 三十路前だというのに彼氏がいる素振りを見せず、朝会社に向かえば夜遅くまで家には帰ってこない。
 会社でも社長秘書まで上り詰めればそれなりの噂が家族の耳にも入ってくるが、両親は素直に喜べないでいるみたいだ。いや、家の両親も古臭い考え方なのかもしれないが、女性が嫁いで家に入るなんて、雛子姉さんにとって本当の幸せなのかは俺にもわからない。
 実際、姉さんと両親が結婚のことで喧嘩しているのを見ているだけに、本人の望みとそぐわない願いは、例えその道が安定していたとしても不幸なのかもしれない。

 不 安 定 だ か ら こ そ 姉 さ ん は 安 定 す る の か も し れ な い 。 

 未来が見えないから人は人生を楽しもうと計画し、一喜一憂する。安定よりも少しの娯楽を交えた人生を謳歌したいと思うだろう。実際、雛子姉さんは試験を勝ち取り、社長秘書になれたのだ。収入はおそらく両親よりも稼いでいるだろう。自立できると思えばできるのに、姉さんが今も実家から通っているのは、両親を想って離れていかない、 家 族 思 い に他ならない理由だ。

 弟の俺が言うとシスコンに他ならないけれど、この世界で誰よりも、姉さんには幸せになってほしいのだ。
 

 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 私、朝比奈雛子は朝が弱い。
 社会人として生活のリズムを乱したくないからと、いくら早く寝ても、起きるのは7時と会社に向かうギリギリの時間になってしまう。目覚まし時計の音に目を覚まし、時刻を見て目を醒ます二段構えじゃなくちゃいけないくらい朝が弱いのだ。
 そんな私でも毎朝必ずすることがある。お風呂に入ることだ。お風呂に入ることでこれから新たな一日が始まると感じることができ、汚れも寝癖もすべて数分で治すことができるのである。この三段構えが朝起きられない私でもすぐに脳を活性化させる習慣なのである。
 パジャマを脱いで裸になると、私は湯が張ってある湯船に足をつける――。一晩経っていたら湯は水になっていると思うだろうけど、家では私の習慣を知っているせいか、朝の時間だというのにお湯は決まって40度に設定されている。タイマー予約で沸かすことができるとはいえ、誰かが設定しなければ機械は動くことは出来ないのだから、わざわざ親がこの時間に設定してくれていることに感謝したい。

 ――ぽちゃん。

 足の先から温まる体温が私の脳を起こしていく。丁度いい湯加減に何時までも入っていたいと悠長なことを考えてしまう。全身を浸っておよそ一分間。髪を濡らしながら会社に出社したらやるべきことを先に考えておく。

 ・・・・・・・・・。

 うん、よし。
 そろそろ、一分経ったかな。
 あがろうとしたとき――

「え・・・?」

 機械が勝手に動きだし、お湯が継ぎ足されたのだ。
 足元で噴きだす水の勢いに違和感を覚える。こんなこと一度もなかったのだ。そして――。

「ううぅん!!!?」

 浴槽に張ったお湯が私を沈めさせようとしているように、ものすごい力で私を水の中に押し込もうとしていたのだ。
 信じられないことが起こっていると、私は必死にもがいて暴れて逃げ出そうとした。

「んんぅ!・・・けほっ、くるし・・・かはぁっ!」

 なにが起こっているのか分からない。
 死んじゃう。
 こわい。
 みず、のんじゃった・・・。
 おぼれる・・・・・・
 こんな低い浴槽で・・・溺れる・・・・・・?

 私は今朝一番の発想を思いつき、浴槽に出るのではなく、浴槽に沈むことを思い立つ。そして、全身が浴槽に沈められ、掌がしっかり浴槽に触れたところで一気に身体を押し上げた。水圧に負けないほどの反動で身体を押し上げた私は浴槽の淵への決死の20㎝のジャンプを見せ、転がるように水から放れることに成功したのだ。

「はぁ・・はぁ・・なんなのよ・・・いったい・・・」

      暗黙の了解ですまないレベルに挑戦

 浴槽を覗き込めば普段見る浴槽のお湯にしか見えない。意志があって襲い掛かった魔法の水とは到底思えない。
 そもそもお湯が襲い掛かったなんて話を誰か信じてくれるだろうか。 両親に話したとしても、「なに寝ぼけたこと言ってるの?」と言われるのが関の山だ。

「・・・はぁ、最悪な朝ね」

 こんなことをしている間に、私は朝の貴重な5分間をロスした焦りに苛立っているのだった。 
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グノーグレイヴ『下剤―状態変化Ⅰ―』



グノーグレイヴ『下剤―状態変化Ⅰ―』



 どこかのサイトで発見しても、決して嫌な顔しないでください。お願い致します!

 エムシー販売店、総支配人の村崎色です。 
 本日、『エムシー販売店』同人誌第四弾を発売いたしました。 

 ――グノーグレイヴ『下剤―状態変化Ⅰ―』 


       見られてる・・・



DLsite グノーグレイヴ『下剤―状態変化Ⅰ―
DMM  グノーグレイヴ『下剤―状態変化Ⅰ―
DiGiket『グノーグレイヴ『下剤―状態変化Ⅰ―

 『TSF』化同人誌を新たに発売することができました。この作品は私の力では到底完成させることができなかった作品でございます。
 あとがきにも描いてあります通り、読者からリクエストいただいた案をほんの少しだけ作品に混ぜることができ、発表することに至りました。
 リクエストを頂いて数年経てようやく恩を返せた気持ちになっております。
 今回発表できなかったリクエストは次回で可能な限り加えていけますようにしていきます。
 また、読者様のリクエスト含めました私の作品を、全てCG漫画として描いて頂けた、たむポ~サ様には今回も多くのご協力を頂きました。

 読者、そして漫画家に支えられて発売しました今回の同人誌です。ブログの更新が減ってはおりますが、読者に愛される『エムシー販売店』の魅力をさらに引き立てる作品をこれからも描いて参ります。
 お手に取って一冊ご購入してくださる皆々様へ、『エムシー販売店』から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。 


 エムシー販売店総支配人 村崎色

(注意:このゲームは一部性的な表現が含まれます。18歳未満の方は自己責任でお願いいたします。また、音声が出ますので、公共の場でのプレイはご遠慮ください。この作品はフィクションです。劇中に登場する団体及び個人は実在する団体、個人とはなんら関係ございません。)


特設ページ”グノーグレイヴ”に飛ぶ

※フレームではなく、直リンクで対応しました。
・・・スマホから見る場合、音が出たり出なかったりしております。・・・音が小さいのかな?ソフトが入っていないのかな?(後日修正・・・?)

以下感想――

 
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