シェルターに持ち込むもの の巻

d832bcfd.jpg 2017年9月15日早朝、何とも表現しようのない薄気味悪いサイレンの音が村中に鳴り響いた。
 Jアラートである。
 北朝鮮から午前7時ごろ発射された弾道ミサイルがあろうことか北海道上空を通過し、襟裳岬東方の太平洋上に落下した。
 消防自動車のサイレンとも救急車のサイレンとも違う、心を乱されるような聞きなれない変な音。
 今でもときどき思い出してしまう。
 できれば二度と聞きたくない。

 そのJアラートのサイレン、11月29日午前3時過ぎに北朝鮮から弾道ミサイルが発射された際には鳴らなかった。
 あれはほぼ1時間かけておよそ1千キロを飛行し、私の住む青森県の西方約250キロの地点に落下した(ことになっている)。
 サイレンが鳴らなかったのは、国土に危険性がないと政府が判断したからだという。
 北朝鮮は新型大陸間弾道ミサイル「火星15」の発射実験に成功したと発表し、アメリカ全土への到達が可能だと宣言した。
 「火星15」には核弾頭を搭載できるらしく、金正恩氏は、もし核戦争になればアメリカはもとより真っ先に日本列島を海に沈めてやると豪語している。
 ということで、私たちが生きている今の日本はいつ核戦争に巻き込まれてもおかしくない、とんでもなく危険な状況にある。
 ところが、周りを見回しても誰一人としてそんなことは考えていないようだしおびえてもいないようだ。
 金正恩氏とトランプ米大統領が脅し合っているニュースをまるでお笑いのボケと突っ込みの様子を見ているように見ている。
 核戦争なんて起きるわけがないといった顔ばかりである。
 かく言う私も、実は「まさかそれはないだろう」と高をくくっている。
 つまり、平和ボケしている。

 ところが、平和ボケしている私の頭が「核シェルター」のことを時々思っていたりする。
 「シェルター」をキーワードにインターネット検索すると、「核シェルターの家庭用の価格はいくら?」という見出しが付けられたホームページがヒットする。
 「日本も家庭用核シェルターが必要になってきた時代かもしれません」などと書かれている。
 内容をかいつまんで紹介すると、家族4人が中に入って身を守ることができる100万円弱の地上据え置き型家庭用防災シェルターや、数百万円もする地下に設けるタイプの防災シェルターなどが写真入りで取り上げられている。
 更に、地下15階に及ぶ70人収容可能で5年分の食料を保存できる1区画3億円以上するアメリカの核シェルターまで紹介されている。
 「防災シェルター」や「核シェルター」は今や現実のものなのだ。
ではあるが、原爆や水爆を滅茶苦茶撃ち込まれ日本列島が水没してしまうのであれば例え数百万円かけて家庭用防災シェルターを用意したところで何のためにもならない。
 そんなわけで、年金でその日暮らしをしている私は防災シェルターを準備するつもりなど毛頭ないし、買えるわけでもない。
 それはそうだが、もしも10日ほど暮らすことができるような核シェルターをタダで手に入れることができるならばどうしよう、なんてことを思わないでもない。(イジキタナイね…)
 そして、それが手に入るとすれば避難する際、中に何を持ち込もうかなどと考えたりする。
 せっかく核シェルターに閉じこもるのであれば有意義に過ごしたいではないか。
 こんなのを昔の人は「捕らぬ狸の皮算用」と言った。違うかな…。
 で、私は、シェルターに何冊かの本を持って入りたい、とか、音楽も聴きたいからポータブルCDプレイヤーと数枚の音楽CDを持ち込みたい、などと思ったりする。
 それと、コーヒーも飲みたい。モカ・マタリの豆を用意しておこうなどとも思う。
 外は戦闘状態、あるいは焼け野原というとてつもない状況の中で、シェルターにこもって本を読んだり、好きな音楽を聴いたり、コーヒーを飲んでいられるかとも思うが、可能であれば、そんな中で私が読む本はどんなものがいいだろう。
 川柳を作り続けて20年が過ぎたが、句集などの川柳関係書籍を持ち込むつもりは微塵もない。
 ノーベル賞をもらえない村上春樹の本も、ノーベル賞をもらったカズオ・イシグロの本も意図するところではない。
 そんなことをああでもないこうでもないと考えて、実は何日も楽しんでしまった。
 聖書はどうかとも思ったがクリスチャンではないのでやめて、それでは「歎異抄」や経典などの仏教関係はどうかとも考えたが辛そうなので除外。
 今のところ有力候補は宮本武蔵の「五輪書」である。中に何が書かれているかなど知りもしないが、これは文庫本にもなっていて手に入れやすいはず。
 「五輪書」でなければ、吉川英治の「宮本武蔵」はどうだろう。これも、新潮文庫から出ている。
 自分が「むさし」を名乗って川柳を書いているからの「武蔵」なのだが、何となく井伏鱒二の「珍品堂主人」はどうか、とも思ったりする。
 「珍品堂主人」は骨董屋のことが書かれているそうで、何やらおもしろそうだ。
 文庫本でも出ていることになっているが、どういう訳か青森市民図書館でも青森市内の書店でも見つけることができなかった。ネットだと比較的簡単に入手できるようだが、そこまではしたくない。
 ある人が井伏鱒二全集を持っていて、その中に入っているという情報ももらったが、シェルターの中で井伏鱒二かよなどと思ったりもする。
 たかが本であるがされど本で、究極の選択ともなればいわく言い難い難しさがある。
 では、CDはどうかというと、手元にジャズのCDが1千枚と少しあって、その中から選ぶのだから簡単そうだがこれまた難しい。
 トランペットの帝王マイルス・デイヴィスもギターの名手ウェス・モンゴメリーもいいが、これ1枚と言えばやっぱりデクスター・ゴードンの「GO」というアルバムを選ぶかもしれない。
 デクスター・ゴードンは言わずと知れた高名なテナーサックス奏者だ。しかもこのアルバムには「チーズケイク」という名曲が収められている。
 「チーズケイク」とは耳慣れない言葉かもしれないが、片仮名で言えば「チーズケーキ」のこと。
 あ、蛇足だね…。

 もしかしたら、オレって今、妄想してる?


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Posted by musan8 at 2017年12月15日 09:22│Comments(0)