不安な気持ちに陥った人間は、誰かと一緒にいたいと思うものである。このことをアメリカの心理学者スタンレー・シャクターは、次のように証明している。実験に協力してくれる女子学生が実験室に案内されると、白衣をつけた男性が現れ、次のように説明する。「これから、電気ショックによる心理学的効果を調べる実験に協力していただきます。ちょっと苦痛をともなうかもしれませんが、肌を傷つけたり、心臓に影響をおよぽすことはありませんから、ご安心ください」

その後さらに、「実験の準備をする間、別室で待っていてほしいのですか、あなたが望むなら個室で一人で待っていてもいいし、他の人と一緒の部屋で待っていてもかまいません。どちらを選びますか」とたずねる。電気ショックの実験というのは実はウソで、このセリフまでがシャクターの実験なのだ。

この時、不安を強く感じた女子学生たちは、ほとんどの人が他の人と一緒の部屋を選んだ。この例でわかるように、不安にかられると、誰か他の人と一緒にいたいという要求が強くなる。心理学でいう親和欲求という状態である。その時のポイントは、一緒にいたい人は誰でもいいというわけではないことだ。できるだけ自分と似たような立場、境遇、性格の人を求める傾向が強いということである。

たとえば、病院の待合室で話をした人が、自分と同じ病気の患者だということがわかった時など、気が楽になり、病気に対する不安感が吹き飛んでしまうことがある。また、バーなどでたまたま同じ故郷の人間同士が知り合った場合など、故郷の話や、都会生活の苦労話をしたりして、親しくなることが多い。これは、相手の境遇と自分が似ていることが原因である。

さらに興味深い事実もわかっている。支配的な人は被支配的な人、外向的な人は内向的な人といったように、それぞれ逆の性格の人を求める夫婦が多いという。これは考え方や境遇は似ているが、その表現の方法が異なる場合は、強く引き合うということを意味している。

つまり、あなたが周りをぎっしり敵にとり囲まれた場合、あなたの力になり、励ましてくれ、精神的にサポートしてくれるのは、「意見は一致しているが、その表現の方法が違う人」というわけである。女房役的存在になってくれる人を選ぶ場合は、このような性格の人間を選ぶといい。あなたが失敗して落ち込んでいる時も、このパートナーはあなたに代わって、周囲との良好な人間関係の修復に励んでくれるにちがいない。

「広告マンの仕事・・・アメリカの深層心理学者E・ディヒター」

人の心の中では、快楽と罪悪感とが常に衝突しあっている。広告マンの大きな仕事は、商品を売り込むよりもむしろ、消費者に道義的な安心感を与えるという仕事がかなりのウェートを占めている。

「うまくいく夫婦うまくいかない夫婦・・・相補性説」

アメリカの心理学者ウインチは、25組の夫婦を対象に面接調査を行なった。それによると支配的な夫(妻)と服従的な妻(夫)、援助好きな夫(妻)と援助を求めたがる妻(夫)の間では、夫婦関係がうまくいっていることかわかった。つまり、サド的な人とマゾ的な人、支配的な人と服従的な人というように相補的な欲求をもっている夫婦はうまくいくというのである。