言葉と文化、音楽を伝える技術翻訳者・音楽ライター、ヒロ ムラタのこれまでとこれから

「ロックがあれば人生をリッチに過ごせる!」。静岡清水で個人翻訳事務所を営む、元ロック少年が海を渡り(トロント)、紆余曲折を経て好きなこと(翻訳、音楽ライター)を仕事にするまでの『これまで』と『これから』を綴ります。海外や国内でのライブ体験記、音楽情報、本業の翻訳や育児などについても。

2015年06月

今月は、毎年恒例のSION with the MOGAMI @ YAON。そして、The Birthday @クラブクアトロ(名古屋)の公演に行くことができ、大満足な一ヶ月でした♪来月も1つ行きたい野外ライブがあるので、それもぜひとも行きたいと思います。

その後、何度かジェフを見る機会に恵まれましたが、いずれも Grossman’s Tavern のような小さなバーでのジャム セッションの場での出来事でした。ジェフは大抵突然現れ、白杖ではなく瓶ビールを片手に持っていました。

'95 年に「Cover To Cover」発表して以降、ジェフは彼が愛したもう1つの音楽、「ジャズ」に活動の重点を置いていきます。というより、これはあくまでも憶測ですが、The Jeff Healey Band で華麗にデビューを果たし、その特異な奏法や「盲目」ということでブルーズ シーンで一躍注目を集めましたが、 彼の中ではブルーズは好きな音楽の1つに過ぎなかったのではないでしょうか。ある程度の成功を収めた後、もっと自分本来の姿を臆することなくさらけ出していこうと決めたように見えます。

ジェフはその後、「Healey's」 というライブバーを開き、毎週木曜日に演奏していました。その活動と並行する形で、毎週土曜日には、「Jeff Healey & The Jazz Wizards」という名義でジャズ(主に 1920~1930 年代のスタンダード曲)を演奏していました。ジェフは、ギターに加え、トランペットも担当していたようです。残念ながら、どちらのお店の前も何度か通ったにもかかわらず、中に入って彼の演奏を聴くことはありませんでした。

ジェフはその後、The Jeff Healey Band 名義では「Get Me Some」を 2000 年に発売し、
Jeff Healey & The Jazz Wizards 名義も何枚かアルバムを残しています(後者のアルバムに興味がある方は、Amazon Canada でチェックしてみてください)。

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私はその後、2001 年に帰国しました。「また、トロントに帰ってくればいつでもジェフに会える」。トロントを離れるときはそう信じていました。しかし、別れは突然やってきます。2008 年 3 月 2 日、彼は息を引き取ります。まだ、41 歳という若さでした。



その後、Jeff Healey 名義で何枚かのアルバムがリリースされています。彼の訃報を耳にした後、「ジェフ ヒーリー」の名前を聞く機会はめっきり減りました。でも、もし新しく彼に興味を持った方がおられるようでしたら、以下の二枚のアルバムをお奨めします。

★「LIVE AT GROSSMAN'S - 1994」 by The Jeff Healey Band (2011年)

ライヴ・アット・グロスマンズ 1994

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これは、
The Jeff Healey Band がもっともエネルギッシュであったと思われる 1994 年、彼らのホームグラウンドでもあった先の Grossman’s Tavern でのライブを収めた一枚です。「Cover To Cover 」アルバムのリリース パーティですが、Pat Rush(Guitar)、Michael Pickett(Harmonica)といった地元トロントの重鎮ミュージシャンも参加しています。「ジェフ ヒーリー」と聞くと大半の人がイメージする、ハード ドライヴィングなブルーズ ロックがここにはギュッと詰まっています(曲はブルーズのスタンダードばかり)。そして、このアルバムが気に入ったら、ぜひ「Cover To Cover 」も手に取ってください。当時、トロントのブルーズ シーンの第一線で活躍していたミュージシャンがこぞって参加しています(特に、Jerome Godboo がハーモニカで参加している「I Got A Line On You」は必聴です)。


そしてもう一枚はコチラ。
★「LAST CALL」 by Jeff Healey (2010年)

Last Call

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ジェフは、ヴォーカル、ギター、トランペットに加え、プロデュースを担当しています。ブルーズ ロック時代のアルバムとは異なり、彼の温かみのある歌声と演奏が非常に印象的です。「自宅でリラックスしながら、気の合う仲間たちと自分が大好きな音楽(=ジャズ)を演奏してみた」。そんな一枚です。レコーディングはトロント市内のスタジオ二か所で行われていますが、限りなく「宅録」に近いアットホームな音作りとなっています。

最後になりますが、このアルバムの見開きには以下の言葉があります。

「JEFF HEALEY WAS ONE OF THE MOST REMARKABLE MUSICIAN CANADA HAS EVER PRODUCED. HE IS BEST KNOWN THROUGHOUT THE WORLD FOR HIS BLUES-ROCK GUITAR PLAYING BUT HIS FIRST LOVE MUSIC WAS ALWAYS 1920'S AND 30'S STYLE JAZZ.」 

「ジェフ ヒーリーは、カナダがこれまでに生んだミュージシャンの中でもズバ抜けた存在感を放っていました。ブルーズ ロックの名手として世界中にその名前が知れ渡っていますが、彼が最初に心を奪われた音楽は他ならぬ 
1920 ~ 30 年代スタイルのジャズでした」

Thank you, Jeff Healey! 

                                                                       完

ps. ラッキーにもジェフに何度か遭遇したにもかかわらず、結局彼に話し掛けることはできませんでした。その理由は、当時は英語にコンプレックスがあったのに加え、相手が「目が不自由」ということで、その勇気が出せませんでした。あれから数十年が経ちましたが、今回こうして記事にまとめることが出来て、ようやくジェフと「会話することができた」気がします。
 

「ジェフ ヒーリーに会いたい!」という願いはある日、突然叶います。
でもその前に、欧米でのコンサートやライブのシステムについて簡単に書いておきます。

通常、以下の三通りに分かれます。

①「チケットを事前(または当日)購入する」
→これは、皆さんよくご存じのシステムです。北アメリカでは、「Ticketmaaster」という「ぴあ」のようなシステムが確立されていて、チケットを発券してもらうタイプです。当日券がある場合には、会場の窓口で購入してから入場します。キャパの大きなコンサート会場でよく見かけます。

②「入場時に現金を手渡す」
→これは①より、規模の小さいクラブ、ライブハウスレベルでよく見かけます。入場時に現金を手渡して入場します。ちなみに日本のように、別途ドリンク代が取られるようなことはありません(よく考えるとおかしいシステムですよね、このドリンク代の強制徴収って)。

③「チケット、入場料不要」
 →これは②より、さらに規模の小さいカフェやバーでよく見かけます。バンドには店側から演奏料が支払われており、お客さんが入場料を払う必要はありません。その代わりに、基本的にはバーですので、着席と同時にウェイター/ウェイトレスさんが来るか、自分でカウンターまで行ってドリンクを購入します。

カナダに移り住んで最初の年に私がせっせと通っていたのは、主に①と②でした。ローカルの情報誌を見ても、「ジェフ ヒーリー」の名前を見ることは皆無でした。

やがて一年ほど経つ頃になると、③のバーにもよく足を運ぶようになりました。当時、私が住んでいたところは、いわゆる「ダウンタウン」と呼ばれるところで街の中心部にほど近いところにありました(トロン大学の敷地内といえるくらいのところでした)。

雪の降るある日、友達数人と近くのバーに繰り出しました。そこは、「Grossman’s Tavern」というお店でトロントの老舗ブルーズ バーといった感じでしょうか。ここは、ほとんど毎晩のようにジャムセッションが行われており、お酒はもちろん、フライドポテトやハンバーガーなどの軽食もあり、時々利用していました。
(たまたま友人がカメラを持っていたので、その時に写した写真をご紹介します)
注)当時は、携帯電話やスマホはおろかデジタルカメラもない時代です。^^

こちらは、食堂の様子↓

Jeff_1


お腹がふくれたら、ステージの方に移動し、その日のバンドを見て楽しんでいました。すると、ステージにいる人が「今日は特別なゲストが・・・・」などと言っています。ビールを片手にホロ酔い気分でしたが、ふとステージに目をやると、なんとそこにはジェフ ヒーリーの姿がありました!

こんなうれしいサプライズなら大歓迎です。ジェフはステージに上がると、膝の上にのせるいつもの奏法ではなく、フツーの奏法で Bass (!)を演奏していました。曲は、ブルーズのスタンダードだったと思いますが何の曲かは忘れました・・・。次の曲では、Guitar に持ち替えて弾き始めましたが、もう流石です。一音弾いただけで「彼の音」ということが分かります。音から「存在感」がビシバシ伝わってきます。ジャムということもあり、わずか数曲の演奏でしたが、その迫力は十分でした。「これがプロの音なんだ・・・」と痛感したものです。

ふとステージ横を見ると、トム ステファン(ds)の姿も。ビール片手にゴキゲンそうでしたが、演奏はしませんでした(もしかすると、先に演奏したのかもしれません)。

その日は、恐らく0時過ぎに店を出たと思いますが、雪道を歩きながら、ジェフの音がぐるぐると頭の中を回っていました。

Jeff_2

(トレーナー姿でステージに立つジェフ)

続く・・・


 

さて、無事に(?)トロントに移り住んだわけですが、「英語もろくに話せない」、「知り合いもいない」、「仕事のツテもない」私が何故、海を渡ったのかについて少し書いておきたいと思います。

一言で言えば、「ロックの本場で暮らしたい!」の一言に尽きます。当初はアメリカの大都市での暮らしを夢見ていましたが、現実的にはアメリカの就労ビザを得るのは非常に難しく、「ワーキングホリデー制度」を利用して、カナダでの滞在許可と(期間限定の)就労ビザを取得したのでした。

ホテルに滞在している間に住む場所を見つければいいや、と思っていたのですが、実際にはそう簡単にはいかず、その後もっと安価なウィークリーホテルに移り、ようやく住む場所を確保したのでした。

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話をジェフ ヒーリーに戻します。

1988年に「See the Light 」で The Jeff Healey Band としてデビューし、翌年'89 年の 6 月には初来日公演も実現しています。

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残念ながら、この来日公演は観ていませんが、当時放送されていた「Pure Rock」というロック専門の深夜番組にゲスト出演したような記憶があります。また、「Young Guitar」誌のインタビュー時に琴を用意したところ、たちまちマスターしてしまった、というようなエピソードがあったような気がします。

その後 1990 年には「Hell To Pay」 、

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1992 年には「Feel This」 、

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とコンスタントにアルバムを発表していきます。
デビュー当初の「ブルーズ臭さ」は少し影を潜め、アメリカンロック的な要素の比重が増していったように思います。その特異な奏法やギタープレーが注目の的ではありましたが、私は温かみがある彼の歌声が大好きでした。 

トロントに移り住んで初めての冬が来ました。その頃には、かなりの数のコンサートやライブに足を運んでいましたが、ジェフ ヒーリーのライブに関する情報は中々入ってきませんでした。当時は、インターネットはまだ一般的に普及しておらず、もっぱら現地の新聞やフリーペーパーで音楽関連の情報を収集している毎日でした。


そんなある日、ひょんなきっかけでジェフ ヒーリーを目にすることになるのでした。


続く.... 

少し間が空きましたが、今回から何回かに分けてジェフ ヒーリー (Jeff Healey) について書いてみたいと思います。

1995年の春、私はトロントに居ました。初めての海外生活が始まろうとしていましたが、「英語ができない」、「文化の違い」、「知らない街での暮らし」といったマイナス要素をまったく物ともしないくらいの高揚感に包まれていたのをまるで昨日のことのように覚えています。

自分の意思で彼の地に移り住んだわけですが、トロントに関する前知識はまさしくゼロでした。いや、唯一知っていたのは、「ジェフ ヒーリーがいる街」ということでした。 

知り合いがいるわけでも、仕事のツテがあるわけでも、英語ができるわけでもありません。でも、滞在ビザは半年間あるし(+オプションでもう半年)、ホテルは3日間予約してあったし、それだけで「何とかなる!」と思っていました。 

結果的に、その後トロントでは通算3年間暮らすことになりました。 この間に、いくつもの忘れられない出会いやロックな体験がありました。

最初の数年は、とにかく仕事も英語の勉強もそこそこに(笑)、バーやコンサート会場をはしごしては地元のバンドや米国やヨーロッパからやってくるバンドを観に行っていました。

多いときで週4回、少ないときも週に1回というペースでした。
(折しも当時は超円高時代。1カナダドル、60円を切っているときもありました)

その当時、ちょうどリリースされたのがこの「COVER TO COVER」 by The Jeff Healey Band。前三作もよく聴いていましたが、このアルバムは本当に擦り切れるくらい聴いた一枚です。

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「Jeff Healeyにいつか会えるかな?」

そんな風に漠然と思っていましたが、当時はその術を知る由もありませんでした。

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続く.... 

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