今日は「翻訳者とお金の話」について書いてみようと思います。この場合の「お金」というのは出て行く方のお金ではなく、入ってくる方のお金、つまり売り上げについてです。大半の場合、翻訳のお仕事は、原文のワード数や文字数に基づいて算出されます。

例:英日案件、1,000 words の場合

10円 / word(税抜き)とすると、10円 x 1,000 words x 8% = 10,800 が売り上げということになります。

時間給での支払い契約を結んでいる場合を除き、ほぼこの繰り返しで毎日が過ぎて行きます。


以前、「【翻訳会社の無茶振りに振り回されない】」という記事にも書きましたが、仕事を受注する際は納期が付きまといますので、自分の処理量を正確に把握することが重要です。これを見誤ると、「納期に間に合わない、アワワ...」という事態につながります。というわけで、普段は自分の処理能力の 80 ~ 90%を目安にスケジュールを組むようにしています。

で、数年前からは、案件ごとに作業時間をメモしておき、納品後に所要時間を出し、当初見積もった作業時間と大きな開きがないか、そして案件の時間当たりの単価を出すように心掛けています(1,000 words 以下の案件の場合は、面倒なのでしませんけど)。


こうすると、ただただやみくもに来る仕事、来る仕事をこなしていたら、一ヶ月(or 一年)が終わっていた...と言うわけでなく(いや、そういう時もありますけど)、ある程度、近い将来の売り上げを見込みながら作業したり、仕事を選んだりできます。具体的に言うと、引き受ける仕事の中にもさまざまな特徴がありますよね。

★それほど興味がない分野だけど、単価はいい案件。
★単価はよくないけど、興味がある、納期が緩い案件。
★少量だけど、新しいCATツールデビューするのは打ってつけの案件、今後積極的にお仕事をしていきたい開拓したばかりの取引先の案件。

といった具合です。


ある専門知識を持っていて、その分野に特化して日々、作業されている翻訳者さんもいらっしゃると思いますが、私は基本あきっぽいのと特にこれだ!といった専門性がない何でも屋なので、打診があれば、まずは耳を傾け、上記のような案件を織り交ぜて作業することがあります。

例えば、同じ分野の案件を引き受けていれば、知識も蓄積され、作業効率も上がる(つまり単価がよくなる)わけですが、一社専属と言う立場がなんとなく苦手というか、躊躇する部分がありまして、他社の案件を間に挟んだりしてリフレッシュをはかるようにしています。で、この他社の案件では、違う分野で異なる CAT ツールを指定されたりするわけですが、こういうときに「あー、めんどくさー」となるのではなく(そう思う時がないとは言いません)、「おっ、ちょっとやってみよう!」と言う姿勢を失いたくないなと思っています。

なんだかまとまりに欠ける文章になってしまいましたが、今日はそんなことをフト思いました。ちなみに今日納品した案件の時給単価を出してみたところ、「4.830円」でした。でも、案件によってはこの時給に到底届かないケースもあります。そんなときは、「はぁーー、ガクッ」となるかと言うと、決してそういうわけではなく、何かしらこう手ごたえを感じられるものにしたいと思っています。自営ですから、売り上げにはもちろんこだわりますが、お金では買えない満足感と呼べるようなものがそこにあると、ほっとします(例えば、新しいツールを使えるようになったとか、興味のある分野に一歩踏み出せたとか、新しい知識が得られたとか)。

と言うわけで(?)実際のお支払いは、ワード単位でいただいているわけですが、頭の中では時給に換算して管理していると言うお話でした。