September 24, 2017

香織の来神(13)♪

(妄想ショートショート)




 「西大寺さん、じゃあ家庭教師の準備したいから資料見せて。」
 ランチの終盤、北五条さんがわたしに声をかけた。

 「ああ、そうじゃね。じゃあ、うちに行こか。」
 わたしは彼を家に連れてくることにした。

 「みなさん、ぼくはこれから家庭教師があるので西大寺さんのおうちに行きます。みなさんはゆっくり食事を楽しんでください。」北五条さんがみんなに挨拶した。

 「うん、わかった。行ってらっしゃい。」舞彩さんが答えた。
 「じゃあ。」他の人も手を振った。

 「えーと、基にーにーと結衣ちゃんはどうする?」

 「わしはもうちょっとここに残る。舞彩さんとのはなしもあるし。えーと、結衣ちゃんは?」
 「わたしももうちょっとおる。」
 「あ、そう。じゃあね。」
 わたしは北五条さんと二人で榊原の家に向かった。

 「舞彩さん、何かすごいですね。」わたしは歩きながら北五条さんに言った。
 「ぼくもあんな料理、初めてだよ。想像だけど、君のお兄ーさんにいいとこ見せようと頑張ったみたいみたいだね。普段は料理しないくせに。」
 「まるごと出すなんて、考えたもんじゃね。」
 「料理ができないことをうまくごまかせた。」
 わたしたちふたりはクスクス笑った。



 「ただいまーっ!!」
 「おじゃまします。」
 「あ、いらっしゃい。えーと、こちらは北五条さんよね?」
 榊原さんちには叔母さんしかいなかった。

 「はい、初めまして。」
 「佐織と香織の叔母の榊原です。香織のこと、よろしくお願いします。」

 「えーと、香織はお出かけよね?」
 「そうね、古谷さんと出かけたわ。」
 「あのー。。。古谷さんって?」
 「ああ、香織のボーイフレンド。隣の大学生でうちと同期なんよ。」
 「ふーん。」

  わたしたちふたりは二階に上がった。
 「ここが香織の部屋、資料はこの棚。じゃあ、よろしくお願いします。」
 わたしは北五条さんを香織の部屋に案内し、家庭教師の準備をしてもらった。

 「佐織ちゃん、撮影の方はどうだった?」
 「うん、きょうは事前準備だけじゃった。カメラテストと言うんじゃって。それからランチパーティーで、北五条さんの妹さんが不思議な料理作ってくれた。」
 「へぇー、楽しかったみたいやね。」
 「うん。」

 「お兄さんと結衣は?」
 「まだ向こうでランチ食べとる。北五条さんの妹の舞彩さんがたくさん作ったので、二人ともたいらげとるんじゃが。」
 「へー、不思議な料理って、どんな料理?」
 「うーん。。。無国籍料理じゃなあ。何でもまるごと出すんじゃが。」
 「まるごと?」
 「うん、包丁を入れず、そのまま煮たり焼いたりしてパッと出すみたいな。」

 「それ、凄いわね。」
 「凄いと言うか、子牛の丸焼きなんかグロテスクじゃったわ。でも味は良かったけん。」
 「ふーん、どんな料理か見てみたいもんだわ。」
 「ああ、それなら今度北五条さんちに行ったら見れるよ。あるいは舞彩さんに来てもらうとか。。。いや、わたしも作れるわ。」
 「そうなの?」
 「ふふ。なんでもまるごとじゃから。」
 「ふーん。」



 そのうち、北五条さんが二階から降りてきた。

 「えーと、このあたり、お借りしてもいいかな?」
 「ええ、いいけど、部屋でやらないの?」
 「女の子の部屋で独りきりになるのはいやなんだ。」
 「どうして?」
 「その子が気にするんだよ。」
 「なにを?」

 「下着とか写真とか、勝手に見ないかって。」
 「え?」
 「以前、家庭教師の体験のために高校生の女の子の勉強みたことあるんだけど、彼女が席を外したとき、引き出しの下着を見たって言い出して、大変だったよ。」
 「あなた見たの?」
 「そんなことするわけないやん。冤罪だよ。」

 「そんで?」
 「その子の家庭教師はそれで終わり。次の子のときからは、彼女が部屋を出るときは一緒に出ることにしたんだ。」
 「ふーん。家庭教師も気を使うんじゃね。。。って言うか、女の子にしなかったらえーのに。」
 「ぼくはお金には困っていなかったけど、いい経験になったよ。」
 「なんか、その言い方嫌いじゃわ。」

 「え?」
 「北五条さんがお金持ちなんは分かるけど、それは親のおかげじゃないん?北五条さんが稼いでるわけじゃないじゃろ?」
 「それはそうだけど。。。」
 「うちみたいな田舎もんが言うのもおかしいけど、北五条さん、もっとハングリーになったほうがえーで。」
 「ハングリー?」

 「うん。世界の偉人見てみい、みんな貧しかったひとじゃが。エジソン、野口英世、アインシュタイン、ヘレンケラー、ファラデー。。。世の中を変える大発明、イノベーションをするためにはお金にどっぷり漬かっとったらだめと思うんじゃが。」
 「なるほど。」

 「うちじゃって、家は岡山の農家で貧乏じゃが。でも上の兄はめちゃ頑張って色々な取り組みをしとるよ。海外から研修生を受け入れたり、農業にコンピュータを導入したり。新しい農業を考えとるみたいじゃ。二番目の兄は、基にーにーじゃな、医者を目指して東大に入ったんじゃが。うちは女として世界を変えるために科学の道に入ったんじゃが。」
 「なんか、物語になりそうな一家だね。」

 「北五条さん、もし自分の力だけで生きていくとしたらどうする?」
 「うーん。。。どうしよう、考えたことないな。」
 「今は下宿?」
 「いや、京都市内でマンション買ってもらっている。」

 「仕送りも?」
 「うん。毎月100万ほど、口座に振り込んでもらっている。」
 「平均的な京大生の生活って分かってる?」
 「ああ。どこかに下宿して授業料だけ親から貰って、あとはバイトで稼いでいるそうな。」
 「北五条さんは幸せじゃろ?でも、もし親の事業が失敗したら、自分の力だけで生きていかんとあかんのよ。」
 「うーん、確かにそうやなあ。最近はITの世界も競争が激しいようだし、一歩間違えば奈落の果てやな。」

 「北五条さんは親の会社継ぐん?」
 「うーん、ぼくはITに興味ないし。。。というか、さっぱりわからん。」
 「将来、どうするん?」
 「それをこの4年間で考えるよ。」



 「あ、ごめんごめん、うち、勉強の準備のじゃましたんじゃが。」

 「いや。すごくいい話だった。ぼくもじっくり考えてみるよ、将来のことを。ありがとう。」

 ゴールデンウィークが明けてから、北五条さんはマンションを出て、どこかに下宿を始めたという。

 北五条さんは変わろうとしているんだとわたしは思った。







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September 23, 2017

香織の来神(12)♪

(妄想ショートショート)



 「舞彩、何か口の回りがかゆいんだけど。」北五条さんが不満そうに舞彩さんに言った。

 「ああ、それはイチジクの樹液のフィシンという酵素のせいね。たんぱく質分解作用があるの。大丈夫、死ぬことはないわ。そうそう、イチジクは不老長寿の果物と呼ばれていて、あのクレオパトラの好物だったそうよ。彼女の若さと美貌の元だったという説もあるのよ。」
 なんか、東大医学部の舞彩さんに言われるとイチジクを見る目が変わりそうだった。
 そう言えば、わたしの東岡山の畑にも20本くらいのイチジクの木があった。

 「アラビア半島や地中海では主に乾燥したイチジクが食べられていたそうよ。聖書には何箇所かイチジクの話が出てくるわ。例えば、マルコによる福音書11章12節では、旅の途中イチジクの木を見つけた空腹のキリストがその木にまだ実がなっていないのに腹を立て、呪いの言葉を述べると翌日その木が枯れていたというエピソードがあるの。」舞彩さんが続けた。
 「あれはわしが教えたんじゃ。」基にーにーがわたしに小声で打ち明けた。



 「えーと、次は、サラダね。」

 舞彩さんが合図をすると、本物のメイドとなんちゃってメイドの美憂と萌衣ちゃんがささっとテーブルの上に料理を並べて行く。

 サラダと言っても、大きな木のまな板のような上に、レタスまるごと(根も付いている)、ベビーリーフまるごと、トマトまるごと、ニンジンまるごと(葉っぱも付いている)、玉ねぎまるごと、キュウリまるごと、セロリまるごとなどが乗っているだけだ。

 「ドレッシングは体に優しいものをシェフが取り寄せているので自由に使って。」
 そう言うと、戸棚を開けた。そこには数え切れないくらいのドレッシングが並べてあった。

 「これって、何本くらいあるん?」
 「さあ、正確には分からないけど2,000本くらいかしら。」

 「さあみんな、好きなドレッシングに野菜を浸けて食べて。」
 そう言うと、舞彩さんはニンジンの葉っぱ部分をわしづかみし、ドレッシングに浸して食べ始めた。
 みんなも真似をした。

 「この白いのはチーズじゃね。」
 「そう。でもノンホモミルク(普通の牛乳にする前の原料ミルク)から作っているから体にいいのよ。ノンホモチーズは北海道、和歌山、神戸、熊本、フランスなどが作っているけど、シェフは神戸の牧場から直接取り寄せているわ。」



 「スープはパンプキンポタージュとオニオンスープ。好きなのをどうぞ。」

 わたしも試しに飲んだが、これは舞彩さんの豪快な料理に似合わず、普通のものだった。

 「混ぜて飲んだら美味しいのよ。」
 そう言うと舞彩さんはふたつをドボドボ混ぜて飲み始めた。
 みんなも真似をした。

 「グホッ、グホッ。」
 混ぜて飲みなれない人はむせていた。

 「それから、次に生ハム。塊で出すから、各自削ぎ取って食べて。」
 テーブルの中央に15キロくらいの生ハムがでーんと置かれた。横にはメロンが丸ごと置いてあった。

 「こ、これが生ハム?」

 「ああ、原料みたいなもんさ。こうやるんだ。」北五条さんは馴れた手つきで生ハムを薄く切って皿に並べた。

 「わたしもやってみようかな。」わたしがやるとなかなかうまく行かない。薄く切ろうとしても1センチくらいの厚さになってしまう。
 生ハムはけっこう塩辛いのでこれだと食べにくい。わたしは皿にサイコロ状に切って食べやすくした。

 「まるでサイコロステーキね。」舞彩さんは笑った。



 「いよいよメインディッシュよ。最初はマスのハーブ焼き。マスは奥池で養殖しているのよ。」
 「えーっ、あの池で!?」
 「そう。奥池地区は海から遠いので、新鮮な魚を食べるため自治会が養殖しているのよ。」
 味はどうかと言うと、柔らかくて油が乗っててめちゃ美味しい。

 「次がお肉。きょうはビーフにしてみましたぁ!」
 舞彩さんがパンパンと手を叩くとワゴンで何やら運ばれてきた。白い布がかぶせてあるが、かなりの大きさだ。
 布をかぶせているあたり、少し怪しいと思った。

 布をバッと取ると、なにやら動物の焦げたようなものが出てきた。

 「子牛の丸ごとグリルでーす!」

 ギョギョッ。今まで見たことのない異様な料理だ。

 「見た目はグロいですが、おなかにハーブの野菜とご飯を入れています。のこぎりで切り分けて食べてください。」
 「ちょっとのこぎりはやり過ぎやないの?」美憂ちゃんか萌衣ちゃんか分からないが、舞彩さんの妹さんが口を挟んだ。

 「あら美憂、メイドはご主人に逆らっちゃだめなのよ。それにわたし、解剖実習の授業で手足をのこぎりで切るところ見たし。包丁じゃ骨は切れないのよ。」舞彩が説明した。
 「そうなんじゃ、わしも授業受けたし。」基にーにーが助け舟を出した。

 「みんな、ぼくが切り分けるから。」北五条さんが状況を察し、話題を変えた。
 肉の部分は包丁で切り、骨の部分に達するとのこぎりを使った。
 骨をのこぎりで切る音が部屋に響いた。

 オエーッ

 萌衣ちゃんが厨房に駆け込んで行った。



 「お肉ってこういうものなの。私たち『お肉』とか言うけど、実態は動物の命を食べているわけ。命のリレーよね。感謝しなきゃ。そういうの知ってもらえたら光栄だわ。」

 「。。。って、舞彩、単に手抜き料理したかっただけじゃないの?」

 「はは、ばれたか。だってわたし、受験勉強で料理とかママから教えてもらってないもん。基史さんの思想を取り入れて、こういうランチにしてみたの。」
 「へーっ。。。でもいいんじゃないか。いつもお前の料理、包丁が無造作に入りすぎて風味がなくなっていたけど、今日の料理、肉汁がたっぷりあって美味しいよ。」

 「えっ。。。ありがと。。。」

 「茉里奈さん、由美さん、美憂ちゃん、萌衣ちゃん。きょうはみんなで食べよ。」わたしはメイドさんたちに声をかけた。

 「舞彩さん、いいのかしら?」由美さんが許可を求めた。
 「もちろんよ。料理作りすぎたから、みんなで食べよ。」

 こうしてランチの楽しいひと時を北五条家で過ごした。
 美憂ちゃん、萌衣ちゃんとも話ができた。

 今月末のコスプレ大会も見に行く約束をした。






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September 22, 2017

香織の来神(11)♪

(妄想ショートショート)



 カメラテストが始まった。
 表情、撮影角度、照明の色温度、フィルター、フィルム、カメラやレンズとの相性など、本番撮影が始まる前に確認しておく作業だったらしい。

 「ハロゲンランプのフィルターを少し赤い方に回して。。。って、君のお兄さん、どっか行ったきりだね。えーと、結衣ちゃん、ちょっと手伝って貰える?」
 「はーい!」
 もう、うちの兄は家中を騒がして見に来た割りには肝心なときにいない。まあ、兄は芸術家肌なのでそう言う気ままな猫のようなところがある。

 次に北五条さんはカメラを取っ替え引っ替え撮影を始めた。

 「何台もカメラ使うんですか?」

 「いや、最終的には二、三台に絞るよ。これはカメラとの相性を見ているんだよ。フィルム以外にカメラのレンズによって微妙に色が違うから。」
 「最終的にはモノクロって聞いたんじゃけど。。。」

 「出展作品は一応カラーとモノクロの二種類作っておくんだ。ポートレートはあまり経験ないんで、発色が難しいんだ。ほんで、カラーがうまく行ったらカラーで、ダメならモノクロで作品として出そうと思う。」
 「ふーん。」

 「ちなみにモノクロのときは露出を少し下げるんだ。カラーのときはハイライトを入れるけどね。また、モノクロのときはライティングが重要で、レンブラントライトなど、効果的な照明を使うんだ。」
 「ふーん。。。何のことか分からんけど。」
 「あ、ごめんごめん、専門的なことなんで聞き流しておいて。」

 こうして二時間位してカメラテストが終了した。



 「あ、もしもし茉里奈、フィルムを現像に出して欲しいんだけど。」
 「かしこまりました、お坊っちゃま。」

 ガチャ

 「あれっ?自分で現像せんの?」
 「モノクロはするよ。でもカラーフィルムは現像液の温度が1度狂ってもトーンが変わるから、行き付けの写真館に現像を出しているのさ。」

 「それから。。。さっきのマリナって誰?お坊っちゃまとか聴こえたけど。」
 「ああ、うちのメイドさ。うちが広いんでメイドを2名雇っているんだ。他には、シェフとか、庭師とか、運転手とか。」
 「すご。。。」

 「あの、よろしいでしょうか?」
 「ん、なに?由美?」

 そのとき、いわゆるメイドの格好をした家政婦らしき25くらいの女性が部屋の入り口で待っていた。もう一人の家政婦らしい。

 「お食事の準備が出来ました。きょうは舞彩お嬢様がお作りになられました。」

 「わかった、行くよ。」

 「と言うことで、本日は撮影終了。みなさん、お疲れさまでした。ではランチにしようか。」
 「お疲れさま。」
 「おつかれさま。」

 そして、北五条さんに連れられ、わたしたちはエレベーターで5階のダイニングに向かった。



 「ここは最上階?」
 「屋根裏部屋があるから一つ下の階かな。」

 「うわー、めっちゃ景色いいやん!!」結衣ちゃんが窓に駆け寄り叫んだ。

 確かに。目の前が奥池なので、リゾート気分になれる。

 「では皆様、お席についてあそばせ。」
 きょうの料理を作った舞彩さんが席に案内してくれた。

 「茉里奈、由美、美憂(みゆ)、萌衣(めい)じゃあ持って来て頂戴。」
 この家にはメイドが二人だと言っていたが四人のメイドが待機していた。

 「あれっ、メイドは二人じゃあ。。。」
 「ああ、美憂と萌衣は妹さ。いま、コスプレの大会のために、本物のメイドから特訓を受けているんだ。」
 「コスプレ?」聞き慣れない単語だった。

 「誰かに成りきること。例えばパイロットに憧れる人はパイロットの格好をして出場するんだ。」
 「ああ、仮装大会のことね。」
 「まあ、そんなにもんだ。」

 「妹さんたち、将来、メイドになりたいん?」
 「はは、将来の職業とは別だよ。アニメが多いのかな、たとえば『リボンの騎士』のサファイアとか。」
 「ふーん。。。妹さんたちはいま何してるの?学生じゃね?」
 「ああ、美憂が慶應大学附属高校、萌衣が早稲田大学附属高校。」
 「すご。。。」


 そうこうするうち、まずは前菜が運ばれてきた。

 「えっ!?」

 なんと、イチジクがそのまま運ばれてきたのだ。

 「わたしの料理の基本は素材の良さを最大限引き出すこと。シェフはフランス料理が得意でグツグツ何時間も煮込んだりするけどわたしは違うの。このイチジクもシェフがケーキか何かにトッピングするつもりだったと思うんだけど、生が一番なんでそのまま食べて欲しいの。」舞彩さんが説明した。

 厨房ではシェフが勿体ないと言う顔で覗いていた。

 「イチジクって、皮が口に付いたらかゆくならへんの?」北五条さんが質問した。

 「そう言う実体験こそ大事なの。」

 「そうじゃ、イチジクの汁をイボに塗ったら剥がれるんじゃが。わしの親はやっとった。外科に行かんでも自然の恵みで治るし。」基にーにーがしゃべった。
 「イ、イボ。。。。」みんな言葉が出なかった。

 「舞彩さんの料理は豪快じゃが。調理を最低限にして素材の良さを味わう。。。医者もいっしょだと思うんじゃ。薬に頼りすぎず、自然治癒力で治すんが一番じゃとわしは思うんじゃ。」

 うーん、料理と医療をいっしょくたにして語るのはどうかともわたしは思ったが、けっこう説得力はあった。基にーにーの考えと舞彩さんの考えには共通点があると言うことだ。

 間違いなく、二人がかなり急接近していることにわたしは気付いていた。






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September 21, 2017

香織の来神(10)♪

(妄想ショートショート)



 ピンポーン

 「あのー、西大寺さんおられますか?」
 「はーい!!」
 そのインターホンの声にわたしたちが応答して玄関に飛び出して行った。

 「わっ、な、なんなんです?」北五条さんは突然三人がバッと飛び出したので驚いた。

 「すいません、急に。。。おはようございますぅ、北五条さん、こっちが今度家庭教師お願いする妹の香織です。」
 「はじめまして、香織です。」
 「はじめまして、北五条です。宜しくね。」

 「そしてこっちが兄です。」
 「東大医学部の基史です。」
 「お邪魔虫の基にーにーじゃ。」
 「はあ?香織、なにゆーんじゃ。」
 「お邪魔虫って?」北五条さんは意味不明と言う表情をした。
 「だって、撮影会に付いてくると言うんですよ。」

 「ほー、それはありがたい。レフ板係とか、ほんとは何人かいるんやけど、一人でも多い方が助かります。」
 「。。。」
 わたしと香織は目が点になった。

 「で、その子は?」

 わたしが後ろを見ると、結衣ちゃんまで知らないお兄ちゃんを見に出てきた。

 「あ、この子はここの家の娘で結衣ちゃん。」
 「結衣ちゃん、初めまして。北五条です。」
 「キタドジョウ?変わった名前やなあ。」
 「はは、ちょっと違うけど。。。確かに、ぼくの名前は日本にもあまりないと思うよ。」

 「わたしも撮影見に行きたい!!」
 「あらららら。。。」わたしはまたかと思った。
 「うん、ぼくなら構わないよ。何かのときは手伝ってもらえるし。」

 「やったぁ、佐織おねえちゃんも香織おねえちゃんもどっか行くんで、つまらなかったんよ。」



 「あ、北五条さん、まず、家庭教師のことじゃけど、3時から9時ごろまで。晩ご飯はうちで食べてもいいし、食べに帰ってもオーケーと言うことで。」
 「それから、編入試験の過去問と教科書は今晩手にはいる予定。附属女子高の入試問題と参考書は家にあるわ。」
 「了解。午後から家庭教師の準備をするんで、きょうは午前中だけカメラテストをぼくの家でやるね。」

 「わかった。じゃあ、バッグ持ってくるから、ここで待っといて。香織は3時まで自由時間じゃから、適当に遊んでき。結衣ちゃんは準備オーケーかな?基にーにーは、それでも付いて来るんじゃったら付いてき。」
 「どうしようかなあ、戦意喪失じゃ。」基にーにーは、北五条さんが真面目そうなので面白くないようだ。

 わたしがもう一度玄関に出て行ったとき、基にーにーはまだいた。どうやらほんとに付いて来るらしい。
 「わし、様子見たらすぐ帰るけん。なら、行こーか、結衣ちゃん。」

 北五条さんの家は、今下宿している榊原の叔母さんちから徒歩30秒くらいだ。
 出窓がある、洋風の白い家である。

 「神戸の異人館も予約したけど、うちの二階の一室も異人館を参考に改装してマイスタジオにしてあるんだ。」
 「お邪魔しまーす!」
 わたしと基にーにーは、キョロキョロしながら北五条さんの玄関に入っていった。



 北五条さんちは4階か5階建てで、表面には板が張ってあり、全体的に洋風な作りで、どこか異人館を彷彿とさせる。

 「北五条さんって、ひょっとしてめちゃ金持ち?」
 「うーん、よく分かんないなあ。まあ奥池の中では普通じゃないのかなあ。」
 親戚の中では金持ちで知られる榊原さんちでさえかなり霞んで見える。

 「さ、上がって。」

 「なんかすご。。。部屋って幾つくらいあんの?」
 「20個くらいかな。」
 「えーと、スタジオは。。。」
 「こっちこっち。」

 エレベーターに乗って案内された部屋はまるで異人館の中だった。

 「この部屋がセットで隣がほんとのスタジオ、つまり機材も置いてある部屋。セットと言えども本物をけっこう使っているので300万くらいかかったかな。小物や家具は我が家のアンティークを置いているから値段には含まれないけど。」
 「スタジオって。。。北五条さんの家って、写真屋さん?」
 「いや、親は会社の経営や。ITって分かるかな?」
 「ああ、コンピューターやソフトウェアの会社なんじゃね。」
 「うん、両方作っているよ。」



 「あ、にいさん、お客さま?」
 そのとき、ドアから中を覗き込む女子がいた。

 「ああ舞彩(まい)、ぼくの今度の作品のモデルと彼女の仲間たち。」
 「このかたは?」
 「ああ、ぼくのすぐ下の妹で舞彩。舞うに色彩の彩と書くんだ。東京大学の医学部で外科を目指しているんだ。」

 「東京大学医学部!?」

 わたしらの視線は一斉に基にーにーの方に向いた。

 「えっ?、一回生?ぼくも東大医学部なんだけど。。。」
 「はい、今年入学しましたけど。えーと、こちらは?」

 「あ、ごめんごめん。こちらはモデルの西大寺佐織さんのお兄さんで西大寺基史さん。」
 「えっ!?、西大寺さんって、もしかしてギターの?」

 「えーと、佐織さん、お兄さんギター弾くの?」
 「そうじゃが、こう見えてもギターはプロ並みじゃけん。」
 「『こう見えても』って、どういう意味じゃ。」
 「で、何で、わしのこと知っとるん?」

 「だって、東大の新入生歓迎ライヴや時々キャンパスでステージやってるんですもの。女子の人気は凄いですよ。」

 「凄い縁やないの!?」結衣ちゃんが話に割って入りたいように飛び出して言った。

 「その子は?」
 「あぁ、わたしが下宿している榊原さんとこの娘で結衣ちゃん。」

 「よろしくね、結衣ちゃん。」
 「よろしくお願いします、舞彩おねえちゃん。」



 「基にーにー、撮影会はこんなとこじゃが。安心したじゃろ?もう帰ってもえーで。」
 「えーと。。。もうちょっと居ようかな。」

 「基にーにー、可愛い子がいるから帰りたくないもんね。」結衣ちゃんが言った。

 「んっんー。」基にーにーは、結衣ちゃんが余分なことを言ったのでめっと睨んだ。

 「あ、良かったら、お兄さん、ランチをうちで食べて帰って下さい。舞彩が作りますから。舞彩は肉や魚をさばくのが好きで外科医になろうと思ったくらいですから。」

 「。。。。」一同、言葉出ず。

 「えーと、舞彩さん、家のなか案内してもらってもええ?」
 「よろこんで!」

 基にーにーと舞彩さんはどこかに消えていった。








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September 20, 2017

JR大阪−明石間の運賃の怪♪

 「うーん、やられた。」としか、言いようがない。

 多分、明石方面の人はよく知ってたと思うのだが、大阪方面の人はあまり知らないと思う。

 普通、電車の運賃と言うのは、途中で一旦降りるより、ずーっと乗っている方が得なものだ。

 例えば、JR大阪から三ノ宮まで行くとする。
 大阪から西宮まで300円、西宮から三ノ宮まで300円だが、大阪から三ノ宮まで途中下車しなかったら410円である。

 わたしは月曜日、大阪から明石まで行くことになった。(正確にはひとつ手前の朝霧駅まで)

 大阪で乗り、明石で降りるとき精算すると920円となった。
 「あれっ、この精算機壊れてる」と思った。

 大阪から三ノ宮まで410円、三ノ宮から明石まで300円なので、少なくとも710円よりは安いはずであろうから。多分、600円台だ。

 ところが、精算機は920円と言い張って譲らない。

 こ、これは一体、何の怪奇現象か。



 どうやら、JRの運賃体系に問題があるようだ。

 大阪から朝霧駅の位置で料金が2段階繰り上がるのだ。ちなみに垂水で1段階繰り上がる。

 大阪から朝霧、明石方面へ行くときは、一旦、三ノ宮か神戸で降りるか、チケットを分けて買うなどすれば片道210円、往復で420円得をするのだ。

 この浮いた分で温泉にはいれてしまう。

 この技は、普段使っているYahooの乗り換え案内には出てこない。料金安い順で検索してもサポートしていない。

 こう言う裏技はクチコミでしか伝わらないのだろう。


 ※下の写真は朝霧の海岸






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September 19, 2017

香織の来神(9)♪

(妄想ショートショート)



 「ただいま!」
 わたしは帰るや否や、二階の香織の部屋に駆け上がってノックもせずドアを開けて言った。

 「はあはあ。。。基にーにー、香織の国語と英語の家庭教師、見つけてきたんじゃが。」
 「えっ!?。。。って、おまえノックぐらいするんじゃが。びっくりするが。」
 「ご、ごめん。。。基にーにー、国語と英語はあまり得意じゃないと言っとったじゃろ、そんで英文科の先生探してきたんじゃが。」

 「ふーん。どこの先生なんじゃ、そのひと?」
 「近所の京大文学部英文科の学生じゃけん。」
 「男子?女子?」
 「男子。」
 「そんなやつ、近所におったんか。。。で、授業料は?」
 「ただじゃて。ただし、うちの体と交換と言う条件じゃが。」

 「なにーーーーっ!!」

 「あ、言い方悪かった。要するに体を貸すと言うか。。。」

 「なにーーーーっ!!」

 「もう、怒らんといて。単にうちが彼の写真のモデルになると言うことだけじゃけん。」
 「は?モデル?」

 「そ、そーか、ヌードモデルじゃな!?」
 「もう。。。そんなわけないじゃろ。うちもバカじゃないけん。単なる写真のモデルじゃが。彼は写真部で、秋の展覧会の作品にするみたいじゃけん。」

 「なんか、信用できんのう。。。よし、わしも撮影に立ち会うが。」
 「え、にーにーも撮影に来るん?」
 「おうそうじゃ、どんな撮影か見とくわ。」



 「おねえちゃん、その大学生、イケメン?」
 「イケメン?」
 「ハンサムということじゃが。最近うちらのあいだでだけ流行っとる。」

(※この時代にはまだ一般的に流行っていなかった)

 「ハンサムかどうかって、そんなん勉強に関係なかろうが。」
 「でも、いままでおねえちゃんが連れてきた男子、みんなイケメンじゃったもん。」

 「そ、そう?。。。でもしかたなかろうが、おねえちゃんにはハンサムしか付いてこんのじゃけん。」
 「あ、そ。つまりそのひと、ハンサムなわけじゃね。」
 「。。。。」

 「ところで、基にーにー、香織にいまなにをやらせとん?」
 「附属女子の入試から抜粋してやらせとるんじゃけど。。。香織はもんげー手ごえーぞ。」
 「香織、seeの過去形は?」基にーにーが試しに香織に問題を出した。
 「過去形はed付けるから、seeed。。。いやseed、引っ掛かるとこじゃった。」
 「goの過去形は?」
 「goedかなあ。」

 「香織、東京の過去形は?」わたしも一問出してみた。
 「えーと。。。江戸!」

 「な、手ごえーじゃろ?」
 「うーん、不規則動詞がまるでわかっとらんし、名詞にも過去形があると思っとる。。。香織な、何か英語の歌詞で考えてみい。『見た』が入っとる歌は?」
 「えーと、『見た』が入っとる歌詞じゃな。。。I Saw Her Standing Thereやから、sawかな?」
 「そーじゃが、sawじゃが。」
 「今の、だじゃれ?」

 「じゃあ、『行った』は?英語の歌で。」
 「えーと、Well my heart went boom when。。。やから、wentじゃろうか。」

 「佐織、おまえ、教え方上手いんじゃがぁ。」
 「うんう、香織が低次元過ぎて基にーにーに付いていけんだけじゃけん。動詞の過去形とかは基礎なんで、うちが午前中教えるんじゃが。にーにーは読解とかやるんがええかも。」
 「ラジャー!」



 次の日、わたしは早朝から香織を叩き起こし、朝食を挟んで漢字の読みと書き取りを教えた。

 なるほど、なかなか手ごわい。でも、一か月あったら何とかなるだろう。

 「ねえちゃん、そろそろ9時じゃで。」
 「あ、そうじゃね。」
 「イケメンにーちゃん、待っとるで。」
 「あほ!」

 「シャワー、うちが先や!」
 「うちが先や!」
 「これこれ、一階にもあるから大丈夫やで。」叔母ちゃんが止めにかかった。

 「明日からは30分早めに勉強終わろうか?」香織が提案した。
 「そうじゃな、その代わり30分早く起きるんじゃで。」
 「ええーーーっ!!」





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September 18, 2017

日本酒風呂に挑戦♪

 きょうは「敬老の日」。

 長寿を祈ったイベントは各種あると思うが、朝霧の『龍の湯』では「日本酒風呂」を振る舞ってくれると言うので、午前中テニスをしてから朝霧に向かった。

 日本酒は菊正宗で、一日に六回くらい、毎回一升瓶二本の日本酒を惜しげもなくドボドボ注ぐ。

 注ぐ風呂は露天風呂で、ドボドボ注ぐ横で「飲んでもいい?」と言うと、「どうぞ。」と手に注いでくれる。

 日本酒風呂に入った感想であるが、ほんのりとした日本酒の香りがして、多少暖まったような気もする。

 お客さんはいつもより5割くらい多かった。

 ただし、特に敬老の日ということで、お年寄りが多かった訳ではなかった。





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September 17, 2017

香織の来神(8)♪

(妄想ショートショート)



 「基にーにー、そろそろお開きにしよか。香織の勉強スタートの時間が来るんじゃが。きょうは初日じゃし。」
 「お、2時半か、そうじゃな。片付けようか。でもなあ、わし、国語と英語はそれほど得意じゃないけどな。」
 「基にーにーは得意じゃないと言っても、うちらの10倍はできるから任せるわ。」

 「おじさん、香織の受験勉強の時間が来るんで、お開きにしてもらってえーじゃろか。」
 「ああ、香織ちゃんの編入試験のやつやな、了解。」

 「みなさん、きょうはどーもでした。パーティーはこれにてお開きとします。飲み足りない人はうちに上がってください。良い子はおうちに帰りましょ。」

 「基にーにー、楽器だけしまって。あとの片付けはうちらがやるけん。基にーにーは香織の勉強お願い。」
 「おう、わかった。」

 「香織、そろそろ時間なんじゃけど。」
 「えーと、あと20分じゃな。3時になったら家に戻るけん、ちょっと時間ちょうでぇーな。」

 香織はそう言うと守るくんの方に走っていった。
 恐らくは明日の約束などをしているに違いなかった。



 3時になった。

 香織は基にーにーと部屋に入っていった。いよいよ特訓開始だ。
 でも初日はクイズ形式で香織の学力の把握をするようだった。

 わたしは香織の朝の勉強、つまり、基礎学力の担当だ。小学校から中学までの国語と英語の担当だ。一から教えるのは大変なので、参考書や問題集を買うため、真一さんに阪急芦屋川駅まで車で送ってもらい、梅田の紀伊国屋書店や旭屋書店でそれらを買うことにした。

 「香織ちゃん、がんばるんだね。」真一さんがハンドルを握りながら言った。
 「うん、編入試験であまり成績が悪いとヤバイらしいんで、わたしと基にーにーが一肌脱いで香織を鍛えるんことになったんじゃが。」

 「姉妹で神戸・芦屋に来るってすごいね。」
 「ほんとじゃが。うちの発案じゃったけど、香織にはいいと思うんじゃが。」
 「妹さんにとっては人生のチャンスだよね。」
 「そうそう、田舎でおとなしく暮らすのも人生じゃが、都会に出てきて自分の可能性に挑戦するのも人生。失敗しても失うものはなにもないけん。」

 「いいおねえさんを持ったね、香織ちゃん。」
 「そうそう。。。えっ!?」

 ふたりはクスッと笑った。



 芦屋川駅で真一さんと別れ、紀伊国屋書店に行った。

 中学参考書コーナーで使えそうな参考書を探していた。

 「家庭教師されているんですか?」

 大学生みたいな男子が声をかけてきた。ナンパだ。
 「ふふ、ちょっとね。」
 わたしは適当にごまかし、レジでお金を払った。

 「この本代は誰に貰おう。。。」
 まあ、お母ちゃんに連絡して、来月の仕送りに追加してもらおう。。。などと考えていた。

 それから旭屋書店に向かった。

 阪急百貨店の前でまたナンパに会った。

 「お嬢さん、お茶しませんか?」

 「けっこうです。」

 阪神百貨店に向かう階段まで追いかけてきたので、「わたし、彼と待ち合わせなんで。」と言ってやった。

 それを聞いてナンパ男は去っていった。

 「ほー、案外いくじなし。」わたしは思った。



 旭屋書店で参考書を物色していると、また変なのがやってきた。

 「おねえさん、暇?」

 「これが暇なように見える?」

 「えっ、ああ、その。。。」

 「おとといおいで。」

 まったく、大阪にはナンパ男が多い。
 ゆっくり買い物もできない。

 旭屋書店で参考書を買い、阪神百貨店の前のエスカレータを上っていると、「お嬢さん、お茶しない?」、またナンパ男が現れた。

 「ちょっと遅かったわね。」

 わたしは適当な演技をしながらナンパマンをあしらった。

 帰りはJR芦屋駅からバスで奥池に向かった。

 バスの中で、若い男子が「となりの席、いいですか?」と尋ねてきた。
 「はあ、どうぞ。」わたしは答えた。
 ちょっと間が空いた。

 「あの、奥池に住んでいるんですか?」
 その男子が尋ねてきた。ナンパだろうか。
 「ええ、そうですけど。」
 「ぼくもなんだ。君、大学生?」
 「はあ。」
 「どこの?」

 「神戸大学理学部。」
 「へえー、理学部かあ、かしこいんだね。ぼくは京都大学文学部。」
 「ふうーん。」

 「あのー。。。僕、写真部なんだ。」
 「へぇー。」
 「それで。。。突然なんだけど、あなたにモデルになって欲しいんだけど。。。だめ?」
 「それって、ナンパ?」
 「違う違う。秋の展覧会に生まれて初めてポートレート出そうと思って。」

 「それでうちがモデル?」
 「うん。。。洋館の中でヘミングウェイを読む女性の姿を撮りたいんだ。」
 「変な写真じゃないんじゃろね?」
 彼はぽっと赤くなった。

 「ち、違うよ。いままでは自然の写真ばかりだったんだけど、大学に入ったのを機にポートレートに挑戦したいんだ。」
 「ふーん。。。」



 ふつうだったら、わたしはこう言うのは相手にしないのだが、あるアイデアが浮かんできた。

 「ねえ、うちがモデルやったら、うちの妹の勉強見てくれん?」
 「えっ、妹さんの勉強?」
 「そう、高2の編入試験で国語と英語を教えて欲しいの。うちもにーにーも理系で、あまりに文系得意じゃないけん。」

 「妹さんはどこに編入?」
 「東岡山高校から芦屋大学附属女子高に。」
 「ふむふむ。で、家庭教師はいつからいつまで?」
 「明日の夕方から5日まで、3時から9時ごろまで。やや高度な勉強お願いしたいの。6日以降は岡山で家庭教師探すから。」

 「了解。モデルは明日からでいい?6日まで。」
 「ええよ。但し、10時ごろからね。朝はうちが妹の基礎的な勉強見るけん。」
 「契約成立!」

 「あ、バス停に着いた。」
 「ぼくもここなんで。」
 「家はどこなん?」
 「あれさ。あの白い家。」
 「あれ、うちの二軒隣りじゃが。知らんかった。」
 「ああ、それじゃ君は榊原さんちに下宿している女の子だね。ときどき姿を見掛けているよ。」

 「こんなに近くにいいモデルがいたんだ。」
 「こんな近くに家庭教師がいたんだ。」
 ふたりはクスッと笑った。

 「あ、ぼくは北五条達哉。京大文学部英文科の2回生。」
 「わたしは西大寺佐織。神戸大学理学部化学科1回生。」

 「それじゃ、明日からよろしく。」
 「こっちこそ。」







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September 16, 2017

香織の来神(7)♪

(妄想ショートショート)



 「おじさん、すいません、うちのものが急に一緒にパーティーやりたいと言い出しちゃって。」わたしは庭でパーティーの準備をしていた古谷のおじさんに謝った。

 「ああ、わしゃー構わんよ。佐織ちゃんとこのお兄さんも初めてやし、わしゃ賑やかなんは好きやし。」
 「きょうはバーベキューですか?」
 「おう。最初は中華にしようと思ったんやけど、みんなが来るんやったらこっちの方がええやろ。足りない材料は『いかり』に真一が買いに行っとるわ。」
 「そうなんですか。」

 「あ、古谷さんですよね。はじめまして。僕は佐織の兄の西大寺基史です。」
 「ああ、東大、それも医学部の基史くんやね、凄いな。ギターもやるんやってね。ほんま才能溢れるわ。佐織ちゃんからよー話は伺っておりますわ。きょうは楽しくやりまひょ。」
 「はい、よろしくお願いいたします。」



 「香織、香織の彼はどこじゃ。見えんけど。」基にーにーはキョロキョロしながら香織に聞いた。
 「しーっ!うちの彼とか言わんのじゃが。守さんと呼んでや。えーと、いま、おねえちゃんの彼氏の真一お兄さんと買い物じゃが。」
 「分かった、分かった。わしのせいで話がおじゃんになったら申し訳ないし。」
 「話がおじゃんて、縁談みたいにゆわんといて。」

 「ちょっと香織。いま、わたしの彼氏ってゆーたろ?学科の先輩だけじゃから、要らんこと、にーにーにゆわんといてよ。」
 「わーった、わーった。お互い干渉せん、淑女協定じゃな。」
 「おいおい、佐織も彼氏おるんか?」
 「にーにー、香織の勘違いじゃったって。」わたしは何とかその場をごまかした。

 やがてバーベキューの火が勢いよくおこったとき、真一さんと守くんが帰ってきた。



 「あっ、あの人らじゃな。。。あのぉ、佐織と香織の兄の西大寺基史です。よろしく。」
 「あ、東大医学部のおにーさんですよね。えーと、わたしはここの叔父さんの甥で、真一です。そしてこっちが弟の守です。実家は神戸なんですが、叔父さんが寂しがるのでわたしの方は一緒に住んでます。守はときどきここに遊びに来るだけです。」
 「古谷守です。よろしくお願いします。」
 「よろしくお願いします。」

 「ほなみんな、こっちにきなはれ。網の上に具材乗っけてや。」

 ジューーーーっ

 「もう行けるな。。。ではみなさん、なんか分かりませんが、成り行きでパーティーになりました。きょうは西大寺基史さん、香織ちゃんが岡山から来てくれました。カンパーイ!!」おじさんが挨拶した。
 「カンパーイ!!」

 真一さんはきれいに焼けたお肉とか、ごちそうを自分が食べる前にわたしに持ってきてくれた。守くんも同じように香織に持ってきた。
 また、照れくさいのか、守くんとはときどきわたしや結衣ちゃんにも「ほらよ。」と持ってくる。

 でも、兄弟のこの気遣い、さすがだなと思う。



 「榊原さん(叔母さんの苗字)、パーティーの発案おーきに。いやー、ええわ、こう言うの。若い人と一緒に、楽しいですな。」
 「ほんま、古谷さんとこの甥御さんとうちの姪の佐織が来てから、近所が明るくなりましたわ。まだ内緒ですけど、香織も近々来る予定なんですよ。」
 「ほーっ。美人姉妹が来るとなると、ほんま、奥池も明るくなりますな。」
 「あーっはっは。」  

 。。。これはちょっと会話の想像。遠くで叔母ちゃんとおじさんもが会話しているのでわたしには聞こえないが、多分、ふたりはこんな会話をしているに違いない。

 叔母ちゃんは地中海料理とサラダ、デザートを持ってきた。バーベキューともよく合う。

 メインディッシュを食べ終わった後、「さあ、ちょっと弾いたろかな。」と基にーにーが言い出した。

 基にーにーは、自動車から、エレアコとアンプとスピーカーを取り出した。最初から演奏するつもりで持ってきたのだ。



 「お、楽器か。わしもあれやろうかな。」古谷のおじさんは納屋からエレキベースを持ち出してきた。
 「わしの若い頃はビートルズやロックが流行っとってな、わしも仲間とバンド組んどったんや。」
 「真一、お前はドラム持って来いや。」
 真一さんはおじさんからドラムを習っていたようだ。

 「守、サックスやってみんや。」
 「えっ、まだ練習し始めて三か月やで。」
 「大丈夫や、コード教えたやろ、あれでどんな曲でもOKや。」
 「まあ、酔っぱらってるからええか。」

 「守くん、あんたまだ19じゃろ、お酒飲んだらだめじゃがな。」
 「ま、堅いことゆーな。佐織さんも飲んだやろ?」
 「うちは、コップ半分だけ。20になったらコップいっぱい飲むんじゃけど。」

 「えーと、どうせならみんなでやろか。キーボードおらんかな?」
 「佐織、やれや。」基にーにーはわたしを指名した。わたしは基にーにーから鍛えられていたのだ。
 「うん。」

 おじさんと真一さんは納屋からRolandのキーボードを引っ張り出してきた。



 多分、香織はボーカルをやると言い出す。

 叔母ちゃんはバイオリンとピアノが弾けるが、きょうはわたしと交代でキーボードの演奏だ。

 ビートルズを始め、ジャズ、タイガース、ブルーコメッ、クラシック編曲、童謡、ポップス、ディスコ風まで、色々飛び出した。

 近所の人も「なんや」と言う感じで集まってきた。

 「古谷さん、今日は賑やかですなぁ。」
 「ああ、うちの親戚の子やお隣の榊原さんちの甥御さん、姪御さんが遊びに来とるんですわ。」
 「あのギターの青年、上手やなあ。」
 「そうでしょ、西大寺基史くんてゆーて、東大医学部に行っとんですわ。」
 「へーっ!」

 基にーにーの演奏では決まって大きな拍手が起こった。

 飛び入りの近所のおじさん、おばさんにも歌伴する気前のよさが基にーにーの魅力と言えよう。

 やがて基にーにーはアメリカでプロの音楽家になるのだが、それは数年後のことである。

 きょうはほんとゴールデンウィークらしい楽しい日となった。






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September 15, 2017

香織の来神(6)♪

(妄想ショートショート)



 その日の午前のうちに、香織は親に電話した。

 「叔母ちゃん、いま電話で話したんだけど、お父ちゃん、お母ちゃんは『香織の好きにしなさい』じゃって。」
 「うむ、分かったわ。善は急げと言うから、わたしも理事長に一報だけ電話しておくわ。詳しく説明するんは休み明けやね。」

 「叔母ちゃん、編入試験の筆記試験の内容と面接について、もうちょっと情報ちょうだい。うちと基にーにーで、このゴールデンウィークに基礎的な学力のチェックと面接対策だけしておくわ。」わたしも今年のゴールデンウィークは妹のため、一肌脱ぐ事にした。

 「香織、一応一日のスケジュール、時間決めよ。早朝から9時までは勉強、9時から3時までは自由時間、そしてそれから寝るまではまた勉強な。早朝は基礎的な勉強でうちが担当、夕方からはやや高度な勉強で基にーにーが担当。」
 「えっ、基にーにー、ずっと芦屋におんの?」
 「おう、かわいい妹のためじゃから。」



 「それにしても、急にしては計算されたスケジュールみたいじゃけど。」
 「あ、これな、基にーにーが受験勉強でやった高校一年のスケジュールじゃって。」

 「えーと、もうすぐ11時じゃから、香織の自由時間じゃね。好きにしてもえーよ。」
 「うん、うち、古谷さんちでお昼誘われているんで行くわ。。。って、おねえちゃんもじゃけど。」
 「えっ、うちも?」
 「そんなん、あたり前じゃろ。」

 「。。。なるほど、お兄さんは守くんと香織を二人きりにするのは危ないと思うてじゃね。」
 「ばか、古谷のおじさんもおるわ。」
 「あ、そうか。」

 「それじゃったら、わしも行きてぇが。」
 「は?」わたしと香織は同時に基にーにーの方に振り向いた。
 「一応、兄としてあいさつせんと。」
 「わたしも行く!」結衣ちゃんまでも行きたいと言い出した。

 「ねえ、それやったら、みんなでピクニックせん?『ポットラックパーティー』よ。」叔母ちゃんが提案した。
 「ポトラックパーティー?」



 「持ち寄りパーティーのことよ。場所は。。。古谷さんちの芝生がえーわね。花壇がきれいやし、お昼の準備もあるやろし。わたし、古谷さんちに電話するわ。」
 「は、はあ。」
 香織は少し迷惑そうだったが、その他のひとは大喜びだ。

 「ま、ここはうちが一肌脱ぐか。」香織も苦笑いした。

 



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September 14, 2017

香織の来神(5)♪

(妄想ショートショート)



 「そうじゃなあ、まずは香織の決心、つまり気持ちを固めること。次に親の説得。それができたら叔母ちゃんに正式に申し込むとええんじゃない?」わたしは香織に言った。

 「決心とか、そんなこと急に言われても。。。うち、どうしたらええかわからん。」
 「なら、守くんに相談したら?ひとりで考えるよりええと思うけど。」
 「。。。分かった。今から行って相談してみるわ。」
 「えっ、今から!?なんぼなんでも。。。」

 わたしの最後の言葉も聞かず、香織はご飯も食べかけで隣へ飛び出して行った。



 「あいつ、相当舞い上がっとるんちゃうか?」香織が急にいなくなってみんなが唖然としていると、基にーにーは叔母ちゃんとわたしと結衣ちゃんに向かって苦笑いしながら言った。
 「じゃな。」

 「叔母ちゃん、香織は二の句もなくOKするとわしは思うんじゃが、手続きとかはどうなるんかな?」
 「そやね。。。ゴーデンウィーク明けにでもわたしから理事長に話してみる。それから緊急理事会が開催されて議決されると思うで。そやな、早かったら五月中にでも内定は出せるんちゃうかなあ。」
 「はや。」

 「早い方がええやろ。理事会には、早く決めないと他の学校にとられてまうかも、って言うさかい。」
 「へー、叔母ちゃんも中々の役者やのう。」
 「ふふふ。」

 「試験とかはないの?」
 「一応、編入試験、つまり学科試験と面談はやるはずよ。と言っても、内定が先に出るので形式だけやけどね。」
 「試験の教科は?」
 「そやね、香織ちゃんは文系だろうから、国語と英語やわ。」
 「でも、香織、『獣医になる』とかもゆーとったんじゃけど。」
 「理系か。。。それなら英語と数学やわ。」

 「あの子、多分ルートも分からんから、理系はだめじゃな。」わたしは香織の算数力を知っていた。
 「えっ、香織おねえちゃん、ルートも知らんの?『空手バカ』やったんか。」
 「そうじゃな、結衣ちゃんよりバカかも知れんな。」
 結衣ちゃんはそれを聞いて笑った。

 香織はときどきふざけて結衣ちゃんに空手の技をかけるんで、結衣ちゃんは香織のことを隙あらばやり返したいと思っているのだ。



 「英語は?」

 「香織はな、ビートルズやビリージョエルなんか、好きな英語の曲は全部暗記しとるらしいで。それにコンサートの英語のMCなんか、全部暗記しとった。」
 「歌詞や口語と筆記試験とはすこし違うと思うけど、香織、凄いんじゃが。東大行けるかも知れんで。」基にーにーは初めて聞く話に感心していた。

 「つまり、入るなら文系しかないわけと言う話じゃな。」
 「叔母ちゃん、試験、もし零点だったらどうなるん?」
 「零点でも編入できるけど。。。下手をしたら一年生に編入やな。」
 「それはヤバ。。。」
 「あるいは中等部からやり直しとか。」結衣ちゃんはケラケラ笑った。

 「試験と面談、いつ頃になるん?」
 「ほやね、今からやと。。。六月あたまあたりやろか。」
 「あと一ヶ月か。。。それまでに香織の国語と英語力何とかせんと。」
 「試験問題は難しいの?」
 「いや、基礎的なことばかりやで。」
 「。。。と言うことは、中学校の復習からやっとかんと行けんのじゃな。」



 そうこう話をしていると、香織が帰ってきた。

 「香織、決心はついた?」
 「うん。古谷さんは『チャンスじゃないか』ってゆーとった。うち、やってみるわ。」
 「じゃったら、次は親の説得じゃな。岡山に帰ったら相談してみたら?」
 「うんう、きょうの昼にでも電話しとくわ。」
 「はや。」

 「あ、それからな、試験と面接があるんじゃと。あまりに成績が悪いと一年生からじゃって。一ヶ月しかないから、詰め込みじゃな。」
 「中等部からやり直しになるかも知れんで。」結衣ちゃんが笑いながら言った。
 「そうじゃ、ゴーデンウィークどころじゃないぞ。」基にーにーがはっぱをかけた。

 「えーっ!せっかく芦屋に遊びに来たのに。。。」
 「一ヶ月だけ頑張ったら守くんとも好きなだけ一緒におれるで。それとも遠距離交際の方がええんか?」

 「わかった、わかった。しかたないんじゃが。うち、がんばるわ。」

 「わし、東岡山でええ塾の先生見つけとくから、頑張れや、香織。」
 「うん。」






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September 13, 2017

香織の来神(4)♪

(妄想ショートショート)



 「えーと、あんたたち、もう、朝ごはんは食べたの?」

 叔母ちゃんは基にーにーと香織に向かって言った。

 「おにぎりくらいは食べて家を飛び出したけど。」
 「ああそう。わたしと結衣と佐織ちゃんは今からブレックファースト摂るから、よかったら一緒に食べへん。トーストでもいいよね?」
 「どちらかと言うと、ご飯党じゃけど。。。」

 「えーよえーよ、お粥になるけど。あ、佐織ちゃん、サラダ作って。わたしはスクランブルエッグとウインナー焼くから。結衣はしゃけ焼いて。」

 こうして、9時ごろ、ブレック。。。朝食を摂ることになった。きょうはスモークサーモンと焼きしゃけ、ぬか漬け、味噌汁も出ていた。いつもはあと二時間くらい早いのだが、香織を迎えに行くと言うので、準備を優先していたのだ。



 「なんか、リッチな朝食じゃな。」

 「あ、そう?叔母ちゃんちは朝と晩しっかり食べるんじゃが。お昼は果物とヨーグルトくらいかな。その代わり、3時にハイティーするで。」
 「ハイティー?」

 「スコーンと紅茶飲むおやつ。イギリスの貴族がするらしいで。スコーンは英国のパティシエが焼く店が芦屋にあるんよ。そこで買うんじゃが。」わたしは香織に説明した。

 「佐織、それもしかしたらアフタヌーンティーのことじゃないん?ハイティーは英国の労働者や農民が夕方サンドイッチや肉料理を食べるやつ。」
 「あ、そうなん?叔母ちゃん、知っとった?」
 「うんう。。。50年間知らんかったわ、ふふ。基ちゃんはさすが東大やね。」
 「東大は関係ないと思うんじゃけど。あ、それよか、自動車ありがとう。」
 「いえいえ、基ちゃんが東大入ったんでうれしゅーて、近所に言いまくったんよ。そしたら、『なんか、プレゼントしたの?』って聞かれたから、慌てて。」

 「それにしても自動車とは。。。」わたしは感心した。
 「うちね、子供がおらんやろ。やからええねんよ。」

 「えーと、基ちゃんは医学部やったよね?将来は医者になるん?」叔母ちゃんが聞いてきた。
 「まあ。。。そうなるかな。」
 「あんたたちのおじいさんが聞いたら、どんなに喜ぶことか。」
 「おじいちゃん、つまり叔母ちゃんのお父さんも医者じゃったんよね?」わたしは祖父のことをあまりに知らなかったので叔母ちゃんに聞いてみた。

 「ふふ。動物のお医者さん、つまり獣医だったわ。戦争中、空軍の医者として戦地に行ったことがあって。そのときは人間も診ていたわ。人間の医者の免許も空軍から貰ったけど、戦後は人間は診なかったわ。」
 「人間の医者になりたかったんじゃろか?」
 「『今度生まれ変わったら人間の医者になる』って言ってたわ。」
 「ふーん。」

 「あんたたちが生まれる前に川の事故でなくなっちゃったから、まさか孫が医者になるなんて。。。ほんま、おじいちゃんが聞いたら喜ぶと思うで。」
 叔母ちゃんはちょっと涙ぐんだ。

 「結衣ちゃんは将来何したいん?」
 わたしはすかさず話題を変えた。

 「うーん。。。まだ何も考えとらん。取り敢えず、佐織おねえちゃんにテニスでも教えてもらおうかな。」
 「うん、ええよ。土日の早朝とか、やろか?」
 「やったぁ!」



 「それはそうと、えーなあ、おねえちゃんは。」
 「え、なに?」
 「だって、こんな都会でこんな美味しいもの食べて、回りにおしゃれな店もいっぱいあるんやもん。うちの岡山の田舎には半径二キロ以内には店もないし、あるのは山と田んぼと牛とやぎとニワトリぐらいじゃけん。」

 「香織もこっちに来ればえーのに。守くんもおるし、楽しいで。」

 わたしがそう言うと、香織の目はマジになっていた。

 「そ、そんなん、無理じゃが。」

 「あ、そうそう、香織ちゃん。わたしが理事をやってる芦屋大学附属女子でも香織ちゃんのことは話題になっとるよ。あのイノシシを撃退したニュース。神戸市から感謝状もらったやろ。うちは女子校なんやけど、男子校と比べると知名度が低いのよ。理事長も『あんな子が来てくれたらうちの知名度が上がる』って、本気で言ってたわよ。」

 「え!?まじ?」

 「あんたさえ良ければ。。。もちろん、お父さんとお母さんに相談して、うちの高校に編入するのは簡単やと思うよ。」

 「えっ、えっ、えっ。おねえちゃん、どうしよう?」

 「うちはチャンスじゃと思うけどなあ。」わたしは答えた。


 ※写真は六甲の薔薇の実






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September 12, 2017

香織の来神(3)♪

(妄想ショートショート)



 そしてゴールデンウィークの初日、5月1日がやって来た。

 わたしが結衣ちゃんとラブラドールレトリバーのジョンの散歩をしていると、後ろから「プップー」とクラクションを鳴らす音がした。
 振り向くと1台の車がゆっくりと近づいて来た。車の中をよーく見ると、香織が助手席に座っている。そして運転しているのは何と基にーにーではないか!

 「おねえちゃん、結衣、おはよ。」

 「あれっ、なんで基にーにーがおるん?香織はひとりで来るとおもてたのに。」

 「いやあ、香織の彼氏の顔を見たいと思ってな。よう、結衣、元気じゃったか。」基にーにーが答えた。

 「じゃから、違うって。勝手に彼氏にせんといて。もー、おねえちゃんじゃな、変なこと言うたんは?」
 「さ、知らんなあ。」

 「はは。。。まあ、そんなんどうでもええけん。ドライブがてら芦屋の叔母さんの顔、見に来てみたんじゃ。びっくりさそうと思おてわしからは電話はしてないけん。」

 「そうなん。。。あ、そーじゃ。叔母ちゃんにはよー言わんと。朝からお風呂入ったり、おめかししたり、香織を駅に迎えに行く準備しとったけん。」

 「わかった。すぐに叔母ちゃんちに行って叔母ちゃんに挨拶してくるわ。」そう言うと、香織たちの車は叔母ちゃんの家の方角に消えて行った。

 わたしたちも散歩を切り上げることにした。

 クィーン。。。

 「ジョン、後で香織が散歩してやるから、一旦家に帰ろ。」

 わたしは散歩したりなさそうなジョンを連れて叔母ちゃんに戻った。



 「あ、おねえちゃんと結衣が戻って来た。」

 「佐織ちゃん、香織も車で来るなら先にそう言えばえーのにねえ。準備しかけとったのに。」叔母ちゃんは不満そうにわたしに言った。

 「なんかな、基にーにーが叔母ちゃんを驚かせたかったんじゃって。」わたしも一応助け船を出しておいた。

 「まあ、そう言うのもわかるけど。。。さ、着替えてくるわ。」

 「なあ香織、守くんに電話せんでええの?『着いたよ』って。」

 「もう、いちいち干渉するんやね。ええの、さっき車から見えたから手を振っておいたから。」

 「えっ、あれが香織の彼か!?」
 「え!?あのおにーちゃん、香織ちゃんの恋人?」
 「もう、基にーにー、大きな声で言わんといて。結衣にも悪影響するから。」
 「そうそう、変なこと言うてこじれたら大変じゃからね。」わたしも半分からかいながら香織の援護射撃をした。

 「もう、ねえちゃんまで!」
 「あら、うち間違ったことゆーた?」
 「あ。。。もう!、ねえちゃんは『刑事コロンボ』みたいに人の痛いところを突くんじゃから。」
 「刑事コロンボに言われて痛いんは犯人じゃからやで。無実な人はなーんともないはずじゃけど。」
 「。。。」

 「分かった、分かった、香織。もうあんまり言わんから。」今度は基にーにーが助け船をだした。

 「うん。」



 そうこうするうち、叔母ちゃんが居間に戻って来た。

 「香織ちゃん、彼氏、きのうの晩からお隣に帰ってきとったよ。」

 「あ、叔母ちゃんにもばれとる。。。」

 目が点になっていた香織であったが、わたしと基にーにーと結衣ちゃんは後ろでクスクス笑っていた。






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September 11, 2017

龍の湯に再チャレンジ♪

 昨日は朝霧駅(明石)にある『龍の湯』に再チャレンジしてみた。温泉の場合、やはり、定置観測は必須だと思われる。

 朝霧駅から砂浜に降りると、バーベキューの匂いが立ち込める。バーベキューレストランがあるからだ。

 何かイベントをやっていると思ったら、『ビーチサッカー全国大会』をやっていた。全国から16チームくらいが決勝に来ていた。

 ビーチサッカーはゴールとゴールの距離が近いので、ゴールキーパーのシュートが相手方のゴールに入ることがある。
 昨日もそんな一発を目にした。

 また、「オーバーヘッドキック」も普通にやっていた。

 暫く試合を観戦していたが、はっとあることに気が付いてすぐに温泉に向かった。
 試合が終わると、選手たちが大量に龍の湯に押し掛けると思われるからだ。



 今回は昼過ぎということもあり、まずは中のレストランで食事をすることに。
 メニューは『銀河の湯』の『銀河亭』の10倍くらいあり、座敷やテラスもあり、なかなかのものである。
 値段も安く、ウェイトレスの対応も良い。

 「マグロ山かけ」を注文したが、味噌汁と漬け物が付いて750円だった。

 その後、二階のリラクゼーションルームに行こうとすると係員に呼び止められる。チケットにスタンプを押さないとダメだとのこと。お風呂に入らずに休憩だけするお客を除外するためだ。

 その後30分位、いろいろな湯にはいる。

 『龍の湯』は、塩分が多いらしく、出た後でも体がポカポカする。『銀河の湯』とは、かなり性質が違うことがわかる。



 暫く露天風呂に入っていると、若者たちがドサーッと入ってきた。黒人もいる。先ほどのビーチサッカーの選手たちだ。

 20名くらいやって来て、総勢50名くらいになったので、温泉から上がることにした。

 帰りにはビーチサッカー場は綺麗に片付けられていた。テント類も片付けの最中だった。

 時間があったので、JRに乗り、神戸駅で降りてハーバーランドの『Umie』に寄って帰った。やはり、昔の「神戸阪急百貨店」のときと比べ、圧倒的にお客の数は多い。
 お客の層を間違えて展開すると、大手百貨店と言えども閉店することになるのだ。

 お腹が空いたので、その後、ざるそばを食べて帰った。




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September 10, 2017

香織の来神(2)♪

(妄想ショートショート)



 わたしの名前は西大寺佐織。

 わたしは岡山の田舎から大学に行くため神戸の都会に出て来て、入学してからすぐ、神戸大学に新しいテニス部を創設した。

 そのクラブのホームコートは芦屋奥池にある叔母さんの家の隣、古谷兄弟である真一・守の叔父さんの庭にある。わたしは両親の願いでこの叔母さん家に下宿させてもらっている。古谷兄弟の兄はわたしと同じ理学部の化学科(ただし大学院)、弟はわたしと同級生で同じ大学の工学部である。

 弟の守くんはわたしが創ったテニス部の部員になった。彼はテニスのインターハイの選手でテニスはかなりうまかったが、大学入学を機に空手部に入部していた。どうしても彼に入って貰いたかったわたしは空手部を覗きに行くと、わたしのことを道場破りと勘違いした空手部に決闘を申し込まれた。
 空手の経験のないわたしは有段者である妹の香織に助っ人を頼んだが、試合会場に偶然迷いこんだイノシンから香織は学生を守り、感心した空手部の許可でテニス部に引き抜くのとが出来た。

 守くんと香織はかなりお互い惹かれあっているようだが、香織は東岡山に、守くんは芦屋にいるため、それほど会えないのが実情だ。



 わたしはゴールデンウィークは実家に帰ろうとしたが、香織が芦屋に遊びに来ると言う。仕方なく、最後の二日だけ実家に帰ることにし、後は香織の面倒を看ることにした。

 「もしもし、ねえちゃんだけ実家に帰って来てもうちは構わんよ。うちは実家でやることないから、叔母ちゃん、結衣ちゃん、ジョンに会いに遊びに行くだけじゃけん。」

 「あれ?守くんの名前が入っとらんけど。」

 「あぁ。。。まあ、偶然守くんが来とったらおうてもええけどな。」

 「あっそ。真一さんの情報によると、ゴールデンウィークに守くんが叔父さんの別荘に遊びに来るんだと。何でも岡山から誰かが芦屋に来ると言うとったけど。」

 「ああもう。。。おねえちゃん、『刑事コロンボ』みたいじゃが。」

 「うふふ。まあ、守くんが来たら、真一さんの車で和歌山か香住か、どっかドライブ行こうか?」

 「なんか、おねえちゃんのデートの出汁にされとうような気もするんじゃけど。」

 「な、なに、ゆーとんの。わたしはあんたのことを思うて。。。」

 「まあまあ、おねえちゃん、そろそろ電話切った方がええんじゃが。電話代かかるし。叔母ちゃんに迷惑じゃろ?」

 「そうじゃな。。。じゃあ切るわ。1日の昼じゃな。芦屋駅に着いたら電話してな。」

 「バイバイ。」

 ガシャ



 ふーっ。香織のやつ、そんなに彼に会いたいんやったら芦屋に住めばええのに。

 わたしは大した意味もなくそう思った。

 しかし、この思い付きを叔母ちゃんや香織のフィルターを通すと、とんでもない騒動に発展するのだった。






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September 09, 2017

香織の来神(1)♪

(妄想ショートショート)



 わたしの名前は佐織。

 前回はわたしが岡山の田舎から大学に行くため神戸の都会に出て来て、神戸大学のテニス部を創設するまでを描いた(2016年4月−5月のシーズン1の記事参照)。今回の物語はそれから二年後、妹の香織が何を間違えたか関西に来阪し、関西の大学に入るまでを描く。

 ちなみに、タイトルの『来神』は、「神戸に上京する」と言う意味である。

 まずは前回のシリーズのおさらいをしたい。


     □


 わたしが育ったのは東岡山の北で、家は農業と畜産をしていた。農業は主に果樹園が中心で、白桃、マスカット、ナシ、カキ、リンゴ、オレンジなどを栽培していた。畜産は小規模で、ヤギ、ウシ、ニワトリ、それに馬が一頭。実家のヤギの乳は飼料から自然農法でこだわっていたので評判がよく、東京からも買いに来る人がいた。



 家の回りは牧草地だったので緩やかな斜面がかなり遠くまで続き、ウシやヤギ、ニワトリなどが放し飼いにされていた。

 一頭いた馬は『寒立馬』(かんだちめ)と言う珍しい馬。青森とかの天然記念物らしい。わたしの祖父が獣医だったので北海道の知り合いから預かったのち、知り合いの方が亡くなられたので行き場がなくなりうちの農場で飼うことにしたのだった。それから祖父も亡くなり、父が面倒を見ていた。基本、乗馬に適する種ではなかったのだが、「おうまさんに乗りたい!!」と言うおてんばな妹のおねだりで、父はよく妹を乗せて牧草地から池の回りを駆け回っていた。

 そうそう、わたしの妹は香織と言う名で、走る、飛ぶ、泳ぐ、スポーツなら何でもできた。
 また、香織は空手の有段者で、高校時代、路上で痴漢に襲われた同級生を助け、学校では傷害事件沙汰になりかけたが、県警から表彰されたので学校側もうって変わってヒロインとしてもてはやすようになった。
 何を考えているか分からないところはあるが、ボディーガードにもなる頼もしい子だ。

 わたしには兄が二人いる。
 上のにーにーは農学部を出て、父の農場を継いだ。先端的な技術を農業に次々投入し、西日本ではかなりの有名人だ。

 下のにーにー(基にーにー)はめちゃ勉強ができて東京の医学部に進学した。ところが大学卒業後、都立病院でインターンをやっているとき、自分には向いてないと思ったらしくアメリカに渡り、カリフォルニアで音楽を中心とした創作活動を行っている。
 小さい時から音楽が好きで、家族が母のピアノ、下のにーにーのギターで歌を歌うと言うのが我が家の週末の楽しみのひとつだった。



 わたしは中学までは陸上部だったが高校に入り硬式テニスに転向した。
 高校の時はインターハイで県で優勝したこともある。高校三年になってからはテニスを一切やめ、受験勉強に集中した。

 お陰で念願だった神戸大学理学部化学科に合格できた。
 小学生の頃伝記で読んだキュリー夫人が憧れだったので、迷うことなく「リケジョ」になろうと思ったのであった。


     □


 わたしは大学では下宿に入りのびのび一人暮らしをエンジョイするつもりだったが、父母が心配して勝手に下宿をキャンセルし、芦屋の叔母さんのところに厄介になることになった。叔母ちゃんちは奥池にある大きな洋館だった。

 叔母ちゃんには子供がいなかったので結衣ちゃんという親戚の子供を養女にしていた。

 奥池の隣の家には古谷さんと言う独り身のお金持ちのおじさんが住んでいた。
 庭にはテニスコートがあり、そこでそのおじさんの甥である古谷真一さんと古谷守くんと出会った。古谷守くんはテニスがけっこううまく、わたしと同じくこの春から神戸大学に入学するとのことだった。

 古谷真一さんはわたしと同じ理学部化学科の大学院に春から進学するとのことで、朝夕、自動車で大学まで乗せてもらう話になった。
 古谷守くんは春休みに叔母さんのところに遊びに来ていた香織と仲良くなり、デートもしたようだった。

 守くんは大学ではテニス部ではなく、空手部に入ろうとしていた。
 佐織はもちろんテニスをするつもりだったが、公式テニス部、テニス同好会を回るもまともなクラブはなく、自分でテニスクラブを作ることにした。

 コートをどこにするか考えていると、守くんのおじさんが別荘のコートを自由に使っていいと言ってくれた。さらに、コート数をオムニ2面にしてくれると言う。
 佐織は大学の総務にクラブ新設の申請をすることにした。担当者からは、大学の公式なサークルになるためには活動計画、予算、実績、部員数など書類がたくさん必要なことを聞かされる。しかし、公式なテニスサークルになれなければ学生会館の掲示板にサークルのポスターも貼れないのだ。

 クラブ新設の最低部員数を集めるためには守くんがテニス部に入ることが必要になった。佐織が守くんを説得するつもりで空手部に行くと、道場破りと勘違いされ、「東大寺翼」と言う女三四郎と試合をする約束になった。

 東大寺さんは背が180センチくらいあり、切れ長の目、後ろで括った黒髪、細いようで鍛え抜かれた筋肉など、ひと目で只者ではないことがわかった。帯も黒帯だった。恐らく2段か3段だろう。

 佐織は岡山から香織を守くんを出汁にして神戸に上京させた。
 そして香織に「わたしをいじめる空手使いがいる」ということで、香織に身代わりに戦ってもらうことに成功した。

 果し合いの日、東大寺翼と香織が戦っていると、会場に大きなイノシシが乱入、手も足も出ない空手部の主将や翼であったが、守くんのテニスのサーブと香織の空中二段蹴りでイノシシの急所である側頭部を強く蹴ると、イノシシは「ブヒーっ!!」と鳴きながら校門の方に逃げて行く。

 寸止めルールで有利に立っていた翼は自然の猛威の前(イノシシ乱入)では自分の空手が何も役に立たないことが分かり、香織の実戦空手前で敗北を宣言した。
 そればかりか、彼女は空手部をやめ、香織の弟子となった。

 翼の協力があり、守くんも空手部をやめ、佐織のテニス部に入部することになり、無事公式サークルに認可されることになった。








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September 08, 2017

梅田はデジタルサイネージ化が進む♪

 こう言うのを「広告の破壊的イノベーション」と言うのだろうか。

 梅田のJR大阪駅、阪急梅田駅、大阪市営地下鉄のコンコースでは、従来の紙の広告はかなり消え、大型高精細液晶ディスプレイを使った「デジタルサイネージ」に置きかわっている。

 考えてみると、これは非常に便利なものだ。

 貼り替えが不要と言うだけで、人件費が大幅に節約できるし、紙などの資源も使わない。環境に優しい。

 また動画、つまり映像が流せるのも大きい。

 また、時間帯によって広告内容を変えられる。
 朝や晩はサラリーマン向け、昼間は主婦向けなど、ダイナミックに最適化しやすい。

 さらに、カメラと人工知能を使えば、性別、年令などが推定できるから、リアルタイムで広告を切り替えることも可能だ。

 また、北朝鮮からのミサイルに向けた「臨時ニュース」を流す媒体としても使える。



 今、世界の広告収入がGoogleとFacebookに集中して流れていると言う。

 具体的な数字は調査会社によって様々だ。

 例えば、ピボタル・リサーチのアナリスト、ブライアン・ワイザー氏の計算によると、2015年米デジタル広告における成長分の74.6%は、GoogleとFacebookの取り分となったらしい。
 そして、2016年前半だけを見ると、なんとその数字は98%にまで達するのだ。

 また、デジタル・コンテンツ・ネクストもアメリカの広告業界の成長のほぼすべてをGoogleとFacebookが吸い取っていると発表。ネクスト社の調査によると、2016年前半はGoogleとFacebookを除くと、業界は平均して縮小を見せたのだ。

 マグナ・グローバルも2016年前半は世界規模で業界で平均して数%の減少を見せたと主張。同社によると2016年現在、全世界のデジタル広告マーケットの64%をGoogleとFacebookが占有しているというのだ。



 広告には新聞・雑誌、テレビ、ネットなどがあるが、ザクッとしたイメージで言うと、世界の広告収入の半分をGoogleとFacebookが取り、残りをその他で分け合っていると言う感じだ。

 その割合はますます上がるだろう。

 新聞・雑誌会社やテレビ局にとって広告収入減少は死活問題だ。

 世の中のデジタル化はさらに進むから、新聞社などは世界的再編を余儀なくされるだろう。


 ※大阪市営地下鉄梅田駅のデジタルサイネージ




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September 07, 2017

日本の国際化は「国家の再発明」と言う破壊的イノベーションで♪

 日本ほど国際化が遅れている先進国はないと思う。

 確かに、日本は「西洋化」にアジアでいち早く成功し、先進国になった。しかし、「国際化」はしなかった。

 すなわち、日本は、世界の優れた技術や文化を取り入れ、吸収して、消化して、そのからだの一部とした。
 しかし、それはあくまでも自分を維持して「外部から摂取した」だけであり、「自己改革が起こった」訳ではない。

 もちろん、その裏には天皇や貴族、豪族、神社仏閣、豪商などの既得権を守ろうとした輩が岩盤の規制を敷いていたのは想像に難くない。

 しかも日本のこう言う文化、国民性は神代の昔、千年、二千年も続いている訳であるから、高々識者が「日本は国際化せよ」と叫んでも10年や20年で簡単に変わるわけがない。

 しかし、日本には時間がない。

 2050年までに国際化しないと日本は沈んでしまう危険があるのである。

 そこでわたしが考えたのは下のような案である。

 恐らく、グーグルやアップルのような「破壊的イノベーション」を行って来た会社でも思い付かないであろうし、ハーバードビジネススクールでも教えてくれないであろう。



 その前に、トヨタ自動車の「カイゼン」活動の話をしておこう(^_^;)

 あるジャンルの息の長い製品が着実に正統進化を遂げるためには「斬新的イノベーション」、つまり、トヨタの「カイゼン」活動のようなものが役に立つ。

 「ガソリンをエネルギー源とし、エンジンによる内燃機関で走る車」と言う、百年も続いた製品の進化には「カイゼン」と言うちまちまとした活動が力を発揮した。

 しかし、今や自動車業界には、「自動運転」「電気自動車(EV)」と言う、「破壊的イノベーション」、黒船がやって来た。

 これは日本で最大のメーカーであるトヨタ自動車にとっても一歩間違えば会社が潰れてしまうほど大きな波である。

 先日、あるセミナーでトヨタ自動車の幹部から今後の自動車のロードマップを見せてもらったが、まだ、ハイブリッドカーで10年かそこら戦っていく絵になっており、危機感が感じられなかった。
 英国やフランスなどの「将来ガソリン車を廃絶する」と言う大きな変化に対し、まだ、トヨタは青写真を描けていないと思った。

 こう言う「破壊的イノベーション」の前には、「カイゼン」はむしろ足を引っ張ることになる。
 馬車が自動車に代わる時代に、蹄鉄の形を改善する活動が何の役に立つであろうか。むしろ、職場を守るため、産業革命に反対する、機械「打ち壊し」活動のリーダーになるかもしれない。

 このように、今社会のあちこちで起こりつつある人工知能などによる「破壊的イノベーション」の前には「カイゼン」は障害になることは、ハーバードビジネススクールでも教えている。

 さて、日本を何とか国際化し、経済発展させるためには、「カイゼン」活動では達成できない。

 例えば、英語を小学校の教科に採用、などは気休めの改善に過ぎない。

 「国家の再発明」が必要である。



 以下、わたしの「国家の再発明」のイメージを示す。

 まず、日本の首都をアメリカに置く。

 アメリカの最も土地代の安い土地を百年借りる。ネバダ州でも構わないが、出来ればワシントンの近くがいい。広さは東京都の半分も要らない。
 そこを「ニュートーキョー」などと命名する。
 500万人くらいは住める都市を創造する。

 また、アメリカにも日本の何処かの土地を百年貸すことにする。日本に進出したい企業は多いはずで、特区なので法人税などはアメリカが自由に決めていい。

 日本の首都をアメリカに置くことにより、国際化は自然と可能となる、と言うか、そうしないと政府が回らない。
 英語は自然と身に付く、と言うか、話せないと生きていけない。

 また、北朝鮮やお隣の脅威から国を守りやすい。
 首都が攻撃されやすいと言うことは国が滅びやすいことだが、首都を危険地帯から離すことは戦略的な意味がある。

 「国家の再発明」と言ったが、国の仕組みや法律などを白紙状態から最も合理的な内容で作り直す。
 そこにはもはや「日本民族国家」と言う要素はない。
 これは明治維新以上の「破壊的イノベーション」となるであろう。



 更に「破壊的イノベーション」は進む。

 国会は上院・下院とし、政府官僚、国会の議員の半分を外国人にする。女性も半分とする。
 国家の再発明においては男性と女性は完全に平等でなくてはならない。

 法律は白紙から作るため、現在の岩盤規制は消滅する。
 ベンチャーやイノベーションが起きやすいようにするためだ。
 法律は合理的に国政が行えるようにするためで、既得権益を保護し、補助金を注ぎ込むためにあるのではないからだ。



 完全に平等な民主主義国家を作るため、天皇制も廃止するのがいいだろう。
 サブカルチャーとして、例外的に残すのはありだ。
 但し、男女、どちらでもなれること、誰でも天皇になれることが条件だ。

 ある意味、ローマ法王みたいな存在だ。

 その他、細かいことには触れないが、要するに、いま国家を再発明し、千年先を見据えた国作りを破壊的イノベーションで行わないと、日本の衰退は避けられないところまできているのである。


※早朝の六甲の教会




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September 06, 2017

日本の未来のために♪

 昨日の続きで、「日本の未来のためになすべきこと」(経済大国として存続するために)を提案する。

(少子化対策)

 「沈み行く日本」の根本的原因は総人口の減少にある。アベノミクスがうまく行かないのは政府はそこがよく分かってないからではないか。

 しかし、この問題は首相の任期や政権の期間で効果が目に見えて出てくるものではない。それゆえ、各政党は選挙のため手っ取り早いポピュリズム的な政策に走ってしまうのだ。

 第1の少子化対策は、「子育て支援」の充実だと考える。保育園の充実、幼児の医療支援、大学までの無償化などである。この辺りは英国や北欧の福祉制度が参考になる。出来れば現在の子育て費用の半分くらい(一千万円規模)を国が支援して欲しい。

 第2は育児休暇や子育て後の職場復帰の支援である。「仕事を続けたいから子供を産みたくない」と言う状況をなくして欲しい。
 この辺りは日本マクドナルドの「主婦の週2日、一日2時間勤務もOK」と言うフレキシブルな勤務制度が参考になる。

 第3は持家制度(住宅ローン)や物価の改善である。やはり、家計のなかでこれらがかなりのウェイトを占めると、子供を持つどころではない。

 第4は結婚支援である。
 まあ、普通は結婚しないと子供は作れない。ウーバーみたいなスマホで簡単に操作できる公的な「出会い系サイト」などがあってもいい。



(真の国際化)

 世界の国々の企業は自社製品や自社サービスのマーケットを世界と位置付けているが、日本企業は未だに国内市場に偏重している。

 下の写真は、日経新聞の今朝の記事である。たまたま発見した。
 横軸に各国の「外需依存度」、縦軸に「経営陣の外国人比率」を取っている。
 日本は原点に近い。つまり、両軸とも世界最低クラスの国家であると言うことだ。それでも保護主義のアメリカよりは積極的に貿易しようとする意思はグラフから読み取れる。

 全体的な傾向としては、外需を稼ごうと思えば経営陣の外国人比率を上げないと行けないと読み解ける。

 事実、日本が見倣いたいノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデンなどの北欧の国々は右上の方に位置する。また、スイスやオランダも両軸のトップにある。

 つまり、経営陣の外国人比率が上げられないと世界の市場に入り込みにくいのだ。



 この関係は直感的にも分かりやすい。

 その国の商習慣や文化に精通しないと商品は売れにくいだろうし、そのためにはそれに通じた人、つまり、その国出身の責任者が必要なのだ。

 『真露』は韓国スピリッツメーカーであったが、日本進出の際、韓国のイメージが出ないように、スピリッツの名前をローマ字にし、ボトルも日本人好みにデザインした。
 その結果、日本市場でこのジャンルのスピリッツではナンバーワンの人気になった。

 日本企業の場合、日本式を現地にそのまま持っていく場合が多い。もちろんうまく行く場合も多いが、弾かれる場合も多いのだ。



 日本企業の国際化が進まない理由は、中途半端に国内市場が大きいせいであろう。

 日本企業の場合、「国内で成功したら海外進出する」と言うやり方が多い。

 企画段階から世界をターゲットとした商品企画は中々通りにくいのだ。
 そう言った意味で国内市場が「小粒」の、上記に列挙した国々の戦略が参考になる。

 ドイツは非常にいいバランスではないだろうか。

 国内市場も大きいし、外国人に開かれている。日本やアメリカが凋落して行ってもドイツは経済大国として繁栄する可能性が高い。

 明日は日本の国際化についてもう少し考察する。




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September 05, 2017

ショッキングな日本の未来予想図♪

 我々が習った歴史では、「日本人は優秀で勤勉な性格であり、アジアでいち早く西洋列国と肩を並べる先進国となり、戦後の焼け野原からでも世界第2の経済大国となった」みたいな感じである。

 しかし、歴史にも詳しい識者が見るとそうでもないらしい。

 日本は本来ちっぽけな二等、三等国家であり、ここ数十年の繁栄は誤差みたいなものに過ぎないようだ。

 日本人のプライドを粉々に打ち砕く論文が先月の『Newsweek』に掲載された。



 『Newsweek』8月15・22日合併号のカバー・ストリーは「日本の未来予想図/人口減少2050年の日本」と言うことで、巻頭論文「日本を待ち受ける2つの未来」の中で元CIA諜報員(^_^;)のグレン・カールが下記のように書いていると言う。

 中国(当時は清朝)がアヘン戦争に敗れた1842年以降の歳月は、中国が歴史上最も弱かった期間であり、日本が一貫して優位に立つ特異な状況が続いた。しかし今後は、大陸中国こそが超大国で、日本は周辺に位置する中等国という1,000年来の力学が復活するだろう。(途中省略)地理的制約からは逃れられない。中国は地理的大国で、この30年で人類史上最も目覚ましい発展を遂げ、日本を昔ながらの中規模島国に押し戻した。

 つまり、日本が先進国として栄えたのは長い歴史の中ではほんの一瞬の誤差みたいなもので、本来は、中等国、周辺国、中国の「朝貢(ちょうこう)国」(前近代の中国を中心とした貿易の形態。 中国の皇帝に対して周辺国の君主が貢物を捧げ、これに対して皇帝側が確かに君主であると認めて恩賜を与えるという形式を持って成立する)に過ぎないのだと言う。

 日本人のプライドを粉々にする意見ではないだろうか。



 日本衰退の主な原因は人口の減少だ。
 逆に言うと、戦後の日本の大復興を支えたのは人口の多さと言うことになる。

 例えば日本のGDPは英国の1.8倍であるが、人口は1.9倍なので人口が経済規模の差であると見ることができる。

 中国は人口が8億人もいるので、GDPが日本の2.3倍で急速に離されつつあるのも当たり前なのだ。

 2050年には日本の総人口は9,500万人になると言う。現在が13,000万人だから3割近く減ることになる。

 対する中国は2050から70年に10億人、インドも10億人、アメリカでも4億人になると言うから、ますます探します開いて行くことになる。

 『アベノミクス』より、少子化対策が重要であると言えよう。

 明日は人口問題以外の要因を見てみたいと思う。






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