せっかくなのでほっといた映画レビューのリハビリにチャレンジします。
で、リハビリ用に選んだのが最近やってるゲームのレビュー。

ティアリングサーガシリーズ ベルウィックサーガ(通常版)

発売:エンターブレイン
CERO:全年齢対象
ジャンル:シミュレーションRPG

神の時代に存在した神聖ラズベリア王国から派生したふたつの国、
ラーズ帝国とヴェリア王国は聖戦の名の下、500年に渡る戦争を続けていた。
先代ヴェリア王が戦死したのを境に、戦況はラーズの圧倒的有利に傾き
王都ヴェリアは陥落、王侯貴族は南方の同盟国ナルヴィアへ退却を余儀なくされる。
先代と似ても似つかぬ若き暗君ウォルケンスを筆頭に
腐敗した貴族達がが日々愚策で自らの首を絞めていく中、
ヴェリアの従属国シノンの公子リースが数百の手勢を率いてナルヴィアに到着した。
困難な戦況下で、シノン騎士団は民衆の心を掴みながら戦っていくが…。

オススメ度:★★
かなりシビア。演出の地味さもPS2とは思えない。
難しめの戦略ものが好きな人や、好みのキャラ養成に情熱を燃やせる人なら。
嫌いな人は受け付けないけど、ハマる人はすごくハマるはず。
プレイ時間が長くなりがちでリセット回数も多いので、時間的・精神的余裕のある人向け。

お気に入り度:★★★★
本格中世ファンタジーシミュレーションを硬派に貫いたシステムに脱帽。
馬が倒れ武器が壊れるシビアな戦闘、強いおっさん共と
一撃必殺の魔法、捕縛のスリル、育てれば伸びる若手のバランスが絶妙。
21世紀とは思えない恋愛模様のコテコテさには目をつぶることにします。

詳細なレビューは以下に続きます。長いです。

剣と魔法と騎士が入り乱れて戦う、正統派中世ファンタジー戦略もの。
任天堂「ファイアーエムブレム」スタッフの一部が制作してるだけあり、
キャラデザインなどは大幅に昔のエムブレムと酷似しています。
前作「ティアリングサーガ」などは実際に任天堂から訴えられています。
しかしこのゲームが旧作と異なるのは、戦略のハードルを大幅に上げたところ。

ティアサガ及びエムブレムでは「あと○○回使ったら壊れるな」というのが回数で表示される。
しかし本作では「耐久性」A〜Fまでのランクと、どれくらい使い込んだかが分かる程度。
「新品で壊れる心配はない」という表示以外ならいつでも壊れる危険があります。
「今にも壊れそう」ならまだしも、運が悪ければ「少し痛んでいる」程度で、使ったら破損。
伝説の名剣でも王家の盾でも、使いすぎれば容赦なくぶっ壊れます。
さらに騎兵の馬にもHPが設定されており、盾役として敵の攻撃を受け止め続けていると
悲痛な馬の悲鳴と「ドサッ…」という音を聞くハメに。

さらに旧作では、軽いダメージを喰らった後に反撃して敵をしとめる
「肉を切らせて骨を絶つ」戦法が有効でしたが
本作では1ダメージでも食らってしまうと痛みで反撃ができません。
身軽になってよけるか、重装歩兵の防具を充実させてノーダメージに抑えれば反撃可能。
しかし的になれば倒れる危険性も増す。
ガードナイトや鉄甲兵でも、数をくらって盾が壊れればただの遅い人。
反撃を当てないと再攻撃をくらう可能性もあります。
命中させないと盾の負担が増します。盾が壊れると出費が増します。

そう、この作品最大の強敵は「命中率」と「金欠」。
戦闘開始前に敵味方の攻撃命中率が表示されるのですが
味方:72% 敵:33%
こう表示されたら「7割がた当たる」と考えるのが普通です。
しかしこのゲームでは体感的に、
味方の攻撃は100%以外は−20%と考えた方がいいです
「味方96%、敵23%の攻撃で味方が外し敵が当てる」
こんな発生率0.04×0.77≒3.1%の事象が起こっても「またか」と思えるくらい。
周囲の味方の命中率を3%上げるキャラが貴重に思えるくらい。

序盤の自軍に、手数が多いのに命中率40%代のツワモノがいます。
この男、攻撃を外しても消耗する「弓矢」の使い手ときている。
矢はなくなるし、弓は傷む。
そのくせ手数だけはやたら多い。
40%×4連射して1発も当たらないこととか結構あるから困ります。
こういう奴に限って、惚れた女関連のイベントで
「闇夜の砦に潜む敵吟遊詩人のハープの弦を1本だけ狙って打ち抜く」
なんていうムチャな技を披露します。
これで全く使えないなら諦めもつきますが、育てれば相当強くなるんだからタチが悪い。

まあ使い込めば命中率・防御率が上昇するので
「剣」「大剣」「槍・ランス」「斧」「短剣」「弓」「石弓」「投石器」「盾」「大盾」などなど
兵士ごとに仕える武器が異なりますが、
耐えて使えばどんなしょぼい兵士でも結構使えるようになります。
武器経験値とレベルが上がれば騎士→上級騎士、盗賊→馬賊みたく
「クラスチェンジ」が発生して飛躍的に強くなります。
が、困ったことにたいていのキャラは複数武器を使い込まないとクラスチェンジできません。
中には「成長の極めて遅い武器を高レベルに上げる」ことが条件のキャラもいるので
当たらない→成長しない→当たらない→負のスパイラル
なんてこともありえます。

そして資金面。
ハードな戦いを楽にするためにもせめて良い武器防具が欲しいところですが、
このゲームの主人公は、田舎君主とあざけられる小国の公子。
仕える王国は、凡愚な王様と保身貴族が実権を握り滅亡直前。
彼率いる一騎士団が奮戦しても、他の戦線はシナリオが進むたびに瓦解していきます。
王様の命令もシナリオごとにどんどん難しくなっていきます。
さらにお金がありません。
壊れた武器防具や倒れた馬の補充、強い傭兵の雇用、
ちょっとでもいい武器を買って命中率と手数を上昇、
高級家具を買ってなぜか主人公の能力上昇、
街のおいしい料理屋でドーピン…士気向上、
部下との親睦(多くの傭兵は投資しまくると直属の部下になり出費不要になる)、
資金の使い道は無数にあるのにお金がありません。
収入源は市民の頼みごとや賞金首の逮捕、それでも足りないので義妹の仕送り
情けなや。

まあ難しい面ばかりを強調してしまいましたが、そのぶん戦略を考える楽しみがあります。
重装備の敵将を倒す場合、
貴重だけど威力の高い魔法でダメージを与えるか。
特殊な弓矢の防具破壊効果が出ることを期待するか。
防御力無視の短剣で削り、あわよくば負傷させて能力を低下させるか。
攻撃後スキだらけになるのを覚悟で、助走をつけた騎馬兵のランス突撃でひき倒すか。

さらに味方キャラ34人全員、個性のある能力を持つため様々な運用法があるし
使い込むと固有のイベントが発生するため
使えば使うほど愛着が出る仕組みになっています。
絵の描き分けができてないので若い男女が大抵同じ顔に見えますが、それは無視で。

あとこの会社のお約束として若い男女、特に女の子は大きく成長する仕組みになっていますが
5回攻撃できる女剣士とか魔法の才能を秘めた騎士見習とか)
その一方で、「エムブレム」では成長しないことから役立たずになりがちなオヤジキャラも強い。
どう見てもベルセルク酔いどれ聖騎士唯一水地形に入れる元海賊とか)
妻を亡くして酒びたりの傭兵聖騎士クリフォードなんか、
「父のような偉大な騎士になりたい」と言ってる娘の方が強くなりそうなもんなのに。

しかし最強になる素質を持つ唯一のキャラが
「いずれ兵士を辞めて木こりになろうと思ってる…」などとのたまう
こんな地味なおっさんだとは誰にも想像できないのではないでしょうか。

ちなみに当方のお気に入りはシェルパ、セネ、シルウィス、ファラミア、ルヴィ。
ファラミアの武器が剣と弓、というのの元ネタは間違いなく指輪物語ですね。