2019年05月11日
なでしこ W杯メンバー
2018年08月11日
日本のスポーツ界と観客の問題
この数年前から今年にかけて日本のスポーツ界では、様々な問題が湧出してきている。
今後もさらに様々な問題が出てくることは間違いないだろう。
理由は2つ。
一つ目。
いまでも、なお、滅私奉公、自己犠牲が蔓延していることだ。
問題が出るたびに、スポーツ界や評論家は批判する。しかし、彼ら、彼女らも、問題当事者と一つ穴のムジナであることがほとんど。
彼ら、彼女らもまた、チームのためにとか（個人競技でも然り）、一人ひとりの自覚が大切だとか、毎日言っている。そういうことが体に染みついているからだ。また、観客もそれが美しいことだと盲信している。
重要なのは、勝つための合理性の追求に尽きる。
今でも、日本は、「巨人の星」や「あしたのジョー」の世界にいる。
二つ目。
基本的にアスリートへの尊敬が全くない。少しでもミスをすれば、ボロクソである。欧米ではそのようなことはない。これまでの功績に対して厚い尊敬があるからだ。
勢い、日本のアスリートたちは、メンタル面のプレシャーが大きい。そこから問題が起きる。
閑話休題。
フィギュアスケートのネーサン・チェンがエール大学に進学だそうだ。東大よりも数倍大変な大学である。
日本では考えられない事。
何故、米国ではそれが可能か。そこに日本のスポーツ界の根源的な問題の所在がある。
2018年07月21日
土砂災害について
我が国の国土の約7割が山もしくは丘陵地帯、そして1年間の降水量が約1700ミリで世界平均の倍。
常に土砂災害の危険に覆われた国だということ。
危険な全国の地域について、31万か所が知事によって指定されている。
加えて川の氾濫。
これはほとんど防備しても、間に合わないことが極めて多い。
更に加えて、日本は地震多発国という事実。
更に更に加えて、科学の遅れ。
静的分析はできていても、動的分析はまったくだ。
地下は動いている。これは現代、術がない。
カジノだ、宇宙だ、米軍基地に、国会や税金を使っている暇はない。
オリンピックも速やかに返上すべきかもしれない。
個人の人命と財産を守る。それが国の基本の筈。
2018年07月17日
現代サッカーがなぜ面白いか
サッカーは、あらゆるスポーツの中で何故一番面白くて、世界に普及しているか。
奥行きが深く、常に進化しているスポーツであるからだ。ワールドカップは4年ごとだが、この4年の間に大きく変化する。このようなスポーツは他にない。
現代サッカーは実は複雑で奥が深いということ。
これをなんとか単純に分析していみよう。
サッカーで勝つために何が必要か。
次の3原則だと考える。
スターティングメンバーが固定していること。
スーパーサブが2−3人いること。
卓越したゴールキーパーがいること。
何故か。
チームとして絶対的に戦略戦術が優れていないと試合には勝てない。戦略戦術を確立するためにはこの3原則が必要不可欠。
個の力は確かに重要だ。デュエル・ポゼション・トラップの能力、走る・打つのスピード等。しかし、これらはあくまで「基本」。つまり最低限必要な不可欠な装備、つまりハードウェアといってよい。昔はこれで勝てた。
しかし、現代サッカーで勝つためにはその上に、ソフトウェア、つまり優れた戦略戦術が必要だ。
戦略、つまり、フォーメーション、トライアングル。
戦術、つまり、それらのベストの活用。
スペースが空いているとか、フリーになっているというのは相手のミスではなく、偶然でもない。なるべくしてなっているのだ。
メンバーが固定していないと、臨機応変のフォーメーションの活用ができない、同じくトライアングルの活用などができない。
たとえば、現代サッカーは局面によって、フォーワードが守りに向かう、デフエンスが攻撃に向かうというのが当たり前になっている。また、右のサイドアタッカーがゴールポストの左に向かうことが、よくある事。つまり、レフトとかライトとかが、そのままレフトライトに留まっていないということだ。トップのポストプレイの種類も多い。
よく、決定的なミスについて糾弾することを耳にする。間違いだ。ミスを誘発する優れた技術、つまり戦術が駆使されている事を看過してはならない。
スーパーサブは、戦略戦術活用の巧妙な変化のために必要。相手も馬鹿ではない、中途でプレイの変化が必要なのが現代サッカーだ。
ゴールキーパーは現代サッカーで最早、単なるゴールの守護神だけのミッションではない。相手の戦略戦術を読み、それを味方のオフェンス、デフェンスに対して指示する重要な役割だ。特に最近では攻撃面でロールが拡大してきたことが面白い。オーケストラのコンサートマスターに近いかもしれない。
これらのことから、チームとしての力は、国の代表よりもクラブチームの方が高いことは明らかだ。
今回のロシアでのワールドカップ、ドイツ、ブラジル、スペイン、ポルトガル、アルゼンチン等が、ベスト4、若しくはベスト8、若しくは決勝トーナナメントの残れなかったのは、
3原則を持ち合わせなかったからと断言できる。
つまり、それぞれのスーパースターが所属するクラブチーム全体の力には、とても及びつかなかったわけだ。
逆にベスト4に残った国は、あたかもクラブチームのごとく、3原則をもっていたといえる。
それにしてもサッカーは奥が深い。
PVで。「ニッポン！チャチャ！」ではサッカーの面白さはわからない。ゴールシーンだけをカットしてみても意味が無い。
2018年06月30日
ワールドカップ日本のパス回しは100%正しい
ワールドカップ1次リーグ最終戦、日本対ポーランドで、日本が最後に採ったパス回しによる1対0の「負け残り」戦略について、国内外とも賛否両論。どちらかというと批判が多く、監督自身も「本意ではなかった」との発言。
実際は、本意だろう。批判は全く当たらない。100%正しい。
状況をみてみよう。
決勝トーナメントを考えて、1軍（今回、はっきり1軍メンバーが定まったことがグレート）ではなく、2軍主体で臨む必要があった。地力に勝るポーランドから最後に得点する確率は20-30%であった。
最後、セネガルが地力で勝るコロンビアから得点する確率は20-30％程度であった。
この二つに加え、イエローカード躱避を目的としてパス回しは当然すぎるほど当然の仕儀といえる。ばくちでもなんでもなかったのである。
監督も選手も、堂々と何が悪いという態度でいいのが本来だ。
さて、このゲーム、国内外のメディアは何故か全然触れていないが、実はコロンビア対セネガルもパス回しの可能性があったということだ。
もしも日本が破れ、コロンビア対セネガルがドローなら、日本は敗退であった。
日本が得点され0対1となったのが、後半14分であり、この時コロンビア対セネガルはスコアレスであった。しかし、残り30分間も、さすがにパス回しするわけにはいかない。これが日本には幸いした。もしも日本が得点されたのが、もっとずっとあとの時刻であったら、コロンビアが後半29分に得点できなかったら、間違いなく、残り10分程度から、コロンビアとセネガル、パス回しで一致しただろう。
パス回しは、実は今年の4月女子サッカーのAFCカップで、優勝したなでしこジャパンが1次リーグ最終戦で採用している。今回、メディアはこのことを一切触れていない。悲しい事だ。日本の女子サッカーの低迷を表している。がんばれなでしこジャパン！
2018年06月11日
絶妙手
将棋の話です。
藤井七段のこの度の歴史に残る「７七飛車成」のただ捨てす。
ただ捨てのことを、最近では、「大岡越前」というそうです。
それはどうでもよく、
「７七飛車成」の後、藤井七段、駒を捨まくり、詰ませました。そのプロセスを俄かにプロがわかりませんでした。
しかし、詰みました。
世の中、常識ではない世界が席巻していくのでしょうか。
2018年06月04日
「ダンウトンアビー」の名科白
昨年、完結した英国のテレビドラマ「ダウントンアビー」は非常に面白いドラマでした。
20世紀初頭、変化を余儀なくされていった英国の貴族一家およびその使用人を描いたドラマでしたが、特筆すべきエンターテイメント性とともに、学ぶことが多くありました。
特に教えられたこと、言うべきことを言うこと、言うべきことではないことを言わないこと、でした。
つまり、科白に、いいものが沢山あったということです。
一部を紹介します。
「嫌いな人を避けることは簡単なこと、難しいのは親しい友人（異性）を避けるること。」
「無礼者に無礼で応えても意味がないでしょう。」
「物事は悪くなって良くなるものよ。」
「（恋人にうちに帰ると挨拶）寂しくなる？」
「姿が見えなくなったその瞬間にね。」
「私はいつも誰に対しても友好的ですわ。」
「そんな人は世の中にいないわ。」
「改革好きな貴族なんて、クリスマス好きの七面鳥みたいのようなもの。」
（日本の政治家でもやたらと、改革改革と連呼だけするひとが多いですね）。
「悪が栄えるのは善が何もしないから。」
「私だって秘密を守るもの。」
「かもな。問題は守る意志があるかどうかだ。」
2018年05月27日
UEFAチャンピオンズリーグのカリウス
サッカーです。
イニエスタがJ1神戸に加入だそうです。サプライズもいいところです。
日本の反響は、二つです。大大大歓迎、もう一つは歓迎ながらもバルセロナ、もしくはヨーロッパの一流チームの中での彼のプレイを見続けたい。私もどちらかといえば、後者ですが、
今後、イニエスタが日本でプレイし、何が今までのJ1のチームとして違うのが判ることに興味があります。
それから、もしかして現在、小学生や中学生のサッカープレーヤー、君たちは非常にラッキーかもしれない。十年後以降、スーパープレーヤーでありながら統率力があり性格がいいイニエスタが代表日本の監督になっているかもしれませんから。
さて、今年のUEFAチャンピオンズリーグ、リバプールのGKのカリウスの世紀の凡ミス2発が話題になっています。日本の中学生でもやらないミスだとかなんとか。
そうです。日本の中学生はあのようなミスは行いません。「できません」が正解です。あのミスは、一流の証なのですよ。
一発目、味方へのスローをレアルのベンゼスにカットされゴールされました。あれって二流のGKはボールを自分で溜めます。相手が去った後にスローします。スローした後、相手は完全に戻っています。そうです。カリウスのプレイはクィックカウンターの起点を狙ったものです。
レアルが相手だからのプレイだったのです。相手の脚に当たったのは、極めて低い確率です。
不運そのものでした。
次のミスといわれるものが、ベイルの長いシュートを弾いていしまったもので、それがゴールになった事です。
あのプレイは無回転がゆえ、キャッチは元々難しいもの。それはカリウスを果敢にキヤッチしようとしました。なぜ、パンチングしなかったか。
パンチングした場合、ミドルシュートが故に、雲霞のごとく押し寄せる相手に捉えられ、決められる可能性は相当高かったのは火を見るより明らかだったのです。
GKカリウスのプレイは確かに二つ失敗しました。しかし、成功していれば、実は超ファインプレイでした。
そこにサッカーGkの宿命があるのです。二つともセーブして成功していても、誰も何とも思わないでしょう。当たり前のプレイとみなすでしょう。
カリウスのトライが実際は非常に難しいプレイだったのにかかわらずです。
GKは、一般にPKを止めたり、1対1を阻止したりすれば、褒めそやされます。しかし、超スピードで前に出たり、キャッチ後のプレイは目立ちません。
これではいけないと思うのです。
今年のUEFAチャンピオンズリーグは勉強になりました。
閑話休題。
女子サッカーファンとしては、イニエスタが日本に来る、それならば、アレックスやホープも日本でプレイしてほしいと思う今日この頃であります。
2018年04月28日
現在の金融商品の核心
今、金融商品は仮想通貨を出すまでもなく、ほとんどが実体経済からかけ離れてています。なぜこれが可能になったのか。そこに現代の金融、いや経済全体の問題の核心があります。ドルの金交換停止がベースにあるのははっきりしています。価値とは何か、マルクスは、金の総和だと主張しましたが、これを超える学説が今日まで生まれてていませんね。だからこそ、ドルの金交換停止以降、長期にわたって経済学は事態を説明することができずに停滞していると考えます。
価値のベースがなくなると、どうなるか、世界が関心とすることは、変化率となります。証券化商品、デリバティブ、オプション、プライベートエクイティ、プリンシパルインベストメント、デイストレスト・ファンド、スプレッドトレード、ペアトレード、アービトラージなどなど、すべてその本質は変化率のみに焦点を当てたものです。さて、このことが、どうして問題なのでしょうか。実体価値とかけ離れるという意味がここにあるのです。
現代の金融商品の問題は、変化率が想定を超えた時に、すべてが無になるという事です。元本を失うばかりか、追加のコストが必要のものもあります。要するに、完全破綻です。この世の終わりです。変化率という「奇形児」が「母体」を食いつぶすのです。（例示が適当でないことをお詫びします）。ロングタームファンドやリーマン・ブラザースの問題もここにあったわけです。
同様の問題点は、現在のマイナス金利の仕組みにもあります。マイナス金利に投資する投資家の目的は、いうまでもなく、変化率のみです。
今、われわれは実は人間の営み、つまり経済のフレームワークを失っていると極言できるかと思います。これに気付き、立ち向かうことが重要です。
2018年04月26日
「ものづくり」の虚妄
そもそも「ものづくり」とは何かですが、一般的には、「日本の伝統や慣習を生かした世界に誇る精密な技術開発」でしょうか。やや安っぽいナショナリズムのニュアンスを感じます。というのも、そもそもこの言葉は、国が古い大和言葉をさりげなく復活させ、法案（「ものづくり基礎技術振興基本法」）の名前に取り入れたり、大臣の国会答弁の原稿に盛り込むなどして、マスコミを通じて、広めたものです。そこには意図があります。一言で言えば、国民の関心を、技術革新と生産の効率化に向けさせることです。
「ものづくり」は、リースマンが、「孤独なる群衆」で言っていることと非常に近いので驚きです。この著作は有名なので、ご存じの方も多いかと思います。リースマンはこう展開しました。
現代の人間は、他人志向型の人間だ。これは近代人の理想と正反対。近代人の理想とは、人間は理性をもっていてそれにより自己を律する、自元的人間である。しかるに、他人志向型の人間とは、自分の行動を決めるのに、他人の行動をみて、それに従う。理性も何も無い。これは、企業が世を支配するようになってきているからだ。企業は、上役、同僚、下役に対して適応することを要求しているのだ。そうしたことが、社会に、教育のマスプロ化とマスコミの跋扈をもたらした。教育は本来、産業社会から独立だったものが、ほぼ完全に産業社会の中に組み込まれた。企業がホワイトカラーを必要とし、大学卒業が有利ということが、その背景だ。マスコミとは何か。その文化内容は、企画化された消費社会文化だ。人間がマスコミを必要としたのは、職場における理不尽な疎外の代償としたからだ。教育のマスプロ化とマスコミの跋扈は、人間が自分で、ものを考える意志を失ったからで、結果、人間は、大衆となり、平均化していった。このように人間は、大衆として、自分は何を根拠にして生きているかを考えなくなる。ただ、現状を前提として、技術革新および生産の能率向上のみを追求していく、いわゆる技術主義であり、現代とは、技術主義が支配している世界だ。
「ものづくり」は虚妄です。
2018年04月22日
なでしこジャパン AFC女子カップ2018優勝
なでしこジャパンがAFC女子カップ2018で、見事優勝した。勝因は今回の選手招集が選手間で納得のいくものであり、それがなでしこジャパンとしてのプライドをもたらしたことが大きかった。高倉監督になってから初めての事である。
ゲームの内容はまだまだであった。マチルダス（豪州代表）と韓国に対してはチーム力が劣っていた。マチルダスが死海などへリフレッシュに行かず、完全休養していれば、カーが、他選手とのコミュニケーションをうまく取れていれば、チソヨンの調子が普通であれば、なでしこジャパンは負けていただろう。センターライン付近で止まってパスを受けようとする姿勢やベテランを含みミスが目立った。基本的なプレイから見直す必要が感じられた。
しかし、優勝は優勝で、これは直接間接に意義が大きい。チームプレイで最も必要な自信ができたのは間違いないであろう。ワールドカップまであと14か月、大切なFIFAランキング上位の国との練習試合にも相手が応じてくれるかもしれない。長谷川、山下、清水がベレーザとしてではなく、なでしこジャパンの一員である自覚が見えた。市瀬がレギュラーの地位を獲得した。川澄、宇津木、ベテランの存在の有形無形の重要性もよく分かった筈である。
なでしこジャパンは復活したではなく、復活の兆しが漸くみえたにすぎない。今後、一層二層三層の成長が必要だ。少なくとも今回得た意義を無駄にしてはいけない。
2018年04月14日
なでしこ、ワールドカップ・フランスに向けて
なでしこジャパンがAFCカップ2018でベスト4を決め、ワールドカップフランスのチケットを手に入れた。祝着。もっともチケットは5枚あったので、それほど喜ぶことではない。まさか、5位決定戦でフィリピンに敗れる事は無いだろうから。ただ、優勝、準優勝でないと次のAFCカップで予選免除とならないので、その芽が摘まれることはできたことはまずまずだ。次の準決勝で中国に勝たなければならない。
4月10日の韓国戦、韓国のチソヨンの不調に助けられれ、なんとかスコアレスドローに持ち込んだなでしこは、13日、マチルダズ（豪州代表）にのぞみ、1対1のドローに持ち込めた。マチルダズの1点は明らかにキーパーへの妨害接触があり、無効で北朝鮮の主審の誤審。
このゲーム、マチルダズはスケロンドナイトがなぜか欠場し、なでしこは助かった側面があったが、主力カーのアメリカでの同僚の永里や、豪州で活躍している近賀のサポートもあったのか、情報をしっかり把握しており、きちんとラインコントロールができた。勝因は、熊谷、宇津木、岩渕の海外でもまれたパワープレイの対応力が第一だが、重要なゲームで欠かせないキーパーのスーパープレイとシンデレラガールの出現が確かにあった。
キーパーの山下は、このところ、不調極まりなかった。直前の国内リーグ戦でも、信じられないミスを犯しており、なでしこでも1番を大きな実績があるとは思えない池田に奪われている。ところが、このゲームでは見違えた。大きな特色であるスピードを100％活かすことができた。今後はもう迷うことなく自信をもってのぞんでほしい。君が1番だ。ボールをきちんとつかむことに今後集中してもらいたい。
シンデレラガールは長谷川だ。2011年の川澄を彷彿させた。スピード、ポジションリング、テクニックは、ともに見事だ。
さらにこのゲームの裏側には、高倉監督のこれまでの編成の失敗の見直しがあったといえよう。編成の失敗は複層。具体的に第一はベレーザの選手の偏りがあった。ベレーザは確かになでしこリーグで圧倒的であった。しかし、これは岩清水、阪口が見事に若手をコントロールできたことがすべてであり、この二人のどちらを欠けてはならなかった。今のなでしこジャパンには岩清水がいない。ベレーザの若手では長谷川を除き、海外に太刀打ちできない。ベレーザのリーグ4連覇は、単にライバルの神戸と浦和のチーム作り失敗の裏返しであった。神戸では川澄、浦和では後藤の「追放」の愚挙は悲惨であった。
第二に、頑なに30歳以上排除の年齢制限を強いた事。ゲームは実際のピッチに立つ選手だけが重要ではない。20数名の選手の中に、数名のベテランが必要であり、それらのチーム作りの戦力は不可欠の筈だ。しかし、高倉監督は30歳以上のベテランを頑なに排除した。
それが間違いであった事は、今回の川澄の代表復帰で見事に証明された。
第三に、その一方で、代表招集候補のユニバースは広く求めすぎた、二部やチャレンジリーグまで広げすぎた。監督は実際にこれらの選手をみることはできないであろう。しかもそれらに属している選手はなでしこ一部のチームで活躍できないからそれらにいる。それなのになぜ招集したか。おそらく、それらのチームの関係者の強い推薦があったものであろう。今回、一部下部チームを含めて、それらのチームの選手は一人も招集されていない。全く無駄な3年であった。
第四は、アンダーでの実績を必要以上に重視しすぎた、アンダーの選手が今でも通用しているとの幻想が強すぎた。一時のなでしジャパンはアンダーの選手がそのまま持ち上がりの様相であった。アンダーかたの持ち上がりの選手がそのまま海外の強敵と戦えるほど、年齢不問の世界は甘くはない。
来年のワールドカップではもはやチーム編成を固めなければならない。スターティングメンバーとサブの峻別も重要だ。
ベストは、岩渕、永里、川澄、増矢、長谷川、阪口、宇津木、熊谷、市瀬、、高瀬（DF）、山下で固め、サブで、横山、中島、楢本、福元まで決め、さらに鮫島、菅澤、籾木、杉田阪口(萌)他を候補としておくのが賢明だ。デフェンスでもスピードのない選手、止まって受ける選手は要らない。
2018年04月11日
AFCカップ 韓国戦
今日の韓国戦、なぜ、ベレーザ中心でいったのか？なぜ調子のよい楢本、増矢でなかったのか？
ドローなら次の強敵豪州戦、敗戦で準決勝進出が絶たれること（次のAFCカップ予選免除NG）をわかっていたのか?
なぜ、最後の横山の交代の相手が川澄だったのか？
チョ・ソヒョンとチャン・スルギのマークがあまかったのは何故か？
韓国相手になぜ、ガーナ、ベトナムと同じデフェンスラインを敷いたのか？
どのような攻撃のフォーメションのバリエーションをやろうとしたのか？
以上、全くわかりません。
男子の代表監督の交代は遅すぎました。
女子もそうならないように祈るばかりです。
2017年06月27日
藤井四段の連勝について3題、そしてこれからの将棋界
�� 藤井聡太四段が29連勝を飾った。
内容がすごかった。手将棋の批判もあるかもしれないが、見たことがない対局で、非常に面白いものだった。
2枚の角と桂馬の攻めの形は美しいとさえいえた。
本日の棋譜を見て、前から思っていたことが核心と変わった。
羽生三冠の将棋は、指し手の意味がすぐにはわからない、20手先になって、成程である。
藤井四段の将棋は、同じように予想できない手を指す。しかし、その意味はすぐにわかる。すぐに成程である。
さて、28連勝の相手澤田六段、本日の増田四段、次局の佐々木（勇）五段は近い将来のタイトル有力者である。
これまで、このような有望若手は、先輩の棋士の大きな壁に当たり、これに屈しなかった棋士のみが一握りの一流となってきた。
もしも次の佐々木（勇）五段が破れると（藤井勝ちの可能性は50％ないと思う）、現在の若手有望棋士は先輩ではなく、後輩に潰されるという前代未聞のこととなる。
こうなると、藤井四段にポナンザとの対戦をという声が多く出てくると思う。
将棋連盟は認めないであろう。人間同士の将棋とコンピューター将棋は全く異なるゲームであることにようやく気がついたようであるから。
しかし、もしも声が大きくなると、相当苦慮するであろう。連盟は間違っても、対局ゴーという悪手を指してはいけない。折角の将棋ブームが、一瞬で泡沫となってしまう。
�� プロによる対局の解説で、嫌な思いにかられるのは、「これはプロならではの手」とか「手筋」という言葉で解説を済ますことである。
見ている者が知りたいのは指し手の真の意味である。
解説でこれらの言葉を連発する棋士が少なからずいるが、共通して解説が下手である。
また、プロの対局で嫌なのは、手待ちである。何の意味も無い指し手である。
棋譜は後に残る芸術品といわれるが、手待ちは、棋譜を汚すことに他ならない。
藤井四段の対局には、「プロならではの手」とか「手筋」とか解説を挟む余地がない。ズバリズバリである。
また、手待ちなどという姑息なことをしない。だから、アマチュアは言うに及ばず、皮肉なことにプロさえも、その指し手に拍手を送っている。
藤井四段がさらなる活躍を行えばプロ棋士の自覚が変わるかもしれない。
�� どんなゲームでも、スポーツでも、それ自体に欠陥がある。
マージャンや花札は賭けなければつまらない。
サッカーのオフサイド、ラグビーの様々なオブストラクションはゲームを中断させる。
将棋の場合は、千日手と持将棋だ。いうまでもなく、これらは面白くもなんともなく、観戦者には退屈極まりない。
今のプロ棋士は、堂々とこれらを行い、中には得意としている者もいる。
藤井四段の将棋には、これらを死滅させる可能性がある。
千日手と時将棋を行うことは恥ずかしいと考える時代がくるかもしれない。
これは将棋自体の進歩だ。
最後に
古くは女流棋士独立騒動、この数年の対コンピューター戦、昨年の竜王戦カンニング疑惑事件で将棋界は多くのファンを失ったといえよう。
それらの問題の本質は連盟の対応にあったといえよう。
今回のまさに将棋界の「僥倖」を連盟は無駄にしてはいけない。
藤井ブームに加え、早ければ今年にも、初めての女性のプロ棋士の誕生もあるかもしれない。
連盟は悪手どころか、緩手も指してはいけない。
タイトル戦ならいざしらず、将棋会館の神聖な対局室に100人に及ぶメディアを入れ、敗戦者をさらし者にしたり、14歳の少年が揮毫した扇子を特別販売したり、早くも悪手、緩手の匂いが漂う。
きちんとしたパブリシティのプロのサポートを仰ぐことが重要。
2017年06月21日
有終の美
投了の後、多くの報道陣を振り切って、去っていきました。
敗戦に悔しい思いだったと思います。
悔しい気持ちが素晴らしい。得意戦法を23歳の棋士に挑まれ負けたのだからと思います。
下手に悟りすまさない姿勢だとさらに思います。
23歳の高野４段、加藤先生に相矢倉を教えていただこうとしたのでしょう。
加藤先生の最期だから、サービスでの相矢倉ではありませんでした！（断言）
ツイッターでのひふみんの「幸せな将棋人生だった」という言葉、
拍手、拍手、拍手！
米長永世棋聖が健在であれば、何と声を掛けたでしょう。
「ごうくろさま」ではない。
「はははは」ではない。
たぶん「今晩、猫の餌やり、大丈夫？」ではないでしょうか？？？？？
2014年09月24日
「やめるということ」下
「やめる」ということで、シビアに連想するのはやはり「会社をやめる」でしょう。「会社をやめる」ことは、かつてはネガティブなニュアンスでした。昔、小指を立てて「私はこれで会社をやめました。」というテレビCMが大ヒットしたことがありましたね。現実に終身雇用の時代、会社をやめるとは何か大きなミスがあったと疑われたわけですが、さすがに現在では、この風潮が弱まりました。背景は勝ち組負け組が峻別される傾向にあり、負け組からの人材流出があり、規制緩和などから参入による新興（エーマジング）勢力の台頭も大きいです。
しかし、日本は、欧米、香港、シンガポールに比べて自由な人材流動時代にはまだまだ本格的ではありません。
自由な人材流動とは何でしょうか。
第一に、負け組からの人材流出や新興勢力の人材集めが主流ではなく、勝ち組負け組、新旧の区別なくダイナミックに人材が流動化することです。
第二に、男女の差が全くなく、ポジションを競って奪い合うことです。
第三は、あらゆるステータス（地位）が流動することです。したがって、流動化する年齢は関係ありません。
日本はどうでしょうか。どうみてもこれら３点について遅れているでしょう。
その何よりの証拠に、多くの会社が、採用の条件に転職回数が少ないことを重視していることがあります。欧米、香港、シンガポールでは、例えば、40歳ぐらいになって、経験者数が1-２社であると、「この人は能力のあるのだろうかと疑問視されます。４-５社を経験することがキャリアップの証左ということです。
日本では、転職回数が多いと、落ちつきのない移り気の人とみなされ、うちにきてもすぐにやめるのではないかという芳しくない評価を受けがちです。悲しいことですが、これが現実です。だから、日本経済はどんどん欧米、香港、シンガポールに追い越されているのです。
なんだかんだいいつつ、日本ではまだまだ「ゼネラリスト神話」が根強いのです。一生かけて一つの会社のあらゆるポジションを経験し、その中からマネジメント(役員・幹部)就任を志向することが重要だという考えです。これは完全に時代錯誤甚だしきです。プロとプロがそれぞれエキスパーティーズ（専門性）を駆使して戦うグローバルなビジネス社会で勝つことはできません。
もはや会社全体がプロ集団であること、また常にプロ集団であることの備えをおこなっておかなければならない、それが現代です。
プロおよびプロ予備軍が実力をもって「フリーエージェントを行使して」、自分を必要としているところへ動いていく、「会社をやめる」ということはもはやそういうことであり、それこそが、キャリアアップ唯一の道であり、転職の真髄です。
2014年08月23日
「やめるということ」 中
物事を始めることは、すべて、思い付きが発端です。思い付きは悪いことではありません。
絶対にやってはいけないことは、思い付きだけで行動することです。思い込みも同様です。こんなことは、一見当たり前、しかし、世の中、これがあまりにも多く散乱しています。
思い付いたら、それが成立するのか、有効なのか、効果、影響などを複数の視点から検討することこそ重要です。そして結論を出すことです。イエスかノー以外はありません。
イエスなら実行、ノーならやめるのです。これも当たり前ですが、実際は思わしい検討結果が出ていないのに、実行することがあまりにも多すぎます。
学問研究や企業の行動についても、まったく同様です。仮説を出し、それについて論証、検証し、仮説が正しいか、誤りかを判断するという過程は絶対必須なのです。
この論証、検討は段階を作り、一つ一つの段階の中で、テストやフィジビリティスタディを行い、正しさが証明されたら次の段階に進むという手順をとらなければなりません。
このプロセスの中で、少しでも間違いが発見されれば、即すべてをやめなければなりません。
現実にはこの当然のことを行わない、つまり、やめることを疎かにした結果、後でとりかえしのつかない事態を招いてしまった事例がなんと多いことか。
ステップをきちんと踏まない金融機関のシステム開発、外資の単純な日本市場進出、屋上屋を重ねた日本の社会保障制度、論証をコピペした「STAP細胞」事件等々枚挙にいとまはありません。
背景は、過去のしがらみ、様々な掣肘や容喙（口出し、お節介）、意味のない功名心など様々ですが、どれもくだらぬことです。
やめることは、やることよりも重要です。しかも、その後の好転の確率は比較にならないほど高いものです。やめることは勇気が必要ですが、やることよりも簡単です。
2014年08月15日
「やめるということ」 上
2014年02月14日
「…感」
最近、テレビや巷で、やたらと単語の後に「感」をつけているのが耳障りで仕方がありません。テレビでは若手とか芸人だけではなく、アナウンサーやコメンターなども本当によく使います。「ものたりなさ感が残ります。」「当たり前感がたただよっています。」著名なパテシェなどは、「口の中でマロン感が広がります。」などと、のたわいます。
今、開催のソチ五輪で、実況「このはりつめた空気感は…」。わざわざ「感」をつける必要があるのでしょうか。
この「…感」とともに「…系」も多発されています。また、単語の語尾を上げる言い方なども気になります。これらの背景は、断定せずに曖昧な要素の表現が無難だという風潮だと思います。自信のなさの裏返しでしょう。
しかし、五輪出場のアスリートたちの受け答えは違います。結果が出ても出なく出なくとも、「…感」や語尾を上げる発音はしません。見事だと思います。
写真は熱海糸川の早桜、満開なのに蕾も多くあります。ゆえに開花は1ヶ月続きます。
2014年01月14日
2014年
元日桜
2013年、日本はまあいい年だったでした。ほぼ雁行的な経済回復だったといえるでしょう。
基盤は、米国の大規模な金融の量的緩和（QE）にありました。通貨の継続的な膨張です。
本来、通貨の膨張は国内の設備投資に向かいますが、それぞれの潜在成長率は低いのに係らず、長期的な技術革新の低迷期であるがゆえに、国内の設備投資は合理化目的に終始しています。
いきおい、ターゲットは、新興国への資本輸出になります。
しかし、その新興国は景気後退から需要がなく、
グローバルマネーは必然的に、米国と日本の資本市場と不動産市場に集中するにいたったと考えます。
2014年はどうなるでしょう。
恐らく量的緩和は徐々に縮小していきます。
その過程の理想は、安定経済成長の道と新興国の景気回復です。
しかし、前者については、国内のパイが限られているため、
これまでの通貨の膨張は、多くの分野での格差拡大に収束していきます。
良いところは、更に良くなり、悪いところは更に悪くなるでしょう。
業種間しかり、業種内企業間しかり、所得層間しかり、地域差しかり。
良いところは、合理化投資を推進することができ、悪いところはそれが不可能のため、格差が広がるのです。
後者については、なんといっても、中国の動向です。今の中国は大幅な債務の処理がキーです。ということは、もはやフロンティアではなく、爆弾になっているように見えます。中国の爆走は米国の脅威です。
畢竟、2014年は、「格差」と「中国」と考えたお正月でありました。
2013年12月09日
緊急ジョーク
関係者によると、みんなの党が名前を変える模様です。
俺の党。
嘘です。
名誉毀損や秘密漏洩が過剰に厳しい時代となりました。
2013年11月18日
プロ野球雑考
人形町 松島神社
先般、川上哲治が亡くなりました。疑いもなく名監督。他の名監督とは、上田、広岡、森、古葉、落合だと思います。これらの方は何か共通していると思いませんか。そうです。あまり酒席等で同席したくはないイメージですね。
野村はほぼ名監督だと思いますが、酒席で同席してもなにか楽しいと思わせます。また、どこかにのどかさを感じますので、前述の人たちとは一線を画します。ただ野村の書いた本が大好きで、いくつか読んでいます。普通、文筆を業としていない人の本は、アイドル本と変わりないと思うので、あまり興味がわきませんが、野村と将棋の米長の書いた本は別格です。日経の「私の履歴書」は過去、野村のものが秀逸だと思っています。米長は書く前に惜しくも亡くなりました。
今年の日本シリーズですが、どれも凡戦でした。楽天はエースの心意気を感じて、胴上げ投手に指名しました。愚挙ですね。前述のような名監督なら絶対にしません。プロスポーツは受けをねらった演芸ではありません。その最高のプレイをみせるパフォーマンスです。
シリース全般について、どれも貧打線であったにもかかわらず、試合時間がただ徒らに長かった。9回で4時間を越えたものもありました。
思い出すのは昔、上原が投げた試合、彼は先発完投で2時間あまりでぽんぽんと投げました。くだらないタイミングや駆け引きをつかわずに、常にベストもしくはセコンドベストを考えての投球でした。最近、こういう投手が日本では少なくなりました。だから日本のプロ野球は面白くなくなったのかも知れません。
余計なことを考えずに、自分の良かれと思ったように、自分の「理論」をベースにどんどんプレイする姿勢があるからこそ、野茂、イチローとともに上原は大リーグの成功者になったのかもしれません。その意味で、もしかして田中は大リーグで、成功するかもしれません。何年か前、野村が監督を辞任した後、田中へのインタビュー。「野村監督から何を学びましたか？」「何も監督から教わったことはありません。」と堂々と臆面もなく答えていましたから。ただ、ヤンキーズには行かない方がいいと思います。思い出すのは伊良部。本人の強い希望で、ヤンキーズでしたが、もしも自由な球団ならもっともっと活躍したかもしれません。
伊良部といえば、昔、ロッテ伊良部と日ハム西崎の投げ合った試合が、球場で見たプロ野球のベストです。投手戦は非常に面白いのです。他には、巨人槇原と広島大野の投手戦もすさまじいものがありました。最近にはあまりこうした投手戦がありません。だからプロ野球がつまらなくなったのかもしれません。
そうこうするうちに、サムライジャパンがまた登場して台湾との強化試合がありました。テレビ放送していましたが、途中放送終了のおそまつでした。そもそもサムライジャパンの存在そのものが茶番でないでしょうか。真の野球ファンはWBCなどなんの興味もないでしょう。
日本のプロ野球がどんどんつまらなくなっています。交流試合を拡大すること、オールスターは一戦だけにすること、クライマックスシリーズはやめること、テレビ中継するなら最後までやること、やたらと試合を長引かせる投手にはペナルティを課すこと、こんなことは真のファンがあたりまえに思っていることでしょう。それでもそれらをやらないので、プロ野球がどんどん衰退していっているのでしょう。
2013年11月10日
大前提とマニュアル
大前提とは、根本の条件です。物事を考えるときに基本としておくことであり、もっとも大切な言葉です。ただ、一般には存在が非常に曖昧模糊としています。
たとえば、様々な国際紛争の解決。この大前提は、戦争が起きないこと、あるいは起こさないことです。しかし、現実は違います。様々な詭弁が飛び交い、世界中に戦争が起きています。大前提が無視されているわけです。
さて、最近の曽野綾子氏の主張に批判が飛び交っています。小学校の担任先生のミスで、アレルギーの児童に誤った給食を与え、児童が亡くなった事件。世間が学校の非を声高らかに唱えましたが、これに対し、氏は、そもそもアレルギー障害のある子供に対しては、毎日、弁当をもたすべきだったと主張しました。それに対して、多くが反対意見を述べました。
さらに、氏は、育児休暇に対して、反対を主張しました。長期に会社を休むのはみんなが迷惑する。子供ができたら、さっさと会社をやめて、出産育児に専念すべき。これに対しても多くの批判が出ました。
どちらも言い分があると思います。しかし、反対意見や批判の中に大前提をおろそかにしている態度が見受けられましたことは事実でしょう。
この場合の、わが子を育てる大前提とは、責任をもって大切に安全に育てるということです。確かに氏の主張は、やや極端で現実性に欠ける部分があると思います。しかし、大前提は確り押さえていると考えます。大前提を押さえている意見と押さえていない意見では、議論はかみあいません。
また、先月のストーカー殺人事件について、警察への批判が起こりました。警察の対応については、確かにまずい点があったかもしれません。しかし、警察において対応の大前提は、マニュアルを守ることです。今回の被害者側の訴えを受けての対応については、問題がなかったとみえました。よく、映画やドラマで刑事で主人公がマニュアルを外し、自分の判断で行動し、事件を見事に解決するストーリーがあります。これはあくまでフィクションです。警察が現場でマニュアルを外した行動をとることは、非常に危険なことです。たとえば、拳銃の使用です。
しかし、現実には実際に殺人事件が起こったわけですから、問題はマニュアルの内容になります。具体的には、被害者の相談についての質問内容になるかと考えます。問題にすべきは、警察の対応ではなく、マニュアルが正しいかどうかです。これの検証、すなわちマニュアルという大前提の議論がない限り、同じような不幸な事件はまた起きる確率が高いといえましょう。
先の「給食アレルギー」事件ですが、お代わりを与えた教師は確かに大きなミスを犯し、調査の結果、処分されました。その調査とは当然、教師がマニュアルと違う対応を行ったという結果だったのでしょう。
よく住民が環境問題の訴えを行いますが、多くの場合、役所は開発業者への許認可を行います。これはマニュアル通りの対応なのです。それをいかに環境が大きな影響を受けると訴求してもだめなのです。役所の大前提がマニュアルを守るということにあるからです。議論がかみあいません。
そこで、重要なことは、役所であれ、警察であれ、学校であれ、そこのマニュアルをよく調べ、熟知して、訴えるとかお願いするということに尽きるのです。これが、市民の行動の大前提なのであり役所、警察、学校は、その知識習得に強力すべきと考えます。
公的機関にすべてを任せるということは、曽野綾子氏がいう「甘えにすぎない」とはあながち極論ではないのではないでしょうか。
2013年09月26日
再びの福田美蘭展
東京都美術館の福田美蘭展に再度、行きました。1回目はどきどきわくわくで、全体を把握するもの。今度は何点かフォーカスし、じっくりじっくりというスタンス。で、どうだったかと申しますと、あらたな発見や解釈という大きな収穫。良い展覧会とは２回はいくべきと確信した次第です。
ここで紹介するのは、ブログ用にどうぞと、撮影が許された「ギャラリーＡ」で展示された作品。
夏―震災後のアサリ（部分）
このアサリは重量感を感じます。震災により、模様が替わり、溝ができています。アサリは何も喋りません。しかし、生き残り、大きなストレスを抱えています。重い作品です。
秋―悲母観音（部分）
狩野芳崖の「悲母観音」に取材しています。赤子を抱き上げた観音様は、原作の慈愛を一層フォーカスしています。地上に広がる震災の悲惨な状況です。観音様との際立った対比です。観音様の視点はあくまで赤子にあります。
眠れる森の美女―オーロラ姫（部分）
ディズニーからの取材です。夥しく巷に氾濫するチープなキャラクターグッズへの皮肉が見とられます。このようにすれば、キャラクターは昇華するのだと。しかし、全体はとてもとても。アラベスクの下から見え隠れするぐらいがぜいぜい。
涅槃図（部分）
楽しい童話の世界です。美蘭さんは、ディズニーに対して、その商業主義や人工的なものを、批判した作品をいくつか出展していますが、ここでは、日本の童話の世界を見事に展開しています。日本の童話には深い意味があります。たとえば、「悪」が出てきますが、最後に救済されます。ひたすら勧善懲悪の西洋とは隔絶してます。善も悪も、涅槃に集っています。
風神雷神図（部分）
今回で、もっとも興味深い作品です。有名な宗達の風神雷神図に取材しています。この作品に感じられるのは、動きです。すさまじいエネルギーです。また、この風神と雷神は競っています。「どんなもんんだい」といい、「なにを！」と叫んでいます。
2013年09月17日
お構いねぐ
ＮＨＫの連続テレビ小説「あまちゃん」（脚本・宮藤官九郎）は、相変わらず、面白いです。少し毒のあるユーモアがあるからです。
春先に印象に残ったセリフは春子のもので、こうでした。
「町おこし町おこしって云うけれどさぁ、そんなに観光客を呼ぶことが大事？私が田舎を嫌いなのは、寂れているじゃなくて、寂れている事を気にしているからなの…」
町おこしへの皮肉ですね。鋭いです。
そして最近のセリフ。アキのセリフです。
「お構いねぐ。励ましていただくなくても、自分たちで何とかするし、やってるし。
だからお構いねぐ。失礼だったら謝ります。でもあんまり地元のため、東北のためと言われると違うっていうか…。」
違う回で、太巻さんはこうボヤきました。
「売名行為って言われるんです。炊き出し行っても、行くとこ行くとこ貴乃花親方とバッティングするし。全然目立たないし…。」
すごい皮肉ですね。こうしたセリフを前にして、「絆」だとか、「花は咲く」だとか、という言葉や歌がむなしく聞こえてきます。
明るく楽しくみんなで頑張ろうではなく、具体的に何をどうするかです。
そういえば、ありましたね、「同情するなら金をくれ」。
閑話休題。東京五輪は国等公共が儲けなければなりません。必須です。前と今回の莫大な誘致費用ばかりでなく、今後の費用経費をすべて回収して余りある利益を実額として出せるようにならなければ意味がないと思うのです。
東京に決まったのは、「お・も・て・な・し」とかいうよく考えると訳がわからないプレゼンの成果ではないのではないでしょうか。ＩＯＣが、一番儲かる開催都市はどこかという視点だったのではと考えるべきでしょう。多くのスポンサー収入はＩＯＣに入ります。
ともかく、日本は震災と社会保障制度の破綻を抱えます。経常収支赤字の危険もあります。したたかに、東京五輪で儲かるシステムを作ることが喫緊の課題と考えます、ロス五輪のように。
結語は、あまちゃんに戻ります。きれいごとと自己満足ではダメなんです。
2013年09月10日
歌舞伎「陰陽師」
9月8日、歌舞伎座にて新作 陰陽師 滝夜叉姫を観劇しました。ただただ、素晴らしい舞台でした。
染五郎、菊之助、海老蔵、松緑、勘九郎、七之助、愛之助、今話題の若手オールスターの一人ひとりの芝居は驚嘆すべきものでした。染五郎、菊之助、海老蔵、勘九郎、愛之助はすでに評価が固まっており、何もいうべきことはないと思いますが、今回、松緑の荒事の迫力、七之助の美しさは特筆すべきものでした。この7人で、おそらく、歌舞伎史上、明治の「團・菊・左」時代に匹敵する最高の布陣による大きな歌舞伎ブームが到来したといっていいかも知れません。
新作での初日から八日目でしたが、もはや完成された内容だったと思います。7人以外の亀蔵、新悟、市蔵を含め、せりふ、仕草、まわい、リアクション、立ち居地のすべてが見事！瞬きするのももったいない4時間でした。
また、新作といえ、見得、差金、六方が自然に織り込まれ、構成、脚本、演出、舞台装置、がピタリと決まる。これはブロードウェイであれば、トニー賞のアゥオードは決まりでしょう。
ストーリーとして、将門の鎮魂がやや曖昧に感じられたこと、７人主役のうち、一人の表情が何箇所かややぼやけていたこと、また別の一人が、一箇所、科白をいいかけそうになり、一瞬、飲み込んだことがあったことなどを見逃しませんでしたが、これらはこの舞台の素晴らしさには、1点の減点にもなりませんでした。間違いなく、百点満点でした。
時間があれば、翌日、一幕見席を目指したかもしれません。それはまた、別の日に。帰宅して、テレビで、NHKの大河等も含め、アイドルなどのにわか俳優が演じるドラマを日常的に見せられることはうんざりと今更ながら感じた一日でもありました。
2013年08月20日
和食におけるごはんについて
よくテレビのグルメ番組などで、和食で、「ごはんに合う」、「ごはんがすすむ」、はては「ごはんにピッタリ」という表現を聞きます。これは実は非常に変な言い回しです。
そもそもごはんは、複数のおかずと交互に食べるものです。つまり、おかずを食べた後、ごはんを口にして、舌をニュートラルにし、別のおかずを味わう。次にまたごはんを口にして再度舌をニュートラルにする、というわけです。
ごはんは、栄養ある主食ですが、このように和食の場合、常に、舌を常に新しくして、複数のおかずを口の中で混じり合うことがないようにするものです。
そもそも和食のマナーとは、食事が始まってから終わるまで、お椀をを手にする以外ごはんの入った茶碗を手から離さないことです。
したがって和食とは、本来すべて「ごはんに合う」ものであり、「ごはんがすすむ」ものであり、「ごはんにピッタリ」なものです。
最近、丼物が氾濫しています。これは、基本的にすべてジャンクです。ごはんと混ぜて食べるものであるからです。丼物を否定するつもりではありません。ジャンクと割り切ればいいだけのはなしですから。気をつけなければならないのは、素材の悪いものをごはんの上にのせて食べると、素材の悪さがごまかされることです。
やはり、最近テレビなどで、取りあげられるテーマにごはんを含め、おかずは何から順番に食べて終えていくかということがあります。ダイエット効果だそうです。愚かです。ごはんを含めたおかずは、片っ端から一つずつ平らげていくというものではありません。これは「かた食い」といって、和食マナーに反する行為そのものですから。
カレーライスですが、丼物と一線を画します。正しい食べ方とは、ソースポット（グレービーボード）など、ごはんの皿とは別にカレーを入れ、一口で食べる分だけ、ごはんにのせ、いただくことです。カレーがごはんに混じり合うことを避けるためです。これによって、カレーはカレー、ごはんはごはんと口の中で峻別され、そのカレーの味、風味が本当にわかることになります。このこと、和食におけるごはんの食べ方と通じるものがあります。
2013年08月18日
感・系・的
しばらく前から、世の中やたらと、「……感」、「……系」、「……的」という言葉が多用されています。
若者以外も使います。
この前、テレビで著名なパティシエがこう言っていました。「（マンゴを少し使っていますので）、口の中で、マンゴ感が支配するかもしれませんね。」
何なのでしょうか？
物事をすべて曖昧にしようとしていますね。「感、系、的」を使うと、直接的な口吻（ものいい）が、緩和されるの勘違いしです。結果、非常に変な言い回しになっています。
二流の評論家もあたりまえに使います。
これに、「正反対」ではなく、「真逆」の言葉が出てきて、さらに、自分の行っている言葉で、疑問文でも、相手に確認を求めるのでもないのに、単語や語尾を上げる言い方が登場すると、もはや気持ちが悪くなります。
賢明な諸氏、面接やプレゼンテーションで十分気をつけましょう。
2013年08月13日
神社について
残暑、お見舞い申し上げます。
ビアガーデンに行っても、どうしようもない激暑です。
甲子園の応援で、どこかの高校が、「V・Ａ・C・A・T・I・O・N楽しいな」と歌っていました。威勢のいい歌ですが、内容はどうなんでしょうか。
今、世界陸上もやっていますが、近年、オリンピックなど大きな大会で、本番を楽しみたいと言うアスリートが時々います。それを聞いて、前は、代表なのだから楽しむとは…とやや違和感をおぼえていましたが、最近は、それまで物凄い練習を行なってきているのだから、本番は楽しんでもいいかもと、なんとなく理解できるようになりました。
さて、時節柄、神社について少し考えてみました。
そもそも神社とは、神道の信仰に基づく祭祀(さいし)施設、そして神道とは日本固有の宗教ですね。「日本」というものと切り離すことができないものといえます。
初詣には、全人口の半分が行くといわれています。七五三、成人式など日本人は人生の節目節目に神社に訪れます。
日本中にお祭りは一体いくつあるのでしょうか。大きいものから小さいものまで無数といっていいと思います。本当に多くの日本人が参加します。お祭りは基本、神道の行事です。
結婚式は減ったといえ、基本、神前ですね。ホテルや会館の結婚式場には、特異なものは除き、キリスト教結婚式場がなくとも神前結婚式場は必ずあります。
お守りを持っている人は少なくありません。
最近、パワースポットがブームですが、多くは神社です。
ことさように、神社・神道は日本人に根付いています。
ただ、日本人に「あなたの宗教は？」と聞くと「無宗教」と答える人が割りと多くいます。余りに日本人は神道が生活の多くに関わっているため、意識していないといえるかもしれません。「宗教は？」と聞かれて、逆に「神道」という人は、家に神棚があっても、神社関係者以外はいないでしょう。これはこれでいいと思います。しかし、神道は宗教であり、大きな特徴を持ちます。
整理してみましょう。
神道には、開祖も教祖も教義も信徒組織もありません。世界中の宗教ではこのような例は他にはありません。
神道の神とは八百万(やおよろず)です。つまり自然の万物です。さきほどのパワースポットですが、神社以外に自然の場所があります。自然はすべて神道にとって神です。従って日本人にとってパワースポットは神道そのものといえると考えます。
なお、お稲荷さん（稲荷神社）ですが、基本的に穀物・農産物の感謝の印です。自然そのものを祀っています。
神道の神のもう一つの大きな特長は神への「鎮魂」ということです。人間も自然の一部なので、死んで、魂と体が分離すれば、すべて神となり、霊を鎮め、安らかに我々を見守っていただきたい、自然をすべて神として大切にしますからいうコンセプトです。
間違っても、本来、神道における神とは、他の多くの宗教とは異なり、唯一絶対的なものとして崇め奉るものではありません。
生きているうちはご苦労されたけれども、魂となられて、神としてお鎮め申上げますので、どうかわれわれをお守り下さい、というものです。
従って、8月15日終戦の日に、靖国神社に参拝する意味は、間違っても、合祀されている元Ａ級戦犯の「神」に対して、今度はうまく戦争をやりますからと誓うものではありません。戦争が起こらないように、平和な世の中が続きますようにと「神」に頼むことです。
なお、神道の優れたことに、ただ、自然を大切にするということだけでなく、自然を作るという姿勢があります。全国の有名な神社には必ず、見事な樹木が社を囲むようにあります。鎮めて守る、つまり鎮守の森（杜）です。この多くが自然を利用して神社を作ったものでなく、自然を人が造ったものということです。
奈良の春日山は世界遺産ですが、自然遺産ではなく文化資産です。
終戦の日を前にして、最近は必ず、靖国問題が出てきます。この論評はともかくとして日本人にとってそもそも神道、神社とは何か、確り認識することが基本の基本だと考えます。
畢竟、どのような論法にせよ、神社自体にお参りすることを否定するということは、日本人のアイデンティテイを否定することになりかねません。
2013年07月29日
福田美蘭展
昨日、福田美蘭展に行きました。僕にとって小学生が遠足にいくようなもので、前日からうきうきでしたが、
行ってみて、期待以上の素晴らしいものでした。
名画の描かれていないところはどうなっているのか、
名画の登場人物の目線から、みたらどうなっているのか。
911の後、ブッシュ大統領に説教するキリスト（仕返しよりも大切なことがあるでしょ）。
道頓堀川の風景を描き、絵の具から乾ききらないうちにそれを横半分から下に折ると、どうなるのか。
レンブラントの有名な自画像にある半円は、じつはドラエモンの手であった。
実際の冷蔵庫の中に、風景画を描くとこうなるとか。
実際にみにいく人のためにこれぐらいにします。
福田美蘭さんの作品については、トリックアートと同列に扱うひとがいるかもしれませんが、とんでもありません。チープな風刺とか洒落というものととも大きく違います。
これまでダビンチにしろ、フェルメールにしろ、ピカソにしろ、セザンヌにしろ、ポロックにしろ、ウォホールにしろ、岡本太郎にしろ、常に芸術とは何かの痛烈な問題意識の上に、それぞれの作品が成立したといえます。
これらと、福田美蘭さんの作品は同列なのです。だから、確かに一つひとつの作品は面白いのですが、大きな感動と感銘を与えてくれると考えます。
東日本大震災をテーマにした春夏秋冬については言葉で説明することはできません。この震災が何であったか、まったく異なる4枚の絵が見事に表現しています。
この展覧会は9月29日(日)まで上野の東京都美術館にて。
