2009年05月12日

最近心に残った2つの会話

セーラー服と機関銃通勤・通学服も夏服に衣替え。
身軽な服装になると、心も軽くなるような気がしますね。
毎年、この季節になると中学生の頃の真っ白いセーラー服を想い出します。


私は自宅から徒歩で30分程の処に立つ町立中学校へ通っていました。
誰にいわれたわけでもないのに、「バス通学をするのは不良学生だ」と信じていた私は毎朝テクテク歩いて通学していました。そのときの光景です。
私が昨日まで着ていた黒の詰め襟の学生服を脱いでYシャツ姿で出発すると、遠くを歩いている女子学生達の真っ白なセーラー服が見えてきます。そんな一瞬のフラッシュバックのような、白昼夢のような光景が懐かしく想い出される季節です。

前置きが長くなりました。
今日は最近心に残った、診察室での会話を2つご紹介します。

PS:写真は文中の「セーラー服」に因んで、TBSドラマ「セーラー服と機関銃」の画像です。薬師丸ひろ子がヒロインを演じた映画は来生隆夫の主題歌こそ大好きでしたが、物語の面白さでは長澤まさみがヒロインを演じたTBSドラマ版の方がはるかに楽しめました。うちの家内は堤 真一のファンなので盛り上がっている家内と一緒によく観ました。ドラマ版では故緒方 拳、山本龍二、中尾明慶、田口浩正など共演者も個性派揃いでした。



イチリン草■40代女性との会話

3人の男の子のママである彼女は、いつも豪快な笑いを披露してくださる、とても元気な女性です。数年前、高血糖症状で発症し、2週間の教育入院でインスリン療法を施行され、内服療法へ変更され退院。その後、数ヶ月間で内服治療が不要となって、そのまま通院しなくなってしまいました。
ところが数ヶ月前受けた検診で、A1c>12%と判明し、私の外来を初診。1日1回のインスリン注射療法を開始しています。とても元気で笑顔が素敵な女性ですが、食事療法はあまり得意ではありません。

そんな彼女が来院されたときの会話です。
私の外来では、毎回、食事、運動、ストレスなどをご自分で5段階評価してもらう自己チェックシートを使っています。


私「どうですか?うまくできていますか?」
彼女「いえ〜、全然できませんでした」
私 「自己チェック表で、ストレスの項目で “大変強い”にチェックされていますが・・」
  「何か大変なことでもありましたか?」
彼女「・・・・」最初は躊躇している様子で無言。その後、決意したように。
  「実は、真ん中の子が自閉症で特殊学級に通っているんですが、今月はずっと癇癪を起こしていて・・」
  「大声出して暴れちゃって、全然、学校に行ってくれないんです」
  「それで、いつもその子と格闘していて・・・、もうストレスが溜まっちゃって・・」
  「それで、いっぱぁい食べちゃいました!」(とても元気な声で言いました)
私 「そうですか。それは大変でしたね」
彼女「あぁ、子供を口実に使っちゃいけないのに、言ってしまった!!」と溜息。

私は彼女の表情、言葉から、常日頃彼女がどれほど、その自閉症の息子さんのことを心配し、彼を庇いながら、良き母親として頑張ってきたかが痛いほど伝わってきました。
私 「いつも誰にも愚痴を言わずに、息子さんのためにずっと頑張ってこられたんですね」
  「たまにママが愚痴ったって、息子さんはきっと許してくれますよ」
  「私のような立場の人間なら、どんなことを言っても大丈夫!」
  「僕、今日はゴミ箱になりますから、どんどん吐き出してしまいましょう!」

ひとしきり話をした後
彼女「今日はなんか、先生がうまく私の話を聴いてくれたのでとても気持ちが楽になりました」
  「同じ病気の子供をもつ親同士で話しても、かえって話した後、疲れてしまうこともあるんですよね」
  「そんなことじゃぁ、ダメよ!なんて叱られちゃって・・・」
  「今日は、先生がさらっと聴いてくださったので、すごく気持ちが楽になりました」
私 「そう、良かったですね」

彼女は涙目を浮かべながらも、キラキラ輝いた笑顔を見せてくれました。
彼女の顔を見ながら、私自身もなんだか少し嬉しい気持ちになりました。
糖尿病外来では、こんな風にお話しを聴いてあげるだけの診療もあります。
短い時間でできることは限られていますので。。。

ひとつめ話が長くなってしまったので、もうひとつの会話は後日、ご紹介したいと思います。

my_voyage at 19:14│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!ナラティブ・アプローチ 

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