奈良豆比古神社の参道①黒髪山稲荷神社(奈良市・奈良阪町)に関する記事です。

黒髪山稲荷神社はJR関西本線の平城山駅の東南東3.6Km
奈良阪の奈良豆比古神社の西1km程にあります。

奈良阪マイマップ

奈良阪マイマップ
 
黒髪稲荷航空写真
黒髪山稲荷航空写真

元明・元正天皇陵へ参拝した後、県道奈良加茂線を南下しましたが、
遥か上に架かる黒髪橋が立ちはだかります。

この場所は100年前は大仏鉄道の黒髪山トンネルがあった場所で
列車が今の道路方向に加茂駅~奈良駅間を走っていたそうです。
近年の道路開発工事でトンネルは破壊され黒髪山は分断されました。
 
黒髪橋
黒髪橋(奈良・大仏鉄道のトンネルだった)

地図を見ると平面的なので、ここから黒髪橋へ行くつもりでしたが、
黒髪橋へ登る道はありません。
しかたなく後戻りして、ゴルフ場を回り込んで黒髪山へ登り、
黒髪橋西端の黒髪稲荷の場所へ行きました。

黒髪橋2
黒髪橋の西端

黒髪橋、黒髪山稲荷神社の西側には、
廃墟と化した奈良ドリームランドもあり異様な雰囲気です。

強風にあおられる木枠のジェットコースターを写していると
突然あたりが暗くなり雹が降ってきて、黒髪の怨念のようなものを感じました。
この時点で完全に黒髪の魔力に引き込まれてしまいました。 

奈良ドリームランド
黒髪山にある廃墟と化した奈良ドリームランド

黒髪山稲荷は奈良豆比古神社の末社で、
境内には白龍大神を祀る石などが幾つもあります。

黒髪山稲荷の鳥居
黒髪山稲荷の鳥居

黒髪山の名前の由来は垂仁天皇の皇后の狭穂姫が黒髪切り、この山に埋めたことに由来します。

狭穂姫は兄の狭穂彦王がいましたが、兄は天皇位を狙って謀反を起こします。
狭穂姫は垂仁天皇の子を身籠もっていましたが、悩んだ末に夫を捨て兄に見方します。

姫は戦いのさなか、兄の稲城の中で皇子を産み皇子を天皇方に渡します。
その時に敵に捕まらないよう黒髪を切り、ここに埋めたとされます。
 
黒髪山稲荷の社殿1
黒髪山稲荷の社殿1

神社の建物の壁に「史蹟 黒髪山」と黒髪山の歌が書かれています。

♪ぬばたまの 黒髪山の 山菅に 小雨降りしき しくしく思ほゆ♪ (万葉集)

真っ暗な中、雷鳴が響き渡り狭穂姫の悲しさが伝わるようでした。

黒髪山稲荷の社殿2
黒髪山稲荷の社殿2

大好きになった黒髪山を題材とした万葉歌がもう一首ありました。

♪ぬばたまの 黒髪山を 朝越えて 山下露に 濡れにけるかも♪ (万葉集)

黒髪山を分断して道路を通し、黒髪山上に巨大な遊園地を造り横暴の限りを尽くしましたが、
狭穂姫の怒りに触れて廃墟になったのでしょう。

黒髪山稲荷のお塚
黒髪山稲荷のお塚