2012年02月13日

NHK大阪を称える

黒川さん、こんばんは。そう、セックスシーンについてはたいへん難しかったですし、演劇においてはことのほか難しいというご指摘を何人かの演出家の方から頂戴しました。

今回やってみてつくづく思いましたのは、「自分は作家(脚本家)だなあ」ということでした。当然自明のことではあるのですが、あらためて実感したのです。

演出家であるならば「セックスシーンは難しい、ならどうするか」という外的な必然性から考えていくと思うのですが、自分は「こういう内容を描きたい」という内的必然性の方を優先してしまいます。だから自分は作家だと感じたのです。同時に作家が演出を手がけることの意味もそこにこそあるのではないかと思いました。

「書くのが好きで脚本家になった奴と、現場を知って脚本家になった奴はちがう」と荒井晴彦さんも述べておられますが、自分は書くのが好きでなった典型です。演劇の場合、おそらく現場を知っていて劇作を手がける方が大半だと思われますので、そういう意味で自分は異端なのでしょう。今後も異端なりの道を探り、異端なりの足跡を残していこうと思っています。いずれぜひお話を聞かせてください。今回直面したさまざまな局面において、黒川さんならどうされたか、自分もおうかがいしたいことが多々あるのです。

さて朝ドラなんですが、残念ながら『カーネーション』は見ておりません。評判は聞いてますので、相当面白いのだろうと予断はしてるのですが、ドラマは一話を見逃したら見ない主義でして、完全に乗り遅れました。

『カーネーション』が成功作だとしたら、それはひとえに渡辺あやさんを脚本に抜擢したNHK大阪の慧眼のゆえかと思われます。ここらへん、テレビ業界以外での実績を容易に認めたがらない民放にはなかなかできない技です。思えば鈴木聡さんもマキノノゾミさんも大阪制作の朝ドラを手がけられたのでした。そう考えるとすごいですよね。受信料を払っている甲斐があるというものです。

自分が好きだった朝ドラは『ふたりっ子』です。自分はドラマに「波瀾万丈」をもとめます。興奮したいし、つづきが気になって仕方なくなりたいからですが、近年滅多にそういう作品にはお目にかかれなくなりました。そうすると視聴者が「途中参加」できなくなるからという理由らしいのですが、そんなもの勢いさえあればどうにでもなると思っている自分からすると残念でなりません。

大石静さんの作品は一見現在のテレビドラマの風潮に寄り添っているようでいて、芯には古典的な物語の面白さがしっかり備わっています。「古典的」といっても難しい話ではありません。人と人が出会い、別れ、時に反発し、時に融和しながら、やがてまた巡り会い……という「運命」についての物語であるということです。この感覚を備えた脚本家も少なくなり、大石さんはその貴重なおひとりなのです。

そんな次第で『ふたりっ子』にはのめりこんだ自分でした。そういやあれも大阪で、大石さんは二兎社のご出身でしたね。NHK大阪にはきっと何かがあるのでしょう。伝統というか、方針というか、主義というか、空気というか。失わずに頑張ってもらいたいものです。

次は長らくペンディングにしてきた『あとは寝るだけ』について書こうと思います。これを書かねばこの交換ブログも終わりにできません。どうかご期待ください。

nueteki_0706 at 21:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!高木 登 

2012年02月01日

今年もあと少し。

すっかり更新した気分でいましたら、なんと2月も10日!

早すぎやしませんか。
こないだ正月だったというのに!

このようなスピードで一年は、そして人生は過ぎていくのでしょうか。
死までの時間がこんな風にあっという間なら、
まあそれならそれでいいんですが。

いやいや、その前に
更新遅れて申し訳ありませんでした。
旬を過ぎた感もありますが、もろもろお許しください。


高木さん、鵺的お疲れ様でした。
いろいろと興味深く拝見しました。

性を扱う作品の演出は、本当に難しい。
否が応でも俳優は身体を張って闘わねばならないですから。
だからこそ演出家が俳優をどう誘導していくべきなのかが
改めて問われるのだなと痛感、胸がギュッとなりました。

詳しいお話はお会いすることがあったときにでも。


そうそう。

前回、天地茂の明智小五郎のお話をしていただきましたが、
実はその前日、まさにそのドラマの話をしていたのです!

またしても!

度重なる偶然に運命すら感じますね。
何の運命かはよくわからないのですけれど。


で、ドラマのお話。

『カーネーション』の話題で持ちきりです。
こないだまでミタ流行中だったのに、移り気なものですね。
とはいえテレビドラマが社会を明るくするというのは
大変幸福なことだと思います。
かくなる私も時間の許す限り見ております。

魅力的なキャラが豊富な登場いたしますが、
なかでも私は次女直子がお気に入りですです。

まっすくな眼差し。
まっすぐな剛毛。

イカす。

演じられている川崎亜沙美さんがプロレスラーだと先ほど知りました。
ますます好きだ。ああ、熱帯に出てほしい。


高木さんは『カーネーション』ご覧になっていますか?
また朝ドラの思い出などありましたら。


ではまた。

myakumyaku at 15:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!黒川麻衣 

2012年01月25日

俗なるもの

黒川さん、こんばんは。どうしましょう、明日から小屋入りですよ。おそろしいこともあるものです。

どうにかこうにか書き上げた台本は、ジャンル分け不能、なにを話してもネタバレになってしまうという制作泣かせな一本になりました。お客様の反応もまったく読めず、初日が開くまでどうなることかわかりません。黒川さんにご覧いただくのが楽しみです。どうか忌憚のないご意見をお聞かせください。詳細はこちらです。

ところで「世俗性」について。これはおそらく「通俗性」と言い換えても問題ないと思われますので、以下通俗性と記します。

かつて夜九時以降はテレビも大人の時間でした。番組自体からも「子供は見てはいけない」オーラが漂っていたように思います。あの頃の番組が今よりはるかに性表現や暴力表現に寛容だったのもそうした線引きがしっかりしていたからだと思うのですが、80年代あたりからそこらへんが徐々に曖昧になりはじめ、いまでは早朝から深夜まで、子供が見てはいけない時間帯がないと言っても過言ではない状態になってしまいました。

同時に各局は視聴率獲得のため、いわゆるF1、F2と呼ばれる女性層に媚びた番組づくりに邁進することになりました。これによって「男」が見るような番組が極端に減りました。つまり「大人」と「男」が排除されてしまったのです。通俗性の「俗」とはもっぱら大人の男の俗情に通じるものなのですね。したがって自分は現在のテレビからは八割方通俗性は失われてしまっていると考えています。

『湯けむりスナイパー』は見たことないのですが、『只野仁』などが好調だったことなどを見ると、まだまだ大人の男は潜在しているのだなと感じます。ですがテレビ業界ほど「顧客の新規開拓」に不熱心なところもないので、当面こういう状況はつづくでしょう。

通俗性、あるいは世俗性という言葉でテレビドラマを考えたとき、まっさきに思い浮かんだのが天知茂の明智小五郎シリーズでした。たまにCSなどで見返すと驚かされます。この頃の2時間ドラマが視聴者として男性を想定していたことが新鮮に感じられるのです。当時の自分は露骨な猟奇性に垢抜けないものを感じて見ていたのですが、いまとなってはすべてが懐かしいです。





nueteki_0706 at 03:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!

2012年01月14日

メイド前夜

高木さん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

ツイッターによれば体調が芳しくないお正月だったとのこと。
公演も近くなってきましたので、より一層ご自愛くださいませ。

新ドラマがいっせいにスタートする昨今、
『開拓者たち』も『平清盛』も『黒川鈴木』も
第1回を観そびれてしまい戦意喪失、すっかりふてくされています。(自分が悪いのに)
そんな中、深夜に『フルメタルジャケット』を久々に鑑賞しまして妙に感激し
生ぬるい芝居なんかダメだダメだと己を奮い立たせた年始でありました。

そして2012年、最初に見たドラマは『湯けむりスナイパー』でした。
(前述の向田邦子スペシャルは「久世さんじゃなきゃ意味ない」と家族の反対があり断念)

『湯けむりスナイパー』
3話構成でしたが、ある意味どれも先の読める俗っぽい話なんですよね。
でも、ドラマってこれでいいと思えるものがありました。

演劇や映画は高尚でナンボのところもあるけれど
TVドラマは世俗的な要素が不可欠です。
その塩梅がセンスの問われるところですよね。

高木さんはTVドラマにおける世俗性をどう考えてらっしゃいますか?
ゆとりができたらご意見お聞かせください。


さて、私事で恐縮です。

明日(というか今日)新宿LOFTにて
漫画家しりあがり寿さん主催の
『さるハゲロックフェスティバル』なるものが開催されるのですが
なぜだか我々熱帯がメイド喫茶『共闘系萌え萌えカフェげば♡ると』をオープンすることに。
熱帯&熱帯ラボの総勢7名の妙齢メイドがゲームやお絵かきをするという恐るべき企画。
稽古後にひやかすパワーが残っていたら、ぜひいらしてくださいね。


では、返信お待ちしております。

myakumyaku at 02:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!黒川麻衣 

2012年01月05日

いまだ台本執筆中、そして市川森一さんのことなど

黒川さん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

年末からひきずっている風邪は抜けず、けっきょく病身のまま新年を迎えてしまいました。台本も終わっておらず、自分としては最悪の正月です。

そんな次第でまだ「あとは寝るだけ」についてがっつり書く余裕がありません。しばしのご猶予をください。もうしわけありません。

代わりと言ってはあまりにも大きな話題なのですが、暮れに市川森一さんがお亡くなりになりました。いずれ『淋しいのはお前だけじゃない』についても書くつもりでおりましたので、いっそうの衝撃でした。

大晦日にBSで追悼番組があり、『黄金の日々』や『新・坊っちゃん』など数々の代表作が紹介されていましたが、自分が忘れられないのは『前略おふくろ様』の一編です。『おふくろ様』は第二シリーズは倉本さんがおひとりで書かれているのですが、第一シリーズは倉本さんを中心に複数の脚本家が入っており、市川さんもそのひとりだったのです。

赤座美代子さんがゲストの回で、詳しくはこちらのエントリをお読みください。この筆者は触れていませんが、嘘がバレた千代はサブになじられ、追いつめられた挙句にこう言い返します。

「嘘も通ってるあいだは本当になるじゃないか!」

単なる嘘つきというよりは詐欺師のような女の言い分ですが、このひと言の凄み、深みは普遍に突き抜ける力強さがありました。脚本家の実力を感じるのはこういう台詞に触れたときです。またひとり師のような存在が失われてしまいました。合掌。

nueteki_0706 at 09:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!高木 登