読書は死ぬまでの暇つぶし

人生は一度しかない。本当に一回なんだよ。 準備と努力は裏切らない。

人狼ジャッジメントの考察 「人狼」こそ正義

前回の続き

村を作るのが面倒なので、空いてる中級者歓迎村に入るようになるが、中級村は「役職希望あり」の部屋が初心者村より多い気がする。

希望をランダムでするといかんせん「人狼」になる確率が異常に高い。

毎回毎回「人狼」をやるのも嫌なので、村側の役職を希望して入るが、それでも投票に漏れて、「人狼」や「狂人」になることが多い。
試しに「人狼」を希望して入るとほぼ100パーセント希望が通ってしまう。

そして、つまり、中級者村に来てあることにわかった。


「人狼」は不人気。


人狼が不人気の理由を考えよう。


・勝率が低い
100戦終えてから役職ごとの勝率の計算はしてないが、中級村に居座るようになってから明らかに人狼や狂人になったときの勝率が落ちた。
特に片方が初日吊られたら絶望的で、このときは勝率は2割切るんじゃないだろうか。


・単純に難しい
これは初心者村にいたときから感じていた。全ての役職の中で一番「人狼」が大変で、難しい。

中級村以上の場合、市民側が論理的に推論する人が多く、初心者村なら初日吊る人を選ぶとき「初日は勘だから仕方ないよー」がよくある会話で、吊る人が決まればすぐに皆時短する。
中級村はそうは行かず、初日から延長して、ちょっとした言動で粗を探し、雑殴りが行われるため、ボロが出やすく一刻の猶予もない。

他にも「貫通」「回避」「飼い」「sg」「クロス護衛」など初心者村では余り見られなかった市民側の作戦が増えたことにより、人狼にとって考えることが増える。

寡黙だと、すぐに吊られる。多弁になるとボロが出やすい。

また、初心者村であればから初日の狩人はおよそ霊能守りがほとんどだが、中級村だと、占い護衛も相当多い。

とにかく誰を噛めば、どんな会話をしたら怪しまれないか、考えることが本当に多い。
またその上で人狼チャットと行ききしながら相方と意見交換をしないといけない。


・ストレスが溜まる
怪しまれないように村側で嘘をつき続けるのことにそもそも凄いストレスがかかる。
一度相方と壮絶な雑殴りをし、勝ったはいいが精魂尽き果てたことがあった。

村側の上手い人に多弁で推論を展開させられるとゲームとは言え正直不快になる。
いや、そりゃ自分が人狼なんだけどさ!俺もやりたくてやってるわけじゃないもん!って


・勝っても罪悪感がある
勝っても嘘をつき続けて、村側に信用してもらったのにも関わらずそれを裏切る行為をしているため、変な罪悪感が生まれてしまう。
終わったあとどうしても自然に謝罪してしまう。


・どことない疎外感
ゲームだと簡単に割り切れる人ならいいが、大半の人はそうはいかないだろう。
市民勝利で終わった後、村側の皆が「信じてくれてありがとー」、「疑ってごめんねー!」「勝ったから全然いいよー」「いいねしとくー」などのやりとりの中の疎外感は誰もが否めないだろう。


理由としてはこんなところだろうか。

初心者村では余り感じなかったが、中級村に移ってからは顕著にそう思う。

そりゃ「人狼」不人気だわと。


だからこそ声高に言いたい。
負けてもへこたれることはない。そもそも不利な立場なんだから。
ゆえに人狼側で勝利したときはその喜びを市民の時以上に爆発させればいい。
PPが決まったさいには村側を罵ればいい。
罪悪感は1ミリも感じる必要はないんだ。
なぜならあなたは最も難しいことをやってのけた誇らしい人狼なんだから。
ゲームが始まって役職カードがめくられ「人狼」だったとき、センチメンタルになる必要はない。手の震えは武者震いだ。動悸は人を襲うことへの興奮だ。このゲームの名前はなんだ。「人狼」ゲームじゃないのか。
主役は誰だ。人狼のあなたが主人公だ。

人間は生まれながらにして少数を迫害したくなる生き物。
世の中にいじめがなくならないのは人間がそれを望んでいるから以外のなにものでもない。
このゲームが多くのキッズたちに支持される最大の理由は人間の本質に基づいているからだ。

勧善懲悪の世知辛い世の中、貧しい村に生まれついて、圧倒的多数に白い目を向けられながら、唯一の理解者である狂人と共に生きる術を模索し、人間を食べる以外の選択肢を与えられず、自らが生きる為、人を襲うことを余儀なくされた悲劇の運命にある「人狼」こそ、最も儚くイノセントな存在ではないだろうか。

全てのキッズ達よ、「人狼」を希望するんだ。
正義の名の下に、迫害を行う偽善者ヅラした村人共を噛み殺してしまえ。

弱者の立場でしか世界の本質は捉えられない。
人狼こそ正義。
人狼に栄光あれ。

人狼ジャッジメントの考察

中級者歓迎村で村人共にボコボコにやられて本気でムカついたので記事を書くことに決めた。


「人狼ジャッジメント」というアプリが流行っているらしくダウンロードしてやってみた。
「人狼ゲーム」のアプリは昔からいくつかあったが
今ひとつコレといったものが無かったと思う。
いくつかの「人狼ゲーム」を上手く踏襲した完成形のアプリがこれだと思う。

とりあえず初心者歓迎のデフォルト設定の村で100試合やってExcelで役職別に勝敗を記録してみたのでここに貼ってみようと思う。
なお、100試合中約40試合は役職希望ありの部屋だ。

市民 19勝14敗 勝率58%
占師 07勝09敗 勝率44%
霊能 11勝02敗 勝率85%
狩人 03勝02敗 勝率60%
人狼 15勝12敗 勝率58%
狂人 05勝02敗 勝率71%

合計 60勝40敗 勝率60%

この成績をどう見られるだろうか。

初心者歓迎村なので決していばれる勝率ではないが、かと言って下手扱いでも無いだろう。
何よりちょうど勝率60%というキリの良い数字で100試合終われたことがまず誇らしいではないか。

しかし気になるのが占い師の勝率。
特に占い師に苦手意識は特に無かったし、かと言って霊能が得意とも思っていない。

確か一度、自分が占い師のときに霊能が最後まで潜伏していて、市民が負けたあと、なぜ潜伏していたか問いただしたときに霊能が言った言葉が

「進行するのが怖かった」

霊能の勝率が高いが、一度、「授業始まるから抜ける」と言って人狼COして突然死した人狼もいた。

つまり、人狼ゲームとはチーム戦だ。
個人がどれだけ頑張っても負けることもあれば、一言も発しなくても勝つこともある。

ニートの狂人がいたり、ルールをよくわかっていない初心者もいれば、いいね数1000超えの上級者もいる。

だからこそ面白いし、特にキッズたちに愛されるゲームなんだろう。


この頃はまだそう思っていた。

101試合目以降、よりハイレベルな戦いを求め、初心者歓迎のデフォルト村を去ることにした。
基本、中級者歓迎村を軸にそれら以外の役職で溢れた部屋にも出向いた。「妖狐」や「饒舌な人狼」などの多種多彩な役職のそれらはそれで面白い。

市民19人、人狼1人の20人部屋にも行ったことがある。そこはゲームそっちのけで部屋主が学校でいじめられていることを皆に相談するというカオスな部屋だった。

ただ、やはりゲームを純粋に楽しみたく、結局はデフォルト設定の村に落ち着く。

中級者歓迎村では突然死やニートの狂人、ルールを把握してない人は初心者村に比べるとかなり減る。

ただ、なぜだろうか。
中級村に行くようになってからストレスが溜まる。
とにかくイライラする。
そして勝率は少しずつ下がっていく。
そしてあることに気づいた。

続きは後ほど書こうと思う。

ダイナー/平山夢明 感想

あらすじ
ヒロインのオオバカナコは危険なバイトに参加したのが原因で凄まじい拷問を受け、危うく殺されかけた挙げ句、ある会員制の定食屋(ダイナー)でウェイトレスとして働かされる。ボンベロという謎の男が経営するその店の客は、それぞれ奇抜な必殺技を持つプロの殺し屋ばかりだった……。

感想
(ネタバレあり)

 超娯楽小説。

 登場人物の心理や葛藤や成長はほとんど無いし、あってもそこはご都合主義。

 正直、序章のレストランに連れて来られるまでが1番良かった。

 いきなり、女の子2人が「自分たちの遺体を埋める穴掘り」をさせられるシーンから始まり、なぜそこに至ったかの経緯を主人公カナコから語られる。

 黒いバイトに応募する経緯、怪しすぎる2人組、血まみれで大金抱えて走って来るその2人、そこからのカーチェイス、グロすぎる拷問。著者がドSなのが伝わる。
 活字にしても相当きつい場面ではあるが、そんな緊迫した状況におけるディーディーの軽いノリが園子温の映画に出てきそうなJKっぽくて笑える。

 疾走感溢れるオープニングは娯楽小説としては最上級のプロットの積まれ方であり、さぁここからどうなるんだろうという期待が非常に高まって、まさにページをめくる手をとめられない状態になった。

 その後、本編のメインであるダイナーにおけるボンベイとカナコと次から次に出てくる個性的な殺し屋たちとのやりとりが始まるわけだが、個人的にはここからはペースダウン。
 出てくる殺し屋がぶっ飛び過ぎていてリアリティ無さすぎ。いや、そもそも殺し屋専門のレストランってのに無理がありすぎる。
 読んでる最中思ったのが、殺し屋専門の病院とかならあってもいいかなと。殺し屋というよりかは保険証のいらない裏の社会の人向けの闇医者とか。そっちのほうがリアルじゃないかなと思った。

 いや本書が娯楽小説なのはわかってるしリアリティ求めるのもおかしいって話なのもわかるけど、「だとしてもさ!」っていうところかね。
 本当に殺し屋専門の定食屋があったら、殺し屋はその場を相当大事にすると思うし、ましてやウエィトレス殺しにかかったりすることはないんじゃないかと思った。

 中盤以降、だれてしまい、何度か読むのを諦めかけた。
 登場人物誰にも感情移入できないと辛い。
 描写が文章から伝わり辛いところも多々あり、流し読みしたところもあれば、著者独特の言い回しは中々伝わりにくいものも多かった。
 「ボンベロは味噌汁におしっこを入れられたような顔をしていた。」の箇所は「どんな顔だ」と思わず笑ってしまったが。

 途中、キッドが過去を語るところや、終盤のオヅ(何故かオヅなのかオズなのか表記が統一されてない)と娘の食事のシーンは割と好きだったかも。

 最後、やっぱりボンベロがカナコに入れ込む理由もよくわからないな。
 自分の命と引き換えくらい、プラス大金の入った貯金を渡す(この場面の通帳番号が義眼に入ってるって娯楽過ぎ)ほどってボンベロは相当カナコ好きじゃないか。カナコは基本守られるばかりどころか、スキン死なせたりと失敗も多いのに、これまでの8人の女性の違いは何だったんだとボンベロに聞きたい。

 まぁ序盤はかなり好みだった。
 もっとカナコが活躍する場面さえあればもっと好きになれたかも。

 最後にこれだけは言いたい。映像化には凄く向いてる。映画にするなら園子温が監督やるのが絶対ベスト。

★★★(3点)
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悪夢の観覧車/木下半太

あらすじ
ゴールデンウィークの行楽地で、手品が趣味のチンピラ・大二郎が、大観覧車をジャックした。スイッチひとつで、観覧車を爆破するという。目的は、ワケありの美人医師・ニーナの身代金6億円。警察に声明文まで発表した、白昼堂々の公開誘拐だ。死角ゼロの観覧車上で、そんな大金の受け渡しは成功するのか!?謎が謎を呼ぶ、傑作サスペンス。


感想
 軽くて読みやすい。でも深みはない。エンタメで面白い。でも設定も登場人物も現実離れしすぎ。

 アマゾンレビューに普段小説を読まない人にちょうど良いと書いていたが言い得て妙と思った。

 映像化に非常に向いてると思う。連続ドラマでも映画でも。
 舞台が観覧車っていうのが大変なのか映像化は今の所されてないみたいね。

 観覧車をジャックするという理由のこじつけ感は否めないし、その他諸々ツッコミ所は満載だがこの著者の小説にいちいち重箱の隅を突くのもおかしな話で、「こまけーことはいーじゃん」のノリで読むのが1番良いと思う。

 ゆえに読みやすいし、笑えるし、面白いんだけどでもこのノリがあるからこそ、本来は感動的な大二郎の最後のシーンなんかは小説のノリが邪魔して感動の度合いは薄まったのも事実であったり。

 本書がシリアスなお話による観覧車ジャックだったらそれはそれで良さそうな気もするかな。

★★★★(4点)
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〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事/早坂吝 感想

あらすじ
アウトドアが趣味の公務員・沖らは、フリーライター・成瀬のブログで知り合い、仮面の男・黒沼が所有する孤島で毎年オフ会を行っていた。沖は、今年こそ大学院生・渚と両想いになりたいと思っていたが、成瀬が若い恋人を勝手に連れてくるなど波乱の予感。孤島に着いた翌朝、参加者の二人が失踪、続いて殺人事件が!さらには意図不明の密室が連続し…。果たして犯人は?そしてこの作品のタイトルとは?

感想
ネタバレなし

 まさかタイトルあての小説とは知らずに購入。

 しかしいかんせん教養がないのと理系ということもあり、タイトルを予想しながら読んでいってもなかなか思いつかず、色々考えるけど文字数が合わないなーなんて思って、最後の解答の1文を指で隠して××にまつわることわざってなんかあったっけと思ってネットで調べてみたりしたがわからず。
 結局白旗を揚げて解答を見て「なるほどねー」と思った。

 そもそも途中で出された練習問題すら「猫」に関することわざは「猫に小判」しか思い浮かばなかった時点でわたくし多分こういうの苦手なんだろうよ。

 犯人あては超ありきたりなんだけどそれもわからなかった。ていうか別に僕そこまでミステリマニアじゃないし!っていう言い訳で逃れよう。

 例のアレはまんまと騙されたけど歳のせいか叙述系読みすぎたせいかスッキリしなかったかな。
 無理があるっつうか好きじゃない類のだったかな。え?だから?それで?といった感じ。
 解説を麻耶雄嵩が書いていて妙に納得。麻耶雄嵩好きな人には合ってるかなと思った。

 でもまあつまらなくはなかった。文書、内容ともに良くも悪くも凄く「軽い」。サクっと読めるあたり読んでいて辛くはなかった。つまり「普通」ということで。

★★★(3点)
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火花/又吉直樹 感想

あらすじ
売れない芸人徳永は、師として仰ぐべき先輩神谷に出会った。そのお笑い哲学に心酔しつつ別の道を歩む徳永。二人の運命は。


感想
ネタバレあり

 以前又吉がテレビで「殺戮にいたる病」を紹介していたのを思い出したのと一応売れる前から知っていた芸人さんってこととあと話題性で購入。

 純文学は普段読まないからこの小説のストーリーや文章表現がどうかと問われたら全くもってわからないわけで。
 そもそも自分の好みのジャンルじゃないだけにハードルが下がっていたから意外と読み易かったというのが素直な感想。

 ストーリーは特に大きい出来事もなくのらりくらりと進むのは大方予想通りで、最後に一山娯楽シーンはあったものの、また日常生活に話が戻ったと思えば、唐突に終わる感じも純文学っぽく思えた。

 神谷が最後に死ぬんだろうなーと思ってたら死ななくてよかった。
 主要人物を死なせるという安易に娯楽に走らないあたり好感が持てる。というか又吉の性格の良さみたいなものを感じた。
 また、神谷のお笑い哲学は全くもって空っぽで神谷はただのどうしようもない人間だと悟った徳永が書きためた伝記を破くみたいな、三島由紀夫の「金閣寺」みたいなオチ、もっとわかりやすく言えば思春期の女子が憧れの人と付き合って人間味を知って理想と現実のギャップに嘆いて自分は恋に恋してたんだと気づくみたいなそういうオチかと思っていたら全然異なった。

 ほぼ徳永と神谷2人に焦点を絞っているだけに会話の中の微妙なニュアンスや、徳永の繊細な心の揺れが本書の魅力であり、ストーリー展開の起伏がほとんどなく娯楽要素が薄いことからも普段本を読まない人が話題性だけで買った人には辛いんじゃないかな。
 また芸人の生活というものが一般社会ではかなりかけ離れた世界の話だからこそ共感を得づらい部分もあると思う。

 気になったのはネットの悪口に対する反論。
 ダウンタウンの松本や品川庄司の品川も自分に対する批判を作品内に盛り込んでいたけど意外にも本書にも盛り込まれていた。
 自分の訴えたいこと伝えたいことを作品内の登場人物に言わせるのはまぁそういうものだと思うんだけど、やっぱり皆自分に対する批評って気にするもんなんだなーと思った。
 スパークス解散のヤフーコメント欄が異常にリアル。いや僕もヤフコメは嫌いだけど。

 割と東京NSC卒業している芸人には詳しい僕は又吉を初めて認識した日を覚えている。
2009年の暮れにノンスタイルの劇場ライブが当時ネットで生配信されていて、ピースや平成ノブシコブシが出ていた。そのときはほとんど印象に残っておらず「なんでこの2人は組んだんだろう」とさえ思うほどピースの2人はあまり息があってるコンビには見えなかった。
 でも今思えばそれがピースの良さだったりもしたんだろう。
そのあと観たキングオブコントやM-1における又吉の作るネタは正直自分の好みじゃないんだけど一本グランプリの大喜利回答は好きだし、バラエティ番組で観る又吉は割と好きだ。

 本書は芸人に対する尊敬、漫才に対する情熱が異常なほど伝わる。
 言いたいことはほぼそれだった。

 読んでる最中、又吉と同世代か後輩にあたる芸人のことがずっと頭によぎってたな。
 アームストロング、LLR、ライス、パンサー、ジャンポケ、ジューシーズ、エリートヤンキー、ラフコントロール、井下好井、グランジ、ミルククラウン、囲碁将棋、ロシアンモンキーとか好きだったわー。

 売れた芸人、売れずにくすぶってる芸人、解散した芸芸人さまざま。
アームストロングはコントが凄く好きで、特にコンビニの面接のコントが全芸人の中で一番好きで、いつのまにか解散して、それがショックで、そしたら安村が一発当たって、少し複雑な気分になっていたら今度は不倫がばれてバッシングされてとか色々すぎて感情がよくわからなくなった。
 ライスがキングオブコント優勝したときは死ぬ程嬉しかったなー。

 徳永と神谷が結局売れることなく話が終わるあたり、本書は先に挙げた売れずにくすぶってる芸人や一発あたってそのあと売れなくなった芸人に対するレクイエムのようなものの気がする。

 女性がほとんど出て来ないのはよかった。これが村上春樹だったら女は芸の肥やしと言わんばかりにセックスシーンが随所にあっただろう。

★★★(3点)
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ナオミとカナコ/奥田英朗 感想

あらすじ
望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美。
夫の酷い暴力に耐える専業主婦の加奈子。
三十歳を目前にして、受け入れがたい現実に
追いつめられた二人が下した究極の選択……。
「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」

感想
ネタバレあり
 面白かった。特に後半はハラハラドキドキでページをめくる手を止められなかった。
 でもやはり倒叙ミステリは読んでいて辛い。
 感情移入してしまっている主人公たちが追い込まれていく様が辛い。どうか逃げ延びてと願ってしまうあたり狙い通りの読者になってたと思う。

 思い通りにいかない人生に刺激を求めたり、中国人を相手にしたことから強気になったり、親友を思いやる気持ちだったり、ナオミが殺害を企てる動機付けは非常に上手い。

 だからどうせやるならうまくやれよーなんて思いながら読んでいて、防犯カメラとかもうちょい気をつけろよーなんて思ってたら案の定なわけで。
 2人の計画が杜撰過ぎて、先の展開が想像出来るあたりが少し微妙だったかな。

 倒叙ミステリと言えば「青の炎」も昔読んだけどあっちの方がアリバイ作りとか殺し方も入念に計画立てて準備も万全にしてたと思う。それだけにあの終わり方はとてつもなく悲しかった。

 このお話を格段に面白くしてる存在が陽子。
 怖過ぎ。追い詰められていくカナコと同じ気持ちになる。でも最後はさすがにやりすぎ。ちょっと皮肉っぽい言い方をすると映像化見越した展開作りと思った。

 しかし前半あれだけ活躍したナオミが後半影を潜めるのが残念。てっきり女社長に陽子の排除依頼をするのかと思いきや全然だし。ってか最後に女社長が出てきて全て解決するかと思ってたら違った。

 終わり方は個人的には救いがあって良かった。驚愕のラストってわけではないけど綺麗な終わり方で納得。女社長の存在が2人の今後の希望なのも良い。

 こういう小説読むと改めて、自分には殺人は出来ないなーと思う。殺したくなるほど憎む相手がいても、バレたらどうしようとかじゃなく、「人を殺した」という事実を背負って余生を送ることが自分のメンタルでは耐えられなさそう。
 多分その人を殺すことが人生の目的になるような事態でも起きなければ出来ないだろう。大切な人を、例えば自分の子供とか殺されてそいつがノウノウと生きてたりとか、そいつを殺しさえ出来れば後の人生どうなってもいいと思えるような状態じゃないと難しいかな。

 後DV。
 自分は女性に手をあげたことはないけど、ほんの少し、ほんとうに少しだけDVする夫の気持ちがわかる。わかる自分が怖いんだけど。
 なんだろう。2人のパワーバランスにもよるんだろうけど、特に自分が上の立場の時に襲われる感覚。自分が思い通りにならない、女性の行動、発言、仕草に対してイラっとする感覚。
 DVってこの感覚の延長なんだろうと思うと怖い。何れ自分も手を出してしまうんじゃないかという恐れが少しだけある。

 だから多分僕は人を殺すより殺される立場の方がありえそうだ。気を付けないと。

★★★★(4点)
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チェーン・ポイズン/本多 孝好 感想

あらすじ
「その自殺、一年待ってもらえませんか?」
三人の自殺志願者にもたらされた“死のセールスマン”からの劇薬メッセージ
死に向かう者にのみ見えるミステリアスな希望を描いた心揺さぶる長編小説!

感想
ネタバレなし

 パスタと納豆どっちも好きだけど、混ぜて一緒に食べたら美味しくならない。一言で言うとそんな感想。

 本作は女性側視点と男性側視点の2つのストーリーが同時並行して進む。最後には交わるんだけど、交わってじゃあこの小説の感想として、どうかって問われると「うーん」って感じなんだよな。
 女性側視点のお話はかなりベタで地味だけど普通に良かっただけにちょっと残念だった。

 特に冒頭の女性パートはなかなか引き込まれた。

 狃気妨淨は雑用をこなし、残りの二日で思い切り息を吸い込み、また続く五日間、水中に身を沈めるように暮らしていく

 この一文は上手いこと言うなーと思った。
 女性視点の方が凄く上手いと思っただけに著者が男性ってことが意外だった。

 男性側目線の納得できないところが女性とワンナイトラブするところ。
 気が付けばどちらからともなくホテルに向かっていたってやつ。現実ではそんなことないわけだしさぁ。。

★★★(3点)
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仮面病棟/知念実希人 感想

あらすじ
療養型病院に強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る―。閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。そして迎える衝撃の結末とは。

感想
 1年以上振りの読書感想。

 病院の長い待ち時間用に病院籠城モノの小説を選ぶナンセンスな自分はさておき、本屋で制限時間付きで面白そうな本を選ぶのは難しいのよね。

 アマゾンレビューをスマホで眺めながら本を選ぶ時間的余裕はなかった。むしろそれをしていたら本書は確実に買って無かったと言えるくらいアマゾンレビューではクソミソに叩かれてる。

 安いB級ドラマでありそうなストーリー。
 そういう意味では映像化に向いていると思う。ただB級ドラマだったとしてもツッコミ所が多い。多分アニメとかの方がいいかもね。
 ストーリーの都合上のツッコミ所はまだギリギリ許せても、川崎愛美が名前名乗るところはどうにかならんかったのかいな。

 本の帯にもあった「怒涛のどんでん返し」が大方予想通りに進んで行く。
とてつもなく使い古されたどんでん返しとツッコミ所満載のストーリーの掛け合わせはマイナスとマイナスの掛け算である意味プラスに働いてる気もしなくもない。つまりそこまで本書に大してイラっと感はなかったかな。

 長い待ち時間の暇つぶし用ってなると小説の質はあまり問わず、先が気になってページをどんどんめくりたくなる系の本を選ぶのが大事って考えたら割とベターな選択はしたと思う。

 一方で、また同じような状況で本の購入をする時はせっかくなんだから読み終わった後に面白いと思える本を選ぼうと思ったけど。



★★★(3点)
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何者/朝井リョウ 感想

就活がつらいものだといわれる理由は、ふたつあるように思う。ひとつはもちろん、試験に落ち続けること。単純に、誰かから拒絶される体験を何度も繰り返すというのは、つらい。そしてもうひとつは、そんなにたいしたものではない自分を、たいしたもののように話し続けなくてはならないことだ。

あらすじ
 就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。

感想
 文庫本の帯に「299ページの12行目、物語があなたに襲いかかる」と書いてあり、心底萎えたのは言うまでもない。
 これも出版業界が大不況だから仕方ないんだけど。小説を売るためには普段本を買わない人にも買ってもらわないといけないし、本屋で平積みにされてるときに、なにげなく立ち寄った人の購買意欲を高めるにいい文章だと思う。
 ただ、その帯が無くても元から買おうと思ってた僕からするといい迷惑。というかそもそもあの帯が作品の価値を下げてるのは言語道断。本当にそこが衝撃の一言なんだとしても自然な流れでそこを読みたかった。
 と、色々言いつつもじゃあ実際そこを迎えた時はどうだったんだと言われたら、うん、まぁこう思ったよ。

 朝井リョウ恐るべし。

 別に驚愕のトリックが明かされるとかじゃなくただただ自己嫌悪に陥る衝撃。
 あんまり書くとネタバレになるから書けないけど僕的には上がったハードルをいともたやすく超える一文だった。

 就活のお話というのは買う前から知っていただけに自分自身の就活の主に嫌な思い出をたくさん思い返すことになりそうだと読む前に覚悟していたけど(だったらなぜ買うんだ)、意外とそうでもなかった。
 というか就活の辛いものなんてのは百も承知で「あの頃に戻ってやり直したい」なんて思い過ぎてしまって思っても仕方ないと悟りを開いているからかもしれない。そして思うんだ。結局どの会社に入ったところでもなるようにしかならないんじゃないか。行きつく先は同じなんじゃないのかと。

 僕の思う就活の辛さは朝井リョウの書くそれももちろんあるがもう1つプラスして思うことがある。
 結局どのレベルの大学や専門学校にどれくらい苦労して入ったところで、新卒至上主義の現代の日本において、これからの一生がほぼほぼ決められてしまう大きな分かれ道に立たされてしまい、失敗が許されない辛さだ。
 失敗すればこれまでの人生が全て否定されるような気がする。なんのためにこのレベルの大学に入ったのか、親に学費を払ってもらっていたのか。無駄に高いプライドが邪魔をする。
 自分が何になりたいか、自分が何に向いているかがわからない目的意識の低い人間ほど苦労させられる。就活で失敗して自殺する大学生の気持ちは痛い程よくわかる。
 「大学受験」に浪人という手段があるが、むしろこれと同じように就活をもう1年やり直すような措置も必要だと思った。自分のこれからの一生に関わる「仕事」を1年の自己分析で早々決められる程出来た人間はそんなにいないだろう。

 著者と僕はそこまで年齢は変わらないけどツイッター、フェイスブック、ライン、インスタグラムといったものは僕の就活時代にはなかった。
 そして気付いた。本書は「就活」のお話というよりは「就活におけるSNS」のお話なんだと。


 パンケーキ屋に並んでる人は美味しいパンケーキを食べたいと思っているのかそれとも可愛らしいパンケーキの写真を撮ってSNSに投稿したいのか。写真撮影不可になっても並んでも食べたいのか。
 ただ、同時に思うのは他人に幸せ(リア充)をアピールすることで自分を保つのは決して現代の病理でもなんでもない。昔からあったはずた。
 親戚の家に行けば旅行に行った写真を見せられる、付き合ってる人の写真見せられる、壁に飾ってある子供が描いた絵、資格の賞状を見せられる、そんな経験誰にでもあるだろう。

 それらを見て「いいね」と言うことがボタンに変わってクリックできるようになっただけだ。

 時代が変わって手段が異なるだけだ。
 ただ現代ではそれが手軽にできるようになったため、余りにもむき出しにされる。
 それが理香や隆良なんだろう。

 きっと人が手っ取り早く幸福感を得られる方法は自分が幸福だと他人に思わせることじゃないだろうか。そう考えると本当人間ってなんて孤独な生き物なんだろうと思う。 

 ただ本作の魅力はそこじゃない。
 例の一文を迎えた後、瑞月が隆良に説教する場面で優越感に浸り、まるで映画を観るような感覚で読んでいた観客が、スクリーンから伸びてきた腕に無理やり引きずり込まれ、映画の登場人物として自分の深層心理と対峙させられてしまう。

 本書はある意味ホラー小説だ。
 自分の嫌な部分と無理やり向き合わされるというこんなにも精神的にも参る経験なんて中々出来ない。
 自分が果たして拓人か光太郎かどちら側の人間か判断できる踏み絵的な小説ともいえるだろう。
 人の悪口ばかり言ってる人は是非読むべき。逆に言うと本書の例の箇所が心に刺さらない人は光太郎のような人間なんだろう。

 ただ、ご丁寧にも光太郎側の人間にも刺さる言葉は用意されてる。
「俺って、ただ就活が得意なだけだったんだって」
 何者でもないのは純粋無垢な光太郎も同じだった。就職後、光太郎が折れずに続けていくか、辞めてしまうかどちらの可能性もありえると思う。

 拓人は決してハッピーエンドではないにしろ、最後のラスト1行に少しだけ救いがあってよかった。
 
 後、そもそも就活の辛い時期を思い返すだろうと思いながらもなぜ本書を読んだかというとやっぱり朝井リョウ氏の文章が好きなんだと思う。
 桐島部活やめるってよの感想でも散々書いたけど文章表現が巧いだよね。
スーパーの中を慌ただしく動く。俺が歩いたところを線で繋いでいけば、「ひとり暮らし」という星座ができそうだ。
 うん、書けそうで書けないよな。



★★★★(4点)
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