2006年07月09日

敗戦のトラウマ1

敗戦のトラウマがここまで根深いのは、
単に国民の犠牲があれだけ酷かったから…だけではないのでは。

例えば、大学生もが自ら率先して一兵卒として参戦していたという。
であったからこそ、親族の犠牲を悼む言論が、文化的で発言力のある
権威的人間の著作等々という形で、そのトラウマが、本来物忘れの
激しい庶民にまでも、全国的に共有されてしまったから。
…とも言える実感と認識のズレによるものが大きいのではなかろうか。続きを読む

歴史教育…歴史は戦争の連続か?3

公教育は、戦争史や権力変遷史なんかを教えるよりも、

文化史や科学史をこそ教えるべきではなかろうか。

科学史の観点から見れば、何も人類の歴史は戦争の連続だとの感を
不必要に持ってしまうことはないし、侵略こそが歴史に名を刻むこと
だと思わせてしまうこともないであろうから。


科学史や思想史の変遷で見ると、戦争の連続にも見える歴史の狭間、
あたかも暗黒期のように、何も覚える必要のない無駄な区間のような
長い長い期間が、仮説の登場の連続であり定説の更新の連続であった
のだとして、歴史の闇の中から、その狭間が浮かび上がってくるはず。

「戦争こそが技術発展を促し、文明を産み出してきたのだ」とする考え方も、
本当は誤っているのではなかろうか…と思う。

技術や知識や財産の独占が遅々としながらも着実に進み、
その独占団体の…富豪であったり国であったりの力関係が
バランスを崩した瞬間に起こるのが、例えば戦争なのであろう。

権力対立からきちんと分離され、知的分野にしっかり富が集中させる
ことができるならば、戦争など無くとも、技術は進歩し続けるだろう。
例えその技術革新の動機の中に軍事戦略の構想が有ったとしても、
戦争などをせずに時代は流れ歴史を紡ぐだろう。


そう考えないと、技術立国日本の、戦後の姿をどう説明するのか。
戦後日本の技術革新の連続は、戦時中に及ばない遅々としたものだ
と言えるだろうか? 戦時が今も続いていれば、もっと高い発展が
あったはずだと言えるだろうか?

 否   …そう答えていただけると期待する。続きを読む

2006年07月02日

生き埋めリンチ事件2

昨今の犯罪の多発と政財界の黒い噂などで、暴力団の存在が、
相当身近で実在感のあるものになっている。
同時に、
警察が信頼に足らない存在になっている。暴力団との癒着だとか。
庶民のために動いていない。治安活動偏重によって。

そんな中で、
相手に暴力団を名乗られれば、真に生命の危機を意識したろう。

生きるか/死ぬか…そう思ってしまえば、相手を殺しもするだろう。

世紀末から数年前までの、弱者をイビリ殺していた殺人事件とは、
現象を見れば似ているかも知れないが、同じに考えるべきでは
ないだろう…と私などは考える。続きを読む

2006年07月01日

理念より実利2

「強きを助け弱きを挫く」日本人らしく、政治においても、
自分たちの要望をそのまま掲げている候補者を選ぶよりも、
そうではない者を選ぼうとする。

当選の実現性の高さを優先して、それに助力する。

当然、助力の見返りに、自らの要望を飲ませようと言う腹だ。

煽て尽くして、強請り嘆いて見せて、その政策を曲げてしまおう
…と考えているようだ。

それができると考えているからこそ、万年与党が生まれる。続きを読む

人が人を信用する三大要素2

権威
トラウマ
ばか

やはり人は深いトラウマを持つ者でなければ信用できないのだろうか。

深いトラウマは自らの心を縛り、例え理性的に欲得を想像できても
それを実行できない。させない力がある。
そう考えるからこそ、不幸な過去を背負った動機のある者でなければ、
その者の優秀な才能を社会は安心し適用できない。
ただ、優秀なだけならば、そのものに権力を与えてしまえば、無能を
自覚している凡人は怖くてたまらないのだろう。続きを読む

2006年06月29日

振り込め詐欺3

「振り込め詐欺」その犯罪手口の方便を聞いていると、ほとんどの者が、
罪の隠匿に金を支払うってものばかりではないか…。つまりこれほど多くの
被害者は、「金さえ出せば何やっても解決できる」と考えているってことだ。

被害者に同情的になる気持ちも、犯罪者を憎む気持ちも判らなくも無いが、
ある程度自業自得ではないのか? 親族の風評という欲得に駆られて、
金で解決しているのだから。

犯罪者の手口の巧妙化もあるだろうが、被害が拡大しつつある現状に、
それとは別の危惧を覚える。

つまり、
これほど多くの者が「世間にバレさえしなければ、罪を償わなくても良い」と
考えている。…ということであり、

どこか、振り込め詐欺も必要悪なのでは無かろうか? …とすら思えてくる。続きを読む

2006年06月28日

「金で幸せは買えない」?2

勿論。
「金だけ」で「幸せ」を手に入れることはできないだろう。
「人の羨む環境を準備できる」としても。

しかし、金は確実に幸せを増幅させる。
その意味で、幸せのいくらかは金で買われている。
金銭を手にする過程にもよってもその幸せの程度は左右させられるが。

「金で幸せが買える」と考えている大多数の者は、
「今の幸せな」人間関係や社会環境がそのままで、金だけを得る
状況を想定する。金の代価として失われるものをなんら想定しない。

また、
「金で幸せが買える」と信じている少数の者は、買えると考えている
者の論理を自らにも当てはめて、持たぬ「幸せ」を得るために、
金を希求する。あるはずの幸せをも犠牲にして…。続きを読む

2006年06月27日

日本では身代金誘拐の成功率はゼロ?!1

これまで明らかになった事件の全てにおいて、
身代金の受け取りに成功した者が居ない

…ということらしい。

しかし、だからといって身代金誘拐が必ず失敗してる
かどうかなんて判らないではないか?!

警察に知らされずに穏当に金銭の授受が行われたケースは、
当然ながら、世間に知らされることは無いわけだし、例えば、
被害者確保に失敗した場合なんかも公表されなければ、
「神話」は維持される。続きを読む

こんな働き方があったのか!4

こんな働き方があったのか!
就職情報研究所
NTT出版 (2006/05/16)

すでにこのようなことが現実に実戦されている事に驚きを覚えた。
未来の雇用形態と漠と描いていたものが…。

…とはいっても、これではやはりITバブルとその後のIT移行期に
一時的に現れた刹那的なものだろうな…。と残念にも思う。
それも、一部高学歴の連中の世界だけに留まるだろう…と。

しょせん大企業の驕りか道楽か…と思ってしまう。

このような著書を出版してどうしたいのか? 企業のネームバリューの
ためか? だれでも真似できるものでもあるまい。
例え多数に読まれたとて、公益に繋がるとも思えない。続きを読む

2006年06月26日

実感は作られる…のに1

団塊兄世代から新人類までの世代は、

戦前の善悪二元論とその流れを汲む戦後教育の新旧人間論で
育ってきている。

高度成長期以降の価値相対化された時代を「生きて」いないので、
彼らは、自分の「実感」した観念を戦前の迷妄とは異なる「真実」を
元に培われたものだと確信するが故に、その「実感」を培うに至った
情報が何なのか…に、あまりに無自覚である。

のみならず、「真実」で得た「実感」であると信じ切っているので、
後世の若者も「正しい」情報できちんと教育されているのであれば、
「当然」同じ「実感」を持つに至ると確信している。

だからこそ、自分と感覚の異なる若者を、平然と「不勉強だ!」と
断じることもできる。
続きを読む

2006年06月25日

迷信しなくても「丙午」1

当時の親は、その年に生まれた子の誕生日をずらしたりしたらしい。

当時、この現代にあって迷信を信じているのか…と嘆かれたようだが、
そうだろうか?

本当に信じていたならば、そんな見せかけの技巧で回避できるはずがない
ではないか。小手先の表面的な対応で解決できると考えたその腹の内は
なんだ。

彼らが「信じていた」のは、迷信ではないということだ。
それに基づいた、世間の、人間社会の、差別・偏見の存在をこそ、
「信じていた」のだ。そう言えるのでは。

差別・偏見は、それに根拠など伴わなくてもいい。
ただ、抑圧の捌け口が、方便として求められているのだ。

だから、迷信を妄信していようがいまいが、その社会では
迷信を忌避しなければならない。あたかも妄信しているがごとく。

しかし、迷信を信じているのではない。
現実的な実害を怖れているということだ。続きを読む

2006年06月24日

顧客は神様ではない4

やっぱり変だよ日本の営業―競争力回復への提案
宋 文洲
日経BP企画 (2002/04)
売り上げランキング: 4,535

「お客様は神様です」を聞いたこと無い人はいないだろう…
そう断ってこの章は以下に展開する。

「我々が顧客を本当に神様だと思うのであれば、まずノルマ制度を廃止すべきです。神様の意志を無視して、信者が勝手に数字を決めて神様にモノを売りつけることは、神への冒涜そのものです。」
「どうしてそのようなことができるのでしょうか。」

と矛盾を指摘した気になっている。が、日本人にそれは矛盾ではない。
日本人にとって神様は、一切物言わぬ赤ちゃんのような存在だから。
手取り足取りお世話をして差し上げる。そんな存在が神様である。
自分の「善意」を全て合理性を無視して良心として受け止めてくれる
そんな存在が、日本では「神様」なのです。      …注1

例えば、戦時中天皇を神様だと信じながら、その今上天皇の時下の言葉を
無視して答弁拒否をして戦争を拡大した者が居たそうだ。そのような態度も
日本人の「神」意識に何ら矛盾しない。2.26の青年兵らも同じ。

だから、その後の指摘も論理的にはその通りだが、日本人への指摘としては
あまりに的外れだ。続きを読む