2010年05月

2010年05月30日

【白糸草(しらいとそう)】

IMG_00001



ブログが止まる...ってときは、
ようするに、言葉を失くしている...わけで、
そういうときは、なぜか花も止まります。
なんとかに口なし...

言葉も花も、
もっと言えば、絵画も彫像も、作曲も詩も歌も...
創作に関わることがすべて同じ、人が人に伝える表現手段であるとするならば、
言葉をなくしたとき、創作の手も止まる...ってのは、いわば当然のことかもしれません。

いつだったか、川瀬敏郎さんが、
花は「(私にとって)生きている証し」だと、講演で語ってらっしゃったのを聴いたことがあります。
その頃は、ただ「カッコイイな〜」...ていどに聴いていましたが、
いまとなっては、その言葉が消え去るどころか、年々心の奥底に響いてくるようで、
たましいの芯の部分で分かる気がしてきます。

「生きている証し」 いい言葉だよな...





にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ




myokasyo at 09:43|PermalinkComments(4)TrackBack(0) 妙花 

2010年05月26日

青花(チンホワー)

IMG_001



雨上がり、つかの間の晴れ間...
雨に洗われた新緑がとてもきれいで瑞々しい。

朝から降り続いた雨のせいで、
初夏といえど気温はぐっと下がって、
湿気は多少あるものの、それがかえって人間(ひと)の体に水分を与えてくれているようで、
蒸し暑さも、梅雨時や盛夏のように涼を求めるほどの蒸し暑さはない。

こんな時、ガラスの器や籠の花生けを取り出すのは、まだちょっと早そうで、

青花だな...

中国語でいう青花(チンホワー)、日本で言う染付けの器を出しました。

なにか水盤のようなものを探したのですが、見当たらず。
ここでは、茶道具の水注ぎに使おうと、ずいぶん前に手に入れた中国製の青花水瓶。
じっさい、水をいれてみると重くて取っ手が折れそうで、怖くて茶席になんて無理!とわかり、
もっぱっら花生けに。
でも使うのは久しぶり。たまには死蔵(秘蔵?)している器なんかも使わないとね。

田園にも水が入り、瑞穂の国は神ながら... 
水の国。
水と翠が美しく、瑞々しい季節がやってきますね。
花は立浪草(タツナミソウ)。










にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ


myokasyo at 02:21|PermalinkComments(4)TrackBack(0) 妙花 

2010年05月20日

ラベンダー

IMG_000



先日頂いたラベンダーを生けてみました。

もう花の見ごろは過ぎていますが、
それにしてもラベンダーの花の色は、
少ない本数を手にとってみても、はたまた、広いラベンダー畑で眺めても、
いずれににしても不思議な魅力があります。

生けた小壷は、実家の亡父の書斎から勝手に持ち出してきたもの。
もう形見代わりに貰っちまおう。

なんでしょうね?
たしか古唐津...と聞いた気がしますが、今となっては確信が持てません。



雨上がり、
梅雨を思わせる、一日中、どんよりした曇り空...
暗い室内にラベンダーの色が溶けてゆく...




IMG_000^0




にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ




myokasyo at 16:57|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 妙花 

2010年05月19日

【虞美人草(ぐびじんそう)】

IMG_0000


「生ける気」を起こさせる路傍の草花...
第二夜は「虞美人草(ぐびじんそう)」。
ヒナゲシともいいます。

この時期に行われるイベントの手伝いに、私は毎年借り出されるのですが、
駐車場から、そのイベント会場に徒歩で向かう途中の小さな公園の、誰が植えたか、どこかから種がこぼれたか、溝といわず、路上といわず、このヒナゲシがあちこちに咲いているのです。

何年も前から、同じ時期、同じ路を通るたびに眺めていたのですが、
今年、意を決し、その公園に行って、路傍に飛び散って生えているのを、遠慮がちに二、三摘み取っていると、

「きれいでしょう?」と、
 背後からご婦人が声をかける..

「あ、はい。ヒナゲシ... 虞美人草というんでしょう?」

「そう。私、芥子が好きなのでね...」

今年、はじめてこの界隈に虞美人草がたくさん植生している謎が解けた...
公園に隣接するお家。このご婦人のお宅から種が飛び散って、この界隈に地生えの虞美人草が多いということ。

「これもあげるからもってお帰りなさい」と、

ご婦人は、見ず知らずの私に自宅の庭のラベンダーを幾本か摘んでくれた。
花好き同士は、花好きの花語で心が通じ合う...


IMG_000


虞美人草の名前の由来はだいたい次の通り...

秦の滅亡後、漢の劉邦と覇を競った楚の項羽。
項羽が戦えば百戦百勝。若干三一歳にして最強の将軍。
しかし豈図らん也。期せずして勝敗の趨勢は項羽に利あらず。
生涯たった一度、垓下(がいか)戦いに敗れ、常勝将軍の命運はかの地に尽きる。

項羽は敗走を決意。
しかし心残りは絶世の美女と謳われる寵愛の妃姫虞美人。

揚子江の上流、敵兵の四面重囲から聴こえるのは故国である楚の歌。
自ら敗走の足手まといになると悟った虞姫は項羽の前で別れの舞を。

舞い終わった虞姫は、項羽がひき止める間もなく、手にした剣で喉を斬って自ら命を絶つ。
飛び散った虞姫の血のあとに、その後、きれいな花が咲いた。
悲劇の美女虞姫を偲んで名付けられたと伝えられる。その名も虞美人草(ぐびじんそう)。


多少、私が脚色しています。
参考は、京劇の『覇王別妃(はおうべっき)』と、
もうひとつは、今は亡き名優 レスリー・チャン主演・映画『さらばわが愛・覇王別妃』から。





にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ



myokasyo at 04:21|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 妙花 

2010年05月18日

「生ける気」を起こさせる路傍の草花

IMG_0015


「生ける気」を起こさせる路傍の草花。

その第一弾。
草藤(くさふじ)です。

もう何年も前から、路傍で見かけるたびに、
いつか生けてみたいと思っていたのですが、うちの近所にはありません。
見かけるのは、いつも隣の街を運転中の車窓から。

初夏の風吹く頃にもなると、生えているところではいっぱい生えているのに、
とにかくこちらの近所にはない。

こちらのほうが自然が豊富で空気もキレイだと思うのですが、
なぜか草藤は、隣の街の、とくに排ガスの多い道路際なんかに生えている。
植物の植生ってのは分かりませんね。

多量のCO2がなくてはやってゆけない... 

毒気を好む... 
ひと頃の私みたいなものでしょうか(笑

時代物、黄瀬戸の窯割れ陶片に一茎...



にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ




myokasyo at 00:13|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 妙花 

2010年05月14日

伝統の逆襲

伝統の逆襲―日本の技が世界ブランドになる日
伝統の逆襲―日本の技が世界ブランドになる日
クチコミを見る


さきごろ、
赤プリ新館が取り壊され、旧館は保存される...
というニュースを聞いて、
以来、始終ふつふつと考えていたのですが..

手仕事の...
「念が多くこもった...」ほうが勝つな...と、


今を遡る...バブル全盛の頃、乃木坂あたりで仕事をしていたので、
仕事に詰まってくると、勤め先のビルの非常階段に出てタバコ一本。息抜きをしながら、
よく夕日に輝いて聳え建つ赤プリを眺めました。
距離的には、近くにも見え、遠くにも見えるその姿は、学生時代に読んだカフカの「城」を思わせたものです。


新館が取り壊され、旧館は残される...
年代の差はあれ、いずれも時代の英知と技術の推を結集した建築であるにはちがいない。
いったい。何が残るものと、破壊され消えてゆくものを分けるのか?興味は深い..
機能を目的とされて創られたたモノは、目的を終えたところでモノ自体も御用済みとなるのか?
だが、それならば壊されるほうも残されるほうも条件は同じこと。
つまるところは...

人間(ひと)の手仕事の、「念」が多く入ったほうが勝つな...と、





にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ


myokasyo at 04:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 読みかきのこと 

2010年05月10日

花盗人(はなぬすびと)

IMG_00051



車で走っていると、
近くの農家のあちこちに、サヤエンドウが白い花を咲かせていて、
そろそろ膨らみだした豆のサヤをぶらさげています。
白花といい、蔓を絡ませるための細竹のテといい、
花生け人としては、「食べたいな」より先に「生けたいな」と思ってしまいます。

花盗人 ( はなぬすびと ) は罪にならない...といいますが、
かと言って、他人の畑に勝手に入って取ってくるというわけにもいきませんし。
遠くから見ていても、蔓の巻きつき具合などあまりに美しいので、つい惹かれてしまいますが、
瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず... 
人気がないとしても、他人の畑の近くをうろついてるだけでも十分怪しいので、
「生けたいな...」と思いつつ、今回は花屋さんで仕入れた白テッセンを入れました。

サヤエンドウはいまのところ、車の窓からちょいと盗み見する程度に...





にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ



myokasyo at 19:40|PermalinkComments(4)TrackBack(0) 妙花 

2010年05月09日

いただきものうつわ百選(その5

IMG_00126


台湾からの芸大生、曹亜希さん。
日本での留学期間中に数々の作品を残して、
新たにニューヨークでの活動を目指して飛び立った..
旅立つ前。
知人ばかりで餞別代りの彼女の作品オークションが開かれたのは、
もうかれこれ十年も前のこと..

そして彼女の作品が私の宅に二点残ります。
厳密にいえば「いただきもの...」というわけではありませんが、
何某かの対価で私が引き受けた一点は大型の水盤と...

もう一点がこれ..


IMG_00127


雲錦文様を金彩で絵付けした枕木に長細い舟形の焼き物を接合させたオブジェ。
焼き物は、おそらく信楽かと思われる土にビードロ釉の景色と、登り窯特有のカチンコチンの焼き締め。
そして、どの作品も、華奢な彼女の体に似合わぬ、
置き場所に困るほどの大きさと、持ち運びに著しく不自由する重量級.. 
など...いろいろ特徴がありますが、
いまのところネットで検索しても彼女の名はない。
どこでどうしているのやら..
きっと今もどこかで何かを創作しているにちがいないと..

彼女の情熱と魂は、幾年経っても少しも変わらず、いまもここに..

花はスノーボール、リラ..


若き芸術家たちに幸あれ。



IMG_00123




にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ






myokasyo at 00:33|PermalinkComments(2)TrackBack(0) いただきものうつわ百選 

2010年05月05日

「形」の効用

IMG_00010


カキツバタを頂きました。
この時期嬉しい。

「んじゃ、しっかり生けさせていただきます」とメールでお礼を送り、
久しぶりに葉組みをしようと心の中では決めていた...



およそ、牧場(まきば)の中での自由であるな...と、
思いはじめて「形」に厭気がさしたのは十数年も前の話であって、
「形」の世界から脱け出した...
牧場は長閑(のどか)で環境もよろしいが、
所詮、どこまで行っても中の羊が逃げ出せぬよう延々柵が敷いてある...

マニュアルというのはファーストフーズとともに欧米からやってきたものだと考えがちですが、
茶道にしろ華道にしろ、日本ほど極度に洗練されたマニュアルを伝統的に踏襲している文化もほかにない。
「形(かた)」とは、時間と根気しだいで誰がやっても均質な作品をつくれるようにできている。

「形」と「柵」とは、中にいるものにとってほとんど意識しない...と、いうところがよく似ていて、
逆にいつのまにか柵がなくなっても飼われていた羊たちは逃げ出そうとしない。

長い歴史の中で形成された「形」にはゆるぎない不思議な安定感を持つ...
だが反面、そこに安住するのはは「諸刃の剣」だ...と、若気の至りでそう思った..


ところで、最近読んだ、意外なジャンルの本の中で「形」について触れていて、やや心に思いあたることもあり。

ここのところ、多少、「形」についての了見をあらためる...






にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ




myokasyo at 07:18|PermalinkComments(6)TrackBack(0) 妙花 

2010年05月01日

年一輪(ねんいちりん)

IMG_0020^


私が、「ねんいちりん」...というと、
すぐ安い利息の話かと思ってしまわれるかもしれませんが...(笑)
そうではなく、うちの玄関先のプランターで咲く山芍薬(やましゃくやく)のことです。

茶道を習っていた頃、京都・東寺の弘法さんの市で、鉢植えで買ってきたもの。
実家の花壇に植えていて、その後、引越ししたので置き去りにされ、忘れられていたのです。
ところが、何年か前、実家を訪れたときに、荒れ放題の花壇の中で絶えもせず、たった一輪咲いていた。
私は不精で花壇の手入れを怠ることがありますが、実家の母親は花壇とか、土弄りそのものをしない...

「このままじゃ、いつか絶えるだろうな...」

そう思い。スコップで根から掘り返し、今住む自宅に持って帰ってきてプランターに植え替えた...
それから毎年、この季節になると窮屈なプランターの中でたった一輪、花を咲かせます。
一花・年一輪(いっか、ねんいちりん)の再会。

「たった一輪...」という存在は、なぜか、どうしても切りためらいがちです。

でも今年は白竹の一重切りにそっと...



にほんブログ村 花ブログ 生け花・華道へ





myokasyo at 13:11|PermalinkComments(4)TrackBack(0) 妙花