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商標一筋、実務経験15年目の中堅弁理士が「使える審決・判決」を実務目線でピックアップ。いざ意見書を書く際に自分自身が使いやすいように体系化していきます。

カテゴリ:識別力 > 多義語

【ここに注目!】
請求人は、本願商標の構成中の「UK」の文字は、一般的には「イギリス」を指すものであるが、請求人を欧文字2字で示す場合の文字としても、業界内にも浸透している旨主張し、それを裏付ける証左として甲第3号証を提出する。

しかしながら、商標を観察するにあたっては、その指定商品との関係からその構成文字の意味合いを考察すべきであり、本願の指定商品である「ウロキナーゼ固定化抗血栓性スリット型排液用カテーテル」の取引者及び需要者は、医療について専門的な知識を有するものといい得ることからすれば、前記第3の1における「UK」の文字の医療関係の事典類への掲載例からみても「UK」の文字、「ウロキナーゼ」の略語として捉えるものとみるのが自然である。

【実務への応用】
多義語であるので特定の意味を看取させないという主張は識別力を肯定する主張としてよく用いられますが、あくまで指定商品との関係を踏まえた時に多義的である必要があります。何でも複数の意味があればよいという訳ではありません。

【適用条文】
3条1項3号

【ここに注目!】
本願商標は、姓氏の一つである「泉」のみを想起させるものとはいえず、「地中からわき出る水」「地名」等の複数の意味合いを想起させるものであるから、単にありふれた氏普通に用いられる方法で表したものと認識させるものとはいえない。

【実務への応用】
ありふれた氏も識別力ナシとして登録されません(3条1項4号)
反論方法としては、電話帳や人名辞典を使って「ありふれていない」という主張をしたり、他の識別性事案と同じように多義的であることを主張することが一般的です。

【適用条文】
3条1項4号

【ここに注目!】
コロッケは、(中略)その原材料に種々の食材を混ぜることで特徴を持たせたコロッケが販売されている事実又は料理のレシピなどで紹介されている事実は認められるが、果実をその原材料に使用することが一般的である事実を見いだすことはできない

そして、「ビワ」の文字部分は、果実の名称としての「枇杷」以外に、楽器の名称である「琵琶」を想起させるともいえるものである。

してみると、本願商標をその指定商品に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、
その構成中の「ビワ」の文字が「枇杷」を表してなるものと直ちに把握、理解するとはいい難い


【実務への応用】
複数のポイントが織り込まれた主張です。
まず、「コロッケ」に果物は使わないから「ビワ」→「枇杷」にはならないという点。
次に、「ビワ」は多義語で「枇杷」だけでなく「琵琶」も考えられるという点。

経験的に、このように複数の主張を積み上げることができる場合は勝率が上がります。

【適用条文】
3条1項3号


【ここに注目!】
その構成中の「せんよう」の文字は,「特定の目的・対象だけに用いること。」の意味を直ちに理解されるとはいい難いから,本願商標が,原審説示の如き意味合いを認識させるということはできない

【実務への応用】
「かんたん〇〇」については「かんたん」=「簡単」を認識させるとした審決が最近ありましたが、本件は「せんよう」=「専用」を認識させるとは言えないという正反対の結論になっています。

正直、この結論の差がどこから生まれたのか分かりませんが、こういう判断もあるということで、必要なときに引き出せるようにしておくしかありません。


【適用条文】
3条1項3号

【ここに注目!】
「かんたん」の文字から複数の意味を生じる場合があるとしても,本願商標をその指定商品に使用した場合においては,これに接する取引者,需要者は,別掲に示した取引の実情(「かんたん〇〇」が「簡単に着れる〇〇を示すものとして一般的)により,本願商標全体として「簡単に着られる(着付けられる)ゆかた」であるという,商品の品質を表示したものと認識するというのが相当


【実務への応用】
識別力を肯定する論拠として、多義的な語は特定の意味合いが定まらないので、直接的・具体的な意味合いを看取させないというものがあります。

本件もそのロジックに乗って主張しましたが、指定商品が「浴衣」であることと、「かんたん〇〇(商品名)」が「簡単に着れる〇〇(商品名)」として一般的使用されている事実から、「かんたん」=「簡単」と判断されました。

 

多義語の識別力を否定したい場合に参考になります。

【適用条文】
3条1項3号



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