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商標一筋、実務経験15年目の中堅弁理士が「使える審決・判決」を実務目線でピックアップ。いざ意見書を書く際に自分自身が使いやすいように体系化していきます。

タグ:商号商標

【ここに注目!】
本願商標は、その構成中に「株式会社」という法人格を表す語を含むことから、その構成全体をもって、いわゆる商号商標として理解、認識されるものである。
そして、商号商標に商品又は役務の識別機能を果たさせようとする限り、商標を一体的にとらえるとみるのが相当であって、本願商標は、たとえ「株式会社」の部分を省略して「エーピーアイコーポレーション」と略称されることがあっても、その構成から更に「コーポレーション」の語を省略し、「エーピーアイ」の文字部分のみを抽出して、「エーピーアイ」と称呼されるとみるべき特段の事情は見いだせない。

【実務への応用】
商号であれば「商標を一体的にとらえる」という考えに基づいた判断です。
商号商標を出願する場合で分離判断されたくない場合は「株式会社」を加えて出願すれば反論の糸口が一つ増えることになります。

【適用条文】
4条1項11号


【ここに注目!】
いわゆる商号商標の場合、この文字部分は、株式会社組織の法人を表すために商号中に使用される文字であるところから、商取引の場にあっては、しばしば、「株式会社」の文字部分を省略した称呼をもって取引に供される場合があることも少なくないものと認められる。
そうとすれば、本願商標は、その構成全体から生ずる「カブシキガイシャコープソウサイ」の称呼のほか、「コープ葬祭」の文字部分に相応して、「コープソウサイ」の称呼をも生ずるとはいえても、これを更に、「コープ」とのみ略称することは、最早、名称としての同一性を全く喪失することになるから、格別の理由がない限り、通常はあり得ないことというのが相当である。

【実務への応用】
「商号」も自他商品・役務の出所機能を果たす限り「商標」として登録を受けることができます。しかし、通常の商標と違って、商号の類否判断には独特の論理があります。

「名称としての同一性を全く喪失する」ような無理な分離はしないというのもその一つです。

【適用条文】
4条1項11号


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