【ブランドHP】OVERDRIVE


【概要】
「対馬馨」は祖父、父共に医者の裕福な家庭で自身も進学校に通う優等生だった
しかし、トラブルから学校を退学することになり、現在は定時制学校に通っている

また、定時制の学校に通う傍ら応募した地方の小説大賞で準入選を果たすが
退学した学校の後輩が入選を果たし注目される様を見て純粋に喜べずにいた

そんなある日、彼の書いた作品に感銘を受けたインディーズレーベルの代表から
バンドのライブについてレポートを書いてほしいと依頼されることになる

今までライブやロックというものに殆ど触れてこなかった馨だったが
バンド「花鳥風月」の生演奏に一発で魅入られてしまいファンになってしまう

しかし、「花鳥風月」はそのライブを最後にメインメンバーの一人が独立を発表
それを機に花鳥風月のバンドリーダー「花井是清」はあっさりとバンド解散を決意

周囲に惜しまれる中、馨は是清が音楽をやめてしまうのをあきらめきれずに説得し
そんな熱意に押されたのか、是清はボーカルの才能がある妹の「三日月」を呼び
馨にギターを教えて、是清作詞作曲のもとバンドを結成することを提案する

この出来事を機会に馨はバンド活動にのめりこんでいくことになるが……


本作は最終作としてクラウドファンディング(CF)で集められた資金で作られました
私はCFには入金しておらずパッケージ版として後で購入しています
この為、ほかの方法で手に入れた方とは多少違う部分があるかもしれません



【システム/仕様】
・画面比率16:9
・キャラ別音声切り替え

最近はあまり見ないビジュアルノベル形式です、システムも最低限
1ページの文章による情報量がかなり多く取れることがメリットですが
本作では一つのセリフで5行以上の長い台詞が何度となく見られます

本作は一気にセリフが表示されるタイプで1クリックで5行も6行も表示されます
一気にまくしたてる演出ならともかく、何度となく見掛ける書き方ですので
ADVと同じ感覚でクリックしてると一気に文章が出てきて戸惑うかもしれません

ヒロインは4人、選択肢が多くヒロインではなく行動の結果分岐するタイプです
保守的な考え方をもっていると定時制学校から抜けることができません



【雑感】
クラウドファンディングで資金が集められて盛り上がりが話題を呼んだ作品
速攻で目標を達成しを最終的に大幅に予定額を上回ってゴールしており
熱心なファンからの注目度の高さがうかがえる作品となっていました

価格はミドルプライスながらボリュームとしてはハイプライスに遜色なく
4人いるヒロインのシナリオにつちてはいずれもしっかりと作られています
システムなどの面はVNのというジャンルを考慮しても一時代前に感じます

ライターの名前で察せる方もいるでしょうが、ビターなルートもあり
ヒロインのビジュアルが気に入ったからという理由で手を出すのは少し危険です
特に主人公とヒロインがハッピーなエンドでないとダメな人には厳しいかと
そもそも、OHPをみても攻略対象のヒロインが誰かわからないんですけどね

パッケージで購入した場合最初から「R18版」となりますが、名の指すとおりに
別に「R18版」でなくても成り立つ作品となっていることもポイントになります
すめらぎ琥珀先生が原画を担当されていますがH方面で言えば弱いかと思います

一番はライターのファン向けですが、クラウドファンディングなり予約なり
アンテナに引っかかってないということはないと思うので言うまでもありません

ルート毎に様々な形でバンドに携わっていき、それぞれ雰囲気が違いますので
青春モノともいえずかといって大人の世界の話とも言いきれない感じですが
バンドを題材のキャラ萌えによらない作品に興味惹かれる人ならばというところ

【ヒロイン】
■花井三日月
花井是清の妹でアルビノ体質であり自称「引きこもり」の割と直情的な少女
生活能力が非常に低くバイトは面接で落ちるかほとんど続かないポンコツタイプ
金田という比較対象がないとどうしようもないが、いるからまだ可愛げを感じる

是清の提案で馨とのバンド「Dr.Flower」のボーカルとして北海道から招かれる
是清の突然の死によりデビューもなく一度限りの歌を披露するだけで終わるが
馨が学校をやめてバンドを立ち上げる際にはあっさりと召集に応じることになる

生活能力の低さもだが、バンドに対する要求の高さや、自分への失望などの言動は
非常に是清に似通っており、なんだかんだと兄妹を匂わせる部分が見られます
シナリオ中でも是清と馨は似てない、三日月と是清は似ているとは言われますしね

三日月は面白いキャラなのですが、ヒロインかというとよくわからん娘でした
最後の最後でヒロインとして降りてこない感じで、不思議要素が抜けませんでした
最初から好感度が高いというのも謎です、出会いから葬式までスキップ気味ですし

話は自分たちの音楽とどう向き合うか、是清の残した言葉をどう受け止めるか
という感じですね、その答えが見つからないまま成功してしまった馨達にとって
アシッドアタックは不幸な事故ですが、結果的に考える切っ掛けとなりました
ある程度自分の中で是清の残した言葉を噛み砕けたのは澄との対象でしょうか

最終ルートでHシーン2回ありますが、三日月のヒロインルートという感じではなく
MUSICUS!というお話の一つの締めという感じになっているかなというところです



■尾崎弥子
中学生時代の後輩であり、定時制高校では同級生となった誰にでも優しい少女
馨に対して特別な行為を抱いているのははたから見ても明らかなレベル

バンド活動をやめて、定時制学校を卒業して将来に向かっていくお話
バンドをやめるか学校辞めるかの2択しかないのが馨の生きざまになります
定時制学校メンバーでバンドをやる青春的なシーンがメインのようですけど
馨としては可能な限りバックアップだけで済ませようと参加を避けており
結局やってしまうけど、思いっきりやっていない感じは出ていますね

すっぱり辞めるというには、やめるやめないとダメと自己暗示し続けますが
自分がのめりこんだらトコトンやってしまう性格だというのを理解しており
しつこいぐらいにやったらダメといのうことがさんざん語られることになります

周囲の人間は多才で器用な馨に本当にやりたいことをやればとい推してきて
嫌でも無理して普通に収まろうと言い聞かせる折り合いをつけようとします

ヒロインは純粋にいい娘で、この娘はこの娘で色々と折り合いをつけた娘です
唯一まともにヒロインとして結ばれてエンディングを迎える娘となっています
可愛い娘ですけど、物語の登場人物として映えるのは振られるシーンですかね


■香坂めぐる
ベースを担当していた「花鳥風月」の唯一の女性メンバー
花鳥風月が突然の解散を受けた後は、友人「」とバンドを転々としていた
とにかくバンドで演奏をすることに重きを置いており、演奏が楽しめるかが全て
興味がないことにはとことん興味がなくその場で寝てしまうこともある
ふわふわした雰囲気で笑顔を絶やさないが人間関係は非常にさっぱりしている

本作は全体的にヒロイン志向ではなくシナリオ志向みたいな傾向なのですが
特にという感じで、バンドメンバーとのとある1イベントぐらいの印象ですね
途中でセックスこそするもののこのまま関係は続けども結ばれるか?というと
ヒロインではなくめぐるの背景が見られるシナリオという感じになっています

このルートでは大成功とは言えず今はなんとかやっていける状態ですので
ひたすらバンド活動を音楽をやり続けた先にあるものはみたいなのも有りそうです


■来島澄
OHP上などでは紹介されていないヒロイン(?)、本作では唯一のビターな展開
三日月が抜けドラムが限界を迎えたことを堺にDr.Flowerを解散し一人となった馨
路上ライブが日課となった馨の前にある日弁当を差し入れてくれる女性が現れる

様々なしがらみや関係を絶って一人でひたすら音楽に専念することになった馨
そんな中でどんどんと音楽は作れなくなり次第に心は荒れて行くことになる

他でもその傾向はありますが、このルートではヒロインとの関係など含めても
ダイジェストのようにあっさりと流れていきます、セックス、同棲、食事
猫、妊娠そして……という感じで、一度は中絶を言い渡した馨は金田と話をして
是清の死から10年という事実を告げられて現実に帰ることができたように思えたが

気づいた頃には遅く、運命の悪戯により戻れる術を失ってしまった馨は
再び終わりの見えない音楽を作り出す作業へと戻っていくことになる

三日月が成功ルートならこっちは大げさな方に最悪に突き進む厳しい現実ルート
最後は逆ご都合主義的な部分もありますね、実際に澄が生きて帰ってきて
産むことを許可したあと、軌道修正できたかというと微妙なところでしょうけど
澄は弥子と並んで数少ない結ばれるヒロインなのでこの結末は思うところがあります


【Hシーン】
・花井三日月:2
・尾崎弥子:1
・香坂めぐる:1
・来島澄:1

回想シーンは9枠ありますが4枠がEDムービーなのでシーンは5枠なのですね
ほぼ1人1回ずつということでそれ目的の方はいないと思いますが期待は酷です

馨は学生時代に経験を済ませており、一応ながらも経験者となりますが
ヒロインは基本的に処女ですし1回ですのでマニアックなプレイはありません

コンドームにたまった精液を眺めるヒロインとかはあまり見ない描写です
少し特殊なシチュエーションがあるとはいえ描写が濃いわけではありません


【まとめ】
そういう目的で手を出したつもりはないですが、懐かしさを感じる作品でした
VNというジャンルもですが、演出とかシステムも少し古めのものですね

実際に音楽を鳴らせるADVで楽の感動をリンクさせるのは鬼門と常々思っていて
音楽の持つ凄みを実際にゲーム中の音楽で表現できないと説得力がないと感じます
「花鳥風月」による生のバンド演奏で馨は価値観を大きく動かされていますし
「Dr.Flower」の三日月のボーカルは多くの人に高く評価されてはいるのですけど
その大げさな評価に見合う音楽かというとそのあたりは好みの問題でしょうか

本作において特に馨にとって絶対的存在となる花是清では受け手側の問題で
バックストーリーとかを保管して完成されるみたいな話もあるわけですけど
その辺り元より懐疑的な私が受け入れられなかったという点もあるかも知れません
とはいえ、演出面で上手いとも言いにくく、感動できる背景がほしい部分もあり

めぐるシナリオで語ったようにシナリオがメインで担当ヒロインがいる
という形に思えました、ヒロイン目当てで手を出す作品ではありませんね
解釈はそれぞれでしょうがヒロインと付き合い結ばれる物語というのではなく
物語の過程の中で親しいヒロインとHをすることもあるぐらいのノリになってます

全体を通してバンド活動をする上で様々な方向から付き合う姿が描かれていました
学生での思い出で終わるのも大成功するのも細々とやるのも転落するのもですね
どれがいい悪いではなく(一つはひどい状態ですが)それでもなんだかんだ生きていく
そんなバンドマンの人生を馨という人間を通じて見るお話というところですかね

来島澄だけはBADのような雰囲気ですが、基本的には周囲のキャラもあって
明るく描かれているので、ライターで変に構えず手を出してもよいでしょう