2009年03月

2009年03月19日

既婚の男 その後−05

別なある日の夕方。

食事を終えるとそのままRさんの家に向かった。奥さんはまたもや帰省中。

勝手知ったる他人の家とはこのことだ。僕が冷蔵庫からビールを出すうちに、Rさんがグラスを用意する。コンビニで買ってきたしたつまみをRさんが差し出す皿に移す。見事な連係プレイ。

ちなみに、既婚者の家で食器に触るのは禁物である。

僕としては良かれと思って、食器を洗ったり、さらには、食器を使ったことすらバレない様にするために、その食器を棚に戻したりしたことがある。Rさんちじゃない別の既婚者宅で。すると後日、水切りかごに乗せられた食器を見て「あなたはこういう並べ方はしないわよね…?」、食器棚を見て「このお皿使った? 私こんな置き方してたかしら?」とチェックが入るそうなのだ。女の勘、恐るべしである。

そしていつものように、これはこうしようねと言いながら、棚に置いてある写真立てを裏返しにする。Rさん夫婦の写真だ。

あっという間に数本のロング缶が開き、焼酎のロックに切り替わった。

「Zちゃん、腹減ったでしょ」
「え!? さっきそば喰ったばっかりじゃん」
「足りなかったんじゃない」
「そうだけど、もう今日はいいよ」
「ピザとろう、ピザ」
「これからピザ!? 焼酎には合わないって」
「いいじゃん。頼もうよ」
「…いいけど、Rさん食べきれる?」
「ん?…そうだ、友達呼んでいい?」
「いい?って、この部屋に呼べる人 他にもいるんだ」
「ん、うん。近所だし」
「え?」
「Zちゃんちの近くだと思うよ」
「公園系?」
「違うよぉ」
「大丈夫なの?そんなにいろんな人呼んで。近所の目もあるでしょうに」
「大丈夫、大丈夫。三人で食べよ」

30分後、ピザと友人がほぼ一緒にやって来た。

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2009年03月18日

既婚の男 その後−04

エレベーターに乗り込む。この時間のチェックアウトは避けたかった。予想通り、4階と2階でエレベーターが止まり、それぞれ2組と1組のゲイカップルが乗り込んできた。小さいエレベーターに互いに見知らぬカップルが4組。おまえ昨日こいつとヤッたんだ。おまえこそ。互いに値踏しているかのような、何となく漂う気まずい雰囲気が嫌いだ。いや、この雰囲気が実は好きだと感じる自分が嫌いだ。

駅向かって歩き出す。昨日の大雨がウソのようだ。今日は祝日。新宿の街は、健全な賑やかさが溢れかけようとしていた。

食べるといっても中途半端な時間。所謂レストランはまだ開いていない。仕方なく、駅ビルの地下改札近くにある喫茶店に入る。コーヒーを頼むと、パンとサラダが80円でつけられる。そんなモーニングを出すような喫茶店だ。

街に出る前の親子連れやカップルが何組か座っている。我々が入って行くと、ちょっと怪訝な顔を向ける奴もいた。テーブルにつきお互いの格好を改めて見て、その怪訝な顔の訳を知った。

祝日の晴天の朝に相応しくない人が僕の目の前に座っている。

よれよれのスーツ、だらしなく結んだネクタイ、寝グセ、寝不足の目、疲れた顔、雨傘。僕もスーツこそ着ていないが似たようなもの。僕たち二人は朝帰りです、昨日は寝ずにヤリまくってました、と顔に書いて歩いているようなものだ。

「別にもういいよね? 事実なんだし」

僕たちは悪の同盟を結んだもの同士の如く、ついさっきの約束も忘れ、誓いの盃 いやビールを交わした。

n3103 at 11:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 「既婚の男」 

2009年03月16日

既婚の男 その後−03

椅子に、テレビに、テーブルに脱ぎ散らかしたままの二人の服が掛かっている。時計は冷蔵庫の上だ。枕もとには小銭。鞄の中身もあちこちに飛び出している。ビールの空き缶も何本か転がっている。記憶を無くしてなおビールを飲んでただなんて、自分が信じられない。ベッドのシーツは乱れ、布団は床に。

そう言えば、大酔っぱらいのままヤッた気もする。顔を見わせ、同時に、
「ヤッたっけ?」
と問いかけ、同時に溜息をつく。

「しばらくやめようね、酒」
「ですよね」
「とにかく出よ出よ。ここにいるとおかしくなっちゃいそう。もう10時になるし」
「財布とか、ちゃんとある?」
「…かな」
「かな、ってちゃんと確認しなきゃ」
「はいはい」
「それにしても、二人ともけっこう酔ってて、よくホテルに入れてもらえたよね」
「…。最近よく使ってるからじゃない?」
「え? Nの常連って、いいのかな」
「いいのいいの。さ、行こ行こ。なんだか腹減ってない?」
「ちょっとね。たぶん昨日食べたの全部吐いた気がする」
「汚ったねーな」
「本当に忘れモンない? ってか、何か落としたり盗られたりしてないよね?」

缶ビールのレシートから判断するとホテルに入ったのは1時過ぎ。時間的にOちゃんの店からそのまま来たようだ。しかし何も覚えていない。深く反省しつつ、部屋を出る。503。5階だった。

n3103 at 15:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 「既婚の男」 

2009年03月14日

既婚の男 その後−02

「Rさん! ねぇRさん、大丈夫?、ねぇ、ねぇ、Rさん!!」
と、かすかに首が動いた。
「大丈夫! Rさん!」
「うあ゛――、痛たたたっ」
起き上がるRさん。
「よかったぁ。殺しちゃったかと思った」
「はぁ? 殺し? え、どこ、ここ」
「わかんない。けどNかな」
「はぁ? 何でここに…」
「覚えてない」
「俺、何で床に寝てたの?」
「知らないよ。僕、浴槽で寝てたもん」
「はぁ?」
「怪我してないよね?」
「多分。何で?」
「風呂場に血の跡があったから」
「はっ!?」
「だからぁ、怪我してない?」
「してないと思うよ。それよりなんでここにいるの?」
「だから全然覚えてないって。Oちゃんのお店にいたのは覚えてるけど」
「だよね。Oちゃんとこいたよね」
「でもあとは覚えてない」
「あそこですんごい日本酒飲まなかった?」
「そんな気がする」
「だよね…」
「…」
「どうする?」
「…」
とりあえず事件性はなさそうだ。二人とも怪我はしてない。ま、どう考えても自分たちの意思で来た以外に考えられない。
「帰ろっ。って今何時? あれ? 俺の時計は…」
そう言われてあらためて部屋を見渡すと、泥棒が入ったかのようなありさまだ。

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2009年03月12日

既婚の男 その後−01

既婚の男はRさんという。もともと残業や仕事上の付き合いも多く、普段から家に戻るのは10時、11時があたりまえらしい。僕と会うようになってからも特に不審がられないようだ。

一緒にいる時間さえ楽しめればそれで満足。むしろ、べったりした関係は望まない。既婚者が望んでいる二人の関係は、僕にとっても新鮮であり、案外満足出来るものであった。比較的、いや、かなりの量を飲める二人にとって、同じペースで酒を楽しんでくれる存在も貴重だ。

学生の身分では行けないような店、例えば値段の高い店、大人の雰囲気の店、サラリーマン御用達の店にも連れて行ってくれた。仕事がらか行動範囲が広い。総武線、中央線、山手線、小田急線、京王線、京浜東北線。僕が一度も降りたことのない駅々での待ち合わせは、旅行に出ているような楽しさも感じさせてくれた。

二丁目でも顔が広いようで、なじみの店も非常に多かった。いわゆる老舗系から、マニアック系、フケ専系、若専系まで。Rさんと一緒だと、どこにいっても店の人やお客さんにすぐ覚えてもらえた。

喰って飲んで気分がよくなったら、ホテル。二丁目界隈はもちろん歌舞伎町や、上野・浅草のホテルまでフットワーク軽く利用した。

ある日の朝。

目が覚めると、空の浴槽の中でうずくまって寝ていた。裸で。頭が痛い。ここがどこなのか、なぜここにいるのか、今がいつなのか、何もわからない。

起きあがってみると、ユニットバスの床に血を拭いた跡が生々しく残っている。思わず、ケツに手をあてがう。が、出血している様子はない。背中や肛門のあたりを鏡にうつしても怪我はしていないようだ。

恐る恐るユニットバスを出る。どこかのホテルだ。たしか昨晩は二丁目にいたはず…と、床に人が倒れている! 浴衣を着て、うつぶせで。

死んでる!? 風呂場の血は!

恐る恐る近づき、顔を覗き込む。Rさんだ。
「Rさん! Rさん!」
返事がない。やっぱり死んでる!

n3103 at 16:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 「既婚の男」 

2009年03月11日

ハッテン場の男 映画館−19

「はぁ、何か」
「今日はお巡りが二人組で回ってるから気ぃつけたほうがいいよ」
「え? あ、はい」
「あっちの便所のところで職質されてる奴いたから。じゃ、ま、せいぜい楽しんで」
そう言うと行ってしまった。
「たぶんコッチの奴だな。ご親切に教えに来てくれたみたいだ。ここもハッテン場になってるから…。時々職質されることあるんだよ」
「…びっくりしたぁ」
「ハハ、そうだよな。ま、社会勉強かな」

彼は足もとの二つのコンドームをティッシュに包み、窓から茂みに向かって投げ捨て車を出した。3台前の車を通り過ぎる時、中を見る。やはり男二人だった。

駅に近づくと、まだまだネオンが明るい。言いようのない後ろめたさのためか、その明るさに尋問されているような気がした。

駅南口の陸橋を越して、三越の裏手に車が止まった。

「どうだった? はじめてやってみて」
「うぅん。よくわかんないです」
「そっか。そうだよな」
「…」
「もう電車ないだろう。タクシー使って帰れよ」
「え?」
「ほら、5000円あれば足りるだろ」
「いえ、そんな。大丈夫です。歩いて帰ったこともあるし」
「いいから。いいから。引きとめたの俺だし」
財布を見せながら、
「ほら、こんなにあるんだから大丈夫。店の売り上げだけどね」
「え、そんなのもらえないですよ」
「ハハッ。大丈夫だって。俺の店だから。俺、店持ってるのね、=地名=に。美容師やってるんだ。3人雇ってるんだよ」
「えー、すごいですね。東京でお店持つなんて」
「そんなことないさ」
「へぇー。すごいな、すごいな」
「だから、タクシーで帰れって。疲れてるだろ。ウロウロしてたら、また変な奴につかまっちゃうぞ」
「ハハァ…。はい、じゃ、そうさせてもらいます」
「そうだ、もしもう一度会いたいと思ったら、ほらあそこ。○○って看板わかるか? そこの赤い看板の2階の…」
「あ、はい」
「あそこに来週、一週間後の夜来いよ。俺がときどき行く普通のバーだから」
「は、はい」
「いいか? 8時頃には、いるから」
「はい。…じゃ、帰りますね」
「おぅ、気ぃつけて」
「ありがとうございます」

僕は甲州街道を歩きだした。タクシーには乗らなかった。今から歩いて帰っても2時半には着くはずだ。途中で、もらったお金で酒を買い、今晩中に飲んでしまうつもりだった。

<「ハッテン場の男 映画館」おわり>

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2009年03月10日

ハッテン場の男 映画館−18

「あぁ、イキそうだ。はぁぁ、あぁぁ、イク、イク、ア、アァ、オォーーー」

僕の手が、コンドーム越しに、新たな熱さを感じた。

二人とも裸のまましばらく座っていた。呼吸を整える音がするだけで、二人とも無言だった。ついにやってしまった。男と経験してしまった。フェラチオだけでも初体験というのだろうか…。済んでしまえば、一瞬のことである。と、前の方から誰かが自転車でやってくる。彼も気づいたようだ。

―え!? 警官? やばい!!

そんな僕の様子を見て、
「黙ってて。ズボン穿いちゃって」とささやく。
「…」
緊張でうまくパンツを引き上げられない。完全にチンポは縮みあがった。
「シャツも着ちゃえ」
とりあえず、Tシャツだけ被った。裏表が逆のようだけど、気にしていられない。息を殺して、自転車の動きを見ている。するとそいつは、3台前に止まっている車の窓に顔を寄せ何ごとが声をかけている。警官だろうか? でも制服ではないようだ。

「何か聞かれたらオレが答えるから…。適当にうなずいてて」
「…はい」
とんだことになってしまった。

3台前の車から離れた自転車は、まっすぐ僕たちの車に向かってくる。警官ではないようにも見えるが…、目が合った。唾をのむ。自転車が止まり、運転席側の窓ガラスがノックされた。

少し窓を開けると、その隙間から僕の方を覗きこんでくる。そいつはニヤリと軽く頷きながら、
「今晩は」と声をかけてきた。

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2009年03月05日

ハッテン場の男 映画館−17

「は、恥ずかしいですよ」
「何言ってんだよ。いまさら。…にしても凄い量だね。溜まってた?」

―こんな会話を見ず知らずの人と普通するものだろうか。

「これ越しだったけど、いっぱい出てくるのがわかったよ」

―だから、そんなこと言われても恥ずかしいって。

彼は、シャツを脱ぎ、自分でコンドームをつけはじめた。

「イッた後に咥えさせるのは可哀そうだから…、手でやってくれるか?」
「え!?」
「ほら」

身体を運転席側に引き寄せられ、手を彼のチンポに持っていかれた。この状況に半分醒めつつ扱き出す。

「もっと速く、手全体で。…ああ、気持ちいいよ。手のひらに唾付けて扱いてみて。オ、オォ。乳首も舐めて。早く。…手 休めんなよ。…。そうだ。ああ、気持ちいいよ」

本当に不思議だった。初めて会った人の口の中で出した自分も不思議だし、僕なんかに扱かれてチンポおっ立ててる彼も不思議だった。

前の方に目をやると、高層ビルの下の方が見えている。部屋の電気がところどころついている。

―東京の夜。こんなことがあちこちで行われているのだろうか。

「乳首も舐めて」

―東京ってすごいなぁ。

「もっと舌使って。そう。あ、イイ。もっと強く扱け」

―自分はコッチの世界の人で間違いない? この人たちと一緒で本当にいいの?

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2009年03月04日

ハッテン場の男 映画館−16

「は、…はい。あー、凄く気持ちいいです」
「ほら、もっと扱いてやるよ。声出せ。誰も聞いちゃいないんだから」
「ア、アァ、アハー、ハァン」
「気持ちいいだろ。男もいいだろ?」

―イッていいのかな? 男にやってもらってイッていいのかな? 完全に仲間入り?

自分の手は何もしていないのに、どんどん気持ちが良くなっていく。

「なんか、イッちゃいそう」

彼は一度口を離すと、ダッシュボードからコンドームを取り出し、手際よくつけた。そして再び咥えるのだ。

「しゃぶっててやるからこのままイケよ」

じゅぶじゅぶ、ずちょずちょ。大きく頭を前後させ、同時に手でも扱かれる。いつもやっている普通のことであるかのように。

「あ、ああ、イキそう」
「いいぞ、イケ」
「はぁ、あん、んん…」
「思いっきり出せ」
「はぁ、ア、イクッ、イッ、アアアーーー」

すごく長い時間かけて放出していたような気がする。僕は彼の口の中でゴム越しに果てた。全てが初めての経験だ。

「どれ」

彼は、精液が漏れないように丁寧にコンドームを外し、口の部分を結わえた。

「はら。おお、すげぇ出したな。君のザーメンだよ」

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2009年03月03日

ハッテン場の男 映画館−15

「そうだ。歯たてるなよ。舌の上にのせるんだ。どうだ」

―これが他人のチンポ? ちょっとしょっぱいし、ヌルヌルする。

「頭動かしてみろ。…そうだ。舌全体で包むようにして。おぉ、…気持ちいいよ」

これ以上どうしたらいいのか分からなかった。

―はやく時間よ過ぎてくれ…。

余計なことを考えずにしゃぶり続けた。漏れだした唾液と先走りで口の周りがドロドロになり、顎の関節がしびれてきた。

「どうだ? はじめてのチンポの味は」
口を離す。
「…」
「すぐ慣れるよ。そのうち欲しくて欲しくてたまんなくなるさ」
「…」
「そんな顔するなよ」
「…」
「どれ、俺がもっと気持ちよくさせてやるから」

自分が咥えたことによって、されるフェラチオが実感として感じられるようになった。チンポの先がとろけるような、蜂蜜に浸かっているような、チンポだけが体から離れて異次元空間に迷い込んでいるような。とにかく、今までに経験したことのない気持ちよさを感じ始めた。

彼は僕のを咥えながら、手で玉を揉み、竿を扱きもしてくる。次第に上り詰めてきた。

「気持ちいいか?」
咥えたまま聞いてくる。
「ウ、ウン」
咥えられたまま答えた。
「おいしいよ…」
「…」
なんて答えればいいのか分からない。
「男に咥えられるの初めてなんだろ?」
「はい」
「スゲェうまいよ。俺もギンギンだよ。ほら」
右手が彼の股間のほうへ引っ張られる。
「あ…」
「なっ。俺とのこと忘れんなよ。初めてなんだから」

n3103 at 09:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 「ハッテン場の男」