2008年12月08日

Sの男たち きっかけ−03

sm4僕がAさんにそうお願いしたことはない。Aさんから尋ねられたこともない。今までの二人の時間の中から見抜かれていたのだろうか。野外や始発の電車の中、そんなスリリングな場所で要求される尺奉仕や露出を拒否したことはなかった。荒々しいセックスもごく自然に受け入れていた。そして何より、二人を結びつけてくれたOさんのバーは、SMの要素も含むバーだ。

緊縛。惹かれる響きだと思う。雑誌やビデオで見る、縛られた、吊るされた姿に、他のどんな痴態よりも興奮もする。ある種の憧れさえ感じる。

その一方で、無防備な状態にさせられることへの恐怖も存在していた。さらに言ってしまえば、SMって変態じゃないの? 踏み込んだら、ノーマルなゲイではなくなるんじゃないの? 少数派の中の多数派ではいたい気持ちもあった。

過去にはSMハッテン場に足を向けたこともある。でも、果たして初心者の僕にちゃんと手加減をしてもらえるのだろうか…、そう思って扉を叩かなかったのだ。

そして今日、信頼できる人になら縛られてもいい。その覚悟でAさんの家に向かっている。

家に着くなり、タオルと六尺を無言で手渡すAさん。いつもと雰囲気が違う。

言葉を交わすこともなく、浴室に向かう。シャワーを浴びても、これから起こるだろうことを想像して、完全に勃起状態のままだった。治まらないまま赤い六尺を身につけ、寝室に入った。クーラーがやけにきつく感じる。

部屋に入ってすぐAさんと向き合う。やはり無言で、後ろ手に持っていた手拭いで目隠しをされた。いきなり奪われた視界。いよいよ始まる、違う世界に一歩踏み出す、そんな期待と恐れが入り混じる。猿轡をかまされ、首に縄が掛けられた。

初めての感覚に皮膚が反応し、鳥肌が立った。もちろん歓びのだ。六尺の中身はキツク勃ったままだ。

――元気がいいな、縛り甲斐があるよ。

n3103 at 18:25│Comments(0)TrackBack(0) 「Sの男たち」 

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