2009年01月09日

Sの男たち はってん−01

kuchiその後は、Aさんと二人で時間を過ごすことは無くなった。年に数度、昼間に会って一緒に食事をする以外には。好きであることに変わりはないが、それを口にすることも文字にすることもない。

Aさんの功績は大きかった。縄の快感を刻み込んでくれたのだから。ただ、Aさん以上に信頼できる人に巡り合う機会がない。どこでどうやって探せばいいのか分からないのだ。単にSの人を探すだけなら、方法はあるのだと思う。その人が、身体をゆだねるに値するかどうか、そこの判断がつかないのだ。

そう悩むうちにも欲求が募っていく。よくよく考えた末、SM系のハッテン場に行くことにした。SM歴の長いマスターが経営するマンション系のハッテン場らしい。ここならSの人と二人っきりになることはない。少なくともマスターが必ずいる。もし、何事かが起きても止めに入ってくれるのはないか。マスターと話す機会があれば、SMのあれこれを聞くことができるのではないか。そう考えてのことだ。

最寄りのJRの駅につき、店に電話をする。丁寧に教えられた道順通りに進むと、5分ほどでそれらしき建物にたどり着いた。すでに胸は高まっているが、アソコは緊張のためか萎んだままだ。

エレベーターで指定された階まで上がり、扉の前に立つ。さらに鼓動が速くなる。普通のハッテン場には、もちろん行ったことがある。10回や20回ではない。毎日のように、狂ったように、義務であるかのように通った時期もあった。しかし、この扉は今までのものとは違う扉だ。

開けたら最後、今の自分には戻れないのではないか…。そんなためらいから、30秒ほどしてようやくドアノブに手をかけたとたんに、「いらっしゃい」と声がかけられた。

ドキッとした。ドアを開けるとすぐに受付があって、マスターが座っていたのだ。ごく普通のマスターにごく普通の内装。ハードではない雰囲気にちょっと拍子抜けする。

「あ、あのぉ、さっき電話した者ですが」
「いらっしゃい。脱いだ靴はそこに入れてね。」
「あ、はい」
「空いているロッカー、えーと、2番のロッカーを使って。よく来たわね。電話だけして、来ない人って多いのよ。」
「そうなんですか」
「えぇそうなんですよ。えっと、SかMか、それとも両方できるかで六尺の色を分けてるんだけど…」
「あ、エ、Mです」
「あら、意外。まぁ、そういう方多いんだけどね」
「はぁ」
「会員証作りますので、名前教えて下さる?フルネームでなくてもいいわよ」
「えぇと、Tです」
「はい、Tさんね。会員証はお帰りの際にお渡ししますね。で、締め方はわかるの?」
「はい」

差し出された六尺は赤。着衣のマスターの前で、ちょっと恥ずかしながらも着替えを済ませ、店内を案内してもらう。

n3103 at 11:11│Comments(0)TrackBack(0) 「Sの男たち」 

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