「Sの男たち」

2009年05月29日

Sの男たち しんこう−04

ちょうど一年後。2009年4月某日。僕たちは、彼のウチの近所で夜桜を見ていた。スーパーでビールやチュウハイ、チーズを買って、屋台でたこ焼きを買って。川の欄干にもたれ掛りほの暗い提灯で照らされた夜桜を見ながら、周囲から怪しまれない程度に僕は彼に寄り添った。

「明日、なんであらためて食事に誘ったかわかります?」
「…んん? いや」
「ちょうど明日で一年経つんですよ。知りあってから。その記念とお礼とこれからもよろしくということで」
「え!? 一年?」
「ええ!?」
「えええ!? まだ、…4−5ヶ月くらいじゃなかったけ?」
「ええええ!? 一年だよ〜」
僕の方が驚きである。
「夏だってクリスマスだって一緒に過ごしたじゃん」
「そっかぁ。ごめん、そいう時間の感覚ってホントにないんだよ。一年かぁ…」
彼らしいというか…、逆にホッとするような拍子ぬけしたような不思議な感じがした。

翌日。去年と同じ待ち合わせ場所に向かうと、一年前の胸の高鳴りをリアルに思い出してきた。普段は彼の家か近所で食うことがほとんどなので、外で待ち合わせをして飯屋に向かうのは新鮮だ。僕は仕事帰りなのでスーツ。彼は休みの日なのに、カジュアルながらもちゃんとシャツネクタイ姿で来てくれた。この辺の気遣いが僕を一層ウキウキさせる。

繁華街から一駅外れた住宅街の中の焼鳥屋。カウンターに並んで座り、酒を飲む。食事もなかなか旨い。気分が良くなる。普段なかなか伝えられない僕の気持ちを、“一年続いたから”という免罪符?をもって伝えた。充実した一年間だったこと、幸せな時間だったこと、とても感謝していること、これからも一緒に過ごしたいこと。彼はにこやかに聞いてくれている。

新たな一年の始まりだ。

さて、彼は僕の事情(一緒に住んでいる奴がいるということ)を知っていて理解してくれている。ありがたいことなのだが、それが辛く感じることもある。その度合いは会うごとに増してきていた。この一年でSMプレイ上のいろんなことを経験させてもらい、次第に確実に彼に惹かれ…。いまは頭の中は彼のことだけだ。まさに身も心も奪われてしまっている。

さて、一年前に話をもどそう。

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2009年02月28日

Sの男たち しんこう−03

−是非、よろこんで。よろしくお願いします。

ごく簡単なやり取りを続けたが、出張が重なり都合が合わずにいて、初メールから一ヶ月半経ってようやく顔合わせの約束にこぎつけた。

電話をすることはなかったので、メールのやり取りでの一ヶ月半。メールの文章から、相手のことをあれこれと思い描いていた。さっぱりとした、でも僕のことを気遣ってくれる文面。メールで教えてくれた風貌。心の中で想像が膨らんでいく。

桜の季節。ついに対面を果たす日がやってきた。

仕事を終え、地下鉄に飛び乗る。ドキドキしているのは走ったからだけではない。顔を知らぬ人との待ち合わせなんて何年ぶりだろう。期待と緊張のドキドキが多分に混ざっている。B駅に電車が近づくにつれ、なんだか顔が火照ってきた。今までのメールのやり取りを読み返しながら、B駅到着を待った。

改札を出ながら携帯を見ると、約束の時間よりも10分近く早い。待ち合わせ場所が近づいてくると、週明けの夜にしてはたくさんの人待ちふうで混雑していた。

もう来ているだろうか。ちゃんと見つけられるだろうか。電話をかけてみた。

「もしもし。Zです。こんにちは」
「あ、Tです。こんにちは」
はじめて声を聞く。落ち付いた感じの声だ。
「あ、はじめまして。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
「僕、もう着いちゃったんですけど。どちらにいらっしゃいますか?」
「俺ももう着いてるから」
「えっと…」
「階段上がったら左の方にいるよ」
「今、階段上がりきるところなんですけど…、あ」
「え?」
「紺のブレザーなんですよね?」
「おう」
「あ、わかりました。見つけました」
「ん、どこだ?」
「すぐ、んー左前の方です」
「おっ」
電話から聞こえる声と、なまの声が重なった。

素敵な感じの人だ。会えてよかったと思った。飯を食いに行こう、そう言って歩きだした彼の後ろに、足取り軽くついた。

なんだろう、このワクワク ドキドキは。

2008年4月某日。僕の人生に彼が登場したことで、この日からの日常はそれまでとは少しずつ変わっていくことになる。

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2009年02月21日

Sの男たち しんこう−02

Yくんと始めて知り合った頃、かれこれ10年近く前から時々、会話の中に登場する人がいた。名前を記憶することはなかったが、Yくんとの関係性や、その人と僕との間に共通する知り合いがいたので、その存在は頭の片隅に残っていた。

そして、一年半ほど前。

「ZのことTさんに話したら、会ってみたいって」
「Tさんって?」
「=地名=の」
「あーあぁ。そうなんだ。何だっ、て?」
「いや、何となくZの話題になって、そしたら会ってみたいって」
「ふーん」
「いい人だよ」
「うん、いいよ。会いたいって言ってもらえてるんなら」
「アドレス教えていいって言ってるから、メールしてみよ」
「うん」

僕はこうして受け身的にアドレスを知った。しかし、すぐにはメールできなかった。どことなく後ろめたさがあったからだ。Yくんは、僕のことはよく知ってくれている人だ。タチネコ、どんな人がタイプなのか、タイプでないのかを含めてだ。その彼が、絶対いいと思うよ、と紹介してくれたのである。発展しそうな予感を感じない訳にはいかない。

そうするうちにタイミングを逃してしまったと感じていた。

しばらく経ったある日、Yくんと再び飯を食うことになった。Yくんは、メールが来ないことをTさんが気にしていると教えてくれた。そして、僕の気持ちを察していたのか、Tさんには、僕に付き合っている人がいること、Tさんと僕の間には共通の友人がいることなども伝えておいたので、あまり気兼ねなくメールしていいんじゃないかな、と言ってくれたのだ。

まだ見ぬ人にメールする、何年ぶりかのドキドキを感じながら、送信ボタンを押した。ほどなく返事が返ってきた。

―はじめまして。Zといいます。Yくんから紹介を受けました。前からアドレスは聞いていたのですが、メールできずにいてすいませんでした。

―――こんにちは。メールありがとう。Tといいます。メールはもう来ないのかと思っていましたよ。

―すいません。なんとなくタイミングを失ってしまって。よろしくお願いします。今、○○歳で、××に住んでいます。

―――こちらこそよろしくお願いします。自分は○○歳で、××に住んでいます。よかったら一度会いませんか?

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2009年02月14日

Sの男たち しんこう−01

5e479125.JPG浮気はいけない。ハッテン場に行くのはダメ。飲んだ勢いで隣に座っていたおぢさまとヤルのもダメ。

一方で、友達付き合いの延長線上に、自然に、セックスがあるのなら、それは構わないのではないか。そうも思っている。これは浮気ではないと。

その人と関わりその人を知る中で、大切に思え、愛おしく思え、例えば頭を抱き寄せ、例えば背中から抱き締め、腕をさすり、頬を寄せ、…その存在を確かめる。これはごく人間的な成り行きではないのだろうか。

友達と食事に行くのがOKで、旅行に行くのもOK。楽しい時間を二人だけで共有するのもOK。でも肌を重ねるのはNG。そういう一線の引き方は僕にはおかしなことに思える。

食事がOKなら寝るのもOK。寝るのがNGなら食事もNG。この方がよほどすっきりする一線の引き方ではないだろうか。

浮気をされる側から見れば、これは随分と身勝手な考え方だと自覚している。だから付き合っている相手に持論を展開することはしない。友達とスルのが浮気ではなかったらいったいそれは何なの? そう聞かれたら、納得させる自信はないから。

だから自分自身の行動も、一般的な線の引き方に従ってきた。少なくとも付き合いだしてから5−6年は、持論に従って行動することはなかった。大切に感じる友達と二人で過ごすことがあってもセックスはしない。ハッテン場には行かない。行きずりでもしない。一般的な線の引き方をしてきた。

余談だが、僕とまったく逆の考えの奴もいる。ハッテン場などで行きずりの一発は浮気とはいわない。お互いを知っている者同士のセックスこそが浮気であると。いずれにしても、付き合っている相手以外とヤルためのこじつけなのだが。

僕には付き合っている相手にも明かしていない裏の部分がある。

縛られたい、吊るされたい、叩かれたい、垂らされたい、…調教されたい。そんな欲求があるという裏の一面だ。当初おとなしくしていたその部分が、数年前から次第にその存在を増してきた。まるで、体の中で別な自分が育っていくような感じだ。その成長を止めることは、自分に嘘をつくこと、否定することに等しく思えた。

僕は、みんなに内緒で、でも大切に、そのもう一人の自分を育てることにした。SMのハッテン場に通うようになってからのことは以前にも記した。そしてさらに、心を繋げられるSの人が欲しいと思うようになり、新たな悩みを抱えたのだ、とも書いた。

しかしこの書き方は、実は正確ではなかった。心も繋がりたいと思えるSの人と出会い新たな悩みを抱えたのだ、が正しい。

出会いとは、得ようとしなければ得られないが、期せずして得てしまうこともあるようだ。

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2009年01月17日

Sの男たち はってん−07

10a7818e.JPGなんだか奥が深そうな世界だ。これはハマるな。そう思いながら部屋を出た。受付にいたマスターの脇を通り過ぎる時、小さく頷きながらマスターが微笑みかけてきた。まるで、さあ、ようこそいらっしゃい、とでも言うように。

その後もやはり、この店には何度か足を運ぶことになった。

縛られたい、甚振られたい。そんな欲求で体がはちきれそうになると、抑えきれずに足が向いてしまう。

いろいろなプレイを経験した。その人たちによって、僕のMの部分はまさに発展をしていくのだ。

吊るされたまま掘られたり、蝋燭を垂らされたり。ガスマスクを被せられたまま、あるいは「オレの臭いを覚えろ」と言われて強烈な臭いのケツ割れを被せられたままされたりもした。店内の道具を使った責め、あるいはSが持参した道具での責めを、僕はたいていの場合勃ちっぱなしで受けていた。

Sの人はみな、僕が相手をしてもらった人はだが、見た目の大人しい、優しそうな人が多かった。それがプレイになると目つきが変わるのだ。その瞬間にくるゾクッとした感がたまらない。

待ち合わせて店に行くようなことはなかったので、たいていの場合その人とは一度きりだ。時間も長くて2時間といったところか。

いろんな人とプレイするころは楽しい。縛る行為一つでも、縛る人によって微妙に違う。太い縄を選ぶ人、長い縄を選ぶ人、短い縄を組み合わせる人。縄の最後が首のあたりに来る人、そうでない人。出来上が模様の細かい人、大きい人。普通のセックス以上に個性が出るように思う。しかし、毎回毎回、その人が信用できるかどうかで不安になるのは、プレイの本質とは別なような気がする。

プレイを重ねるに従って、一人の人にじっくりと、寝ても覚めても責められたい。まさに身も心も任せられる人に調教されてみたい。次第にそんなふうに考えるようになっていた。人間の欲望とはすごいものである。

ノーマルな彼氏の居る身としては派手な行動をとることができない。というより浮気は禁物だし、もちろんしてもこなかった。ただ、プレイとしてのSMを彼氏に求めることができない以上、SMのハッテン場に年に数度通うことは、許されるのではないか。もちろん身勝手な考えだが、そう思っていた。

ところが、身体を満足させるためのSMを重ねるうちに、心を繋げられるSの人が欲しいと思うようになると話は別である。誰にも打ち明けられない思いに、新たに悩むことになった。

<「Sの男たち はってん」おわり>

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2009年01月16日

Sの男たち はってん−06

7f44ec86.JPG「バイブ落とさないよう、しっかりケツ締めろよ。自分の姿ちゃんと見とけ」

今までビデオで見ていたような光景に、自分がなっている。隣のオープンルームからも、喘ぎ声がいつの間にか聞こえていた。SMが映像の中の出来事ではなく、みんな?がしていることだと思い、どことなく安心もした。

バイブが抜かれた後は、それまで口に咥えていた張り型での責めがたっぷり続く。僕の声は、待合室にもオープンルームにもマスターがいる所にも筒抜けだ。

個室なのは視覚的な部分だけだ。すぐそばには5−6人の男たちがいるはずで、それが一層興奮を誘う。声を押し殺すことはせず、素直に喘ぐ。

「そうだ、もっと声出せ。みんなに聞いてもらえよ」
アァーー、ハァ、ウウン…
「どこが気持ちいいんだ」
ハァァ、ァング…
「はっきり言わないならやめるぞ」
「ケツが……、アァ……」
「やめるか?」
「ケツに… り型ぶちこま……て、…気持ちいい…」
「聞こえねえな。でかい声で。隣の部屋にいる奴に聞こえるように言えよ」
「ケツに、ァッ、張り型 ハァ、入れられて、出し入れ、…ンッンされて、気持ちいいです」

張り型の抜き差しが一層激しくなった。アングルが軋む音と僕のあげる声がフロア全体に響き渡っていく。

張り型の他にも、プラグや数珠が繋がったようなもの。Sは僕のケツをただの穴として、僕の意思とは無関係に使う。そしてやはり僕の意思とは無関係にガマン汁が流れ出る。

何種類目かの張り型を入れられたまま、吊るされて身体を揺らされたまま扱かれ、全く初めての感覚のうちにイッた。

学生の頃のように、遠くの方まで畳を汚した。

縄をほどきなら、Sが聞いてきた。
「気持ち良かったか」
「はい」
「ずいぶん飛ばしたもんな」
「初めてだったので」
「え? 何が」
「ココに来たのが」
「そんな感じは全然しなかったけど。…吊るされるのも初めてか」
「はい」
「そうかぁ。素質あるよ」
「え?」
「ほら、いいからシャワー浴びてこい」
「はい」
「あとはやっとくから」
そう言うと、Sは僕の出した精液をティッシュで拭き取り出した。思わず、
「あ、僕やりますよ」
と声が出た。すると、
「いいから、これも役目だから」

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2009年01月15日

Sの男たち はってん−05

6dc0e6c8.JPG壁際の棚に向かうS。並べてある張り型の中でもとびっきりでかいやつを手に
「どれがいい?」
と聞いてきた。もちろん目は笑っていない。思わず、本気で首を振る。
「じゃ、これか? これか? …これか?」
僕は、なるべく小さいのを手にした時に頷いた。しかし、
「って言うことは、これくらいはいけるってことだな」
と、僕が頷いたものより二回りはでかい張り型を手に近づいてきた。
「たっぷり唾付けとけ」
猿轡の六尺と唇の隙間にいきなり突っ込まれる張り型。それだけで顎が痛い。落ちないように口を締める。
「ちゃんと濡らしておかないと、後で痛いからな」
頷く僕を鏡の中の僕が見ている。

細く短い赤色の縄を取り出した。竿と玉が根元で括られた。余った紐の両端は、雁の部分で再び縛られた。チンポが反応するたびに、紐が食い込む。

今度は、細長い楕円上のバイブにコンドームをかぶせ、ローションをたらしている。そして、ケツに突っ込まれた。

スイッチが入る。バイブを使うのは人生で初めてだ。ウーーンという低い音が耳に届く。いや、震動が体の内部を伝わって耳の奥に直接響いている気もする。自分も誰も手を触れていないのに、ケツに与えられる刺激。不思議な感覚だ。

「ほら、よく鏡見てみろ。どうだ。穴が丸見えだぞ。恥ずかしいか? バイブすっぽり咥えこんでんだぞ」

これ以上ない位に勃起しようとするチンポに、雁の部分の紐がさらに食い込む。千切れそうだ。

「こんなにガマン汁出して、嬉しいのか」

Sが雁の部分を縛っている赤い紐を手にする。と、いきなり引っ張り出す。思わずうめき声を出した。

さっきから、片足のつま先が辛うじて床につく程度で吊られている。チンポの紐を引っ張られると、そのつま先すら浮いてしまう。チンポの痛みと、縄に全体重を預ける痛みに、体の奥から興奮した。

赤い紐を持つ手が緩められると、体は反動で体は後ろに戻る。そしてまた紐が引かれる。僕の体はブランコのようにゆらゆらと揺らされる。チンポはきつく勃ったままだ。

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2009年01月14日

Sの男たち はってん−04

91e64ccd.JPGふすまが閉められる。Sは一本の縄を選び取ると、無言で縛り始めた。笑顔はない。実に慣れた手つきで結び目を作り縄を這わせていく。人によって縛り方が違うのだろう。その動きの中に、Aさんとは違うものを感じた。

きつく結び終えると、僕を股間の前にひざまずかせた。たっぷりとあいさつさせてやる。そう言いながら、チンポを六尺から引き出し、僕の顔を荒々しく引き寄せる。

必死でしゃぶる。膝が畳に擦れて痛い。ちょっとでも舌を休めると、とたんに罵声が飛び、髪を引っ張られる。そんなことが10分ほどだろうか続けられた。

「疲れたか」

頷くと、咥えさせられたままの状態で、押し倒された。背中と首が畳と擦れる。お世辞にも新しい畳とは言えない。ところどころに染みのついた畳は、擦り切れているところもある。この畳が吸い取ってきた、汗と、ローションと、ザーメンに一瞬思いを馳せ、僕も完全にぶっ飛んだ。

僕の肩の辺りにまたがる格好で、なおも続けさせられる尺八。気が遠くなってきた。腕は腰の後ろで縛られている。Aさんの言っていた通りだ。自分の体重が手首にかかると痛いし、痺れてくる。

ここがホテルだったら2時間でも3時間でもしゃぶらせてやるんだけどな。よし、立て。

Sの六尺で猿轡をされる。ついで左足首と右膝に手拭いがあてがわれ、その上から縄が巻かれた。既に巻かれている腰のあたりの縄と右膝の縄がそれぞれ滑車に繋がれる。Sが縄を引くと体が少しづつ浮き、さらに、膝が腰よりも高い位置に吊り上げられ固定された。不思議な感覚である。まるで手品のよう。かろうじてつま先立ちが出来る位置で、こんどは左足の縄が足元のアングルに固定された。鏡を僕の正面に移動するS。自分に似た他の人がいるように見えた。

開かれた股は自分では閉じることがもうできない。興奮が体を駆け巡った。

「どうだ、嬉しいか。もっと嬉しいことしてやるよ」

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2009年01月13日

Sの男たち はってん−03

「縛られに来たのに、悪かったかな?」
「いやっ、そんなこと…」

僕は、下手(したて)に出られるのが苦手だ。無条件で、自分が悪いような気がしてしまう。彼の六尺に顔を寄せ、舐めた。悪いことなんてないですよ、そう伝わるように、丁寧に。六尺の下のモノが次第に形を変えるのが分かる。モノが伸びる方向に合わせて舌を這わせる。

六尺を外すと、すでに完全に固くなったチンポは、長く、上反っている。太くはないが、力強く血管が浮き出ていた。体つきとのアンバランス感が卑猥だ。ケツの奥で疼きが走った。

こうして、SMハッテン場での一発目は、ケツ堀ぶらんこでのごく普通のセックスで終わってしまった。

シャワーを浴び、二人が待合室に戻ってもまだお客さんは来ない。彼は、あまり時間がないからお先に、と帰り支度を始めた。もちろん僕は、縛られる気マンマンである。淡泊気味だった今のセックスにもあまり満足していない。今度こそ、Sの人が来るのを期待して、ソファで再び雑誌を読み始めた。

さらに30分ほどたって、次の客がやって来た。ロッカーのあたりで、マスターと会話をしている。着替えを済ませ部屋に入って来た人は、Sだった。顔より先に六尺に目がいってしまう。彼は、僕のすぐ足もとの床に座り、とりあえず雑誌に手を伸ばした。さらに続けて何人かのMが部屋にやって来た。

するとSの人が僕の足に触れながら、行かないか?と声を掛けてきた。行くというのは貸し切りのプレイルームに行くということだろう。あまりタイプの見た目ではなかったが、ベテランぽい雰囲気に惹かれOKする。そもそもこの場で断っていいのかどうかも分かっていない。たっぷりかわいがってやるよ、と耳元でささやかれ、部屋に向かった。

初めて会って5秒でセックスを始めることは、今までにあった。何度も。しかし、見ず知らずの人にいきなり縛られるのは初めてだ。興奮よりも緊張が先行する。

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2009年01月10日

Sの男たち はってん−02

待合室のほかにオープンのプレイルームと貸し切りのプレイルームがある。トイレと浴室の使い方を説明され、コンドームと浣腸が置いてある場所を教えてもらった。見たこともない大きな張り型が並び、白や赤の縄が手すりに掛けてある。ケツ堀りブランコや滑車の取り付けられた鋼材のアングル。棚には、蝋燭、バイブ、鞭、クリップなどが置いてある。見ただけで満足してしまいそうな設備だ。

時間は午後3時5分。開店して5分しか経っていない。まだ他にお客さんはおらず、ソファに座って待つことにした。本棚にはG誌、B誌、S誌が並んでいる。それらをめくりながら待っていても、なんだか落ち着かない。奥の部屋の張り型達も気になってしまう。

雑誌の小説をひとつ読み終わってしまう頃、入口の方から、いらっしゃい、と声が聞こえてきた。耳を澄ます。さっきしたような会話が繰り返されている。この人も初めてのようだ。ひと通りの説明がなされ、部屋に入って来た。

目が合った直後、お互いの視線が六尺に向く。リバか…。リバって言う奴に限ってバリネコだったりするし。どうせならSの方が…。

彼はソファには座らず、床に腰をおろした。軽く会釈をしただけで、彼もまた雑誌に手を伸ばす。そして無言の時間が続く。お互いの股間に何度となく目をやっていることには、気づいている。

自分よりも5−6歳は若い感じだ。細身で体毛はほとんどない。あまり六尺が似合う方ではない。でも、その中心部分は大きく膨らんでいた。

「初めてですか?」
思い切って声を掛けてみた。
「あ、はい。」
「僕も初めてなんです。」
「なんだ、てっきり常連の方かと」
「全然そんなことないですよ。ドキドキしっぱなしで。」
「自分も、もうずっと…」
「両方できるんですか?」
「え、まぁ。縛ったりはできないんですけど、タチは出来るから、両方って言っちゃったんですよね。まずかったかなぁ」
「その時は、六尺を変えてもればいいだけだから、大丈夫じゃないのかなぁ」
「そうですよねぇ。それにしても、人来そうにありませんね。時間が早いのかな」
「ですかね」
「どうしますか?」
「え?」
「僕、縛れないけど、掘れますよ」
正直悩む。掘られるだけではせっかくSMのハッテン場に来た意味がない。でも、しばらくは誰も来ないかもしれない。
「じゃ、とりあえず、やりますか」

なんて会話だ。とりあえずやる、だなんて、一体何してるんだろ…。自分にあきれながら、彼の後に続いてオープンの部屋に入る。

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2009年01月09日

Sの男たち はってん−01

kuchiその後は、Aさんと二人で時間を過ごすことは無くなった。年に数度、昼間に会って一緒に食事をする以外には。好きであることに変わりはないが、それを口にすることも文字にすることもない。

Aさんの功績は大きかった。縄の快感を刻み込んでくれたのだから。ただ、Aさん以上に信頼できる人に巡り合う機会がない。どこでどうやって探せばいいのか分からないのだ。単にSの人を探すだけなら、方法はあるのだと思う。その人が、身体をゆだねるに値するかどうか、そこの判断がつかないのだ。

そう悩むうちにも欲求が募っていく。よくよく考えた末、SM系のハッテン場に行くことにした。SM歴の長いマスターが経営するマンション系のハッテン場らしい。ここならSの人と二人っきりになることはない。少なくともマスターが必ずいる。もし、何事かが起きても止めに入ってくれるのはないか。マスターと話す機会があれば、SMのあれこれを聞くことができるのではないか。そう考えてのことだ。

最寄りのJRの駅につき、店に電話をする。丁寧に教えられた道順通りに進むと、5分ほどでそれらしき建物にたどり着いた。すでに胸は高まっているが、アソコは緊張のためか萎んだままだ。

エレベーターで指定された階まで上がり、扉の前に立つ。さらに鼓動が速くなる。普通のハッテン場には、もちろん行ったことがある。10回や20回ではない。毎日のように、狂ったように、義務であるかのように通った時期もあった。しかし、この扉は今までのものとは違う扉だ。

開けたら最後、今の自分には戻れないのではないか…。そんなためらいから、30秒ほどしてようやくドアノブに手をかけたとたんに、「いらっしゃい」と声がかけられた。

ドキッとした。ドアを開けるとすぐに受付があって、マスターが座っていたのだ。ごく普通のマスターにごく普通の内装。ハードではない雰囲気にちょっと拍子抜けする。

「あ、あのぉ、さっき電話した者ですが」
「いらっしゃい。脱いだ靴はそこに入れてね。」
「あ、はい」
「空いているロッカー、えーと、2番のロッカーを使って。よく来たわね。電話だけして、来ない人って多いのよ。」
「そうなんですか」
「えぇそうなんですよ。えっと、SかMか、それとも両方できるかで六尺の色を分けてるんだけど…」
「あ、エ、Mです」
「あら、意外。まぁ、そういう方多いんだけどね」
「はぁ」
「会員証作りますので、名前教えて下さる?フルネームでなくてもいいわよ」
「えぇと、Tです」
「はい、Tさんね。会員証はお帰りの際にお渡ししますね。で、締め方はわかるの?」
「はい」

差し出された六尺は赤。着衣のマスターの前で、ちょっと恥ずかしながらも着替えを済ませ、店内を案内してもらう。

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2008年12月25日

Sの男たち きっかけ−07

951f49b4.jpg僕が何を呻いているのか聞き取ってもらえたのだろうか。

彼の六尺を口にくわえたまま、彼のチンポをケツに入れたまま、六尺の中で果てた。恥ずかしい位にアっと言う間だった。窮屈な態勢で声をあげることもできないまま射精を迎える、嬲られている感覚は忘れられそうにない。そう強く感じた。

――シャワー浴びてこいよ。今度は、おまえが出したものはおまえの口で処理させるからな。

その目はSのままだった。

2時間後、二人は何食わぬ顔で店にいた。ただの客とマスターという関係で。しかし、僕の手首や腕、首筋にははっきりと縄の締め跡が残っていて、ポロシャツ姿では隠しようもない。Aさんはその跡に目を落とすたびに、微笑みかけてくる。他の人に気づかれそうで気が気でなく、まったく酒の味など感じなかった。

一度経験してしまえば、である。普通のセックスの最中に僕がちょっとでも物足りなそうな顔をすると、Aさんは、縛られたいんだろうと言って縄を出してくるようになり、僕もまた当然のように縛られるのだ。

それぞれに付き合っている相手がいることは周知の事実の二人。その二人が客とマスターとして、とても仲が良いのもよく知られたことだ。だからこそ燃え、他の何人かのお客さんと一緒によせ鍋をつついた ある冬の日の出来事をきっかけに、二人しか知らない関係は終わった。

秘密を持つのは楽しいことだが、秘密を守るのは辛いことだと学んだ。Aさんとの素敵な時間が幸せであればあるほど、それを誰にも話すことが出来ないのは心から寂しかった。

お互いの立場は分かっていたつもりだ。僕が飲みに行くことは、Aさんの職場に行くことに等しいのだ。その職場をAさんにとって不都合な雰囲気にするのは、してはいけないこと。Aさんを独占したい気持ちとの矛盾は、精神的には限界に近かったのかもしれない。お店では友達でさえ既に疎ましい存在になっていたし、そう思う自分のことも嫌になっていた。

誰にも気付かれずに、始まり、終えられてよかったのだ。好きという気持ちを持ったまま、一生Aさんの味方でいると誓えるまま関係を終えることができたのだから。

現実の世界で最大限に素敵な人間関係を築く努力こそが、その人自身を幸せにする。何億分の一の確率で知り合えた運命に感謝し、一度好きになったら何があっても精神的に寄り添い続けることは、人生の試練であり喜びでもある。<もう少し早く会っていれば…> などと言うのは愚かだとすら、今は思える。

客とマスターとしての良好な関係は現在も続き、彼が刻み込んでくれた僕のMの部分も消えることはない。


<「Sの男たち きっかけ」おわり>

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2008年12月24日

Sの男たち きっかけ−06

2c1afdea.jpgコンドームの使用を事前に確認していても、Sがその場の雰囲気で使いたくないと言ったらそれまでだ。生のモノを受け入れるしかない。Sがイク瞬間に、それを口に咥えさせられ汁を飲むことを強要されても、従うしかない。本当に辛くてもそれを感じ取ってもらえなければ、プレイは続くのだ。途中で人格が変わる人がいるかもしれない。

自分の命を預けることで得られる快感。その代償を払うことがあるとすれば、その割合はMの方が圧倒的に大きいのだ。

Aさんとは既にセックスを重ねている。人柄も分かっている。Aさんのなら、中で出されても、口で受け止めても構わない。あるいは結果として何らかの怪我を負うことになっても構わない。セックスとは全く違う覚悟がSMには必要だと感じた。

ローションなしの挿入が続く。

――――アッ、イタイ。ン、ンン。

――うるさい奴だな。

さっきまでAさんが締めていた六尺を口に押し込まれ、その上から猿轡をかまされた。腰を突かれながら背中の縄を引き寄せられる。激しい痛みとともにAさんのチンポをようやく受け入れた。休む間もなく、ピストン運動が始まった。掘られている震動が縄を伝って全身に広がる。

呻き声は、口の中の六尺に吸収されてしまう。

物として扱われているようなその一つ一つの行為や、一か所を引っ張られると連鎖式にいろんな所が締め付けられる感覚で、六尺にさらに大きな染みを作っていく。

自分の好きな体位になることも、そのお願いを口にすることもできない。全ては服従させる側の意思だ。

突然に体をひっくりかえされた。手足の自由が効かないまま体位を変えられるのは、思っていた以上に苦しい。でも、その様子を見た彼が興奮する姿を見て、さらに僕が興奮する。今まで感じていた男としてのAさんではなく、雄としての姿に、ガマン汁が次々と流れ出すのがわかる。

縛られた状態で掘られると、普段と違うところを突かれている感じになる。彼に突かれながら、僕のチンポは六尺の上から扱かれた。すぐにでもイッてしまいそうな感じがして、首を横に振る。まだイキたくない、そう目で訴えた。しかし彼の腰の振りも扱きも止まることはなかった。

――ほら、イケよ。

腰の動きも、扱きも、一段と強くなる。

――――あ、もうほんとにダメ。イッていい? ア、イク、イク

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2008年12月23日

Sの男たち きっかけ−05

9d4971bd.jpg人は見かけに、いや、見かけによる。Aさんは江戸職人顔というのか、和装の似合う雰囲気だ。これに短髪で髭。六尺で縄を捌く姿が、見かけから想像はつけやすかった。Aさんの新しい一面を実際に見ることができて、その相手として今 自分を選んでくれて、素直に嬉しい。

それにしてもだ。こんなにロープワークに長けていることまでは分からなかった。今までに、SMに関してどんな経験をしてきたんだろうか。これから先どんなプレイが待っているんだろうか。そんな思いで、Aさんを見つめてしまう。

――こういうことずっとされたかたんだろ。

何度も頷く。自分の意志では姿勢を変えることができない状態。支配されている感覚。憧れが現実のものとなった。

突き倒されるようにしゃがみこまされ、腰の位置で後ろ手に縛られたまましゃぶらされる。今まで何度も同じことをやっているのに、全てが新鮮だ。時々視界に入る自分を縛っている赤い縄が、興奮を何倍にも増幅させ、いつもより荒々しく咥えこんでいく。

――もっと奥まで咥えろよ

Aさんの手が頭にあてがわれ、そのまま腰に押しつけられた。Aさんのちんぽが僕の喉ちんこにあたる。むせいだ。ウサギ跳びのような不安定な姿勢で手の自由も効かない。Aさんが手を離してくれない限り、僕はそのちんぽを口から抜くことができないのだ。

喉の奥に深く突き刺されたまま、時間が過ぎた。匂いと味が染みつき、太さと熱さが口の中に広がった。

――これ欲しいんだろ。

ベッドへと引きずられ、うつぶせに寝かされた。

手首の縄を解かれたようだ。このまま仰向けになって掘られていると手がしびれるからな。そう言いながら、自由になった両手を首の後ろで再び縛り直す。そして、いきなりの挿入。僕の唾液がついているものの、激痛が走る。恋人同士のような甘いセックスではない、服従させる側とする側のプレイだ。痛い、思わず声を上げてしまう。いつもなら…。しかし、どんどん入ってこようとする。

―――――イタ、イタ、イタイッ。

SMとはこういうものだと自覚した。縛られてしまえば、そのあと何をされても逆らうことはできないのだ。

n3103 at 12:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2008年12月22日

Sの男たち きっかけ−04

56890db0.jpg縄が前に後ろに行きかい、Aさんの手が背中に回ったり股下をくぐったりしている。シュルッ、シュルッ。縄と縄の摩擦音が耳を刺激する。結び目を作るたびに縄が体を締め上げる。日焼けしていた肌が熱く擦れて痛い。次第に息が苦しくなってきた。息を吸おうとすると、縄が食い込むのだ。縛られている、そう実感した。

――初めてだからって、手加減しないからな。

いつも聞いている声なのに、別人のように低く冷たい声に聞こえる。

しばらくして、胸も腿も完全に締め付けられたようだ。後ろ手に縛られた手首は痛い位だ。ちょっとでも姿勢を変えようとすると、肩や股間に縄が食い込む。身体の中身が、今の身体よりも一回りも二回りも小さい別の身体におし込められたように感じる。

――おら、似合ってるよ。

と、乳首に電気が走った。なんだこの感覚は。何かが乳首の先にちょっと触れただけのはずなのに。脇腹を触られても、ケツを触られても、ただ触れられただけなのにすごく感じる。見えないからなのか、縛られることで肉体的に何かが起こっているのか。とにかく、ケツにチンポを初めて入れられた時のように体中が敏感に反応する。

――さっきから濡れっぱなしじゃねえか

目隠しが外された。僕の正面には大きな鏡が立てかけられていた。初めて見る自分の縛られた姿。体にじゅうにめぐらされている赤い縄が、非現実的に綺麗な模様を描いていた。

興奮した。

普段、鏡を見ながら自分で処理することなどない。自分の体に発情するようなナルではない。そう思っていた。しかし今、自分で自分をみて頭に血が上っている。

Aさんが僕の六尺に手を伸ばし、勃起の先端部分を指で押す。下を向くと、そこにはシミが湧き出していて、離した指と六尺との間に糸が引いた。

n3103 at 09:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2008年12月08日

Sの男たち きっかけ−03

sm4僕がAさんにそうお願いしたことはない。Aさんから尋ねられたこともない。今までの二人の時間の中から見抜かれていたのだろうか。野外や始発の電車の中、そんなスリリングな場所で要求される尺奉仕や露出を拒否したことはなかった。荒々しいセックスもごく自然に受け入れていた。そして何より、二人を結びつけてくれたOさんのバーは、SMの要素も含むバーだ。

緊縛。惹かれる響きだと思う。雑誌やビデオで見る、縛られた、吊るされた姿に、他のどんな痴態よりも興奮もする。ある種の憧れさえ感じる。

その一方で、無防備な状態にさせられることへの恐怖も存在していた。さらに言ってしまえば、SMって変態じゃないの? 踏み込んだら、ノーマルなゲイではなくなるんじゃないの? 少数派の中の多数派ではいたい気持ちもあった。

過去にはSMハッテン場に足を向けたこともある。でも、果たして初心者の僕にちゃんと手加減をしてもらえるのだろうか…、そう思って扉を叩かなかったのだ。

そして今日、信頼できる人になら縛られてもいい。その覚悟でAさんの家に向かっている。

家に着くなり、タオルと六尺を無言で手渡すAさん。いつもと雰囲気が違う。

言葉を交わすこともなく、浴室に向かう。シャワーを浴びても、これから起こるだろうことを想像して、完全に勃起状態のままだった。治まらないまま赤い六尺を身につけ、寝室に入った。クーラーがやけにきつく感じる。

部屋に入ってすぐAさんと向き合う。やはり無言で、後ろ手に持っていた手拭いで目隠しをされた。いきなり奪われた視界。いよいよ始まる、違う世界に一歩踏み出す、そんな期待と恐れが入り混じる。猿轡をかまされ、首に縄が掛けられた。

初めての感覚に皮膚が反応し、鳥肌が立った。もちろん歓びのだ。六尺の中身はキツク勃ったままだ。

――元気がいいな、縛り甲斐があるよ。

n3103 at 18:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2008年12月05日

Sの男たち きっかけ−02

sm2なるほど、年上が揃うその店は、たとえ会話に入っていなくても雰囲気だけで十分に楽しめる。今まで行ったことのあるどのお店とも違う、落ち着いた感じの客層だ。店内は11人座れば一杯になる。場所がらか、ほぼ全員がスーツだ。靴は履いたままだった。

僕の会社には、この年代に相当する上司はいない。自分よりも年上に囲まれる新鮮さと、それが全員ゲイであるという安心感にすぐにハマった。

しばらくして、土曜日にも店に顔を出すようにった。同じメンツの私服姿。これがまた萌え〜なのだ。女房と子供二人、通勤片道1時間半、一日の小遣いは600円。そんな疲れたお父さんの休日風は誰もいない。

ギラギラしていない会話や振る舞いは、勉強になることが多い。一番年下であることもあってか、何かと面倒を見てもらえるのも楽しい。桜が咲く頃までには、飲みに出る前の食事に誘われたり、別の飲み屋に連れて行ってもらったり、そんな年上の友達がずいぶんと出来た。

しかしどんなに仲良くしてもらっても、僕が友達と思っていても、彼らとの年の差は埋めがたいものであり、早く、彼らの40代、50代に追いつきたいと感じてもいた。ゲイとして楽しそうに、そして充実した日々の生活が想像できる彼らの世代は、人生を謳歌する輝く世代に見えるのだ。

Aさんも、そんな人たちと一緒に遊んでくれた、一回り以上年上の世代の人だ。特に一目ぼれというのではない。しかしそのお店で、毎日家に帰るまでのほとんどの時間を過ごすようになり、次第に、確実に惹かれていった。

出張先からお土産を持って帰り、旅先から絵ハガキを出す。その絵ハガキを額に入れ店の壁に掛けておいてくれる。看板まで店に残り、後片付けを手伝い、途中の駅まで一緒に帰る。

いつの頃からか、二丁目で二人で朝まで飲んでいたり、飯を喰ったり、温泉に行ったり、プールに行ったり、家に行ったりするようになっていた。

マスターと客という以上の気持ちでかなりの時間を過ごし、そしてセックスも自然に重ねていた。開店前や閉店後の店内、始発に乗る前の駅近くの駐車場、温泉宿の露天風呂ですることもあった。

その日も、家に遊びに行く予定だった。しかしいつもと気持ちが違っていた。前日に、明日は縛ってやるからな、とひとこと言われていたから。

n3103 at 17:41|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2008年12月04日

Sの男たち きっかけ−01

僕が初めて縛られたのは、もう10年も前のことだ。当時足しげく通っていたバーのマスターAさんがその相手だった。

このバーを紹介してくれたのは、別なバーのマスターOさん。脱衣系(?)のバーである。あんたフケ専なんだし、いいお店紹介するから行ってみれば。アタシくらい いい男がやっている店よ、と。

更に遡ること一年前。Oさんの店に連れて行ってくれたのは、Rさんだった。近所のハッテン公園で知り合った人だ、ナイスミドル系おぢさま。なんだかすごく気が合うと感じて、知り合ったその日に自分の部屋に招いてしまった。いや、招いたというより、かなり酔っていたRさんがどうしても君の家に行きたい、と着いてきたのだ。

後々 このことをRさんに言うとえらく落ち込むのだが、Rさんはその時、自分の名刺や免許証まで見せて、絶対に怪しくないから、本当に怪しくないって、と部屋に上がり込んで来たのだ。その後の数年間、僕は、既婚者Rさんの愛人(?)として過ごすことになった。

Rさんと僕は、酒を飲むペースや量、酔い方に至るまで似ていた。飲むと、飲まれるのだ。今日は三軒回ったら帰る。終電で帰る。そんな誓いは毎回のように、且つごく簡単に破られ、僕の部屋や、ホテルや、奥さんが帰省中のRさんの家で夜を共にしていた。そんな夜遊びの中でOさんの店を紹介された。

その店の名前は知っていたが、マニアックかつ敷居が高いような気がして訪れたことはなかった。Rさんから、お店のマスターOさんとは以前からの知り合いだと聞かされて、なんだか得をしたような気分だった。

Oさんは、僕のような年下には興味がない、と公言してはばからない人だ。若い人は若い人同士で勝手にどうぞ、と。もちろんマスターとしてのウケ狙い含みの会話だし、どんな人にも公平に接してくれる温かい人柄が顔からにじみ出ている。ただ、Rさんと一緒に店に行くことで、年上の人たちとの会話にスムーズに入れてもらえていたのは確かだ。僕の真性フケ専が広まるまでに、そう時間はかからなかった。

今年も終わりだね、そんな言葉が聞かれるようになったある日、Oさんから紹介された店のドアを開けた。彼と古い仲の人が開くお店なら、靴を脱いで入るスタイルなのかな? そんなことを考え、新品の靴下を履いて。

n3103 at 17:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)