来春の国家公務員の新規採用数を、2009年度に比べ「おおむね半減」させるとした鳩山政権の方針を巡って、公務員志望の学生や、大学の就職担当者の間に動揺が広がっている。

 来年の新規採用を減らすのは、「天下りの全廃」という民主党の公約を受け、定年前に辞める官僚が激減しているため。しかし、今回の方針は国家公務員採用試験の直前に発表されただけに現場の混乱は大きく、「なぜ就職難のこの時期に」と怒りの声も上がっている。

 「国の試験なのに、今になって条件を変えるなんて」「中高年の公務員は安泰で、なぜ就職難の若者だけが苦しめられるのか」

 札幌市の資格試験予備校「LEC東京リーガルマインド札幌本校」で、公務員講座を担当する講師の小堀学さん(36)のもとには、大型連休以降、受講生から不安や憤りの声が20件以上寄せられている。

 政府が「おおむね半減」という方針を打ち出したのは4月27日。この時点で、すでに国家公務員1・2種や国税専門官などの試験は応募が締め切られており、5月2日の1種の1次試験まで、あと5日という本番寸前のタイミングだった。

 この方針を実現しようと、総務省が各省庁に提示したのは、1種や本省の2種の採用は09年度に比べて2割減、国税専門官などの専門職種は5割減、地方の出先機関は8割減とする案。小堀さんが指導している受講生には、専門職種の志望者も多く、大幅な削減案には動揺も広がったという。

 小堀さんはこう指摘する。

 「中央と地方の関係や、必要な公務員の数などを十分議論しないまま、未来ある若者の採用だけを抑制すれば、彼らは政治や社会に不信感を抱きかねない」

 各省庁とも専門職種については、今年2月の段階で「国税専門官が約850人」「労働基準監督官は約120人」などと採用予定数を公表している。総務省の削減案が実現すると、実際の採用数は大幅に減るため、「受験生をだました形になってしまう」と頭を抱える省庁の担当者もいる。

 影響は、2種の受験者が多い地方の大学にも広がっている。

 愛媛大学就職支援課によると、民間への就職が厳しい中、就職浪人して2年続けて国家公務員試験に挑戦する学生が増えていて、担当者は「今年の試験に懸けていた学生は、がく然としているはず。もっと早く方針を打ち出してくれれば」と戸惑いを隠さない。

 各職種別の新規採用数は当初、先週の閣議で決まる予定だったが、多くの省庁が難色を示しており、18日の閣議でも決定できなかった。それでも、「天下り廃止」の方針で、定年前に早期勧奨退職で辞める職員が減っている現状では、新規採用は減らさざるを得ない。

 「天下り」が多い1種の削減率は少なく、「天下り」があまりない出先機関の職員の採用が大幅に減らされるという矛盾も指摘されている。ある省庁の採用担当者は「天下り廃止のしわ寄せを、出先機関に押しつけた形で、理屈に合わない。今になって受験生を混乱させたことも申し訳ない思いでいっぱい」と話した。

 ◆国家公務員採用試験=省庁共通の1、2、3種と、国税専門官、労働基準監督官、航空管制官などの専門職種に分かれて実施される。1~3種は試験合格後、各省庁の面接試験を経て採用が決まる。不況で民間企業が採用を抑えると倍率が高まる傾向があり、昨年の申込者は1種で前年比4・6%増、2種では12・4%増だった。今年の申し込みも1種は前年比21・2%増。

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