早産で生まれる新生児の呼吸困難を防ぐため、妊婦に注射し、胎盤経由で胎児の肺の発育を促す薬剤「リンデロン注2ミリグラム」「同4ミリグラム」(一般名・ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム)が、厚生労働省から治療薬として承認され、保険適用されたことが分かった。胎児治療への保険適用は国内で初めて。06年から要望していた日本産科婦人科学会は「薬価自体は安価だが、保険適用は国が胎児を治療対象として認めたことを意味し、非常に画期的だ」と評価している。

 承認は09年11月6日付。製造販売元の塩野義製薬によると、同剤は抗アレルギー薬などとして1960年代から販売されていた。今回、母体に投与して胎児の肺の発育を促す効能が追加承認され、添付文書に記載された。大学病院など高度な周産期管理が可能な施設で使用される。母親の健康保険証で治療を受けられる。新生児の約1%に当たる年間1万人程度が投与の検討対象になっていると推定されている。

 胎児の肺機能は、妊娠34~35週以降に十分に発達する。肺が未発達な早産で生まれた新生児は呼吸が苦しく、十分に酸素を取り込めない「呼吸窮迫症候群」になる恐れがあり、その場合は新生児集中治療室(NICU)で長期間の管理、治療が必要になる。

 34週未満の早産が予想される妊婦に筋肉注射すれば、胎盤経由で胎児に投与され、出生前に十分な肺の発育を促す効果がある。出生後に呼吸窮迫症候群になるリスクや死亡リスクを3割程度減らせ、臨床現場で15~20年前から使われていた。

 厚労省審査管理課は「日産婦から要望があり、国内外で使用実績や科学的データも集積されているので承認した」と話す。名取道也・日本周産期・新生児医学会理事長は「科学的根拠に基づく必要な医療を胎児が受けられるようにし、治療費負担で家族が困らないようにすることが大切だ」と話している。【江口一】

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